Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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第11話 襲撃

「そう言うことかよ・・・。」

 

溜息を吐きつつ、俺は管制室を目指す。

そこにいるであろう千冬先生に会うためだ。

アリーナから出る直前の事だが、

戦いを繰り広げていた一夏と相手に突如乱入者が現れた。

事前に察知していた俺は予め観客席を後にしていた為難を逃れたが、

現在観客席から出る扉は全てロックされているらしい。

 

「やっぱり碌でも無いじゃねえかよ…、

次会った時は覚えてろよ・・・!」

 

足早に管制室への道を歩きつつ、

次あったら泣かす事を心に決めた。

 

 

 

時間は少し遡る。

 

 

 

「すげえ人だな。」

 

「それはそうですよ、各クラスの代表の腕前が見れますし。

何よりもお祭り騒ぎなのですから。」

 

「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損ってか。」

 

「どういう意味ですか?」

 

「多分だが馬鹿騒ぎをしているなら迷惑にならなければ楽しめって事だろ?」

 

俺はリリウムと歩きながらそんな事を話している。

 

「…っていうか、何故俺となんだ?

オルコットと共に見れば良いだろう?」

 

「折角ですし紹介もしておこうと思いまして。」

 

「・・・別に構いはしないんだが。」

 

とはいえ、こいつは見た目とは裏腹に頑固者だ。

一度言い出したことは中々聞かないだろう。

 

「そうも行きません、

ストレイド様が依頼を受けてこの学園にいらしたのは承知しています。

ですが、折角同じクラスになったんですもの。

親睦を深めて損はありません。」

 

「そんなもんか。」

 

「そうですよ。

・・・あ、居ましたね。」

 

リリウムは小走りでオルコットへと向かい、

何かを話した後再びこちらへ戻ってきた。

 

「お待たせしました、ご紹介しますね。

こちらはイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットです。」

 

「・・・リリウム、私は納得していませんわよ。」

 

「何かあったのか?」

 

イギリスの代表候補生という言葉を聞いた瞬間、

オルコットの顔が明らかに曇った。

何かあったのだろうか?

 

「代表候補生を決める戦いの時、

リリウムは明らかに手を抜きましたわ!

そんな状態で勝って代表候補生になったとしても、

嬉しくもなんともありませんわ!」

 

「手を抜いた?」

 

不思議な事があるもんだ。

前の世界に置いて撃破される=死というのが殆どだった為、

手を抜くなんて事は絶対に許されなかったのに、

オルコットが言うにはリリウムは明らかに手を抜いたらしい。

 

「リリウム、どういう事だ?」

 

つい責めるような視線になってしまいつつもリリウムに確認する。

 

「手を抜いてなんていません、

あの時私は不覚を取りセシリアに負けました。

どんな理由があるにせよ、それが全てです。」

 

しかし、いつもそうしてきたのだろう。

シラを切ってきた。

・・・まあ良い。

 

「昨日自己紹介はしたが…ストレイド・グリントだ。

オルコット嬢、よろしく頼む。」

 

そう言ってオルコットに対して右手を差し出した。

 

「リリウムと似ていますしセシリアで構いませんわ、

よろしくお願いしますね、グリントさん。」

 

差し出された右手を握り返し、そう言ってきた。

 

「それなら遠慮無くそう呼ばせてもらう。

・・・ちなみに一夏の腕前ってどんなもんなんだ?」

 

近くに丁度3人分空いていた席に座りながら俺は話題を振った。

今回の機会は一夏の腕前を見定めるのに丁度良い。

 

「正直に言ってしまうとですが、まだまだ弱いですわ。

ですが途轍もない才能も秘めています。

なんせ初対決の時に私を後一歩の所まで追い詰めたのですから。」

 

「へぇ・・・。」

 

セシリアの実力は知らないが、

仮にも代表候補生をそこまで追い詰めたのか。

中々期待できそうだ。

 

「その時はどうやって勝ったんだ?」

 

「え…と・・・。」

 

俺の質問に対してセシリアは言葉を詰まらせている。

何だ?

そんなに答えづらいことなのか?

 

「自滅ですよ、

彼が持つIS「白式」には相手の防御を無効化して攻撃する機能がありますが、

その代わりに発動中は自分のエネルギーが減少し続けると言う欠点があります。

それを把握していなかった為攻撃する直前にエネルギーが尽きて・・・。」

 

・・・呆れた。

開いた口が塞がらないとは正にこの事か。

 

「・・・な、なるほど。」

 

何とかその言葉だけを口にする事が出来た。

 

「…っと、そろそろ始まりそうだな。

相手は・・・凰鈴音(おおとりすずね)?」

 

「中国の代表候補生で凰鈴音(ファンリンイン)ですわ。

一夏さんのお話によるとセカンド幼馴染・・・という事らしいです。」

 

幼馴染にセカンドもクソも無くないか?

そう思ったが口には出さないでおく。

 

「そう言うことなら凰鈴音に1万。」

 

「でしたら一夏様に2万で。」

 

「なら俺も2万。」

 

「?」

 

突如として始まった賭け事にセシリアは疑問を浮かべている。

 

「どっちが勝つかで賭けだ、セシリアもやるか?」

 

「え、遠慮致します!!、

というよりも学生の身分で賭け事なんて!!」

 

「おかしいか?」

 

「リリウムは別段そう思いませんが。」

 

「時折リリウムの事が分からなくなりますわよ・・・!!」

 

とまあ、そんなこんなで勝負が始まった。

お互いのISを見るに、どちらも接近型か?

それなら総合的な戦術で上回ったほうが勝つ可能性が高いが・・・。

 

「なあリリウム。」

 

「凰様のあの両脇に浮いているものが気になりますか?」

 

その通りだ。

ただの近接型であればあんなのはいらない。

寧ろ視界が遮られて邪魔だ。

伊達や酔狂であんなのを浮かばせているなら頭がおかしいと思う。

それならば答えは一つ。

何かしらの武装に違いない。

 

「まあ、見てのお楽しみだな。」

 

「そうですね。」

 

両者は早速接近して鍔迫り合いの体勢になっている。

しかし、ここで差が出てくるのは武器の重量だ。

一夏が刀の形状に対し、

凰は見た目からして重量級の武器だ。

純粋な筋力は一夏の方が勝っていたとしても、

その武器の重量を覆せなければ押し切られる。

そして、俺と同じ事を思ったらしいな。

鍔迫り合いを止め距離を取った。

 

「ちなみに2人ならあの相手ならどうする?」

 

試合から目を離すことはせずに2人に試しに聞いてみた。

 

「私のISの「ブルーティアーズ」は射撃武器が殆どですので、

決して接近させないように距離を開けながら射撃ですわ。」

 

「成程な・・・リリウムは?」

 

「そうですね・・・大方の意見はセシリアと同じです。

ちなみにストレイド様は?」

 

「射撃でチマチマなんて性に合わない、

目視すら困難な速度で散々振り回してから一撃で決める。」

 

接近型において接近戦を挑むのは本来自殺行為だが、

相手との力量に差がある場合は問題無い。

 

「そんな事が可能ですの?

ご存知かと思いますがISにはハイパーセンサーがあるのですわよ?」

 

セシリアの疑問は尤もだ。

ISにはハイパーセンサーの機能がある為、

欺くのはかなり難しい。

 

「センサーがあったって操るのは人だ。

処理能力には限界がある。」

 

というか、それくらいは簡単にこなせなければな。

そうじゃないと通常速度約300km前後、

最大速度に至っては3000kmをオーバーするネクスト戦なんか出来ない。

 

「・・・うん?」

 

と、ここで違和感を感じた。

なんだ?

凰の肩の浮遊装置の空気が歪んでいる?

 

「・・・なるほどな。」

 

ここで肩の奴の正体が分かった。

あれは衝撃砲だ。

空間自体に圧力をかけ砲身を作り、衝撃を砲弾にするって所か。

 

「近距離型かと思えば中距離もいけるのか。」

 

「そうみたいですね。」

 

「何のことですの?」

 

「見てれば分かる。」

 

俺が言うが早いか、衝撃波が射出され一夏が吹っ飛んだ。

 

「なっ!?」

 

その光景を見てセシリアは驚いている。

予想通りだな。

しかもアレは完全に浮遊している。

恐らくだが射角制限も無いだろうな。

しかし、燃費が気になる所だ。

もし燃費がすこぶる良いのならストレイドに積むのも悪くない。

 

「しかし珍しいな、衝撃砲なんて始めて見た。」

 

「ですね、色々と調べてみたいものです。」

 

俺とリリウムがそんな事を言い合っていると・・・。

 

「(・・・なんだ、センサーにIS反応?)」

 

常時展開しているセンサーから別のIS反応を示してきた。

 

「(先日の束さんの面白い事、それにこのIS反応・・・まさか。)」

 

嫌な予感しかしない。

・・・仕方が無い。

 

「(リリウム。)」

 

声は出さず、

視線をリリウムに向けネクスト側の通信機能をオンにする。

 

「(言葉ではなく通信で・・・という事は厄介事ですか?)」

 

「(ああ、チャンネルを開いておけ。)」

 

「(分かりました。)」

 

それだけを伝えて自然に立ち上がった。

 

「どうされたのですか?」

 

突然立ち上がった俺に対してセシリアは質問してくるが。

 

「ちょっと飲み物買ってくる。

間に合わなかったら勝敗は後で確認する。」

 

あくまでもそれらしい理由を告げてから観客席の出口へと向かった。

そして、俺が観客席を出た後。

謎の襲撃者が一夏と凰の下へと降り立った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

管制室

 

 

 

 

 

 

管制室へと到着し、目的の人物が居る事を確認してから。

 

「千冬先生。」

 

そう声を掛けた。

 

「・・・お前は!!」

 

「状況は?」

 

いきなり声を掛けられ千冬先生は目を見開いているが、そんな事はどうでも良い。

今は情報が欲しいんだからな。

 

「・・・謎のISが2人を奇襲した後避難命令を出したが扉がロックされている。

システム班が制御を取り戻そうとしているが・・・。」

 

状況は良くないらしい。

 

「・・・お前は何故ここに居る?」

 

「飲み物を買おうと外に出た直後に異常が分かってな。

ここが近かったから真っ直ぐ来たって訳だ。」

 

自分でも胡散臭くはあるが、嘘は言っていない。

事実飲み物を握っているしな。

 

「しかしどうするんだ?

このままだと・・・。」

 

「分かっている・・・!!」

 

続く言葉を遮るように千冬先生は怒鳴ってきた。

怒鳴るだけで状況が変わるなら誰だってそうする。

俺はモニターを見る。

そこには謎のISに対して攻撃を仕掛けている2人と、

出口が開かない事でパニックを起こしている生徒達が映し出されている。

ふと千冬先生を見ると、

その表情は苦虫を噛み潰しているようだった。

仕方が無い。

 

「なあ・・・提案があるんだが。」

 

「・・・なに?」

 

「今此処に俺が居るな?」

 

「それがどうし・・・まさか・・・!!」

 

「そのまさかだ。」

 

どうやら俺が言わんとしている事が分かったらしい。

千冬先生は驚愕している。

 

「一応確認するが・・・今回の件。」

 

「無関係だ。」

 

千冬先生は恐らくこう言いたいんだろう。

あのISはお前等の手の物か?・・・と。

それに対する返答は・・・COLLAREDとしてはNO。

知っているかと聞かれればYESだ。

 

「・・・分かった、山田先生。」

 

「は、はい!!」

 

少しの間見極めるように俺を見た後、

1組の副担任である山田先生へと声を掛けた。

 

「これから起こる取引は決して他言無用だ。」

 

「・・・え、それはどういう?」

 

「直ぐに分かる。」

 

そう言ってきた・・・って事は、覚悟が出来たらしい。

 

「私織斑千冬から、COLLAREDへ依頼を出す。

内容は生徒達の安全の確保、及び不明ISの撃破。」

 

「報酬は?」

 

「100だ。」

 

へえ、随分と大盤振る舞いじゃないか。

まあその内容であれば断る必要は無いな。

 

「良いだろう。

依頼に対する破損部分については報酬から差し引いても構わない。」

 

「分かった。」

 

「ではな、不測の事態があれば連絡する。」

 

「期待している、COLLAREDのNEXT。」

 

「ネ・・・NEXT!?」

 

NEXTの名を聞き山田先生は驚愕している。

そりゃあそうか。

束さんが大々的に言った既存のISを遥かに凌駕する超兵器。

その名前が出てきたんだからな。

 

「・・・来い、ストレイド。」

 

そんな山田先生を尻目に首輪へと意識を集中し、

己の半身と言っても差し支えないストレイドを呼び出す。

 

「生徒達の安全を最優先に行動する。」

 

その言葉を伝えた後、俺はロックされている扉へと急いで向かった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リリウム。」

 

「聞こえています。」

 

扉へと向かう道中、リリウムへと呼びかける。

 

「そちらの状況はどうだ?」

 

「変わっていません、

生徒達は開かない扉を前にパニックを起こしています。

扉の向こうから物音がしているので何とか開けようとはしているみたいですが。」

 

「余程頑丈に作られているらしいな。

・・・生徒達を扉の前から退避させておけ、邪魔になる。」

 

「壊す気ですか?」

 

「システムを取り戻す時間が惜しい。

それに今の俺はCOLLAREDとして行動している。」

 

「・・・分かりました、上手く伝えて退避させておきます。」

 

「お前がネクストを使ってくれれば楽なんだがな。」

 

・・・いや、ありえないな。

リリウムは決してネクストを使わない。

今使ってしまえば背後関係を洗われてしまうからな。

 

「分かってて言ってますよね?」

 

「当然だ。」

 

案の定、少し怒りながらそう返してきた。

 

「あと2分で到着する。

それまでにどかしておかなければ安全は保障できない。」

 

「了解です。」

 

実際の所2分も要らないが、

恐らく扉の前にはISが居る。

そいつらを説得する時間を入れ込んでの時間だ。

 

「だ、誰だ!!」

 

俺が到着すると、そこにはやはりISが数機居た。

 

「どけ。」

 

右腕に装備している07-MOONLIGHTを起動させながら、

努めて感情を込めないで言う。

 

「な、破壊する気か・・・無理だ!!」

 

「どかないのであれば、力ずくで排除するだけだが?」

 

「うっ・・・!」

 

俺の言った言葉が真実である事を悟った女は渋々といった様子でどいた。

 

「(・・・2分だ。)」

 

「(退避は完了しています。)」

 

念の為リリウムに聞くとそう返答が帰ってきた。

 

「・・・フッ!!」

 

その返答を聞いた瞬間、

07-MOONLIGHTを扉へと叩き付ける。

 

「(成程、確かに硬いな・・・だが。)」

 

無力。

この程度、スピリット・オブ・マザーウィルの装甲に比べれば紙同然だ。

俺の予想通り最初の数秒は耐えていたが、

直ぐに扉自体が融解した。

そしてその部分に両腕を入れて

 

「オオオオオオオオオオ!!」

 

力ずくでこじ開けた。

 

「なっ・・・!!」

 

この光景を見たその場に居る人間は絶句している。(リリウムは別だが。)

 

「開放してやった、お前等は順次生徒達を避難させろ。」

 

「あ、あなたはどうする!」

 

「反対側の扉を破壊する。

お前は管制室に開いた扉の場所を言い、生徒達を誘導しろ。」

 

「わ、分かった!!」

 

俺が飛ばした指示に大人しく従い、ISは生徒達の誘導を始めた。

 

「(回っていくのは面倒だな・・・突っ切るか。)」

 

指示を終えた俺はどうやって行くかを考えてから、

結局回り道している時間が勿体無いと判断しアリーナを突っ切ることに決めた。

 

「全く・・・俺は面倒が嫌いなんだ。」

 

そう小声で呟きながら、反対側の扉へと急いで向かった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉へとついた後、

やはり開かない扉を必死に殴打している生徒達がいた。

 

「ひっ…!!」

 

生徒の内の1人が俺の姿を見て新しい襲撃者と勘違いしたらしい。

恐怖に顔を歪ませている。

心外だな、助けにきたと言うのに。

 

「死にたくなければそこをどけ。」

 

一応仕舞っていた07-MOONLIGHTを起動させつつ脅すような口調で告げた。

一々説明するのは面倒だからな、こういう時は脅迫に限る。

大人しく道を開けた生徒達を背にし、

再び先ほどと同じ行動で扉をこじ開けた。

 

「こ、これで逃げられる・・・!、ありがとうございます!!」

 

「殺到はするな、列を作り2人ずつ抜けろ。」

 

「あなたはどうされるのですか!?」

 

「依頼が残ってる。」

 

俺の行動を聞いてきた生徒達に短く返答し、

未だ戦闘を続けている一夏達の元へと急いで向かう。

 

「戦況は・・・。」

 

アリーナへとつき直ぐに戦況を確認する。

敵ISは未だ無傷に対して2人のエネルギーはかなり消耗していた。

 

「(あのエネルギーではリリウムの言っていた機能は使えないな。)」

 

さて、どうする。

千冬先生からは受けている依頼は不明ISの撃破。

2人の安全は考慮されていない。

・・・生徒達の安全の確保って言うのはあったが。

俺はいつでも動けるように物陰に隠れて様子を窺う。

 

「(織斑一夏…この状況をどう好転させる?)」

 

敵ISの攻撃を受けて倒されるのであれば所詮その程度だったと言う事。

だが、奇策を用いて敵を倒したのであれば…。

 

「鈴!、その武器はあと何発撃てる!!」

 

「な、何よいきなり!!」

 

「良いから答えてくれ!!」

 

「・・・1発が限界よ!」

 

「ならその1撃を俺に撃て!!」

 

「はぁ!?」

 

はぁ!?

あの馬鹿は何を考えて・・・いや待て。

 

「・・・まさかとは思うが。」

 

だが、もし俺が考えている事をやろうとしているのであれば。

 

「一夏!!」

 

「・・・は?」

 

俺の思考を中断させるようにして、第三者の声が響いてきた。

声の出所にゆっくりと目を向けるとそこには・・・。

 

「男なら・・・男ならその程度の敵に勝てなくて何とする!!」

 

束さんの妹で、

 

「な・・・箒逃げろ!!」

 

護衛対象である篠ノ之箒が生身で居た。

 

「チッ、あの馬鹿…!!!」

 

案の定敵ISは箒に対して攻撃を行うべく、

その銃身を箒へと向けた。

 

「ええい、仕方が無い!!」

 

腕前を見ておきたいとか、そんな事を言ってる場合じゃない!

ここで箒を傷つければ束さんの依頼内容に背く事になる!!

報酬は既に貰っているから、それだけは避けなくては!!

俺は箒の盾となるべくストレイドを起動させて急いで向かう・・・!!

それと同時に敵ISからの砲撃が放たれた!

 

「間に合ええええええええ!!」

 

「鈴、やれえええええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャアアアアアアアアア!!」

 

迫る砲撃に対して、私は叫び声を上げる事しか出来ない。

一夏が敵を倒す為の隙を作る為とはいえ、

生身でこんなことをするなんて。

なんとも・・・馬鹿な事したものだ。

だけど、一夏が死んでしまうよりは…ずっと良い。

迫る砲撃に対して時間が何倍にも引き延ばされたような感覚に陥る。

その時間で思い出したことといえば、一夏との思い出だ。

 

「(なるほど、これが走馬灯と言う奴か。)」

 

死に対して、頭の中でそう判断した。

・・・ちょっとおかしいな。

 

「(・・・すまない、父さん母さん。)」

 

心の中でそう謝罪をした。

 

「(最後に、姉さんと和解…したかった。)」

 

最早どうしようもない程近付いた砲撃に対し、私は目を閉じた。

 

「・・・・・・・・・え?」

 

今まさに閃光が私を包み込むと言う瞬間。

見たことが無い黒いISが間に割り込んできた。

 

「黒い・・・鳥?」

 

そのISを見た瞬間、私はそんな感想を抱く。

 

「あの威力の砲撃に対して無傷か、頑丈さは及第点だな。

・・・しかし俺が誰か守る為に行動する日が来るとはな。

世界と言うのは存外上手くできているらしい。」

 

驚愕している私を尻目に黒い鳥はそんな呟きを漏らしていた。

 

「・・・さて、篠ノ之箒。」

 

「は、はい!!」

 

一通りの確認を終えたのだろう。

黒い鳥は私のほうへと向き直ってきた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(見ているんだろう束さん?)」

 

箒を狙った砲撃に対して身を挺して庇った後、

恐らくモニターしているであろう束さんへと通信を送った。

 

「(な、何かな??)」

 

表情は見えないが、恐らく大いに焦っていたのだろう。

そんな態度が声からでも判断できた。

 

「(今から箒を殴る。)」

 

「(何だとテメエコラアアアアア!!)」

 

「(居るんだろう、セレン。)」

 

「(構わん、やれ。私が許可する。)」

 

戦場において生身で出てくるという事がどういうことであるか。

それを理解しているセレンはそう言ってきた。

 

「(礼を言う。)」

 

「(気にするな、私もそこに居たらぶん殴っている。)」

 

「・・・さて、篠ノ之箒。」

 

「は、はい!!」

 

通信を強制的にシャットアウトしてから俺は箒へと体を向けた。

さて・・・どうやって怒ろうか。

今まで人に対して怒った事が無いからな。

・・・ここはセレン式で行くか。

 

「な、なんで・・・「この・・・馬鹿が!!」 グッ!!」

 

流石にISの腕で殴ると死んでしまう為、

腕の部分だけ除装してから顔面を本気で殴った。

 

「い、いきなり何を!!」

 

突然の行動に身構えていなかった箒は受身も取れずに吹き飛ぶ。

 

「いきなり何を?

そんな事も理解出来ないガキなのか貴様は!」

 

「なっ・・・!!」

 

「今此処は戦場になっている!!

そんな場所だと言うのに貴様は生身で出てきた!!

それがどう言う事なのか理解しているのか!!」

 

「そ・・・それは・・・。」

 

「お前の行動が原因であの2人が死ぬかもしれなかったんだよ!

お前の行動が原因でな!!」

 

「そ、そうだとしても…!!」

 

「まだ分からねえのか!

ならそんなに死にてえなら俺が此処で殺してやるよ!!」

 

流石に頭に血が昇っている俺は07-MOONLIGHTを起動させ、

その切っ先を箒へと向けた。

 

「な・・・!!」

 

突然の俺の行動に箒は顔を歪ませる。

言っても分からないなら、実際に味わわせるまでだ。

流石に殺しはしないがな。

・・・しかし。

 

「箒から・・・離れろおおおおお!!」

 

「!!」

 

敵ISを攻撃した後、直ぐに反転してきたのだろう。

すぐさま俺に攻撃を仕掛けてきた。

それを間一髪で回避し、俺と一夏は相対する。

 

「逃げろ、箒!!」

 

「・・・スマン!!」

 

攻撃を避けた時丁度空いた距離に対して一夏はその身を滑り込ませて、

背後に居る箒へと直ぐに一夏は言った。

 

「・・・退け、織斑一夏。

俺はあのガキを殺さなければならん。」

 

俺は完全に感情を廃した声で一夏に言う。

 

「・・・そんな事を言われたら退く訳無いだろ。」

 

「一夏!!」

 

「一夏さん!!」

 

一緒に戦っていた凰と、

いつの間にか来ていたらしいセシリアが共に俺を警戒している。

 

「・・・そうか、ならば。」

 

左腕にHLR01-CANOPUSを装備し、

右腕に07-MOONLIGHTを起動させながら。

 

「力ずくで・・・排除するまでだ。」

 

戦闘を開始した…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一夏君が薄情になりましたが、
この流れに持っていくためにはどうしても仕方が無かった。
仕方がなかったんや・・・!!
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