Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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今回は傷心の一夏君と箒ちゃんを慰める回です。


第13話 2つの再起

「一夏が来なかった?」

 

IS襲撃事件の翌日、

ズタボロになりながらも何とか寮へと戻った俺はリリウムからその話を聞いた。

 

「そうです、

織斑先生の話だと体的には異常が無いみたいですよ。」

 

「それじゃあなんでだ?」

 

「・・・身に覚えがありませんか?」

 

「身に覚え?

精々徹底的に心を折った位だが・・・。」

 

「・・・はぁ。」

 

何故だかリリウムから憐れみと侮蔑の視線を送られる。

 

「それが原因ですよ、

他の皆様と織斑先生が様子を見に行ってるそうですが、

全て返事は上の空でベッドに横になりながら天井をずっと見ているそうです。」

 

今現在の一夏の様子をリリウムは溜息混じりに教えてくれた。

しかし・・・

 

「少しやりすぎたか?」

 

俺にはそんな感想しか抱けなかった。

 

「リリウム的にはそうは思いませんが、

他の方々から見たらそうだと思いますよ?」

 

「心外だな、

お前が撤退を言わないで共に戦うって言ってたらもっとやる予定だった。」

 

「参考までにお聞きしますが具体的には?」

 

「そうだな・・・わざと撃破寸前までやられてからまずはお前を全力で叩き潰す。

その後少しでも勝てると思ったか?演技だよ。って言ってから蹂躙とかだな。」

 

「リリウムがMOONLIGHTに貫かれた時も思いましたが、

ストレイド様って物凄くサディストですよね?」

 

「そうなのか?」

 

「はぁ・・・ストレイド様に聞いたリリウムが馬鹿でした。」

 

そうリリウムは呆れながら俺に言ってきた。

何を言う、セレンが俺に訓練してた時のほうが苛烈だったぞ。

こちらが生身なのに、

度胸をつけるためだとか言われて何度額の数ミリ横を銃弾が掠めて行った事か。

 

「しかし・・・どうしたものか。」

 

「何がですか?」

 

「一夏の事だよ。」

 

「え・・・、まさか考えておられなかったのですか?」

 

「いや、流石にそこまでじゃない。

一度心を折ってから再起させようとは考えていた。

その方がより訓練に身が入るからな。

しかし放っておけば勝手に復活すると思ったが、

現実はそうは甘く無いらしい。」

 

「・・・当たり前ですよ。

というか折り方が良くないですよ。

人によっては廃人になりかねませんよ?」

 

「なってないって事は見込みはあるさ。」

 

やり方が良くなかったのは承知している。

しかしだ・・・、

これから先アイツは唯一の男性IS乗りとして様々な困難が襲うだろう。

その所為で自分だけじゃなくて周りが被害に合う可能性もある。

その時になってからじゃ遅い。

そんな時に信じられるのは・・・自分の力だけだからな。

 

「・・・仕方が無い、リリウム。」

 

「ただではやりませんよ?」

 

俺が言わんとしてる事が分かっているのか、先にそう言ってきた。

そんなに俺の思考は分かり安いのか?

 

「・・・何が望みだ。」

 

懐事情と相談だが、一応確認してみる。

 

「そうですね・・・、

そういえばここの地域には沢山のスイーツがあると聞いています。」

 

「・・・まさか。」

 

「まさかですよ、

今度リリウムが食べるスイーツを全て奢っていただく・・・というのはどうでしょう?」

 

マ、マジか・・・。

しかしたかがスイーツだし、

リリウムは比較的少食と記憶している。

そこまでの痛手にはならんだろう。

 

「・・・分かった、それで手を打とう。」

 

「ふふっ、ありがとうございます。

実は懐事情がある為我慢していたものが沢山あるんですよ♪」

 

本当に嬉しそうな顔をしながらリリウムはそう言ってきた。

・・・しかし、コイツもこんな顔が出来たのか。

俺が記憶している顔といえば、

常に王小龍(クソ陰謀家)の後をついて周り、

兎に角期待に答えようとする以外何も感情を示さなかったものだけだ。

そう考えれば、リリウムにとってはこちらの世界の方が合っているのかもな。

 

「・・・さて、取り合えず俺はこれから箒の所へ入ってくる。」

 

「あら、夜這いですか?」

 

「違う、・・・野暮用だ。

戻るのは遅れると思うから先に眠ければ寝ていろ。」

 

「そうさせていただきますね。」

 

・・・さて、箒はどこに居るかな。

 

 

 

 

 

 

砂浜

 

 

 

 

 

 

「・・・こんな所に居たか。」

 

箒の姿を求めて方々彷徨っていたが、漸く見つけた。

砂浜に座り海を眺めている姿は、

なんだかこれから入水自殺でもしかねないほど弱々しく見えた。

 

「…篠ノ之箒。」

 

努めて驚かせないようにゆっくりと歩き、箒の名を呼んだ。

 

「・・・お前は。」

 

「ストレイド・グリント、クラスメイトだ。」

 

「・・・知っている。」

 

一度だけ顔を向けたが、

直ぐに興味が無さそうに再び海へと向きなおした。

 

「隣、邪魔するぞ。」

 

「・・・勝手にしろ。」

 

「そうさせてもらう。」

 

ふと俺が殴った頬を見ると、

それはもう見事な痣になっていた。

・・・少し力を入れすぎたか?

 

「その頬はどうした?」

 

しかし、既にそれがある理由を知っていては不自然だ。

知らない振りをして聞いてみる。

 

「・・・答える義理は無い。」

 

「そうか・・・酷く落ち込んでいるように見えるが?

俺でも話を聞くくらいは出来るぞ。」

 

俺の言葉に反応したのか、箒は一瞬だけ肩を動かした。

しかし箒からは言葉が出てこない。

・・・仕方が無い。

こればかりは待つしかない。

 

「・・・例えばだが。」

 

数分ほどだろうか、待っていたら箒は漸く口を開いた。

 

「例えば、戦いの場において相手も味方もISに乗っている。

そして味方がやられそうになっている時に、

それを見かねた他の仲間が生身で激励を飛ばす。

その行動に対してグリントはどう思う?」

 

「・・・そうだな、それが誰かは分からないが。

俺であればまずは一発ソイツをぶん殴るな。」

 

「・・・。」

 

俺が言った言葉に対して、

箒は無意識かもしれないが、痣になっている頬を触った。

 

「戦いの場と言うのは規模にもよるが基本は命の取り合いだ。

そんな中に何の武装も持たずに入るという事は、

自らの命を捨てに来た愚か者にしか過ぎない。

もしだが、味方がその愚か者を庇う為に行動を起こしてみろ?

敵からすればそれは格好な的だ。

下手をするとそのまま一撃を受けて即撃破されると言う事もありうる。

例え激励する為とはいえ、

自身の行動で味方の危機を煽る結果になるその行動を、

俺は咎めはするが褒めはしない。」

 

「・・・では、では私はあの時どうすれば良かった!!

一夏が皆を守る為戦っていると言うのに・・・、

私はただ手を拱いて見ている事しか出来なかったんだ・・・!!」

 

それは、心からの叫び声なのだろう。

箒はただ泣くように叫んだ。

 

「・・・それに対する答えを俺は持ち合わせてはいない。

だが一つだけ言える事はある。」

 

「一つだけ・・・言える事?」

 

「信じろ。」

 

「信・・・じる・・・?」

 

「そうだ、戦っている一夏が必ず勝つと信じて待て。

帰りを待つ者が居ると言う事は、

それだけで戦っている者は必ず生きて帰るという強い意志になる。

迷信かと思うかもしれないが、案外これが馬鹿にならない。

俺もそのお陰で何度も絶望的な戦いから生きて帰ってきた。」

 

ホワイト・グリント撃破作戦に、

初めての対AF作戦であるスピリット・オブ・マザーウィル撃破作戦、

そして・・・、

コジマ技術をふんだんに使用し近付くだけでも死に至る危険があった

アンサラー撃破作戦。

これを全て成功し生還できたのは、

俺の生還を信じていてくれたセレンが居てくれたからだ。

 

「では逆に聞くが、お前はあの時一夏の勝利を信じていたか?」

 

「それは・・・当然だ・・・。」

 

後半は消え入りそうな程小さかったが、それでもはっきりと言い切った。

 

「なら何も出来なくて歯痒かったかもしれないが、

お前は一夏の無事を・・・勝利を信じているだけで良かったんだよ。」

 

「・・・難しいな、それも途轍も無く。」

 

「なに、案外簡単だ。

私のヒーローの一夏は絶対に負けない!って常に思っていれば良いんだからな。」

 

「なっ・・・!!」

 

俺の茶化すような言葉を聞いた箒は真っ赤になった。

 

「そ、そそそそそそんな事・・・!!」

 

「無いのか?」

 

「・・・ある。」

 

シューっという音が聞こえてきそうだ。

 

「・・・スマン、心が軽くなった。」

 

「そう言うときは謝罪じゃないだろ?」

 

「フッ・・・礼を言う、ストレイド。」

 

礼を言ってくるその顔は晴れ晴れとしていた。

・・・取り敢えずは問題なさそうだが、問題はもう一つある。

 

「・・・しかし、お前は本当に同い年か?

先ほどの台詞からはそうは思えないんだが・・・。」

 

・・・お、これは僥倖。

どうやって切り出すか悩んでいたが、向こうから振ってきてくれた。

 

「さあな、同い年かどうかも怪しいものだぞ?」

 

「・・・どういう意味だ?」

 

先ほどの表情から一点して、箒は険しい顔つきになった。

 

「そのままだ、俺の口から話す気は無い。

そうだな・・・知りたければ束博士にでも聞いてくれ。」

 

「・・・姉さんに?」

 

「また明日な、・・・顔に傷つけて悪かったな。」

 

「待て、何故姉さんの名が出てくる!!、

それに今の謝罪は何だ!!」

 

後ろから箒の叫ぶ声が聞こえるが、俺は敢えて無視する。

とりあえず俺が出来るのはここまでだ、

束さん、後は頑張れ。

 

 

 

 

 

グリントが去った後、

 

「姉さんに聞けば分かる・・・だと・・・どういう事だ?」

 

箒は迷っていた。

ただのクラスメイトから正体不明の謎の生徒になったグリントの事が気にはなる。

しかし篠ノ之束が行方不明になった後にかけられた負担や、

好意を抱いている一夏と離れ離れになってしまった。

その所為で知りたい感情はあるが、聞くのを躊躇ってしまう。

 

「・・・これはあくまでもストレイドの過去を知る為だ、他意は無い。」

 

しかし好奇心のほうが勝った箒は、

電話帳から登録を削除していなかった姉の名を探し・・・電話をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔するぞ。」

 

「・・・誰だ?」

 

場所は変わり、俺は一夏の部屋へと来た。

そこには丁度食事を取ろうとしていたのだろうか。

一夏が力無く椅子に座っているのが目に入った。

 

「ストレイド・グリント、クラスメイトだ。」

 

「・・・2番目の男のIS適正者?」

 

「そうだ。」

 

「・・・そう、か。」

 

それっきり一夏は何も喋らなくなる。

・・・さて、どうするか。

箒は束さんの妹だから幾分か優しくしたが、

コイツに対しては・・・まあ良いか。

 

「随分腐っているな?」

 

「・・・うるせえよ。」

 

「うるさい?、面白い(くだらない)冗談だ。

たかが一回負けたくらいで心が折れるとはな・・・情けない。」

 

「・・・うるせえって言ってるだろ。」

 

「やれやれ、

これでは危険を顧みずに激励を飛ばした箒も浮かばれないな。」

 

「うるせえって言ってるだろ!!」

 

一夏の怒鳴り声が響き、俺は侮辱するのを止める。

 

「はぁ・・・。」

 

その代わりにただただ深い溜息をついた。

 

「・・・来い。」

 

「なっ、離せよ!!」

 

ダメだ面倒くさい。

自分でやった事の後始末とはいえ正直投げ出したい。

そんなことを考えつつ、力ずくで一夏をアリーナへと引っ張っていった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、と。」

 

「うわ!!」

 

アリーナの中央へついてから、俺は一夏を放り投げる。

まさか軽く投げられるとは思っていなかったのだろうか、

一夏は無様に尻餅をついた。

 

「お前、昨日の襲撃事件の後ずっと塞ぎこんでるらしいな?」

 

「・・・。」

 

俺の言葉に対して一夏は何も返事をしてこない。

セレンの訓練中だったら間違いなくぶっ飛ばされてるが・・・まあ良い。

 

「では今のお前が抱いている思いを当ててやろう。」

 

「・・・?」

 

「簡単だ、守るべき者と思っていた女に庇われ。

あまつさえ戦場を任せて撤退するしかなかった。

その事に対してお前は自分の無力さと、

ISを使い出してから一ヶ月弱しか経っていないんだから仕方が無い、

そう頭の中で思っている自分にどうしようもなく憤ってる・・・違うか?」

 

「なっ・・・!!」

 

「その反応、図星か?」

 

驚愕で目を見開いている一夏は、

 

「お前に・・・お前に何が分かるって言うんだ!、

セシリアを守ろうとした行動で鈴がやられて、

それでも必死に戦おうとしていたのに足手纏いだって言われた俺の気持ちが!!」

 

「分かるさ。」

 

「嘘をつくなよ!!」

 

・・・契約外だが、まあ良いか。

此処で俺の正体を一夏にバラしておくとしよう。

 

「嘘じゃないさ、なんせ・・・そうなるように俺が仕向けたんだからな。

まああそこでアイツが来たのは予想外だったがな。」

 

「な・・・に・・・!!」

 

「装着。」

 

意味が分からないと言う表情の一夏に対し、

俺はストレイドを纏う事によって返答する事にした。

 

「その・・・姿は・・・!!」

 

「この姿に見覚えがあるだろう?

つまりはそう言うことだ。」

 

「お前が・・・お前が・・・!!」

 

親の敵を見つけたような憎しみの表情を浮かべた一夏だが、

 

「戦うのは別に構わないが、

力の差は歴然だ、・・・死にたいと言うのであれば止めはしないが。」

 

「グッ・・・!!」

 

俺の言った一言に対して言葉を詰まらせる。

俺は嘘を言ってはいないし、

これ以上の見込み無しと判断したら殺すつもりでもある。

束さんの依頼を反故してしまうが・・・、

一生を奴隷として過ごすとでも言えば良いだろう。

幸い・・・飼われるのは馴れている。

 

「まあ落ち着け、俺はお前に確認をしにきただけだ。」

 

「確認・・・だと?」

 

「ああ・・・織斑一夏。

これから先の言葉は返答次第によっては命は無いと思え。」

 

俺はリンクスとしての自分を表に出しながら一夏を睨みつける。

 

「織斑一夏、お前は何がしたい?」

 

「・・・何が?」

 

「そうだ、世界で始めて男でISの適正がありこの学園へと強制的に入学した。

それが嫌で仕方ないのであれば投げ出してしまえば良い。

その事に対する恨み言はあるかも知れないが、

望まぬ事をやらされているんだ、

例え逃げたとしても、俺は笑わない。」

 

俺の言葉を受けた一夏は黙り込む。

・・・ここで急いても仕方が無い。

大人しく待つとしよう。

 

「俺は・・・力が欲しい。」

 

「殺す為の力をか?」

 

「違う・・・。」

 

「では、何のための力が欲しい?」

 

「俺は・・・千冬姉を・・・箒を・・・鈴を・・・関わる人全てを守る・・・。

そんな力が欲しい・・・、だから投げ出したいとか、逃げ出したいとか思わない!」

 

殺人の為の力ではなく活人の為の力が欲しい・・・か。

しかも関わる人全てを守る力が欲しい・・・か、コイツは大きく出たな。

 

「・・・偽りは。」

 

「無い!、ある訳無い!!、この思いだけは腐らせない!!」

 

そう叫ぶ一夏の目は先ほどまでの死んだ魚のような物ではなく、

・・・決意に満ち溢れた物だった。

 

「ク・・・ハッハッハッハッハッハ!!」

 

「な、何がおかしいんだよ!!」

 

俺が突然笑い出した事に対して一夏は怒っている。

・・・これは面白いから笑っているんじゃない。

かつて、俺が出来なかった事を愚直にやり遂げたい。

やり遂げられると信じているお前が羨ましいから。

・・・途中で投げ出してしまった無様な俺に対して笑っているんだ。

ストレイドを纏っていて良かった。

多分今の俺の目は・・・潤んでいるからだ。

 

「ああいや、スマンな笑ってしまって。

だがこれはお前に対して笑っているんじゃない。

・・・自分が滑稽に思えて仕方が無いから笑っているんだ。」

 

「・・・どういう事だ?」

 

まるで理解が出来ないとばかりに一夏は聞いてくる。

 

「今は知る必要は無いさ、その内教えてやる。」

 

しかし俺はこいつに対して興味が湧いた。

活人の為の力が欲しい。

その思いが何時まで続くか・・・見届けるのも悪くない。

 

「・・・居るんだろ。」

 

俺は背後に向かって声を掛ける。

 

「あら、気付いていましたのね。」

 

「な・・・、ウォルコット・・・さん?」

 

「リリウムの事はリリウムで良いですよ、

何時から気付いていたんですか?」

 

「初めからだ。」

 

こいつは俺が一夏をアリーナへと引っ張ってくる時から後ろをついてきていた。

特に何かしてくるわけじゃないから放って置いただけだ。

 

「あら、でしたら声を掛けてくださっても良かったのですよ?」

 

「だから今掛けた。」

 

「クス、そうですね。」

 

「え・・・と、何がどうなってるんだ?」

 

今の状況について来れない一夏はただ困惑している。

 

「俺から説明するか?」

 

「いえ、リリウムからお話します。」

 

そう言ってリリウムは一歩前に出た。

 

「一夏様?、

先ほど貴方が恥かしげもなく大声で叫んでいたあの言葉に対して、

リリウムから一言だけ言わせていただきます。」

 

「な・・・何だ?」

 

「良いですか一夏様?

力と言うのは持つ者の心のあり方によって容易く形を変えます。

先ほど一夏様が叫んでいた人を生かす事も出来ますし、

こちらにいらっしゃるストレイド様の様に殺す事も出来ます。

もし一夏様が人を生かす為という意思を曲げないのであれば・・・、

リリウムはその力を伸ばすお手伝いをします。」

 

「え・・・?」

 

「来なさい、アンビエント。」

 

一夏の困惑の代わりに、

リリウムはアンビエントを纏う事によって答えた。

光が収まった後、

そこには先ほどの・・・懐かしきネクスト「アンビエント」の姿があった。

 

「その姿・・・やっぱりさっきの・・・!」

 

「はい、この子の名前は「アンビエント」。

内緒にしていますがNEXT「ストレイド」と同じです。

一夏様も是非とも内緒にしてくださいね?」

 

「ネ・・・NEXT!?」

 

NEXTの名を聞いて一夏は更に驚愕した。

・・・というかさっきからこいつ驚愕と困惑しかしてないな。

 

「如何ですか?

一夏様にとっても悪い話では無いとは思いますよ?」

 

「・・・2人に一つだけ聞かせて欲しい。」

 

「なんだ?」

「なんですか?」

 

「どうしてこんな俺の為に・・・2人は力を貸してくれるんだ?」

 

これはまた返答に困る事を聞いてくる。

俺とリリウムは顔を見合わせた・・・が、

リリウムは既に返答を決めているらしい。

 

「そうですね・・・、見届けたくなったからですよ。

リリウム達は生きる為に殺す為の力を手にしました。

ですが、その真逆を目指す一夏様の行く末を見届けたいから・・・です。」

 

「俺は依頼の為だが・・・いや訂正しよう。

先ほどまでは確かにそう思っていた。

しかしお前のその馬鹿みたいに真っ直ぐな眼と思いを聞いてな、

まあつまり・・・その・・・なんだ・・・賭けてみたくなった・・・だな、

俺達と違う道を行こうとするお前がどこまで行けるかにな。」

 

・・・この依頼をくれた束さんに感謝しないとな。

こんな目を・・・こんな思いを持つ奴と・・・出会えたのだから。

 

「なら・・・是非とも頼みたい!!」

 

一夏は俺達の返答に満足したのか、笑顔を浮かべていた・・・。

 

 

 

 

 

 

「そう言うことであれば話は早い方が良いな、

早速特別メニューを考えるとしよう。」

 

「良いですね、

とびっきりキツイ物をご用意しますので楽しみにしていてください。」

 

「とりあえず今から此処を全力で50週だ!、

少しでもペースを落としたら更に50週追加するからな!」

 

「せ、せめて明日からにしてくれえええええ!!」

 

一夏の絶叫がアリーナ中に響き渡った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この3人のやり取りを物陰から見ていた人物が1人いる。

 

一夏の姉で、担任である織斑千冬だ。

 

「私を守りたい・・・か、言うようになったじゃないか。」

 

口調は若干呆れてはいるが、口元には隠しようが無い程の笑みを浮かべている。

今回の一夏の傷心に一番心を痛めていたのは、当然千冬だ。

迅速に安全を確保する為に仕方が無いとは言え、

COLLAREDのストレイドに依頼したと言う負い目もある。

 

「しかし依頼の為か・・・何となくだが奴の依頼内容が見えてきた。

私の思っている通りの物であれば・・・奴がこの学園に手を出す事は無いだろう。」

 

本当に全力で走らされている一夏と、

後ろから生身の状態で追い立てる2人を見つつ。

 

「しかしウォルコットがNEXT持ちだとはな・・・、

束が造ったと言う話・・・きな臭くなって来た。」

 

そう新たな事実を静かに認識していた。

 

「(奴は秘密にしていたと言っていたな、

理由は不明だが触れられたくない部分でもあるのだろう。

私からも聞くのは止めておくとしよう。)」

 

本気で泣きそうになっている一夏を尻目に、千冬はその場を離れる。

 

「(とりあえずあいつ等が門限までに戻るのは無理だな、

何かしらの罰則を考えておかなければ・・・。)」

 

最後に小声で楽しみに待っていろよ?と呟き、

千冬はアリーナを後にした・・・。

 

 

 

 

 

 

その後、

千冬の予想通り門限までに戻らなかった3人+箒は、

罰として一週間の寮の清掃を命じられた。

 

何故先に話した箒が門限を過ぎたかと言うと・・・、

一頻り束と会話をした後に部屋に戻ったら一夏がどこにもいなくて、

投身自殺でもやろうとしているんじゃないかと思い涙目で探しまくった為である。

49週目を終え後一周で終わると言うタイミングで一夏を発見した箒は

安堵のあまり一夏に抱きついてしまい、

それを休息と見た2人は更に50週を追加した・・・。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 




ストレイドいつも誰かにストーキングされてるな(・ω・)

次回はもしかしたら久しぶりのあの人が・・・!!
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