Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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第10話 前夜

「千冬先生。」

 

翌日、

朝一で千冬先生を見つけた俺は早速文句を言うべく声をかけた。

 

「なんだグリント、昨晩は良く眠れたか?」

 

「ええ、お陰さまで。

あんなに良く眠れたのは久々でしたよ。」

 

「そうか、それは良かった。」

 

皮肉に対して皮肉で返したがどこ吹く風と言わんばかりに躱された。

 

「ところで、何か私に用があったんじゃ無いのか?」

 

「あの部屋割り、男の絶対数が少ないから異性混合は仕方が無いとしても。

何故よりにもよってウォルコット嬢となんだ・・・!!」

 

実際の話だが、

昨晩はそれはもうリリウムの取り乱しようが半端無かった所為で一睡も出来ていない。

お陰で俺は眠くて仕方が無い。

 

「楯無から昨日お前等が屋上で仲良く会話していたと聞いたから、

その部屋割りにしたのだが間違えていたか?」

 

「なっ…!!」

 

あ、の女狐が・・・!!

 

「とはいえもう決めてしまったし、

後に空いている部屋は無いから諦めろ。」

 

「グッ…!!」

 

「まあ、そう言うことだ。

それだけであれば私は行かせてもらうぞ。」

 

言葉を詰まらせてる俺に対し、

千冬先生はしてやったりという表情を浮かべながら歩いていった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「と、いう事だ。諦めろ。」

 

「納得は出来ませんが・・・仕方がありませんね・・・。」

 

部屋に戻り、

既に制服に着替えているリリウムに伝えながら俺も着替える。

 

「それにしても、

まさかリリウムが異性の方と寝食を共にするなんて夢にも思わなかったです。」

 

「そうか?、

別段俺は慣れているがな。」

 

「そうなのですか?、それは初耳です。」

 

「別段教える必要は無いからな。」

 

以前の世界ではセレンと一緒に住んでいたしな。

馴れていると言えば馴れている。

・・・流石に同じ部屋ではなかったが。

 

「あ、そういえばご存知ではないかと思いますが。」

 

「?」

 

「明日はクラス対抗戦です。

リリウムは出場はしませんが、リリウム達のクラスからは一夏様が出場されるのですよ。」

 

「クラス対抗戦って何だ?」

 

「えっとですね、IS学園では各クラスで代表者を1人選出しているのです。

代表になった方は学年毎の行事やこういった対抗戦に出たりしています。

簡単に言ってしまえばクラス委員長みたいなものですね。」

 

聞き覚えの無い単語を聞き疑問に思っていると、

それをリリウムが説明してくれた。

しかし、一夏がクラス対抗戦に出る…か。

 

「にしてもなんでリリウムは代表者じゃないんだ?

ランク2のお前なら一夏を倒すなんて造作も無いだろ?」

 

「リリウムにも色々あるのですよ。」

 

「そんなもんか…あ、そうだ。

もう一つ聞きたい事がある。」

 

「仲間にならないか?、

というお誘いでしたら丁重にお断りいたしますよ?。」

 

先に言われてしまったか。

まあ良い。

 

「アンビエントは持ってきてるのか?」

 

アンビエント。

それは、あちらの世界でリリウムが使用していたネクスト。

BFF社製の最新鋭中量二脚機で、

コンビを組んでいた重量四脚機(ロリコンジジイのネクスト)の援護が主な役割だ。

・・・とはいえランクが示すとおり、例え単機であったとしても相応の実力を有してはいる。

 

「…はぁ、隠しても無駄なようですからお教えします。

ありますよ、公になると面倒な事にしかならないので隠してはいますが。」

 

「そうか…にしても面倒な事?」

 

「そうですよ、リリウムが目覚めたのは2年前です。

その時はまだ第三世代という言葉すらなかったのに、

既存のISよりも明らかにオーバースペックであるあの子が突然表れたと聞いたら、

世界はきっとリリウムの事を血眼で捕らえようとしたに違いありませんからね。」

 

・・・そりゃそうか。

束さんから聞いた話だと、ISを作ったのは大体10年くらい前。

技術は日々進歩しているといっても、

いきなり超高性能機が国籍不明で出てきたと知ったら大体取る方針は2つ。

懐柔するか、破壊するか。

そんな中リリウムはたった一人で今まで生きてきた。

その苦労は想像を絶するものだろう。

 

「・・・苦労したんだな。」

 

「・・・苦労した?、

それはもう苦労しましたよ。

昨日もお話しましたが・・・」

 

「あー分かった分かった!、

それよりも早く行かないと遅刻するぞ!」

 

再び口撃が始まる前に時計を指差して、さっさと登校しようと提案する。

まだ少し余裕はあるが、ゆっくり行くとなると今出なければ間に合わない。

2日目から急ぐなんて言う事は遠慮したい。

 

「・・・仕方がありません、では行きましょう。」

 

「エスコートは期待するなよ?」

 

「期待していませんからご安心ください。」

 

お互いにそんな軽口を叩き合いながら俺達は学園へと向かう。

・・・にしても、殺し合いをしたというのにこんなに普通に話せるとは思わなかったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラス対抗戦?」

 

昼休み。

再びクラスメイトから質問攻めに合う前にさっさと抜け出した俺は誰も居ない所で束さん達へと通信をする。

 

「ああ、今朝ルームメイトから聞いた。

どうやらそのクラス対抗戦とか言うのに一夏が出るらしい。」

 

「ほほーう、成程ねー。」

 

俺の報告を聞いた束さんは何かを考えている。

・・・碌でもないことだろうな。

 

「・・・良い事思いついた!。」

 

「詳細は聞かないでおく、聞いてしまうと新鮮な反応が出来ないからな。」

 

「えー、聞いてよー!」

 

馬鹿言え。

一応監視の目があるんだ。

そんな中初めから知っていましたって反応をしてみろ?

そこから誰がやったというのが露呈しかねない。

 

「謹んで遠慮しておく。

ところでセレン達は?」

 

「むー、グリントは束さんよりもセレンの方が気になるのかー!」

 

「当たり前だろ?」

 

「ぐぬぬ!!」

 

ぐぬぬなんて口で言う奴始めてみたぞ。

 

「セレン様は他の4名様方に稽古をつけていますよ。

・・・時折爆発音やら断末魔の叫び声が聞こえてきますが。」

 

そう束さんの代わりにクロエは報告してくれた。

 

「断末魔って・・・殆ど殺す気でやってるじゃないか。」

 

「それぐらいやらないとCOLLAREDの名を落とす事になるから・・・という事です。」

 

「は、ははは・・・。」

 

思わず乾いた笑いが出てしまう。

セレンの事だから本当に死なせてしまう事は無いだろうが、

それでも4人にはご愁傷様という言葉しか出てこない。

 

「まあ、とりあえず報告は以上だ。

・・・もし依頼が発生したら受けるつもりでいる。」

 

「オッケー!、

とびっきり楽しい事をやるからねー!」

 

「期待しないでおく。」

 

その言葉を最後に通信を切り、背後の人物に声を掛ける。

 

「盗み聞きとは良い趣味をしているじゃないか。」

 

「あら、ありがとう。」

 

そう言って物陰から楯無は姿を表した。

 

「誰と通信していたのかしら?」

 

扇子をバッと開きながら楯無は質問してきた。

その扇子には質問と書かれていた。

・・・昨日は警戒って書かれていたような。

 

「最初から聞いていた癖にその質問か。」

 

「気付いていたのね。」

 

俺がこの場所に来る前から楯無が俺の事を尾行していたのは知っている。

別に体を強化しているわけではないが、

この首輪を用い常時レーダーを起動している為そういった行動は全て筒抜けだ。

 

「当然だろ?」

 

「それでも通信をしたという事は、別に聞かれても困るという事でないと言う事かしら。」

 

「概ね正解だ、依頼主に報告をしていただけだからな。」

 

「・・・怪しいものね。」

 

「嘘は言って無いさ。」

 

そう言って朝の段階で購入していた菓子パンを取り出す。

本来であれば自分で作っている所だが生憎朝は色々あった為時間が無かった。

しかし、この菓子パンと言うのは素晴らしいな。

味もそうだが埃などが付かない為にビニールで封をしてあるし、

何よりもそこそこの期間保存する事が出来る。

俺の中の常識では保存食と言えば味気ない物ばかりだったからな。

世界が違えばこうも違うものか。

 

「菓子パン?

自分で作ったりはしないの?」

 

「本来であればそうしているが・・・誰かさんの所為で朝は時間が無くてな。」

 

「それはご愁傷様ね。」

 

意地悪い笑みを浮かべながら楯無はそう言ってきた。

チッ、女狐が。

 

「・・・明日はクラス対抗戦よ。」

 

「知ってる。」

 

「余計な事はしないで頂戴ね?」

 

「俺は何もしないさ、昨日言った通りこの学園の破壊は依頼されていない。」

 

菓子パンを食べつつ楯無からの警戒の視線を軽く流す。

・・・しかし束さんが良い事を思いついた、か。

本当に嫌な予感しかしない。

 

「話はそれだけか?」

 

菓子パンを食べ終わり、ゴミを小さく纏めつつ楯無に聞く。

 

「…ええ、今の所はね。」

 

「それなら戻るぞ、午後はISの授業だからな早めに動かないといけない。」

 

「そうなのね、・・・頑張って頂戴。」

 

「精々満喫するさ。」

 

出口へと向かいつつ、位置関係的に背後にいる楯無に手を振り俺はこの場所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




名前 リリウム・ウォルコット
性別 女
年齢 16
IS アンビエント
紹介
BFF社所属のリンクスでリンクス管理機構COLLAREDでのランクは2。
そのランクが示すとおり実力はかなり高い。
主な仕事は相方となる重四脚機の援護兼護衛。
人類の敵となったストレイド・グリントを倒すべく、
アルテリア・カーパルスにて戦闘を行ったが敗北、
コックピットへの07-MOONLIGHTによる刺突攻撃で胸を貫かれた後蒸発し死亡した。
ストレイド・グリントやセレン達と異なり本編の2年前のイギリスの地で1人目覚めた。
目覚めた直後自然がある事やCOAMが使え無い事に動揺し、
行き倒れ寸前になった所偶然近くを通りがかったセシリアに拾われて難を逃れた。
現在はセシリアと口裏を合わせて従姉妹という事になり、
居候をしつつセシリアの訓練に付き合っている。
なお、対セシリアとの勝率は9割以上を維持しているが手を抜いている。
イギリスの代表候補生にならなかった理由はセシリアの顔を立てた事と、
表立って行動する気が皆無な為。
勝率が9割なのはその時の戦いでわざと敗北した為であるが、
セシリア本人はまったく納得していない。
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