Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

20 / 33
第19話 シャルロット・デュノア(1/3)

フランスまで行くには日本より飛行機で約半日。

まあそこそこの長旅だ。

いつもであればISを纏ってさっさと飛ばすのだが、

今回はシャルロットも居る。

ここは大人しく通常ルートを使うことにした。

 

「眠れないのか?」

 

「・・・うん。」

 

隣の席に座るシャルロットはずっと空を眺めている。

今からこれでは現地に着いた時時差ボケでやられそうなものだが。

 

「・・・ねえストレイド・・・さん。」

 

「ストレイドで構わない。」

 

「・・・ストレイド。」

 

「なんだ?」

 

こちらを見ないが構わない。

こんな事で一々反応してたら疲れるだけだしな。

 

「・・・君って何者なの?」

 

・・・何者、か。

その質問に答えるのは少々難しいな。

 

「COLLAREDの傭兵にしてIS学園の生徒だが?」

 

「そう言うことを言ってるんじゃないよ。」

 

ゆっくりとこちらを見ながら、

 

「・・・君って、何者なの?」

 

もう一度同じ質問をしてきた。

まあ良いか。

折角の長旅だし、・・・俺自身少し感傷に浸りたいときもある。

 

「・・・少し長くなるぞ?」

 

「時間は沢山あるから大丈夫。」

 

シャルロットの返事を聞き、俺はゆっくりと昔の事を話始めた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ、こんな所だ。」

 

流石に別世界から来たとか虐殺をしたと言う事は言えない為、

真実に適当に嘘を混ぜつつシャルロットに話した。

 

「そんなの・・・そんなのって・・・!」

 

ふとシャルロットを見ると、何故だか泣いていた。

 

「泣くほどの物か?」

 

「そんなの・・・当たり前だよ!!」

 

いまいち理解できないでいたが、

 

「だって、そんなのって・・・悲しいじゃないか・・・!!」

 

そう機内だと言うのに叫ぶように言った。

 

「悲しい・・・か、悪いが俺はそうは思わん。」

 

「え・・・?」

 

「確かに俺の生まれは不幸なものだったかもしれない。

だがな、そういう生まれなんだ・・・仕方ないだろう?

それに、そのお陰でセレンと出会う事ができた。

それだけで十分幸せなんだよ、俺はな。」

 

「でも・・・。」

 

「・・・シャルロット。」

 

未だ納得が行っていないシャルロットに対し、

 

「人が幸せを感じる事なんて全て同じな訳が無いだろう?

飯を食ってる時に幸せを感じる奴がいる。

趣味をやっている時に幸せを感じる奴がいる。

好きな奴と結ばれて幸せを感じる奴がいる。

つまりは・・・そう言うことだ。

俺が幸せだと感じたのはな、

セレンと出会い、俺はセレンから全てを貰った。

それだけで・・・十分恵まれてると感じたのさ。」

 

そう頭に手を置きながらシャルロットに答えた。

・・・しかしそれでも未だ納得出来ていない様子だ。

 

「・・・なら。」

 

「ん?」

 

「ならボクは決めたよ・・・、

絶対にストレイドにそれ以上の幸せを感じさせて見せるって!!」

 

「・・・プッ。」

 

「あ、笑ったね!」

 

「い、いやスマン・・・。

何を言い出すかと思えば・・・ククク・・・。」

 

ああダメだ、面白い。

何を言い出すかと思えば・・・。

俺にセレンと出会えた事以上の幸せを感じさせるって?

そんなもの、天地がひっくり返っても無理に決まってるだろう。

 

「なら・・・やってみせろよ?

俺は口だけの奴は嫌いだぞ?」

 

「当たり前だよ!

一回言ったんだ、絶対にやり遂げる!!」

 

しかし、まあなんだ。

こういう事を平気で言う奴が居るとはな。

こっちの世界も中々捨てたもんじゃない。

 

「ホラ、良いから寝ろ。

今からそれだと着いた時キツいぞ?」

 

「・・・うん、分かった。

あんまり眠気は無いけどそうするよ!」

 

その言葉を最後に俺は目を閉じた。

・・・さて、と。

次に起きた時はフランスに着くころだろう。

現地についたら忙しくなるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、

ハイジャックだとかそういった類の物は一切無く。

俺とシャルロットはフランスへと辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石に長かったな。」

 

無事にフランスへと辿り着いた。

俺は慣れない飛行機のシートに座りっぱなしだった為、

空港を出てから軽く体を動かす。

 

「それもそうだよ、

だってストレイドってば身動ぎ一つしないで眠ってるんだもん。」

 

シャルロットといえば、

既に慣れているのか俺のように体を動かすことはしていない。

 

「1人分のスペースしか無いところで寝るなんてザラだったからな、

そんなところで寝ていれば嫌でもそうなるさ。」

 

その狭い所というのは無論ACのコックピット内だ。

そんなところで寝ていれば否が応でもそうなる。

 

「感傷に浸っている暇は無い・・・行くぞ。」

 

「行くってどこへ?」

 

「宿だ、取っておいた。」

 

「え、何時の間に!?」

 

「驚くのは後だ。」

 

一々反応していては身が持たないからな。

どんどん先に行く俺にシャルロットは慌てて後を着いてきた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!」

 

宿でチェックインを済ませた後、

部屋に入るとそうシャルロットは感嘆の声を上げた。

 

「一部屋しか取っていない。

悪いが数日は俺と共に泊まって貰う。」

 

別々の部屋でも良かったが、万が一という事もある。

目の届くところに居て貰ったほうが都合が良い。

 

「え、別に構わないけど・・・。」

 

そうシャルロットは言ってきた。

 

「・・・はぁ。」

 

「なんでそこで溜息が出るの!?」

 

「お前な・・・年頃の男女が同じ部屋なんだぞ?

何か起こっても不思議じゃないだろう?」

 

そう態とニヤついた笑みを浮かべながらシャルロットに言った。

・・・いや、まあ別に手を出す気は無いが。

あっさりと納得されては俺のプライドが傷つく。

 

「え!?」

 

案の定シャルロットは顔を真っ赤にしながら、

自分の体を守るように抱きしめた。

 

「プッ・・・冗談だ。」

 

「あ、・・・もう!!!」

 

俺がからかっただけと言う事が分かり、

それはもう面白いくらいに狼狽している。

 

「依頼人に手を出す馬鹿がどこに居る?

少なくともお前の依頼が完遂するまでは何もしないさ。」

 

「・・・それって依頼が終われば手を出すかもってことだよね?」

 

「その時次第だな。

お前は可愛いし、劣情を抑えきれないかもしれない。」

 

「なっ、・・・もう!

冗談は程ほどにしてよ!!」

 

俺の言葉に翻弄されて表情がころころ変わるシャルロットは見ていて飽きない。

・・・っと、いかんいかん。

あくまでも今回は依頼の為に行動しているだけだ。

それ以上でも以下でも無い。

 

「・・・さて、では改めて依頼の内容を確認しようか。」

 

もっとからかいたい気持ちもあるが、そうしてしまうと話が進まない。

俺は傭兵としての顔になり、適当な椅子に腰掛けた。

 

「依頼内容は・・・、

お前の父親と2人きりで話が出来る場所を提供する事、

これで間違いは無いな?」

 

「・・・大丈夫。」

 

「確認だが、その時のお前の父親を拘束していても良いか?」

 

「出来ればやめて欲しい。

あくまでも会話をしたいだけだから。」

 

会話をしたいだけ、か。

随分と甘いものだ。

しかしそこに対して俺は口を挟まない。

クライアントの意にあった行動をする事が当然だからな。

 

「了解した、

期限の指定はあるか?

お前は今現在ここに居ない事になっているから早いほうが良いと判断する。」

 

「・・・その通りだね、

出来れば2、3日中にお願いしたい。」

 

「了解した、

多少手荒くはなるが傷は負わせない。」

 

「・・・ありがとう。」

 

「俺に対して何か伝えておく事はあるか?」

 

「・・・こんな依頼を引き受けてくれてありがとう。」

 

こんな依頼・・・か。

別に依頼に大小あるわけじゃない。

来た依頼に対し、正当に報酬があるなら別に構わないんだが・・・。

 

「その言葉は終わった時に受け取るとする。

では、これより目標の確認をしたい。」

 

「・・・分かった。」

 

その後、

夜が深くなるまで俺はシャルロットに目標の情報を確認し続けた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて。」

 

明け方、隣には寝ているシャルロットが居る。

・・・別に手を出してはいないぞ?

誰に対して言っているんだ俺は?

・・・兎に角起こさないように慎重にベッドから起きて出かける準備をする。

無論書置きを残して・・・だ。

流石に黙って消えたのではシャルロットは焦るだろう。

 

「しかし人攫いか、

受けてきた任務は破壊が多いからうまくできるかどうか・・・。」

 

・・・いや、そんな事を言っても始まらない。

いざとなったら手段を選ばなければ良い。

俺は目標の写真を持ち、直ぐに出かけた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Il y a des choses que vous voulez demander un petit peu.(少しお聞きしたい事があるのですが)

 

道行く人々に適当に声を掛け、

立ち止まってくれた人に対してフランス語で話しかける。

一応この世界は日本語が標準語になっているという事だが、

やはりここは郷に入っては郷に従えという言葉もある。

拙いものではあるが、伝わってはくれるだろう。

 

「あら、アナタ日本人ね?

日本語は出来るから無理しなくても大丈夫よ?」

 

「それはありがたい、

簡単なものしか出来ないので難しい言葉が出たらどうしようかと。」

 

「仕方が無いわよ、

と言うよりもまだ若いのにそこまで出来るのなら対した物よ?」

 

「お褒めに預かり光栄です。」

 

「ところで、私に何か聞きたい事があったんじゃないかしら?」

 

「ああ、そうです。

実はこの方についてなんですが・・・。」

 

そう言って立ち止まってくれた女性に対して、

俺はシャルロットの父親が写っている写真を見せた。

さて、ここで何かしらの有力な情報が得られれば良いんだが・・・。

 

「・・・あら、この写真に写っている人は私の旦那ですよ?」

 

・・・マジか。

いきなり大当たりを引くとは思わなかった。

しかし、これは困った。

流石に何の備えもしていない。

ここは出たとこ勝負で行くしかない。

 

「どうしたのかしら?」

 

・・・明らかに警戒レベルが上がっているな。

そりゃそうか。

見ず知らずの男が一企業の社長の事を聞いてきたんだ。

これで警戒してこない奴はただの馬鹿だ。

 

「ああいえ、まさか奥方だと知らずに失礼しました。」

 

「お世辞は良いわよ、それで?」

 

内容を聞くまでは絶対逃がさない・・・か。

ここで適当な事を言ってコイツに漏れたりしたら厳しいな。

 

「・・・立ち話もなんですし、そこのカフェに入りましょう。」

 

「・・・分かったわ。」

 

さて、これで少しだけ時間を稼ぐ事が出来る。

この時間で何か良い案を思いつかなくては・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、じゃあ話を聞かせてもらおうかしら。」

 

・・・ダメだ。

まったく良い案が思いつかん・・・!!

ええい、ままよ!!

 

「・・・実は俺はIS関連の企業の取材を行っておりまして、

最近のデュノア社の状態についてお伺いをしようかと・・・。」

 

「・・・その話題、不愉快ね。」

 

そりゃそうか。

 

「不愉快に思われたのなら申し訳ございません、

確かに最近のデュノア社は経営不振につき倒産の危機に面していると言えます。

ですが・・・、

一代でデュノア社を世界第三位のシェアを誇る巨大企業までにした氏の事です。

なので経営を回復させる秘策があるんじゃないかと俺は睨んでいまして。」

 

よくもまあここまで口からでまかせが言えるもんだと我ながら思う。

というか名刺が無いんだぞ?

そんな奴の言う事なんて誰が信じる・・・。

 

「あら、アナタ随分勘が良いのね?

実はそうなのよ。」

 

・・・信じられた。

アレ?

俺が何か間違ってた??

 

「宜しければお話いただけると・・・。

勿論お話できる範囲で構いません。」

 

「ごめんなさいね。

私も主人からあまりその手の話は聞いていなくて・・・。」

 

「ああいえ、奥様が謝られることはありません!

逆に不躾に俺が聞いているほうが悪いんです。」

 

「フフ、随分謙虚なのね?

出来れば協力したいのだけど・・・。」

 

・・・これは来たな。

だがここで間違った瞬間、実力行使に出なければならなくなる。

慎重に行かなければ・・・。

 

「でしたらそうですね・・・。

可能であればご一緒にお食事などいかがでしょうか?」

 

「食事?」

 

「はい、

まずは親睦を深める事が先決だと思います。

流石にいきなり押しかけてお話するわけにも参りませんので・・・。」

 

「確かに、アナタの言う通りね。

少々お待ちいただけます?

今主人に確認しますので・・・。」

 

そう言って目の前の女性は電話を掛ける。

恐らく相手は目標だと思うが・・・。

・・・正直上手く行き過ぎて逆に怖い。

待つこと数分。

 

「ええ、明日であれば夜は時間が空いているのね?

分かったわ、彼にはそう伝えるわ。

ありがとう、それじゃあ後ほど。」

 

そう言って女性は電話を切った。

 

「主人に確認したわ。

明日の夜であれば大丈夫だそうよ。」

 

「ありがとうございます。

お店はこちらで指定させていただいても構いませんか?」

 

「大丈夫よ、

出来れば落ち着いて話が出来るところが良いわ。」

 

「ご指定承りました。

それでは決まり次第こちらから連絡をさせていただきたいのですが・・・。」

 

「分かったわ、私の連絡先で構わないわね?」

 

「はい、構いません。

宜しければお名前をお伺いしても?」

 

「ロゼンダ・デュノアよ、アナタは?」

 

自分で言っておいて何だが、名前の事を考えていなかった。

 

「・・・五反田一夏です。」

 

「イチカ?

あの男性IS適正者と同じ名前なのね。」

 

「ハハ、良く間違われます。

俺自身はまったく違うんですけどね。」

 

スマン一夏。

お前の名前と良く行くと聞く食堂の名前を勝手に使わせてもらうぞ。

 

「それじゃあゴタンダさん、連絡を待っているわね。」

 

「はい、お時間を取って頂きありがとうございます。」

 

最後に一礼をして、俺はロゼンダさんと別れた。

・・・さて、これからもてなしの準備をしなければ。

オーダーは落ち着ける場所・・・だったな。

帰ってシャルロットに聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったぞ。」

 

「あ、おかえり。」

 

早速自分の宿泊部屋へと戻った所、

丁度シャルロットは起きていたみたいだ。

 

「聞きたい事がある。」

 

「ボクで答えられる事でよければ。」

 

「この辺でグレードが高くて落ち着ける飲食店はあるか?」

 

「あるにはあるけど・・・なんでまた?」

 

「・・・少々厄介な事になった。」

 

疑問を投げかけてくるシャルロットに対し、

俺は先ほどの出来事を掻い摘んで報告をする。

 

「・・・ストレイド、君ってバカだよね?」

 

「・・・スマン。」

 

話終わった瞬間、

まったく遠慮が無い罵声が飛んできた。

 

「ハァ・・・、それならこことここが良いと思うけど・・・。

結構高いけどお金は大丈夫なの?」

 

溜息をつきながらもシャルロットは店のHPを表示して教えてくれる。

・・・正直フランス語で何が書いてあるか分からない。

 

「金の事なら心配するな、必要経費だ。」

 

「いや、必要経費って言ってもボクからの金銭的報酬は無いんだよ?」

 

「・・・実は今これぐらいある。」

 

「・・・へ?」

 

多分このまま問答を続けていても納得しないと思い、

仕方が無いから今回持ってきた金額を見せた。

その金額を見たシャルロットは流石に硬直している。

 

「ひ、1人の学生が持つ金額じゃないと思うんだけどなー・・・。」

 

「安心しろ、今は傭兵だ。」

 

「そう言うことじゃないんだけど・・・ま、まあ。

お金の事は心配無いって分かったよ。」

 

硬直から抜け出したシャルロットは安心しながらそう言ってきた。

 

「・・・実はもう一つ頼みたい事がある。」

 

「ボクに協力できる事だったら何でもするよ!」

 

「・・・今なんでもって言ったな?」

 

「・・・え?」

 

俺の怪しい態度に勘付いたのか、

シャルロットはジリジリと後ろに逃げる。

 

「で、ででででで出来る事ならだよ!!」

 

「安心しろ・・・痛くは無い。

ただ少しだけ大事な物を失うだけだ・・・。」

 

「あ、ちょ、ま、やめ・・・!!」

 

その後、

泊まっている宿泊部屋に悲鳴が木霊したとか・・・しなかったとか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。