Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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終わるとは思っていませんでした(困惑)


第21話 シャルロット・デュノア(3/3)

翌日、

ストレイドにお願いした依頼は終わった。

その為親族に見つかる前に直ぐに日本への帰路に着いた。

・・・だけど、幾つか問題がある。

今日になってからストレイドがボクの目を見ようとしないし、

空港に着くまでに交わした会話と言えば挨拶くらい。

 

「えーと、ストレイド?」

 

「・・・。」

 

何度かこうやって声を掛けてはいるけど、その全てが悉く無視される。

正直、結構キツいんだけどなぁ・・・。

そんなに昨日の姿を見られたのが恥かしいのかな・・・?

でも正直驚いた。

いつも飄々としていて本心を曝け出した姿を見たことが無い、

そんな彼がアレ程取り乱した姿を見せるなんて・・・。

しかもあの時の泣き方は普通じゃない。

彼が言った1億以上もの人を殺した・・・ってことに関係がありそうだけど、

それを軽々しく聞く事は決して出来ない。

・・・それにしても、何時まで無視が続くのだろう?

 

「・・・シャルロット。」

 

どうやって無視をやめさせようか悩んでいる時に不意に声を掛けられた。

 

「ふええ!?な、何!?」

 

「・・・何をそんなに驚いている、俺が声を掛けるのがそんなに珍しいか。」

 

「う、ううん!、そ、そんなこと無いよ!!

ちょっと考え事をしていて驚いただけだから!!」

 

うん、嘘は言って無いよ、嘘は。

結構顔も赤くなってる・・・気がするけど、多分平気。

 

「・・・昨日の事は誰にも言うなよ。」

 

何時もよりも大分低い声色で彼はそう告げてきた。

 

「特にセレンと・・・リリウムにはな。」

 

「え、うん。勿論だけど・・・ウォルコットさんも関係があるの?」

 

「この件については今後一切口に出すな。

もし守れないのであれば・・・事故にあうかもしれないな?」

 

その言葉を聞いた瞬間、全身に凄まじいまでの悪寒が走る。

あの目は・・・本気だ。

ボクが漏らした瞬間、彼は一切の躊躇無くボクを殺す。

そう確信させるまでの凄まじい殺意が込められている。

 

「質問その他は一切認めない、分かったか?」

 

「・・・分かった。」

 

結局、

ボクは先日の事をこれ以上深く知る事は出来そうに無い・・・けど。

 

「・・・これだけは言わせて。」

 

多分・・・いや、確実に。

彼が抱える闇を理解できる事はボクには出来ない。

それでも・・・寄り添える事はできる。

 

「何があったのかは分からない・・・けど、

今の君は、1人じゃないんだよ?」

 

「・・・チッ。」

 

ボクの言葉を聞いた彼は小さく舌打ちをして先に歩いていった。

・・・届いていたら良いな。

 

 

 

 

 

ストレイドサイド

 

 

 

 

 

・・・クソ。

昨日の俺はどうかしていた。

決してこっちの世界の奴には漏らすまい、

そう決めていたあの事を感情のままにぶちまけるとは・・・。

あそこに居たのがシャルロットだけで良かった。

セレンに聞かれればぶっ飛ばされていただろうし、

リリウムに聞かれれば軽蔑されていただろう。

自分で選択した事なのに、何を後悔しているんだってな。

・・・完全に後悔していない、と言えば嘘になる。

あの時点でも他にもやりようがあったとも思う。

それでも・・・俺はあの道を選んだ。

その事に対してあれこれ言うのは死者に対する冒涜に他ならない。

・・・ストレイド(迷える者)、か。

自分で名乗っていて何だが・・・今の俺には丁度良い名だ。

その後、俺とシャルロットは一言も話さずに日本へと帰国した・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・戻った・・・ぞ。」

 

自分の部屋に戻りドアを開けた瞬間、

俺に雷を落とす直前のセレンよりも鬼の形相をしているリリウムが目に入った。

 

「・・・邪魔したな。」

 

「どこへ行かれるのですか?

ストレイド様のお部屋はここなのですよ?」

 

「・・・そう、だよな。」

 

・・・覚悟を決めるか。

 

「・・・さてストレイド様?

リリウムも鬼ではありませんので、何か申し開きがあればお聞きしますよ?」

 

部屋に入るなり何か三角形の物が置いてあり、

そこに正座と呼ばれる座り方をしている俺にリリウムは聞いてきた。

 

「・・・ありません。」

 

思わず敬語になってしまう。

それ程今のリリウムに逆らう事は愚かな事と言うのが、

理性だけでなく本能でも悟った。

 

「そうですか、・・・ストレイド様もお忙しい方です。

リリウムは勿論重々承知しております。

ですが、承知していたとしても納得出来ない事はある・・・、

ストレイド様?

それはお分かりになられてますか?」

 

「・・・はい。」

 

「結構です。

それで、リリウムとの約束をすっぽかしてどちらに行かれてたのですか?

先に約束をしていた女として聞く権利は有していると思いますよ?」

 

・・・どうする、正直に言うか?

いや・・・正直に言ったところできっと許してはくれまい。

とはいえ嘘を言ったら言ったで更に雷が落ちるだろう。

こういう時は・・・正直に言うしかない。

それで少しでも罪が軽くなるのであれば・・・!!

 

「・・・シャルロットの依頼をこなす為、フランスに行っていました。」

 

「そうなんですね、

依頼の為とはいえリリウムとの約束をすっぽかして、

お2人は仲良くフランスに行かれていたのですね?」

 

「・・・その通りです。」

 

・・・ダメみたいだ。

仲良く・・・という所に抗議はしたいが、

それを言ったところで今のリリウムには聞き届けられないだろう。

 

「・・・ハァ。」

 

更に雷が落ちるかと思って身構えていたが、

リリウムは予想に反して溜息をつくだけだった。

 

「え、と。

リリウムさん?」

 

「良いですかストレイド様!!」

 

「は、はい!!」

 

一応声を掛けた瞬間、

リリウムは声を張り上げてきた為思わずどもってしまう。

 

「先ほどお話した通り、

リリウムはストレイド様がお忙しいと言う事は重々承知しています、

ですが、そうだとしても。

行き先くらいは告げて頂きたかったです!

楽しみのあまりに朝早くから起きたリリウムがまるで馬鹿みたいじゃないです!」

 

「も、申し訳ございません!!」

 

「ストレイド様のお口は謝罪する事しか出来ないのですか!?」

 

「こ、この埋め合わせは必ず!!」

 

「良いですね!?

言質は取りましたので、次破ったら承知致しませんよ!!」

 

「か、必ずや!!」

 

「・・・ふぅ、もう良いですよ。

それで、依頼は無事に成功したのですか?」

 

一通り言った為満足したのだろうか。

幾分か落ち着きを取り戻したリリウムはそう聞いてきた。

本来は答えるべきじゃないんだが・・・まあ良いか。

リリウムは無関係じゃないんだしな。

 

「あ、ああ。

依頼は無事に成功した。

後はあいつ等の問題だ。」

 

「分かりました、それなら結構です。」

 

俺は正座をしたままだが、リリウムはベッドに座り。

 

「それで?

何かあったんじゃないですか?」

 

「ッ・・・。」

 

その言葉に少しだけ、ほんの少しだけ反応してしまう。

クラスメイトの奴であれば分からない程の小さな物。

・・・だが、リンクス時代から知っているリリウムにはしっかりと見抜かれた。

 

「その反応・・・当たりのようですね。

良ければ話してください。

他の皆さんにお話できない事でも、

リンクスとしてのリリウムならお話できるかもしれませんよ?」

 

・・・全く、

どうして今の俺の周りに居る女共はこうも残酷な(優しい)んだ。

そんなもの・・・言えるわけが無い。

 

「・・・ダメみたいですね、

大方例の件だと予想しますが、

お話出来ないのでしたら無理にお聞きしようとは思いません。」

 

「・・・スマン。」

 

「良いですよ、秘密体質なのは昔からですし。

お話出来るようになるまでリリウムは待ちます。」

 

「・・・一生話さないかも知れんぞ?」

 

「それならそれでしょうがないです。

リリウムは所詮その程度だった・・・という事ですから。」

 

そう寂しそうな顔をしながらリリウムは俺に言ってきた。

その表情から考えている事は予想できる。

陰謀糞爺の事だろう。

リリウムは陰謀糞爺の信頼に応えられずにアルテリア・カーパルスで散った。

アイツはその事に対して、自分が弱かったから仕方が無いとは言っていたが。

それでもそう簡単に割り切れるものじゃないハズだ。

・・・俺が知ってる範囲ではあるが、

リリウムがリンクスになったのは陰謀糞爺の為とも言われているほどだ。

敗北して死んだだけならまだしも、

それが別世界とはいえこうして生き恥を晒してしまっている。

その苦悩は、きっと俺が抱えている物と似ているかもしれない。

 

「・・・リリウム。」

 

「え、ストレイド・・・様?」

 

気付けば、俺はリリウムを抱きしめていた。

 

「・・・今なら誰も見てないぞ、

俺から見てもリリウムの顔は見えないしな。」

 

「・・・。」

 

俺の言葉を聞いたリリウムは僅かに肩を震わせている。

 

「・・・ズルいですよ、ストレイド様。

そんな事を言われたら・・・リリウムは我慢出来ません。」

 

その後、

リリウムは声を上げる事はなかったが静かに泣き続けた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいむしんかー とぅーとぅーとぅーとぅとぅー!」

 

暗い室内の中、

部屋の主である篠ノ之束は鼻歌をしつつ作業に勤しんでいた。

 

「・・・束、それをどこで聞いた?」

 

その鼻歌を偶然聴いたセレン・ヘイズは篠ノ之束へと問いかける。

 

「いやねー、グリントが依頼でフランスに行ってたみたいなんだけど。

その時に口ずさんでいたのが耳に残っててねー。」

 

「・・・それは確か・・・いや、聞くまでもあるまい。

この世界には存在していない歌なのだから。」

 

「多分ねー、

暇潰しにこの部分だけ翻訳してみたけど大分物騒だよ?」

 

「それを躊躇無く口ずさめるお前もお前だがな。」

 

「えへへー照れるよー。」

 

「褒めてはいない。」

 

顔を赤らめて照れている篠ノ之束に対し、

セレン・ヘイズはそう突っ込みを入れた。

 

「・・・ところで、あの4人のIS事だが。」

 

「アレねー、

NEXTの稼動データが不足していたから、

想像で盛り込んだ部分が多々あるんだけどセレン的にはどう見えた?」

 

「ISとして見るならただのフルスペック、

ACとして見るなら精々ノーマルが関の山だな。」

 

「うーん・・・ネクストには届かないかー。

まあでもあの子達にはアレでも十分かな?」

 

「そうだな、過ぎた武器は身を滅ぼす。

・・・それよりも私が聞きたい事は別だ。」

 

「ん?」

 

セレンの声色が真剣な物と判断した束は、

行っていた作業をやめセレンを真っ直ぐ見た。

 

「ネクストを再現してどうするつもりだ?

お前の目標は宇宙を目指す事じゃないのか?」

 

「・・・アハハー、セレンならそう言ってくると思ったよ。」

 

照れ隠しなのだろうか、

そこまでは判断出来ないが・・・、

 

「これは紛れも無く宇宙を目指す為だよ、

以前束さんは宇宙を飛び回りたいって言ったよね?」

 

「・・・ああ。」

 

「それ以外でももう一つやりたい事があるんだ。」

 

爛々と目を輝かせながら、

 

「束さんはね・・・生きてる限り研究者なんだ!

宇宙にはまだまだ分からないことが沢山ある!

それこそ何億光年と離れた先に、

もしかしたら人間と同じ・・・ううん、人間以上の知的生命体がいるかもしれない!

そう考えるとね、ワクワクが止まらないんだよ!

他の何を犠牲にしても良い、束さんはそれを知りたいんだ!!」

 

そう己の目的を告げた。

 

「・・・その先が破滅であったとしてもか?」

 

ただ、対照的にセレンは静かに束へと聞いた。

 

「そうだよ!

今のこの世界はつまらない、

だから楽しくなれる世界が見たいんだ!!」

 

「・・・ならば何も言うまい、お前が良いと言うのであればな。」

 

セレンは答えを聞いた後、ゆっくり部屋を出た。

・・・その足取りは、まるで失望しているようなものでもあった。

 

「・・・怒らせちゃった?

うーん・・・良く分からないなー。」

 

対する束はセレンが失望した事に気が付きつつも、

それを敢えて気にしない事にした。

 

「・・・っとそうだ!

ネクストを再現するのも重要だけど、

今はそれよりも箒ちゃんの専用機を作らないと!!

待っててねー箒ちゃん!!」

 

そう意気込みながら束は作業の続きを始めた。

 

「(・・・他の何を犠牲にしても良いと言い切ったのに、

実の妹を最優先にする、か。)」

 

その様子をセレンは部屋を出たところで壁に背をつけ聞いている。

 

「(・・・お前の在り方、酷く歪んでいるよ。)」

 

セレンは深い溜息をつきながら、歩き去った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シャル編なのに、
気付いたらリリウム無双してる・・・アレ?
次回はいよいよ銀の福音編(導入)になるかも?
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