Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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銀の福音編~導入~


第22話 臨海学校(準備編)

「・・・どうしてこうなった。」

 

目の前でリリウムとシャルロットは表情は笑顔だが、

俺の目には犬と猫が自分の縄張りを掛けて牽制しあっているように映っている。

えっと、確かこうなった経緯は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日は大丈夫か?」

 

学園での授業と一夏への特訓が終わり、

自分の部屋へと戻った俺はまずリリウムにそう声を掛けた。

 

「明日ですか?

リリウムは特に用事は入れておりませんが・・・。」

 

「なら、明日一緒に出掛けるぞ。」

 

「本当ですか!!」

 

俺の提案に対しリリウムはテンション高めで返答をしてくる。

 

「ああ、先日の約束の事もあるからな。」

 

「はい、大丈夫です!

大丈夫じゃない気がしますが大丈夫です!!」

 

「どっちだ。」

 

「大丈夫です!!」

 

「・・・ならば良いな。」

 

「~♪~♪~♪」

 

リリウムはそれはもう上機嫌だ。

鼻歌を歌っているくらいだしな。(アレじゃないぞ。)

 

「あ、ストレイド様。

ところで覚えていらっしゃいますか?」

 

「何がだ?」

 

「来週、臨海学校ですよ。」

 

臨海学校?

なんだそれは・・・特に聞いていないぞ。

 

「・・・その様子だとご存知無いみたいですね?」

 

「は、初耳だ・・・。」

 

「ストレイド様は学生でもあるので、

もう少し行事に興味を抱いた方が良いと思いますよ?」

 

返す言葉もない。

確かにここの所傭兵活動が少し忙しくて疎かにしていたかもしれない。

 

「ところで、その臨海学校というのは何をするんだ?」

 

「はいはい、説明致しますよ。

臨界学校という名前ですが厳密には校外実習ですね。

ISの各種装備のテストをメインに行います。

旅館「花月荘」という所に二泊三日の日程で宿泊しますよ。

行動の内訳は一日目は自由行動、二日目に装備試験の予定ですね。

何もなければ羽が伸ばせる良い機会だと思います。」

 

そう呆れながらもリリウムは詳しく説明してくれた。

 

「・・・ちなみに近場には海があるそうですよ?」

 

海・・・海か。

正直俺達が居た世界では海とは死の水溜まりに他ならなかった。

その為その単語を聞くと若干身構えてしまうが・・・。

まあここなら問題無いな。

一度この目で見てもいるし。

 

「・・・そういえば水着が無いな。」

 

「・・・そういえばリリウムも同じくです。」

 

2人共水着を持っていない。

・・・と、いう事は。

 

「なら他にも足りない物が無いか確認後、纏めて買い出しをしておこう。」

 

その結論に至るのは必然だった。

 

「所謂買い物デートというものですね?」

 

「ゴフッ!!

 

「キャッ!!」

 

飲み物を口に含んだ瞬間に言われてしまったため、思わず吹き出してしまう。

 

「ゴッホ!ゴッホ!!」

 

「だ、大丈夫ですかストレイド様!!」

 

き・・・気管に・・・入った・・・!!

 

「お背中を擦りますか!?」

 

「い、いや大丈夫だ。

・・・いきなり言うな、俺だって驚く時くらいある。」

 

何とか落ち着きを取り戻してから額に手を当てながら言った。

 

「いきなりお話したのは謝罪いたしますが、本当の事ですよね?」

 

「・・・否定しても仕方が無いだろ?」

 

「フフ、では決まりです♪」

 

再び笑顔を浮かべながらリリウムは栞を取り出しながら、

アレが足りないやらこれが必要やらのすり合わせを行った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、それがこうなったわけか。」

 

まず最初に俺達は水着を買いに来ている。

正直男物の水着なんてどれも同じような物の為、

自分の分はすぐさま終わった。

・・・しかし。

 

「うーん・・・どちらにするか迷います・・・!」

 

リリウムは二つの水着を手に持ち深く考えている。

俺としては早く選んでもらい・・・。

 

「・・・ん?」

 

ふと周りを見ると、見覚えがある銀髪の小柄な女性が居た。

・・・アレは、ボーデヴィッヒか?

一応声を・・・、

 

「(いや待て、軽率な行動は控えた方が身の為か。)」

 

掛けようとしたが思いとどまった。

今現在、俺はリリウムと買い物をしている。

そんな中知り合いとはいえ他の女に声を掛けてみろ?

再びリリウムの雷が落ちることは明白だ。

なんとしてもそれだけは避けなければならない。

・・・ボーデヴィッヒもボーデヴィッヒで真剣に水着を選んでいるようだしな。

ここはそっとしておこう。

戦いで命を落とすのであれば割り切れるが、

こんなことで命を落とすなんてことはしたくない。

 

「うーん・・・リリウムでは決められそうにありません・・・。

あ、そうです・・・ストレイド様!」

 

「どうした?」

 

「最終的な候補はこの二つに絞れたのですが・・・どちらが良いと思いますか?」

 

そう言ってリリウムは二つの水着を俺に見せてきた。

一つは青のグラデーションが入った白い水着。

これを選んだ理由は・・・

恐らくアンビエントのエンブレムに使っている配色だから気に入っているのだろう。

ACに使用するエンブレムとは、言わば自分を象徴するものだ。

一人前のリンクスになったものは、

使用しているAC込みで自分だけのオリジナルエンブレムを作り出す。

カラードの上位リンクスともなればエンブレムだけで誰なのか一目瞭然だし、

何よりも相手によっては明確な恐怖を、

味方にとっては頼もしい援軍が来たと知らせられる為だ。

っと、話が逸れたな。

もう一つの水着はと言うと・・・完全な黒だった。

 

「何故黒なんだ?

正直リリウムのイメージにはまったく合わないんだが。」

 

俺は疑問に思ったことを正直に聞いた。

 

「・・・黒は、ストレイド様の色なので。」

 

そう恥らいながらリリウムは答えてきた。

・・・その表情は反則だぞ。

 

「なるほどな、申し訳無いが・・・、お前に黒は似合わないよ。」

 

俺の何となくのイメージだが、

リリウムのイメージは先ほどの青が入ってる白や、

黄色・・・というのが先行する。

黒というのは・・・他の色を食うものだ。

包む込むようなコイツの性質とは、決して似合わない。

 

「あれ、ストレイドに・・・ウォルコットさん?」

 

「うん?」

 

「あら?」

 

不意に声を掛けられた。

その方向を見るとそこにはボーデヴィッヒと・・・シャルロットがいた。

 

「・・・おう。」

 

先日の事もありかなり気まずい・・・。

短くそれだけ返答をして直ぐにそっぽを向く。

 

「ダメですよー、ストレイド様。

人と話す時はしっかりと相手の目を見ませんと。」

 

が、リリウムにより阻止された。

リリウム・・・よりによって強引に首を捻じ曲げてきやがった。

無理に抗うと首筋を痛めてしまうかもしれない為、大人しく従った。

 

「貴様等は・・・グリントにウォルコットだったか?」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだな?

転入初日に一夏にキツイ一発を喰らわせてたな?」

 

「そ、その件は忘れてもらえるとありがたい・・・!!」

 

・・・なんだ?

ボーデヴィッヒの様子がおかしい。

初日やツーマンセルトーナメントの時とは違うというのは分かる・・・が。

それがなぜなのかまでは分からない。

 

「ボーデヴィッヒ様。」

 

「な、なんだ?」

 

リリウムはいたずらを思いついた子供のような顔をしながら、

ボーデヴィッヒに耳打ちをする。

一体何を話しているんだ?

 

「・・・そ、そうだ!!」

 

リリウムが耳打ちを終えた瞬間、

ボーデヴィッヒは顔を赤くしながら大きくうなづく。

 

「では、密かにリリウムは応援しています。

愚鈍で朴念仁な方ですが・・・頑張ってくださいね?」

 

「う、うむ!勿論だ!!」

 

・・・一体何を話したんだ?

だが聞いたら絶対に良くない気がする。

藪蛇になるだろうし、ここは黙っておこう。

 

「ところで、そっちも買い物?」

 

「ああ、来週臨海学校って聞いてな。

俺もリリウムも必要最低限の物しか持ち合わせていないので買い出しに来た。」

 

「へぇー!

実はボク等もなんだけど、良ければ一緒に・・・。」

 

ゾクリ・・・。

シャルロットが言葉を全て言い切る前に俺の背中を悪寒が走った。

なんだ・・・このプレッシャーは・・・!!

 

「いえいえー、大丈夫ですよ?

デュノア様はボーデヴィッヒ様と楽しくお買い物されているのですから、

リリウムはストレイド様と2人きりで楽しくお買い物をさせて頂きますよー。」

 

まさか、このプレッシャーの出所は・・・リリウムか?

そんな馬鹿な・・・!

リンクスの時よりも更に強大になっているぞ!?

 

「まあまあそう言わずに、

2人で買い物をするよりも皆で買い物をした方がきっと早く終わるよ?」

 

対するシャルロットも負けてはいない。

空港での俺の本気の殺意を受けた為耐性が出来たのか、

笑顔を絶やさずに今のリリウムに対してそう言っている。

 

「あら、デュノア様。

中々ユニークなジョークを仰るのですね?」

 

「ウォルコットさんも中々面白い人だね?」

 

「フフフフフフフフフフフフ。」

 

「アハハハハハハハハハハハ。」

 

・・・何故だ、2人共笑っているのに目がまったく笑っていない。

 

「・・・なあ、ボーデヴィッヒ。」

 

「な、なんだ?」

 

2人の目線からバチバチという音が聞こえてきている中、

見事にあぶれた俺とボーデヴィッヒは。

 

「・・・こういうの、なんていうんだったか?」

 

「確か・・・犬猿の仲、だったな。」

 

余りにも2人が恐ろしくて話掛けられなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・はぁ。」

 

現在の状況に対して最早溜息しか出ない。

視線だけを右に向ければ、俺の右腕をリリウムがわざと絡めてきている。

では逆をと見れば、こちらはこちらでシャルロットが絡めてきている。

ちなみにボーデヴィッヒは今の俺の状況が面白いのか、ニヤついている。

 

「・・・ボーデヴィッヒ、お前そんな性格だったか?」

 

以前見かけたのと学園に来てからのコイツの態度を見れば性格は自ずと分かる。

他人を頑なに拒否し、全ての物事を自分一人で解決したがるタイプ。

そう思っていたが、俺が居ない間に意識の改革があったのだろう。

まだまだ硬いところはあるが、その態度は以前に比べて大分マシになっていた。

 

「まあ・・・、私も色々と思うところがあった・・・それだけだ。」

 

何故か少し顔が赤くなっているが、多分聞けそうに無い。

それを聞くと両者がどんな反応をするか分からないからだ。

 

「・・・ところで、喉が渇いたんだが。」

 

「それなら丁度あそこに喫茶店がありますから、

そちらで小休止を取りますか?」

 

「あ、ボクも言おうとしたのに!!」

 

「ええい一々張り合うな!!」

 

「クックック・・・!」

 

あまりに面倒になってきたため、つい叫んでしまう。

 

「とりあえず行くぞ!」

 

「って、急に引っ張らないでください・・・!」

 

「わわわわ!!」

 

放っておくと再びいがみ合いが始まりそうだった為、

2人の抗議の声を完全に無視して喫茶店へと入った・・・。

 

「・・・はぁ。」

 

喫茶店に入り、席へと座った瞬間また溜息が出てしまう。

最初はどちらが俺の隣に座るかで揉めに揉め、

それにキレた俺はボーデヴィッヒを隣に座らせた。

4人席だから必然的にリリウムとシャルロットは隣同士になるのだが、

ここでもお互いは笑顔を浮かべたまま威嚇していた。

 

「そんなに溜息を出すとじじ臭く見えるぞ?」

 

唯一今回の仁義無き戦いに無関係なボーデヴィッヒは、

本当に楽しそうに俺に言ってきた。

・・・コイツは今度ぜってー泣かす。

 

「・・・さて。」

 

適当に飲み物を4人分注文してから、

 

「お前等に言いたい事がある。」

 

このままじゃ俺の胃に穴が空くと思い少しマジメに話をする事にした。

 

「・・・まず始めに、俺が何が言いたいか分かるか?」

 

「「うっ・・・。」」

 

俺の質問に対して2人は言葉を詰まらせる事で返答してきた。

 

「分かってくれているようで何よりだ。

その上で言わせて貰おう。

まずシャルロット。」

 

「・・・はい。」

 

「お前が誰を嫌おうが別に知った事では無い。

だがな、今日の俺はリリウムと買い物に来た。

それを後からお前が合流してきたんだ。

少しはリリウムを優先させろ。」

 

「・・・ごめんなさい。」

 

「ふふっ、良い気味です。」

 

俺に怒られて落ち込んでいるシャルロットをリリウムはそう貶める。

 

「リリウム、お前もだ。

確かに今回はお前と一緒に買い物が主目的だ。

だがな、シャルロットはクラスメイトだ。

それを邪険に扱う事は決して許さない。」

 

「ッ・・・申し訳ございません・・・。」

 

リリウムに対しては、ほんの少しだけ殺気を込めながら言う。

普通に言うよりもリリウムに対してはこちらのほうが効果的と判断した。

しかし、この殺気を出す行為が不味かった。

 

「・・・グリント、貴様随分尖った物を出せるのだな?」

 

そう隣に座っているボーデヴィッヒから言われた。

 

「(・・・気付かれた?)」

 

決して動揺を表に出さずにボーデヴィッヒを見る。

・・・失念していた。

今はIS学園の生徒とはいえ、コイツは軍属だ。

ならば殺気に対して敏感なのも頷ける。

マズイな・・・ここでボロを出せば少し動き辛くなる。

しかし、ここで意外な所から援護射撃が来た。

 

「ストレイド様は俗に言うスラム街出身なので、

自分の身を自分で守る為には手段が必要だっただけですよ。

・・・そうですよね、デュノア様?」

 

リリウムがシャルロットに目配せをしつつ、ボーデヴィッヒにそう説明をした。

リリウムの目配せに気が付いたシャルロットは明後日の方向を見ながら、

 

「そ、そうだよ!

最近は落ち着いてるそうだけど、

たまに昔の癖で人に言う時に出ちゃう事があるんだよ!」

 

そう続けてきてくれた。

・・・リリウムは完璧だが、シャルロットは赤点だな。

だが、擁護してくれたのは感謝しよう。

 

「・・・まあそう言うことだ。

あそこではやられる前にやれが全てだったからな。

そんな環境に長年身を置いていたんだ。

今はそんなことが必要無いと分かってはいるが・・・どうも癖でな。」

 

かなりの割合ででっち上げた話ではあるが、

全てが嘘・・・というわけじゃない。

 

「・・・フム、不躾な質問すまない。」

 

俺達の言葉を聞いたボーデヴィッヒは一応納得してくれた。

 

「そうだ、折角の機会だ。

ここはお互いの親睦を深めるとしないか?」

 

「良いと思います!

ストレイド様とは「同室」なのでお話する機会が多いのですが、

デュノア様とボーデヴィッヒ様とは殆どお話した事がありません。

今回のめぐり合わせも何かのご縁ですし、クラスメイトとして親睦を深めましょう。」

 

・・・おい、さっき俺が言った事忘れてんじゃねえか。

だが先ほどまでの悪意のぶつかりあいに比べたら幾分かマシなので指摘はしない。

・・・シャルロットの顔は少しムスッとしているが。

 

「うん、賛成だよ!

ボクもラウラとは同じ部屋だけど、

ストレイドとウォルコットさんとはあまり話したことは無いし色々と知りたいな。」

 

「・・・私も賛成だ。」

 

これは意外だ。

以前のボーデヴィッヒなら下らないと一蹴していたであろうに、

俺の提案に乗ってくるとは思わなかった。

だが乗ってきたのなら断る事は無い。

折角だし色々と話すとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺達はかなりの時間をお互いの事を理解するのに費やした。

その甲斐あってか俺はシャルロットの事をシャルと呼ぶ事にしたし、

シャルとリリウムもそこそこ仲が良くなった・・・と思う。

相変わらず時折牽制はしているが、

まあこれぐらいのものであれば問題無いだろう。

・・・しかし、ラウラの事はどうするか。

こいつの任務がNEXTの捕獲な事を考えると、

必要以上に踏み込むのは良くない。

踏み込んだら踏み込んだ分だけ知られるリスクが激増するが・・・。

まあ今は緊急事態が無ければ問題無いだろう。

・・・さて、とりあえずはリリウム(お姫様)の機嫌直しをしておくか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リリウムとシャルの相性は実はそこまで悪くありません。
しかし何故こんなに牽制し合っているかといえば・・・。
まあ原作のワンサマー君の立ち位置的なものです。
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