Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

30 / 33
第29話 入学

楯無さんの依頼を受けて2週間が経った。

明日からは私はIS学園の生徒として依頼を遂行するのだけれど・・・

 

「・・・落ち着かない。」

 

渡された制服に袖を通してからそんな感想が出る。

第一、肉体年齢はともかく。

私は今既に20を越えている。

そんな人物が制服を着て学園に通うなんて・・・。

もし実年齢がバレたらコスプレと言われても何も言い返せない。

・・・ここにジョシュアが居なくてよかった。

居たら絶対に大笑いされた挙句に映像に残される。

 

「・・・確か制服の改造は認められていたはず。」

 

渡された学生帳を開きながら一応確認する。

・・・うん、確かに常識の範囲内なら改造を認められている。

それならやる事は一つ。

せめて恥かしく無いような制服にしよう。

 

「裁縫・・・上手く出来るかな。」

 

そんな事を思いつつ制服の改造を始める。

正直あまり経験が無い。

いつも着ていた物といえば・・・、

ラインアークのオペレーターの服と寝間着くらいだった。

私服も一応何着か持っていたけど大体は安いもので済ませていた。

誰かに見せるのが目的では無いし、

何よりもお洒落に気を使っている余裕なんて無かった。

必然的に着るものは限られていた。

・・・しかし、裁縫は難しい。

手を刺さない様に気をつけないと・・・。

 

 

 

 

 

6時間後

 

 

 

 

 

「・・・出来た!」

 

やはりというかなんていうか。

私の両手の指には絆創膏が沢山つけられている。

やっぱり初めてで制服の改造は難易度が高すぎた。

変な所を切らないように気をつけていたら指を切ってしまった。

今度ちゃんと誰かに教わろう。

と、兎に角。

大体のイメージ通りの物が出来た。

 

「・・・うん、やっぱり袖を通すのならこういうものが落ち着く。」

 

早速出来た服を試着しながら変な所が見えていないかの確認を行う。

自分では平気なつもりでも、

やはり一度袖を通してからも見ないと全ては把握できない。

気付かない内に変な所を切っていて下着が見えていたら大惨事。

変態女のレッテルが張られてしまうのは絶対に嫌だ。

 

「とりあえず制服はこれで良し。」

 

一通り確認し終えた制服を脱ぎ、

シワにならないようにハンガーに掛ける。

必要な知識についても既に予習済み。

紙で送られてきて、その厚さは想像以上だったから焦ったけど。

それでも何とか全て理解してある。

これで一通りの準備を終えたと言っても問題じゃない。

後は・・・遅刻をしない為に早く寝るだけ。

もうすっかり馴染んでしまった少し硬いベッドに横になる。

硬いとは言っても前のベッドに比べたら全然マシ。

逆に何時までも寝ていたい気分になってしまう。

そんな事を思っていると、早速睡魔が襲ってきた。

 

「・・・おやすみ。」

 

返事が返ってくるわけではないのに、

ついそんな事を言ってから・・・私は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の故郷を守る為、

罠と知りつつもジョシュアとの決着に挑んだ彼。

彼を手助けするためにオペレートに望んだけれど、

結局私の出る幕は無かった。

・・・いや違う。

私が口を挟んで彼の集中が途切れた瞬間、一瞬で勝負が決まってしまう。

そう確信していたからこそ、

私は彼の勝利を信じてただモニターするしか方法が無かった。

結果、勝利したのは彼のほう。

ジョシュアが乗っていた00-ARETHAは撃墜。

その時にジョシュアも一緒に死んでしまった。

・・・けど、そこで彼の肉体(・・)は限界を迎えた。

00-ARETHAが完全に動かなくなったのを確認した後、

彼が乗っていたネクストも同じく動かなくなってしまった。

それからの事は良く覚えていない。

どうにかして彼のネクストを回収した後に・・・彼の言葉を聞いた気がする。

それが何て言葉かは分からない。

それから私がした事と言えば・・・正直最低な事だと思う。

もはや意識すら定かではなかった彼を・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・最低な目覚め。」

 

そこで私は目覚めた。

まさかあんな昔の事を思い出すなんて・・・。

正直、私がした行動は間違いだったというのは答えられない。

やっと戦いから解放されて、

眠りにつこうとしていた彼を再び戦わせる為の道具にしたのだから。

・・・ふと、視界が滲んだ。

 

「・・・泣いてる?」

 

手で触れてみると、そこには確かに涙の後があった。

・・・私は、後悔しているのだろうか。

ジョシュアを・・・彼を・・・助けられ無かった事を。

致し方ないとは言え、彼を再び戦場に戻してしまった事を。

 

「・・・フフ、本当にこんな姿は彼とジョシュアには見せられないかな。」

 

自嘲気味に笑いながら涙をふき取り完全に体を起こす。

・・・既に覚悟は決めている。

彼にWGを返した後、私はこの身を彼に委ねるつもりでいる。

彼が私の事を決して許さないと言うのであれば、

私はこの命を彼に断たせる。

そうしないと、私は彼に顔向けできないから・・・。

 

「・・・時間ね。」

 

時刻は7時30分を回ったところ、

昨日改造を終えたばかりの制服に袖を通し、

かなり少なめの荷物を持つ。

 

「短い間だったけど・・・お世話になりました。」

 

二週間と言う短い期間、

私の活動拠点となった部屋にお礼を言ってから。

私はこの部屋を後にした・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう。」

 

「おはようございます。」

 

IS学園に到着した私はまず生徒会室に顔を出す。

事前に楯無さんに呼ばれていたから。

生徒会室に入り、既に来ていた楯無さんに挨拶をする。

 

「さて、まずはこれを言っておくわ。

ようこそIS学園へ、私達はアナタを歓迎します。」

 

「在籍期間中、よろしくお願いします。」

 

「ええ、よろしくね。

・・・早速で悪いんだけど、在籍期間中にアナタの担任になる人を紹介するわ。」

 

楯無さんがそう言うと生徒会室のドアが開く。

そこには黒い髪とキツ目の表情、

それにスーツを着た女性が入ってきた。

 

「ご足労頂いてありがとうございます・・・こちらが例の。」

 

「そうか・・・話は楯無から聞いている。

お前の担任になる織斑千冬だ。」

 

「織斑先生ですね、よろしくお願いします。

フィオナ・イェルネフェルトです。」

 

「ああ・・・色々聞きたい事はあるが、

まずはこれだけは言っておく。」

 

織斑先生は私の前に立ち、

 

「楯無からの依頼の事があるにせよ、

この学園に在籍している間はお前はここの生徒だ。

私もそのつもりで接する。」

 

そう言い切ってきた。

・・・うん、私としてもそちらのほうが在り難い。

下手に特別扱いされると他の生徒から要らない誤解を招くから。

 

「そうして頂けると私としても助かります。」

 

織斑先生に確かに頷き返してから。

 

「では、そろそろ時間になる。

お前の所属する事になるクラスに行くぞ。

ああそれと、お前がNEXT持ちである事は私は承知しているが・・・。」

 

「分かっています、

他の方には内密にします。」

 

「分かっているようで何よりだ。

ではな楯無、何かあればこちらから連絡する。」

 

「お手数をお掛けします。」

 

「既に問題児ばかりだからな・・・気にするな。」

 

織斑先生は問題児と言ってはいるけど、

そこに込められた感情は優しさだった。

恐らくだけど、本当にクラスやこの学園の事が好きなのだろう。

・・・楯無さんからの依頼をしっかりと遂行しないといけない。

私の目的の為でもあるけど、

それ以上に、この人達の心労を増やしたくない。

そう思った・・・。

 

 

 

 

 

織斑先生の案内の下、

私は自分のクラスとなる1組のドアの前で待っている。

ただ立たされている訳じゃない。

良いと言うまでここで待っていろと言われている。

しかし・・・、学校・・・か。

正直自分が生徒として通うことになるとは思わなかった。

勿論いつかは此処を離れる事になる。

けれども、それまでは迷惑を掛けないで過ごそう。

 

「・・・入れ!」

 

っと、いけない。

つい色々と考え込んでしまった。

さて、行きますか。

 

「失礼します。」

 

ドアを開け、私は教室へと足を踏み入れる。

皆の視線が私に集中してるのが分かる。

・・・あんまり注目されるのは馴れていないのだけど。

 

「「あ・・・!!」」

 

教壇の横に立ち、クラスメイトを見ると驚きの声が聞こえた。

その声の出所を見ると、そこには篠ノ之さんと織斑君が居た。

私としても声を掛けたいところではあるけど、まずは自己紹介をしないと。

 

「フィオナ・イェルネフェルトです。

本日よりこちらに転入する事になりました。

至らない点があるかとは思いますが、よろしくお願いします。」

 

私はお辞儀をしながら、自分の名前を名乗る。

・・・さて、ここからどうしよう。

 

「・・・まあ良い、イェルネフェルトはウォルコットの隣の席だ。」

 

ウォルコット?

・・・まさかとは思いますが。

織斑先生に言われた場所を見ると、

そこには映像でしか見たことは無いけど見覚えのある生徒が居た。

その生徒も私のほうを見て少しばかり怖い顔をしている。

あの反応を見ると・・・カラードのランク2、リリウム・ウォルコットで間違い無さそう。

 

「では直ぐに授業を始める。」

 

「分かりました。」

 

織斑先生に促されて言われた席に座る。

 

「よろしくお願いしますね、ウォルコットさん。」

 

「・・・よろしくお願い致します、イェルネフェルト様。」

 

席に座ってからウォルコットさんに挨拶をすると、

表情はあまり変わっていないけど挨拶を返してきた。

・・・さていきなり前途多難ですが、上手く立ち回るとしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと短いですがここまでです、
現在体調を崩してしまっているので更新は少しあきます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。