Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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密約を交わした2人ですが、
一端ツーマンセルトーナメントに行きます


第18話 VTシステム

「え、出られないのですか?」

 

すっかりと熱が下がりきったリリウムは意外そうに聞いてきた。

 

「ああ、興味が無い。」

 

すっかりと弁当を作る係になってしまった俺は、

弁当箱に料理をつめながら答える。

 

「そうなのですか・・・、

出られると言うことであればお組したいと思ったのですが・・・。」

 

「まだ本調子じゃないだろう?

それにあまり打鉄は触った事が無いし、

何よりもストレイドの感覚を消したくは無い。」

 

無論他のISだったとしても決して引けは取らないだろう。

だがそれを行った事により、

ストレイドとの感覚のズレは発生させたくは無い。

 

「うーん・・・残念です。」

 

「今回は偵察を優先したいしな。

この学園のレベルを把握する為にも。」

 

この学園の最強は、更識楯無で間違いは無い。

でなければ生徒会長になれないからだ。

だが俺が気になっているのは学年ごとの平均レベルだ。

平均レベルが高ければ放っておいても問題無いだろうし、

低ければ上げる為の努力をさせれば良い。

俺は暴れるつもりは無いと言っても、

いざと言う時に的確に動けるようにはなっておいてもらいたい。

それが出来るだけで生存率は大幅に上がる。

 

「・・・っと、出来たぞ。」

 

そんな事を考えているうちに弁当が出来た。

そして時刻も丁度良い。

 

「ありがとうございます、では行きましょう。」

 

しかしツーマンセルトーナメントか。

・・・何も起きなければ良いんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

ツーマンセルトーナメント当日

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で?」

 

前回の時と同じ様に適当な席に腰掛けていると、

隣には既にリリウムが座っていた。

 

「出るつもりじゃなかったのか?」

 

「リリウムは一度も出場するなんて言っていませんよ?」

 

俺の疑問に対してすまし顔で返答してくる。

先日のリリウムは確かにこう言った。

俺が出るのであれば組みたい・・・と。

ならば俺が出ない以上は出場する必要はない・・・そんな所だろう。

 

「まあ良いさ、

ちなみに一戦目は・・・一夏とシャルル対箒とボーデヴィッヒ?」

 

「みたいですね。」

 

これはまた色々と面白いカードだ。

あの2人が組んでいるのは前持って話していたからだろうが、

箒がラウラと組んでいるのは予想外だ。

しかもこんな妙な噂がある。

このトーナメントで優勝したら一夏と付き合える。

これは予想だが、

箒辺りが一夏に対して言ったのを曲解して広まった。

そんな所だろう。

 

「しかし専用機持ちが2人で手を組むか。」

 

「今回は一夏様も必死なのでしょう。

自分が負けたら確実に付き合わないといけないのですから。」

 

「それもそうか。」

 

とはいえ一夏もアレから俺の訓練をなんとかこなしている。

前回のクラス対抗戦の時に比べたら幾分かマシになっているはずだし、

何よりも手を組んでいるのはシャルルだ。

何かしら仕込んでいでもおかしくは無い。

 

「そういえば前回の無効になった賭けでもやりますか?」

 

「そんなこともあったな・・・良いぜ、何に賭ける?」

 

どちらではなく何に。

敢えてそう言った。

リリウムは何の事か分からないと言う表情だが・・・。

 

「そうですね・・・ここはやはり一夏様に2万で。」

 

「なら無効試合(ノーゲーム)に2万。」

 

「分の悪い賭けではありませんか?」

 

「まあな、だが大穴狙いは賭けの醍醐味だ。」

 

「・・・ストレイド様って負けが込んで自滅するタイプですよね?」

 

失礼な。

 

「え、と。

本当に宜しいのですか?」

 

「構わない。」

 

そんな事を話している内に試合が始まった。

やはりボーデヴィッヒのISはあの時の物だな。

しかしあの時は戦闘を行う前に事が済んだから、

アレの装備がどういうものか分からないな。

 

「・・・っと、始まったな。」

 

開始早々、

ボーデヴィッヒは箒に手出し無用と言い放ち1人で戦闘を始める。

対して一夏とシャルルはお互いが着かず離れずに連携を取っている。

 

「・・・妙だな。」

 

だがなんと言うか・・・違和感がある。

単機特攻でやりあうには明らかに分が悪い。

だと言うのにボーデヴィッヒはそれを行っている。

自分の腕前に相当自信があるのか、

それとも容易く打ち倒すための広域殲滅兵器があるのか・・・。

とはいえ賢い選択とは言えない。

仮に広域殲滅兵器があるとしても、

その範囲やスペック等の都合もある。

一応ストレイドにもAA(アサルトアーマー)という物があるにはあるが、

アレを使用するにはPA(プライマルアーマー)を全て使用しなければならず、

PA(プライマルアーマー)が回復するまでの間掠り傷でさえ致命傷になる。

例えるならそうだな・・・、

一定時間相手の攻撃全てにデメリット無しの零落白夜の効果が付随される・・・、

とでも説明しておこう。

その攻撃力や攻撃範囲は膨大にして甚大ではあるが、

正直デメリットがキツすぎるのでおいそれとは使えない。

 

「・・・あら。」

 

「・・・なるほど、これが仕込みか。」

 

シャルルが上手く箒を戦闘に参加させないで立ち回りをしている中、

持っていた銃器をわざと捨てた。

・・・一夏の方に。

 

「しかし他機の武器を使用するにはロック機能がありますが。」

 

「予めアンロックしているだろう、通常はありえないんだがな。」

 

自分の武器を他人に渡す・・・と言う事は口で言うほど簡単な事じゃない。

まず自分の相棒である武器を他の奴に託すと言う信頼関係。

それに解析されるリスクもある。

だがそれにさえ目を瞑れば遠距離武器を持たない一夏にとっては、

大変ありがたいはずだし、何よりも相手の意表を確実につける。

俺が言った駆け引きをしっかりと実践しているな。

 

「なんだ、ボーデヴィッヒが右手を翳した?」

 

瞬時加速を用い接近しているシャルルに対し、

ボーデヴィッヒが右手を翳した。

戦闘を放棄しようとしているには見えないのを見ると・・・。

 

「なるほど、アレがボーデヴィッヒの自信の訳か。」

 

「もしかしてあれはAICかもしれないですね。」

 

「AIC?」

 

リリウムが聞きなれない単語を口にする。

 

「はい、

アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略称で、

色々な用途で使用されているPICの発展型です。

停止結界とも言われている物で、

範囲内にある物体を任意に停止させることが出来ます。」

 

「成程な、相手が単体であれば反則級だな。」

 

「その通りです、

使用するためにはかなり集中しなければいけないのと、

エネルギー兵器に対しては比較的効果が薄いですよ。」

 

「解説感謝する、随分博識だな?」

 

「教科書にも書いてありますよ?

最近ドイツが第三世代ISに搭載していると聞きましたが・・・。」

 

それがボーデヴィッヒにはある・・・と言う事か。

さて、俺ならどう攻略するかな。

ボーデヴィッヒのISは中距離武装が多い上に、

大型のレールカノンが一際目を引く。

アレに当たるとストレイドとはいえエネルギーを大きく削られるだろう。

PAが残っていれば耐えられるが連発で受けるのは得策じゃない。

レールカノンの射程外である超近距離か、

照準が狙い辛い超遠距離での狙撃で制圧するか・・・だな。

しかし近距離ではAICの存在がある。

下手に突っ込むと動きを止められて一方的にやられるだろう。

・・・こいつは中々に面倒だ。

 

「・・・2人の位置取り中々に面白い。」

 

「挟み撃ちの形になっていますね。」

 

瞬時加速で急接近したシャルルに対し、

AICを使おうとしているボーデヴィッヒを尻目に一夏は密かにボーデヴィッヒの背後へと回っている。

・・・その手にはシャルルが捨てた銃を持っていた。

 

「あ、AICを使おうとしてますね。」

 

「悪手だな、本来であれば箒が援護をするところではあるが・・・。」

 

「無理でしょうね、

距離が離れていますし、

・・・何よりも篠ノ之様が手助けする気とは思えません。」

 

「それについてはボーデヴィッヒが完全に悪い。

何でもかんでも1人でやろうとするからこうなる。」

 

「それ、ストレイド様が仰ります?」

 

「・・・何も言えん。」

 

痛い所を突かれた。

これを言われてしまっては、俺は何も言い返せない。

 

「・・・ほう。」

 

「あら、久々に見ました。」

 

いつの間にかボーデヴィッヒに射撃を行った一夏に対し、

ボーデヴィッヒは反転してワイヤーブレードで攻撃。

・・・しかし敵が目の前に居るのに反転するとはな。

馬鹿も此処に極まれり。

その隙を逃すはずが無いシャルルは更に接近し、

左腕にマウントされている武器でボーデヴィッヒを穿った。

 

「とっつきか、中々浪漫溢れるな。」

 

・・・シールドピアースだったか?

パイルバンカーとかドラクルアンカーといった名称もあるが、

俺等の間ではとっつきと言ったほうが理解しやすい。

有効射程範囲は至近距離だが、その分威力が絶大。

両腕に装備して同時に当てた時なんてアドレナリンが出まくる。

世の中にはこれを愛して極限に使いこなす変態リンクスもいるくらいだ。

かくいう俺も一時期はとっつきを使いまくってた。

・・・損傷を多く受けて報酬が減るからやめろとセレンに怒鳴られたが。

 

「リリウムは使ったことはありませんが、ストレイド様はあるんですか?」

 

「当然だ、

大体のリンクスは一度はとっつきに魅了されるもんだ。」

 

そして使い辛さの為に直ぐに使われなくなる。

しかしこれで勝負あったな。

一発目がクリーンヒットしてボーデヴィッヒは壁際まで飛ばされる。

アレでほとんどのエネルギーを失ったハズ。

そしてシャルルはトドメとばかりにとっつきで追撃を仕掛ける。

 

「チェックメイトですね、リリウムの勝ちです。」

 

「・・・どうだかな。」

 

リリウムの勝ち誇った声を聞きながら、俺はある日の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「VTシステム?」

 

4人への訓練の休憩中、

不意にリザイアがそんな話をしてきた。

 

「そうです。」

 

「何だそれは?」

 

「ヴァルキリー・トレース・システムの略称です。

モンド・グロッソ優勝者の戦闘方法をデータ化し、

そのまま再現・実行するシステムですが。

パイロットに「能力以上のスペック」を要求するので、

肉体に莫大な負荷が掛かり、場合によっては生命が危ぶまれます。

人道的に見ても危険すぎるので、

現在あらゆる企業・国家での開発が禁止されているんです。」

 

「・・・なるほどな、ところでそれを何故俺に話した?」

 

「・・・先日ストレイド様はドイツ軍の基地に行かれた際、

シュヴァルツェ・ハーゼ隊の者と遭遇したと聞きました。

その中に銀髪の小柄な女性は居ませんでしたか?」

 

銀髪の小柄な女性・・・多分アイツの事か。

 

「居たな、大型のレールカノンを装備していた。」

 

「その方のISになんですが・・・、

もしかしたら搭載されているかもしれないというお話が。」

 

「・・・開発が禁止されているのにか。」

 

「ドイツも一枚岩ではない・・・という事です。」

 

「話は分かった、遭遇した際は気をつけることにする。」

 

「ストレイド様であれば鎮圧は容易いと思いますが、

念には念を入れてという言葉もありますので・・・。」

 

「やはりお前は聡いな。

・・・興が乗った、これから模擬戦をやるぞ。」

 

「え。」

 

その後の模擬戦では勿論リザイアを一方的に叩きのめした。

76戦76勝0敗、なお全て傷一つ負う事無く完勝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ボーデヴィッヒ様の様子がおかしい?」

 

物思いにふけていたがリリウムの声で現実に戻る。

これは・・・当たりだな。

 

「さて、どう出る一夏。」

 

叫び声を上げながらその姿を変容させるボーデヴィッヒに対し、

俺は期待を込めながら一夏の行動を見守った・・・。

 

 

 

 

結果だが、箒とシャルルのエネルギーを受け取った一夏は零落白夜を発動。

VTシステムを発動したボーデヴィッヒに一撃を加えて止める事に成功した。

その後この試合は無効試合となり、

残りのカードについてはデータ収集を目的に一戦のみ行うという形になった。

 

「賭けは俺の勝ちだな?」

 

「き、汚いです!!」

 

「なんとでも言え。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・束さん。」

 

ツーマンセルトーナメントが終了した夜。

久々に俺は束さんに連絡を取った。

 

「お、グリントーひっさびさだねー。

何かあったのかな?」

 

「報告する事がある。」

 

声からして何かの作業が終わった後なのだろう。

少し疲労しているようだが、気に止めずに報告をした。

 

「・・・なるほど。」

 

俺の報告を聞き終えた束さんは、

 

「よくも・・・。」

 

「?」

 

「よくも・・・、

ちーちゃんの真似だけをする、

あんな不細工なシロモノ使ってくれたなあああああ!!」

 

「うるさい叫ぶな。」

 

何となく叫び声が聞こえそうだった為受話部分を離して置いて良かった。

案の定束さんの怒鳴り声が響いてきた。

 

「で、どうするんだ?

悪いが俺は別の依頼があるから動けないぞ?」

 

「そんなもの決まってるよ!

あんな物を搭載しやがった所を跡形も無く消し飛ばす!!」

 

「・・・誰を使うんだ?」

 

少しだけそれが気になる。

今回の件は正直セレンを使うまでも無いが、

セレン以外に居るのは元ドイツ軍の4人だ。

流石に酷とは思うが・・・。

 

「決まってるよ!

グリント以外の全戦力で情け容赦無く叩き潰す!!」

 

「オーバーキルだろ、それ。」

 

束さんの返答は予想の斜め上だった。

・・・とはいえ意見しても仕方があるまい。

一度言い切った以上、束さんは決して止まらないだろう。

 

「情報ありがとね!

覚悟してやがれクソッタレ共がああああ!!」

 

最後にそんな怒鳴り声が聞こえて通信が切断された。

・・・これで良かった・・・んだよな?

ま、まあいい。

言ってしまったものは仕方が無い。

心の中でご愁傷様と思いつつ・・・。

 

「・・・さて、準備は出来たな?」

 

隣に立つシャルロット・デュノアへと声を掛けた。

 

「・・・うん。」

 

流石にこれからやろうとしている事に気が引けているのか、

シャルロットの表情は少し暗い。

 

「・・・言われずとも分かってるとは思うが。」

 

「・・・大丈夫、覚悟は・・・出来てる。」

 

「ならば良い、では行くぞ。」

 

「・・・よろしくお願いします。」

 

「任された。」

 

では、シャルロットの依頼をこなす為向かうとしようか。

・・・フランスへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

篠ノ之束は宣言通りに、

5機のISを用いてドイツの研究施設を強襲。

あらゆる痕跡すら残さずに研究施設を徹底的に破壊させた。

その後破壊した施設で何を行っていたかを全世界へと公開、

ドイツはあらゆる国に対して知らぬ存ぜぬを突き通して何とか糾弾を避けた。

・・・なお、その5機のISの内一機はセレンのNEXTで、

その他は全て見たことが無いものだったと言う。

 

 

 

 

 

 

 




次回からオリジナルでっす。
多分数話で終わる予定。
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