Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

4 / 33
現在の時間軸上は本編開始~決闘前辺りです。
別軸で進んでいきます
ちなみに今作の束様は興味がある人に対しては滅茶苦茶優しいです。


第3話 思惑

俺とセレンが束さんからの依頼を受けた後、

色々と劇的に変わる…わけはなかった。

俺がセレンに話しかけると、

一応は反応はしてくれるが前の様な厳しさの中に暖かさがあるようなものじゃない。

ただ仕方が無いから話をしているとでも言うような雰囲気だった。

 

「俺が原因とはいえ、堪えるなぁ。」

 

最初にセレンに起こされた場所で、1人座りながらそんな事を愚痴る。

うん、いやまあ。

どこをどう考えても100%俺が悪い。

何せあの虐殺を1人で決めてしまったから。

あの時のセレンの声は今でも耳にこびり付いている。

怒りと失望。

短く言われた言葉の中にはハッキリとそんな感情が渦巻いていた。

だが、一度回りだしてしまえばもう止まらない。

ただただ人類を間引く為ひたすらに殺して回った。

そして、偽りのあの依頼。

俺とオールドキングは顔を見合わせていた。

無論どうするかを確認する為じゃない。

迫る脅威を殲滅し、再び人類を間引く為だ。

だが結果はコレだ。

オールドキングと刺し違えたと思っていた

テルミドール…いや、オッツダルヴァ(水没野郎)が動かない俺に向け攻撃を仕掛け、

まんまと罠に嵌った俺はそのまま撃破…死亡してしまった。

その後がコレだ。

 

「ハァ…まったく、何をするにしても中途半端な男だよ…俺は。」

 

適当な所にあった石を海に投げつつ、

誰に聞かせるでもない愚痴を再び言ってしまう。

こんな事になるならあのまま死んどけば良かったって思うよ、本当に。

 

「おやおや~、迷える若人を発見だよー。」

 

暫くそうしていると、後ろから声を掛けられた。

確認するまでもない、この声は束さんだ。

 

「珍しいじゃないか、外に出るなんて。」

 

「君を探していたんだよー。」

 

「俺を?」

 

「うん。」

 

そう言いつつ、束さんは隣に腰掛けてきた。

何かを話しかけられるかと思い、そのまま黙って待つ。

2人の間に静寂が包み込む。

 

「一個、聞いても良いかな?」

 

「黙秘権は?」

 

「無い。」

 

「どうぞ。」

 

思わず溜息をつきそうになるが、そこはなんとか我慢をして続きを促す。

多分だが…聞かれる事は予測できた。

 

「グリントとセレンって、元々その相棒だったんでしょ?」

 

ほら来た、やっぱりな。

さてどうするか、適当な事を言ってはぐらかす事も出来るが…。

 

「ああ…まあ、そうだな。」

 

結局馬鹿正直に答えてしまった。

何か意図があったわけじゃない、

だが何となく…束さんには知っておいて欲しかっただけかもしれない。

 

「だよねー、何となくだけどお互いの事をよく知ってそうだったもん。

それなのになんでセレンはあんな態度を取るのかなぁーって。」

 

「…。」

 

「私も興味が無い物に関しては徹底的に無視するけどね。」

 

「…そうなのか?」

 

「そうだよー、時間の無駄だもん。」

 

束さんはそうハッキリと言い切った。

成程、であれば俺達は興味があるという対象らしい。

 

「出来れば教えて欲しいかなー。

いざという時に仲違いしたら私の身が危なそうだからねー。」

 

「…その点は安心していい。

俺もセレンもリンクスだ、受けた依頼は確実にこなす。」

 

「それでもだよ、

私は嫌だよー、ピリピリした雰囲気が続くのなんて。」

 

口調はゆったりとしているが、

その実有無を言わさない迫力を持っていた。

良いからさっさと話せって事か…、仕方無い。

 

「…俺とセレンの出会いは覚えてる?」

 

覚悟を決め、俺は話を始める。

 

「確か…孤児院で1人暮していた時にセレンが引き取ったんだっけ?」

 

「概ね合ってる、その後俺はセレンから…全てを教えてもらった。

荒廃した世界での生き方や、リンクスとなるためにはどうしたら良いかとかな。」

 

「…。」

 

「あの時間があったからこそ、

物事を知らず、ただ獣だった俺は人になる事が出来た。

その事は感謝してもしきれない。」

 

もう、アレは何年前の事だろう。

度重なる激戦を潜り抜ける内に記憶が磨耗してしまったらしい。

既に昔の事を思い出す事が出来そうに無い。

だがそれだとしても、

セレンから手解きを受けていた時の事は鮮明に思い出せた。

 

「そんな人だったのに、なんでかな?」

 

「…セレンが俺達の世界の事を話したな、アレには続きがある。」

 

「続き?」

 

「…そうだ、そしてそれこそが多分原因。」

 

多分…とはいったが、確証がある。

というよりも、それ以外考えられない。

 

「刻一刻と絶対数を減らしていく人間…だがな、

中には汚染地域ではなく清浄な空間で暮している人間も居たんだよ。」

 

「へぇ…。」

 

「地上からエネルギーを吸い続け、

それが持つ限り安寧が約束された人間達…、所謂企業の重鎮共の事だ。」

 

その施設の名をクレイドル。

地上からエネルギーを供給し、汚染が届く事が無い空で暮していた人間達。

だがそこで暮していたのは一般人じゃない。

世界を牛耳っていた企業…その重鎮共と家族が住むためだけの施設だ。

 

「可笑しい話だろ?

地上ではどんどん汚染が進んでいき住める場所が少なくなっているのに、

のうのうと自分達だけ安全な場所で生を謳歌していたんだからな。」

 

「…まさか。」

 

そこまで言った後、何かに気がついた束さんはそう呟いた。

 

「ああ、だから…俺がこの手で落としてやった。

空を飛び続けるには勿論エンジンが必要だ、

それを片っ端からぶっ壊して地上に叩き落してやった。」

 

その数5機。

一つに2千万の人間共が住んでいたから、

俺はこの手で1億人を殺した事になる。

 

「その時にな、セレンにハッキリ言われたんだよ。

…お前とはもうやってはいけないって。」

 

その行動を後悔した訳じゃない、

テルミドールが計画していた

クローズ・プランを実行するには確実に必要な事だったからだ。

 

「それからもただひたすら殺して回った、

そんなある時かな、企業から依頼が来たんだ。」

 

あの運命の依頼が。

アルテリア・カーパルスという施設の占拠の依頼。

 

「まあ、結論を言えばその依頼は罠だったんだよ。

世界中の人間を殺して回る俺に対し、

企業は危険すぎると判断して俺を殺す為だけに出された依頼さ。

あの時は流石に肝が冷えたね。

罠だっていうのは分かっていたが…。

まさかたった1人のネクストを殺す為に

現存する最強のリンクスを5人もぶつけてきたんだからな。」

 

まあそれほど危険視されていたって事だ。

その場で確実に始末しなきゃいけないってな。

 

「…話が長くなってきたな、

要約するとその依頼において俺は撃破され死亡した…と思ったが。」

 

「この場所で目が覚めたって訳だね。」

 

「そう言うこと。」

 

最後にそう締めくくり、体を横にした。

 

「以上だ、質問は?」

 

「無いけど、一個だけ言っていい?」

 

「どうぞ。」

 

「バーカ。」

 

「な…。」

 

一切の間段無くその言葉を俺に言ってきた。

 

「虐殺した事に対しては私は何とも思って無いよ?

別にこの世界の出来事じゃないからね。

でもさぁ、なんでそれをやる事を事前にセレンに言わなかったのかな?」

 

「うっ…。」

 

痛い所を突かれた。

そう、言おうと思えば言えた。

だが言えなかった。

それを言ってしまえばセレンが離れていくのは分かっていたからだ。

…まあ、結局は変わらなかったが。

 

「全てを教えてもらったーとか、

大事な人だーとか言っておいて、

所詮グリントの中ではセレンはその程度の人だったんだねー。」

 

「…そんなわけ。」

 

「あるよ、

だって私も同じ事をやっちゃったから分かるもん。」

 

「え…!?」

 

サラリと言われたその言葉に俺は思わず体を起こして目を見開く。

 

「束さんにはねー、

目に入れてもまったく痛くないそれはもう可愛い妹が居るんだけどー、

政府の奴等に仕事を強要されるのが嫌になっちゃって黙って消えちゃったんだー。」

 

…やる事のレベルが違うとはいえ、俺とやってしまった事は同じだ。

 

「やっちゃったものは仕方が無いんだけどねー、

その所為で箒ちゃんは愛しのいっくんと離れ離れになっちゃってね、

正直言うと束さんはその事だけは今でも後悔してるんだよ。」

 

後悔しているとは言っても、

それでも束さんはやり直したいとは思っていないのだろう。

 

「もう私と箒ちゃんはやり直す事は出来ないかもだけど、

グリントとセレンはまだ大丈夫だよ。」

 

そう悲しみなど微塵も感じさせない笑顔を浮かべながら。

 

「君がやってしまった事は消す事は出来ない。

だけど君達は奇跡的に生きていて同じ場所にいる。

それならもう一度しっかりと話し合う事が出来るじゃん?」

 

「痛ッ!」

 

「ほら、行って来なさいな!」

 

束さんから一度背中を叩かれ視線の先を見ると、

そこには憤怒の表情を浮かべているセレンが居た。

 

「…ああ、俺今日死ぬかも。」

 

これから俺の身に起こる出来事を予感しつつも、

それでも激励を送ってくれた束さんに感謝しつつ。

説教と言う名の折檻を受けるべくセレンの元へと走っていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあー、何だか全然私らしくないなー。」

 

ヘッドロックをかけられながら連行されていくグリント達が姿を消した後、

私はそんな事を言いつつ砂浜に身を投げた。

 

「なーにがやり直す事が出来るだっつーの!

あんな台詞を真顔で吐けるなんて全然私じゃなーい!!」

 

そのまま体に砂がつくことなんてお構い無しにゴロゴロと転がり始める。

 

「今思い出しても顔から火が出そうだよー!

私が考えてる事を実行する為に仕方が無いとはいえ、

なんであんな恥ずかしい事を言っちゃったかなー!!」

 

今考えている事、

それは私に対してアクションを起こそうとする国に対して牽制する為の措置。

つまり…防衛機構の設立。

いや、違うか!

防衛力を持つ企業を起業する…なんつって!

 

「…つまんな!!」

 

思わず頭に浮かんだ親父ギャグを自分でこき下ろしながらもスッっと立ち上がる。

果て無き成層圏(インフィニットストラトス)を目指す為の子達をこんな事に使いたくは無いけど、

私が考え付いた事…それは。

世界初のISを用いた傭兵企業の設立。

会社員はあの2人、私はあくまでも裏からの支援として。

こっちに余計な事をしたら有無を言わさずぶっ殺すからな?

っていう脅しを込めて大々的にぶち上げようと思ってる。

 

「本当にこんな事には使いたくないんだけどね…。」

 

だが、私の身は決して安全とは言えない。

今は見つかりそうであればさっさと逃げているけど、

それも何れできなくなり、やがて捕まってしまう。

そうなってしまえば自由も無く、ただただ政府の人形として日々を過ごす事になる。

それだけは絶対に避けなきゃいけないし。

仮にもそんな事態になれば今度こそこの世界を丸ごと壊さなきゃいけなくなる。

別に関係無い人間が何億人死のうがどうでもいいけど、

この世界には箒ちゃんが、ちーちゃんが、いっくんがいる。

私の世界であるこの子達が住む世界を壊す。

それだけは、………一応嫌だ。

だからこそかつてはそんな使い方を想定したわけじゃないけど、

やらなきゃいけない。

幸いお金は腐るほど持ってる。

あとは会社員の数だけど…。

 

「最低でも…後1人は欲しいかな?」

 

あの2人は明らかに実戦向き。

セレンはオペレーターをやっていた事があるらしいけど、

それでも本質はやはりIS乗り(リンクス)だ。

手が足りないときは回って貰っても良いけどなるべくなら前線に立って貰いたい。

 

「…あ、そういえば。」

 

そこまで思考した時に、ある事を思い出す。

最近変な事をしている施設があった。

なんだっけ、確か…。

 

「ちーちゃんの戦闘力を備えた忠実な兵を作り出す為の施設…だったかな?」

 

ああそうそう、口に出して完全に思い出した。

場所は…確かドイツ辺りだったハズ。

普段だったら完全にスルーしてたけど、

あろう事かちーちゃんと同じと来た。

それが分かってから早速潰そうとした矢先、あの2人が来た。

 

「お! 束さんってば思い付いたよ!!」

 

そうだ、あの2人の戦闘力はまだ分からない。

それなら今回のこの仕事を2人に任せちゃえばいい。

そのついでに可能であれば人員もゲットしてしまえばいい。

うん、我ながらナイスアイディア!!

世間一般的には誘拐になる?

ノンノン!

これは非合法で作られた人を保護する為の人道的措置なのだ!

こじつけ?気にしない気にしない!!

早速この事を2人に依頼するべく、

恐らく猛烈に怒られているグリントと、

猛烈に怒っているセレンを探す為に一度研究室へと戻った…。

 

 

 

 

まあ、結論から言えばだけど2人は私の研究室に居た。

散々殴られたであろうグリントの顔が腫れまくってて思わず爆笑しちゃったけどねー

でもグリントの顔は憑き物が落ちたようだったし。

セレンの顔も分かり辛いけど心の底から安堵しているようだった。

うんうん、

まったく私らしくない激励をした甲斐があったっていうものよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 




アルテリア・カーパルス占拠は本来は勿論オールドキングと共に向かっていますが、
居ない人間の事を言っても話が分かり辛くなる為と判断してストレイド君はオールドキングを彼方へと消しました

そして束様のコレジャナイ感が凄い
だが後悔はしてない
次回は蹂躙(戦闘)になるかとは。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。