Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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時系列的には本編開始前くらいです


第2話 依頼

自己紹介を終えた俺達は、

己が持つ疑問点を氷解させるべくただひたすら会話を行っている。

 

まず分かった事は幾つかある。

 

一つ、

この世界にはリンクスもネクストも居ない。

その代わりにIS…インフィニット・ストラトスと呼ばれるパワードスーツが主役のようだ。

 

まず、このパワードスーツはかなりコンパクトな事があげられる。

何せ装甲と言う装甲がほとんど無い。

しかしそれでも既存の兵器では傷一つつけるのは難しいという事だ。

何故か聞いてみると攻撃を受けたときに自動でエネルギーフィールドが展開され、

エネルギーフィールドが破られても絶対防御と言うものがあり、

殆どの攻撃をそれで防ぐ事が出来る…という事だ。

それでいて、

絶対防御が破られたとしても万が一の為の生命維持装置まで付いているという徹底振りだ。

 

「…一つ質問良いか?」

 

「どったのー?」

 

ISの説明を聞いていたセレンは、

どうしても解せない事があるらしく話の途中で質問をした。

 

「ISだが…どの用途(・・・・)で作られた?」

 

どの用途?

どんな目的だとか、何が目的で…なら分かる。

だけど、何故用途なんて聞き方をしたのだろうか?

 

「…ねえ、2人には夢ってある?」

 

「夢…だと?」

 

「…無いな。」

 

少し考えてから俺達2人は返答した。

何せ今までの世界じゃ生きていくのがやっとの状態だ。

そんな中で夢なんて抱けるハズもない。

 

「そっか、束さんにはあるんだー。」

 

椅子に座りながらクルクルと周りつつも、

 

「私はね…宇宙に行きたいんだ。」

 

そう告白した。

 

「宇宙?」

 

「うん、だって宇宙だよ!

そこには限界なんて無い、どこまで広がる空があるんだよ!

そこを自由に飛び回りたい、思い切り心行くまで走り回りたい!

勿論現在でも宇宙ロケットで行く事も出来るけど、

酸素が供給されなければ忽ち死んじゃう。

だけどISがあれば理論上は生身のまま見たままを体験出来る!!

これが興奮しないわけ無いじゃない!!」

 

「…成程な、その為に作ったと言うわけだ。」

 

「そうなんだ!

だけどねー、発表したとき見向きもされなくてねー。

思わず束さんってばカチン!と来ちゃってついついやっちゃいました!」

 

「やっちゃった?」

 

「うん! 2000発くらいかな?

世界中のコンピューターをハッキングして日本にぶっ放しちゃった☆」

 

「なっ…。」

 

その言葉を聞きセレンは顔を青ざめた。

俺か?

別に普通だ。

何せ既に1億人程は殺してる。

今更人の命を奪う事に躊躇なんかするハズもない。

 

「で、

それを白騎士に乗せたちーちゃんに全て落とさせて有用性を示させたんだけどー。」

 

「それじゃあまるで、

ISは兵器として最強の能力を持ってますって言ってるようなもんだな。」

 

いやはや、

なんと言うかアレだな。

天才とバカは紙一重というか。

これほど酷いマッチポンプは見たことが無い。

 

「まあそれから色々あってねー、

面倒臭くなっちゃったから雲隠れをしてここに居るんだよねー。」

 

「自業自得だ、

先ほどの事が公になればテロリストとして一生独房暮らしになっても文句は言えんぞ?」

 

セレンは呆れながら言うが、正直俺も同じ感想だ。

 

「いやだなー、証拠を残すような事を束さんがするわけないじゃないかー。」

 

「そういうことを言ってる訳じゃないんだが…。

まあいい、一先ずISについては分かった。

今度はこちらだな。」

 

一度だけセレンは俺を見た後に、

今度はセレンが情報の開示を始めた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

40分後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ、こんな感じか。」

 

ある程度の情報を話し終えたセレンはそう締めくくった。

セレンが話した内容はこうだ。

俺達が住んでいた世界は特定の個人の支配者を持たず、

企業が世界を牛耳る存在になっていた。

そして地上はコジマ粒子という高い軍事転用が可能な物質によって汚染され、

殆ど人が住めない環境となっていた。

食事は殆どが汚染を可能な限り排除した合成食品、

水なんて飲んだらどんな悪影響があるか分からないから、

戦闘以外では水分補給の為に飲むのは決まって酒だった。

更に決定的な違う点を迷わず話した。

それは、ネクストとリンクスの事。

細かい詳細は省くが、要は一般市民の代わりに戦う体の良い駒だ。

企業から出された依頼をリンクスが受諾し、実行する。

ただそれだけの繰り返し。

そこに発展なんて言うものは存在しない。

…いや、

ネクストを使えば使うほど人体に有害なコジマ粒子によってどんどん汚染されていく。

まるで木綿で首を絞めて緩やかに自殺していくようなものだ。

 

「…想像以上で束さんでも幾らなんでも引くよー。」

 

「そうだろうな、此処に来て驚いたよ。

何せ最早汚染が手遅れなほど進行し、

足が浸かっただけでも死に至ると言われるまでになっていた海があんなに澄んでいたのだからな。」

 

「…だな、

一部地域だと直ぐに出ればギリギリで生きていられたそうだけど。」

 

「そっちの世界に生まれないで良かったよ、うん。」

 

神妙な顔をしながら束さんはしきりに頷いていた。

 

「まあ生まれてしまったものは仕方が無い、

やれるだけの事をやってきたつもりだ。」

 

俺がその言葉を言った瞬間、

セレンの表情が何ともいえないものになった。

…しゃあないか。

人類の救済という最終的な目標があったにせよ、

その方法は一般的な意見から言えば虐殺以外の何物でもない。

 

「そうだ!

ここで束さんから素敵な提案があります!!」

 

俺とセレンの間に気まずい雰囲気が流れ始めた瞬間、

空気を入れ替えるように一度大きく手を叩いた。

 

「「提案?」」

 

俺達は揃って束さんを見た。

 

「うん、さっきの話を聞く限り2人は戸籍も何も無いんでしょ?」

 

「まあ…そうだな。」

 

「それでね、この世界で生きていく為に必要な物は束さんが揃えるよ!」

 

「…何が目的だ?」

 

一般的な意見で言えば、これは大変魅力的な提案だ。

しかし俺達は傭兵だ。

美味い話には裏がある。

その事を散々思い知っている。

何せ事前に説明が無い事態を数多く体験してきたんだ。

身構えるのはしょうがない。

 

「やだなー、そんな身構えなくても良いのにー。」

 

「生憎、美味い話には裏があるって言う事を散々味わってきているのでな。

無償の善意ほど胡散臭いものは無い。」

 

「それで、何が目的なんだ?」

 

俺とセレンはそれぞれ束さんに確認をする。

もしここで下らないことを言ってきたら…迷わずに殺す。

正直情報はもっと欲しいところだが、

それよりもまずは身の安全を確保しなければ。

 

「そうだねー…君達に依頼をしたいんだよ。」

 

「…依頼?」

 

「うん、依頼内容は私の護衛と私の敵となる者の殲滅。

束さんは今は雲隠れしてる身だからねー。

やっぱり色々と狙ってくる国が多いんだー。」

 

「お前ならばそれを跳ね除ける事くらい、訳が無いんじゃないか?」

 

「勿論だよー、だけど一々相手にしてたら面倒だしねー。

そこで君達にお願いしたいんだ。

その代わりの報酬はさっき言ったこの世界で生きていく為に必要な物。

悪い話じゃないとは思うけど?」

 

…なるほど、それならばまだ信用できる。

無償の奉仕ほど馬鹿馬鹿しいものは無い。

そんなものはその辺に居る野良犬にくれてやれ。

 

「…どうするセレン、悪い話じゃないとは思うが。」

 

少し考えた後、

つい何時もの癖でセレンへと話を振る。

 

「好きにしろ、私はもうお前のオペレーターじゃないんだからな。」

 

しかし、帰ってきた反応は。

やはりというかなんと言うか、冷たいものだった。

ふむ、こう言われてしまっては何も言い返せない。

元より俺がやらかした事だ。

行動には責任が伴う。

 

「…分かった、その依頼を引き受けよう。」

 

結局、俺はこの依頼を受ける事にした。

断る事もできたが、

そうしてしまうと戸籍の取得だけでどれくらい掛かるか分かったものじゃない。

 

「グリントはオッケーねー。

セレンはどうする?」

 

俺の返答に満足したのか、

束さんは一度頷いた後に今度はセレンへと話を振った。

 

「コイツと一緒…というのが気に食わんが…。

どの道元の世界に帰る事が出来ない以上は受けるしかあるまい。」

 

「オッケー!

いやー断られたらどうしようかと思ったよー。」

 

「良く言う、断られる可能性なんて微塵も考えていなかった癖にな。」

 

「そこはそれ、

いやー、久々に話し込んだからお腹減っちゃったよー!」

 

そうお腹を撫で回しながら背もたれに溶ける様に束さんは寄りかかった。

ふむ…確かに腹が減ってきたな。

 

「ちょっと待っててねー、確かこの辺に…ってあー!!」

 

俺から見たら適当な場所を探しているようにしか見えない束さんは、

次に大声を出した。

 

「どうした?」

 

「ここに置いてた缶詰、全部食べちゃってた…。

むー、キッチンまで行くのがめんどくさいよー…。」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は理解した。

束さん…食に無頓着な人だ。

 

「ハァ…仕方無い、キッチンはどこにある?」

 

俺は一度溜息をついた後キッチンの場所を確認するべく声を掛けた。

 

「あっちー。」

 

あからさまに落胆してる様子の束さんは、大体の方角を指で示してきた。

 

「了解した、少し借りる。」

 

「どうぞー。」

 

一応声を掛けつつ、俺はキッチンを目指し歩き出す。

…さて、久々の料理だな。

これを切っ掛けに少しは昔の関係に戻れたら良いんだが…。

そんな事を思いつつも、

きっとそれは無理だろうなと結論を出した…。

 

 

 

数十分後

 

 

 

冷蔵庫の中に食材が殆ど無かった為、

ありあわせで作った料理を食べたセレンと束さんの目が輝いていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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