Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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前回の最後をちょっとだけ変えました。


第17話 取引

「・・・依頼だと?」

 

4人の訓練もほぼ終わり、

私はいつも通り雑務を行おうとした所、

依頼を受ける為の秘匿回線に通信が入ったのを確認した。

 

「・・・この回線は国にしか教えていないはずだが。」

 

有象無象の依頼を受けていては、

こちらの人数が不足している事もあり手が回らない。

その為この回線は国にしか教えていない・・・ハズなのに。

 

「(今回の通信は見たことが無い識別コードだな・・・。)」

 

この回線自体を見つけることは出来なくは無い。

だが、それでも束の奴が用意したものだ。

回線が繋がった後に特定の20桁の数字を入力しなければ全てシャットアウトされる。

 

「(・・・ストレイドの奴が何かしたか?)」

 

依頼の為に学園に潜入しているグリントの事を思い出す。

確かにアイツであれば教える事は可能だが・・・。

信頼できる人物以外には決して教えるなと厳命している。

ならば・・・そう言うことだろう。

 

「(仕方が無い、話だけは聞いてやるか。)」

 

思考を切り替え、通信を受諾する。

 

「あ・・・、本当に繋がった・・・!」

 

通信が開いた瞬間、向こうから驚きの声が上がった。

 

「用件を言え。」

 

私としては長話をする気は無い。

その為、さっさと本題に入ることにする。

 

「え、と。ボクはシャルロット・デュノアって言います。」

 

「名前等聞いていない、さっさと用件を言え。」

 

聞いてもいないのに向こうが名乗ってきた。

 

「・・・セレン・ヘイズさん・・・ですか?」

 

・・・これで確定した。

ストレイドの奴め・・・余計な事を。

 

「・・・そうだ。」

 

「やっぱり・・・!!」

 

「用件を言わないのであれば切断するぞ。」

 

「あ、待ってください!!」

 

「早くしろ、こちらとて暇ではない。」

 

・・・嘘だがな。

あの4人の訓練を終えた今、実は割りと暇になっている。

 

「・・・依頼を、お願いしたいんです。」

 

名前を名乗ってきた以上、

コイツは恐らく個人で依頼しようとしている。

報酬の件を考えると断るべきなのは明白だが・・・。

 

「・・・良いだろう、お前は今どこに居る?」

 

何となく興味が湧いた。

本来であれば通信でしかやり取りをしないが、

私が直接見定めてやるさ。

 

「え・・・?」

 

「今どこに居る。」

 

「あ・・・、IS学園の・・・寮の自分の部屋です。

ボク以外周りには誰も居ません。」

 

人払いはしているか、

いや・・・そうでなければこちらに連絡はしてこないか。

 

「・・・良いだろう、

本日1800に海岸へ来い。

詳しい話はそこで聞いてやる。」

 

「え、あ、ちょっと待って・・・!」

 

「話は以上だ。」

 

相手の言葉を全て待たずに通信を強制的に切断、

その後一時的にだが該当の識別コードからの通信を拒否する。

 

「・・・さて。」

 

あの4人の内誰かを派遣しても良いが、

先ほど思った通り、私はデュノアとか言う奴に興味が湧いた。

誰かが話しているのを見て判断しても良いが、

こういう時はやはり自分の目で見て計ったほうが良いだろう。

 

「・・・ファンション。」

 

「お、なんだい姉さん?」

 

偶然近くに居たファンションに声を掛ける。

・・・何故だかコイツは私の事を姉さんとか言う。

正直やめて欲しいんだが。

 

「少し出てくる、もしかすると今日は戻らない。」

 

「姉さんが直接?

私達じゃダメなのかい?」

 

「ああ、少し興味が湧いた奴がいる。

そいつと依頼の話をしてくる。」

 

「・・・姉さんがそう言うなら。」

 

「ではな、留守を頼んだ。」

 

「りょーかい!」

 

やり取りを終えた後、

私は現地へと向かうべく外へ出た・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・少し早かったな。」

 

時刻は1730。

デュノアに伝えた時刻よりも少し早い。

 

「・・・まさか私が直接動くことになるとはな。」

 

正直に言うと、少しだけ驚いている。

普段はストレイドのミッションを手助けしているため、

こうして現地へと赴くのは相当久しぶりだ。

 

「・・・綺麗、だな。」

 

何となく夕日を見ると、

その夕日は私が居た世界の物と比べて・・・とても美しい。

 

「・・・フッ、私らしくも無い。」

 

一度そこで思考を区切る。

今回の私の行動はあくまでも依頼の話をする為と、

デュノアとか言う奴を見定める為だ。

それが終わればまた元に戻るさ。

 

「え・・・織斑先生!?」

 

暫く直立で待っていると背後からそう声を掛けられた。

 

「・・・違う。」

 

他人と間違えられた事に若干不機嫌になる。

千冬とかいう奴の顔はデータベースから拾っているが顔は似ても似つかない。

それなのに、何故間違えられる。

 

「え・・・あ、すいません!、

もしかして貴女がヘイズさんですか?」

 

背後の人物へと体を向けつつ。

 

「そうだ、セレン・ヘイズ。

COLLAREDのオペレーターをしている。」

 

そう自ら名乗った。

 

「貴女が・・・。」

 

金髪に・・・何故か男の学生服を着ている。

名前からして女だとは思ったが・・・。

・・・いや、違うな。

コイツは確かに女だ。

それを何かの事情で偽っているだけだろう。

 

「依頼を言え、

受けるかどうかはその後判断する。」

 

「は、はい・・・!」

 

しっかりとデュノアの顔を見つつ先を促す。

しかし相当言い辛い事なのか、デュノアは黙ってしまった。

 

「・・・何も無いと言う事であれば私は帰るぞ。」

 

「あ・・・待ってください・・・!!」

 

「早くしろ。」

 

普段の会話であれば別に待つのは構わないが、

今回は例外の形を取っている。

何か問題が起こる前に用件を済ませてしまいたい。

 

「・・・ある人との会話の場を設けて欲しいんです。」

 

「なに?」

 

会話の場を設けるだと?

そんなことの為にCOLLAREDへと依頼を出したのか?

正直正気の沙汰とは思えん。

 

「・・・誰だ。」

 

だが、ここで結論を出してしまうのは早計だ。

 

「・・・ボクの、父親とです。」

 

コイツの父親とだと?

それこそ知った事では無い。

勝手に話せば・・・いや待て。

コイツの姓はデュノアだったな。

デュノアと言えば確か・・・。

フランスのIS関連の開発会社だったハズ。

あの4人が使用しているラファール・リヴァイヴを開発した会社でもあり、

万能性においては専用機と呼ばれる物にも引けを取らない。

・・・が、最近は経営難と聞いた。

幾ら開発する力は在れど、コアは絶対数が決まっている。

最初こそ金の成る木だと噂されていたがこの絶対数が足を引っ張る結果になり、

結局の所は緩やかに倒産への道を進んで行ってる・・・そう聞いた。

 

「何故貴様の父親と話す場所を設けなければならん、

そんなもの勝手にやっていろ。」

 

「それは・・・そうなんですが・・・。」

 

何かしら理由があるだろうがそんなもの私の知ったことではない。

・・・時間の無駄だったな。

 

「話は以上か?」

 

結局の所私が出る事はなかったな。

 

「・・・誰にも邪魔をされない場所で、2人きりで話をしたいんです。」

 

「だから、それがどうした。

そんなもの勝手にやれと言った。」

 

「そうは行かないんです・・・!、

父はとても忙しい方です、ボクの為に時間を割いてくれるなんて・・・!!」

 

「いい加減にしろ!」

 

「ッ!!」

 

私の怒鳴り声にデュノアは身を竦ませる。

 

「お前にも事情はあるだろう、だが先ほど私は言ったな?

そんなもの勝手にやれと、

時間を割いてくれないのであれば、

どうすれば時間を割いてくれるかを考えろ!

そんなことの為に連絡などしてくるな!!」

 

「・・・それが出来たら。」

 

続く私の怒声に怯まずにデュノアは、

 

「それが出来たら話はしていません!

COLLAREDには引き受けてもらいます!!

その為には・・・!!」

 

ISを展開しながら私に言ってきた。

 

「・・・力ずくでも、か?」

 

・・・チッ、これだから聞き分けの無いガキは嫌いだ。

 

「はい・・・!!」

 

だが・・・目は悪くないな。

ストレイドに比べたら青二才もいい所、

それでもなお、アイツの目は決意を秘めている。

 

「・・・良いだろう、ガキに世の中の厳しさを教えてやる。」

 

私はシリエジオではなく、

ラファール・リヴァイヴの片腕を起動させる。

この場でNEXTを出す訳にはいかん、

アレは目立ちすぎる。

 

「片腕だけ・・・!?」

 

「お前程度の相手など、片腕だけで十分だ。」

 

「・・・怪我をしても知りませんよ。」

 

「言ってろ、クソガキが。」

 

私とデュノアの間に一触即発の雰囲気が包み込む。

・・・しかしそれは。

 

「待て待て、こんな所で戦うな。」

 

「え・・・!」

 

「・・・ハァ。」

 

ストレイドの介入により未然に防がれた。

 

「久しぶりだな、一ヶ月くらいか?」

 

「・・・何故コイツに連絡先を教えた。」

 

「コイツの覚悟が見たくてな。」

 

「・・・それぐらい自分でやれ、

私はお前の置き土産の所為で忙しいんだ。」

 

「そう言うな、悪くなかっただろ?」

 

「・・・フン。」

 

「え、え!?」

 

私とストレイドが親しげに話しているのを見て、

デュノアはただただ困惑している。

 

「話してやるから、まずはISを除装しろ。」

 

「あ、うん・・・。」

 

自分がまだISを纏っていたのを忘れていたらしい。

ストレイドに言われてデュノアは除装した。

 

「さて、まずはこの事から話そう。」

 

それを見届けたストレイドは、

 

「騙して悪かったが・・・俺もCOLLAREDだ。」

 

そう自分の正体を告げた。

 

「へ・・・?」

 

ストレイドの言葉を聞き、

デュノアは鳩が豆鉄砲喰らった様な表情を浮かべている。

 

「俺よりも大分キツいセレン相手にお前が覚悟を貫き通せるか見たくてな。

まあこんな形を取ったわけだ。

いや、にしても驚いたよ。

まさかセレンが直接来るなんて思っていなかった。」

 

「・・・私にもそう言うときくらいあるさ。」

 

ストレイドが見出したデュノアを見定めたくなった・・・とは言わない。

そんな事を言えばストレイドはからかってくるからだ。

 

「え、ちょっと待って。

ストレイドがCOLLARED?

ヘイズさんもCOLLAREDって・・・え、アレ??」

 

流石の展開にデュノアがただただ困惑している。

・・・面倒臭いな。

 

「アレ・・・って言う事は、

もしかしてストレイドってNEXT持ちなの?」

 

「今の情報だけでそこまで辿り着くとはな、

正解だ、ついでに言うとセレンもNEXT持ちだ。」

 

「え・・・ええええええええ!?」

 

「・・・そう言うことだ、

デュノア、運が良かったな?

私がNEXTを使っていたらお前は死んでいた。

ストレイドが言った通り、敵に対して私は容赦しないからな。」

 

ストレイドがバラした以上、ここで誤魔化しても仕方が無い。

 

「・・・さて、改めて先ほどの話に戻ろう。

セレンはどうする?」

 

「・・・一応聞いてやる。」

 

まったく、仕方が無いな。

 

「シャルロット・デュノア。

お前の依頼内容は父親と2人話せる場を設けて欲しいだったな?」

 

「う、うん。」

 

ストレイドがデュノアに確認している中、私は口を挟まないでおく。

事情を知らない私が話すよりも、

事情を知っているであろうストレイドに任せたほうが手早く済む。

 

「では、その依頼を受けた時の報酬は?」

 

「・・・あ。」

 

報酬の事を考えていなかったのだろう、

今思い出したと言うようにデュノアは驚きの声を上げた。

 

「さて、報酬はどうする?

COLLAREDは傭兵だ。

報酬がなければ決して動かない。」

 

「そ・・・それは・・・。」

 

何か無いかとデュノアは必死に考えを巡らせている。

 

「言っておくが情報とかは無しだ。

さっき見て貰った通り、我々はラファール・リヴァイヴを所持している。

それはつまりだ、そのスペックは全て把握しているって事だ。」

 

先ほどの光景を思い出させるようにストレイドは続けた。

 

「一番分かり安いのは金だな。

世界有数の企業であるデュノア社に対しての依頼という扱いになるから・・・。

まあこれくらいだな。」

 

「にひゃ!?」

 

200を提示したか、まあ妥当か。

それくらいなければ動く気は無い。

 

「そ、そんなお金なんて・・・!」

 

「持っていないか、ではこの依頼は断る形になるな。」

 

「うっ・・・。」

 

ストレイドの言葉を受けてデュノアは顔を曇らせる・・・が。

少しして何かを思いついたようだ。

 

「なら・・・なら、報酬はボク・・・なんてどうかな?」

 

「「・・・は?」」

 

余りにも突拍子が無い報酬に対して、

流石の私も変な声を出してしまうが、ストレイドも同様だった。

 

「今すぐに200万なんてお金はとても用意できないけど、

その代わりにボクが君達に協力する・・・ってことでどうかな?」

 

「・・・お前、自分が言ってる言葉の意味が分かってるのか?」

 

これには流石のストレイドも語尾を強める。

・・・まあアイツが言わなければ私が言う所だった。

 

「COLLAREDの仕事はさっきも言った通り傭兵だ。

中には犯罪行為に手を染める事もあるだろう。

・・・そこまでしてでもお前は父親と話したいのか?」

 

・・・まるで理解が出来ない。

言外にストレイドはそう告げるが、それは私も同様だ。

何故父親と話すだけの為にコイツが自分の身を差し出す。

 

「・・・うん、昨日ストレイドに言われて思ったんだ。

このまま流され続けても良いのか・・・って。

沢山考えた、それはもう沢山考えたよ。

だけど・・・出てきた答えは一つだけだった。

このままじゃダメだ、

皆と・・・ストレイドと一緒に居る為には覚悟を決めなきゃいけないんだって!」

 

「・・・おい。」

 

覚悟を決めたのは良い事だが、

最後の言葉を聞いた瞬間、思わず私はストレイドを見る。

 

「ん?」

 

しかし当の本人は分かっていないようだ。

はぁ、これは苦労しそうだ。

・・・だがストレイドを他の奴には絶対に渡さん。

 

「そうか。」

 

そんな私の覚悟なんてどこ吹く風か。

ストレイドはしばし考えた後・・・。

 

「・・・分かった、ならばそれで手を打とう。」

 

結局コイツは受ける事にしたようだ。

 

「ほ、本当に!!」

 

「傭兵に二言は無い。

細かい日取りなどは追って通達する・・・セレン。」

 

「勝手にしろ、お前ひとりでやれ。」

 

少々(大いに)不機嫌になりながらストレイドに返答し、

 

「話は以上だな?、

では私は戻らせてもらう。」

 

そう言いつつ、ラファール・リヴァイヴを起動する。

 

「悪かったな、折角来てくれたのに。」

 

「全くだ、今後は慎め。」

 

「努力する・・・ああ、それと。」

 

「チッ、まだ何かあるのか?」

 

最早不機嫌を隠さずにストレイドの顔を見る。

 

「・・・会えて嬉しいよ、近い内に一度戻る。」

 

「・・・フン。」

 

ああ、全く。

ストレイドは単純な奴だが・・・、私も人の事は言えないな。

こいつの何気ないたった一言だけで・・・嬉しいと感じてしまうのだから。

 

「・・・ではな、たまにはアイツ等の様子を見に来い。」

 

「セレンに任せているから心配はしてないが・・・了解した。」

 

飛び立つ寸前、何気無くデュノアの顔を見る。

そこには何とも言えない複雑な表情を浮かべていた。

 

「デュノア。」

 

「は、はい!!」

 

・・・一応声を掛けておくか。

 

「ストレイドは渡さん、欲しければ私に勝って奪え。」

 

「そ、それはかなり厳しいんじゃ・・・!!」

 

「当たり前だ、コイツが欲しければそれぐらいやってのけろ。」

 

私が言った言葉に狼狽しているデュノアに満足して、

私は隠れ家である束の研究所へと戻った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シャルロットちゃんは一夏君ではなくストレイドに・・・
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