Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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第32話(Bルート2話) 凶鳥

「・・・マズいことになったね。」

 

私は今COLLAREDに所属している全社員を集めている。

理由は一つ。

謀反したグリントにどう対処するかを話し合う為。

普通のIS相手であれば私はまず負けないけれど、

今回は完全に相手が悪い。

何せ相手は最強の力を持った・・・文字通り規格外の存在。

正直勝てるビジョンがまったく見えない。

うーん・・・こんな事になるならあんな命令を出すんじゃなかったよ。

 

「束ちゃん的にはセレンに一番話しを聞きたいけどなー。」

 

ちょっと酷だとは思うけど状況が状況。

ここは一番長い間傍に居たセレンに聞くしかない。

 

「・・・まず一つハッキリと言っておく。」

 

「何かな?」

 

「私とアイツが全力でぶつかったとしても・・・、私は確実に負ける。」

 

「マ・・・マジかよ・・・。」

 

セレンの宣言に対しファンションは顔を青ざめながら呟いた。

うん、しょうがないと思う。

一ヶ月の間とはいえセレンの力を目の当たりにしてきているというのに、

そのセレンがハッキリと負けると宣言したんだから。

 

「彼を止める為に必要だと思う戦力はどれくらいだと思う?」

 

「そうだな・・・最低でも超一流の腕前のNEXTを5機以上、

もしくは完璧に連携が取れる専用機持ちを50人以上は居ないと勝負にすらならない。」

 

「あ・・・ありえない。

幾らストレイド様がお強いとは言ってもそれは過剰すぎるのでは・・・!」

 

セレンが言った必要戦力に対しメイは反論をするが・・・、

 

「・・・残念ながら事実だ。

以前アイツともう1人のリンクスを殺すべく、

超一流の腕前を持つリンクスを4人ぶつけた事がある。」

 

「・・・結果は?」

 

「1人のリンクスを倒す事は出来た・・・が、

それでもアイツを倒す事は叶わなかった。

迷いを捨てたアイツはそれ程までに強いし容赦が無い。」

 

「マージかー・・・。」

 

セレンが言ってるのは多分グリント自身が言っていた最後の時の事だと思う。

・・・というかそれほどまでの戦力をぶつけても勝つアイツって人間なのかな?

 

「・・・本当にこれは洒落にならない事態だね。

仕方無い・・・ちょっとちーちゃんに連絡するね!」

 

そう言ってからすぐさま電話を取り出してちーちゃんに連絡をする。

 

「・・・束か、何の用だ?」

 

ちーちゃんにコールをしてから数秒後、直ぐに出てくれた。

 

「やっほーちーちゃん元気してるぅ~?」

 

努めて明るい声を出す。

ここで私まで暗い雰囲気を出しちゃいけない。

そう思ってのことだったけど・・・。

 

「・・・何か起きたのか?」

 

ちーちゃんには直ぐに見破られた。

流石ちーちゃん!

私の事を見破るのは馴れたものだね!!

 

「アッハッハー、超ヤバイ状況になっちゃったんだけど・・・。

これから会える?」

 

「・・・お前がそこまで言うのであれば余程の状況のようだな。

分かった、私1人で行けば良いか?」

 

「出来ればいっくんと箒ちゃんも居たほうが良いかな?

後はちーちゃんが認めてる専用機持ちだったら良いよ。」

 

「そこまでの事態なのか・・・。」

 

「うん、下手したら私死んじゃうかも。」

 

「なんだと・・・!」

 

私が言った言葉を信じられないと言った様子でちーちゃんは返してくる。

そりゃあそっか。

何せこの超天才の束ちゃんがそこまで言うんだからね!!

 

「・・・直ぐに集める、どれくらいで来れる。」

 

「明日にでもそっちに行くよ。

場所はちーちゃんが決めて良いよ!」

 

「では学園に来い、人払いはしておく。」

 

「ありがとー! それじゃあまた明日ね!」

 

「ああ。」

 

最後に軽く挨拶をしてから私は電話を切る。

 

「・・・さて、それじゃあ直ぐにいこっか!

今は一秒でも無駄に出来ないし!」

 

「「分かった。」」

 

「「「分かりました。」」」

 

電話を仕舞い、私は皆に声を掛けた後にすぐさま移動を開始した・・・。

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、集まってくれてありがとね。」

 

ちーちゃんとの約束通りに私達はIS学園へと足を踏み入れた。

先立ってちーちゃんが宣言していた通り、

確かにここに来るまでに誰とも会わなかった。

 

「いっくんと箒ちゃん以外の5人と・・・その2人は?」

 

両方共顔を見たことが無い・・・けど、

ちーちゃんが選んだ人選だからね、心配はしていない。

 

「リリウム・ウォルコットです、以後お見知り置きを。」

 

「フィオナ・イェルネフェルトです、よろしくお願いします。」

 

「篠ノ之束だよ、箒ちゃんのお姉さんだよー!」

 

簡単に自己紹介を済ませてから、

 

「・・・さて、本題に入るね。」

 

そう宣言した。

皆は何が飛び出すかと言う表情で固唾を飲んで見守っている。

 

「・・・グリントが謀反したの。

アイツは今どこに居るか分からないけど・・・、

こんなメッセージが届いたんだ。」

 

「ストレイド様が・・・謀反!?」

 

えーと・・・確か・・・ウォルコットだったかな?

ウォルコットが驚きの表情を浮かべている。

 

「・・・見せろ。」

 

ちーちゃんは私から端末を奪いグリントが送りつけてきたメッセージを見る。

 

「・・・真実か?」

 

「残念ながらね。」

 

「何て書いてあったんだ?」

 

私に聞いてきたちーちゃんに対していっくんは聞いている。

 

「・・・全てのISを破壊する、

止められるものなら止めてみろ・・・だそうだ。」

 

いっくんの問いに対してちーちゃんはそう答えた。

 

「全てのISを破壊する・・・だって!!」

 

ありえないと言う表情でいっくんは聞いている。

まあ、しょうがないよね。

正直これが冗談だったらグリントを一発殴ってから心の底から安心するもん。

 

「・・・残念ながら事実だ、

どこまで本気かは分からないが・・・あいつは確実にやる。」

 

セレンがそう言うと、

 

「・・・それでしたら彼は既に行動を起こしているわよ。」

 

そう扇子を持った女生徒が声を出した。

 

「何故分かるのですか?」

 

「・・・情報が入ってきたのよ、場所はカナダ。

その国が所持していたISが軒並み破壊され、所有者は全て死亡。

行動を終えた彼は直ぐにどこかへ消えたそうよ。」

 

「ま、待ってください!

彼がこのメッセージを送ってきたのは昨夜ですよ?

そんな一日で・・・!」

 

扇子を持った女生徒が言った言葉をありえないと言って来るけど・・・。

 

「・・・残念ながら可能です、

ネクストが持つOB・・・いえ、

外部オプションであるVOBを使用すれば・・・、

例え数千km離れていても数時間後には到着します。」

 

そう言ってくるのは確か・・・イェルネフェルト。

・・・待った、今この子は聞きなれない単語を口にした。

 

「VOB?」

 

その装備の事は知らない。

話を聞く限りはブースターの様な物だとは思うけど・・・。

 

「そうです。

正式名称はヴァンガードオーバードブースト。

機体背部に接続する巨大な追加ブースターです。

・・・これを使用すると最高速度で4000kmまで達する事が出来ます。」

 

「よ、4000km!?」

 

えーと、4000kmと言えば・・・マッハ3.2くらい?

流石の束ちゃんでも引いちゃうよ?

 

「あくまでも最高速度です。

通常の航空速度でも2000kmは行きますが。」

 

「そ、それでもマッハ1.6くらいかぁ・・・。

良くそんなゲテモノ装備を作ったものだねぇ。」

 

「必要な物でしたからね。

・・・尤も真っ直ぐにしか飛ばすことが出来ないので、

迎撃される可能性のほうが高いですよ。」

 

ほ、ほほー。

なるほど・・・勉強になるなぁ・・・って。

 

「ちょっと待った!!」

 

思わず関心しちゃったけど待った待った。

 

「何でしょうか?」

 

イェルネフェルトは何の事か分からないと言った様子だけど・・・。

 

「君・・・詳しすぎない?」

 

「ああ、その事ですね。」

 

私が言った言葉に対して、

 

「状況が状況なので隠していても仕方がありません。

・・・ウォルコットさんも宜しいですね?」

 

イェルネフェルトはウォルコットにそう確認をしている。

 

「・・・仕方がありません。

織斑先生に呼び出された時に覚悟は出来ています。」

 

ウォルコットは溜息混じりにそう返答をした。

 

「ありがとうございます。

・・・私とこちらのリリウム・ウォルコット。

それにそちらにいらっしゃるセレン・ヘイズ。

それに・・・アナタ達がストレイドと呼んだ人物。

この4人は・・・この世界の住人ではありません。」

 

「「「「「「「な・・・!!」」」」」」」

 

イェルネフェルトが言った衝撃の事実に対して、

先ほど名前が挙がった人物以外は全員驚愕の声を上げた。

・・・うん、私も正直驚いてる。

セレンとグリントが異世界の住人っていうのは知ってたけど、

まさかそれ以外でも居たなんて・・・!!

 

「あ、先に言っておきますが・・・私の本職はオペレーターです。

今は理由があってネクストを預かっていますが戦力としては数えないでください。

彼と相対したとき、1分持てば良いほうですよ。」

 

「・・・一応私もオペレーターなのだがな。」

 

「私よりも上手くネクストを扱えているじゃないですか。」

 

「・・・まあ、な。」

 

イェルネフェルトが言った言葉に対してセレンは曖昧な返事をする。

・・・でもこれで戦力は少しはマシになった。

それでもアイツを止められる可能性は低いけど。

今ここには専用機持ちが7人とNEXTが・・・、

 

「・・・リリウムもネクスト持ちです。

使用する気はありませんでしたがそうも言っていられる状況ではありません。

腕前の方は多少は信じてもらっても大丈夫ですよ。」

 

ウォルコットもそう言ってきてくれた。

・・・うん、それならNEXTが3機ある。

それなら少しはやりようがあるかもしれない。

勝算は1京分の1くらいだけど・・・、

それでも勝ち目があるだけまだマシだと思う。

 

「分かったよ!

それなら具体的にどうやってアイツを倒すか・・・これから考えよう!」

 

私はそう宣言してから具体的な話し合いを始めた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて。」

 

俺は今アメリカに居る。

ここに存在しているISを破壊する為に。

アメリカに来る前、先立ってカナダのISを全て破壊した。

抵抗しなければ命を取るつもりは無かったが・・・、

抵抗してきたんだ、

死ぬのは覚悟の上だと判断して遠慮無くやらせてもらった。

結果としては俺の勝利。

カナダに存在していたISはその全てが無くなった事になる。

やれやれ・・・先は長いな。

あまり時間は掛けたくは無いが焦っても仕方が無い。

のんびりやるとするよ。

 

「・・・しかし、これは驚いたな。」

 

カナダ襲撃の報が既に伝えられたのだろう。

現在アメリカに居るISが全て目の前に居る。

流石に壮観だな。

数は・・・まあ良いか。

どうせ全て壊すんだ、壊し終わった後に数えても良いだろう。

 

「・・・貴様がカナダのISを全て壊したISね?」

 

先頭に居るISがそう聞いてくる。

・・・あのフォルムは、福音か。

あの後どうなったか少し気になってはいたが・・・、

無事に改修されて前線に復帰できるまでになったらしい。

 

「それがどうした?」

 

片手には07-MOONLIGHTを、

もう片手にはKIKUを装備しつつ答える。

別にHLR01-CANOPUSや03-MOTORCOBRAでも良いが、

この2つだと火力不足だ。

連続で叩き込めば破壊は容易だがあまり弾を使いたくない。

何せ今は孤立無援。

エネルギーはある程度何とかなるが実弾はそうもいかない。

今ある弾を大切に使わないとな。

 

「何故こんな馬鹿な事をするの!」

 

そう思案していると福音から質問が来た。

馬鹿なか・・・ふむ、確かに馬鹿な事だ。

 

「そうだな・・・今のこの世界は歪んでいる。

だからその歪みを正そうかと思ってだ・・・この答えで満足か?」

 

「・・・革命家にでもなったつもりなの!!」

 

「違うな・・・敢えて言うならば、

俺はただの破壊者だ、それ以上でも以下でも無い。」

 

「・・・まあ良いわ、話は牢屋でたっぷりと聞かせてもらう。」

 

そう言って福音達は戦闘態勢を取る。

・・・一応言っておくか。

 

「抵抗せずにISを差し出すと言う事であれば命は取らんが?」

 

「この数を相手に勝つつもりなの・・・!!」

 

やはりダメか。

それはそうだろうな。

数では向こうが圧倒的に有利。

これを覆すのは通常は不可能だ。

・・・通常はな。

 

「忠告はした。

差し出すつもりが無いと言う事であれば・・・。」

 

片手の07-MOONLIGHTを最大出力で起動させつつ、

 

「圧倒的な力の差に絶望しながら・・・死ね。」

 

福音達との戦闘を開始した・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、

アメリカが所持していたISは搭乗者毎失われる事になる。

・・・そしてこの日を境にして、

黒い鳥と呼ばれていたISは別の名前で呼ばれるようになる。

圧倒的な力を持って絶望を運び込む鳥・・・凶鳥と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残数・・・400

 

 

 

 

 

 

 




コアがどの国に幾つ配置されているかの情報が無い為、
割と想像な部分での残数です。

戦闘描写は重要局面以外バッサリカットです。

なおセレンさんが首輪付きを倒す事が叶わなかったと言っているのは、
単に水没王子が水没詐欺をして後ろからバッサリやったのを知らないからです。

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