Infinite Stratos×For Answer   作:西方有敗

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第8話 意図せぬ再会

「ここがIS学園ねぇ…。」

 

隠れ家を飛び立ち、2時間程飛んだ先にある学園。

それがこのIS学園だ。

 

「しかし・・・広いな、事前にもっと下調べして置けばよかった。」

 

学園・・・と言われても、

俺が居た世界には既にそんなもの無かった。

あったとしても研究所の中にある冷えた一室。

そんなイメージしかない。

 

「さて、無事に迷えずに・・・。」

 

「お前が新しい転入生だな?」

 

セレン?

おかしいな、セレンとは先ほど分かれたばかり何だが・・・。

そんな事を思いつつ声の正体を見ると、

そこには何だか見た事があるような人が立っていた。

 

「(ああ、この人が織斑千冬か。

  束さんの親友にして世界最強のブリュンヒルデの。)」

 

いやしかし。

千冬先生を見ているとセレンを思い出すな。

顔とかは結構違うが、なんていうか雰囲気がそのまんまだ。

 

「どうした、違うのか?」

 

「ああ、いや失礼。

知り合いに良く似ていたもので思わず魅入ってしまった。」

 

「…良く分からんが、まあ良い…付いて来い。」

 

「了解。」

 

俺は短く返答してから先を歩く千冬先生の後をついていった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

 

 

 

 

 

 

 

「職員室に連れて行ってくれるんじゃなかったのか?」

 

案内された場所は部屋名を見ると生徒会室と書いてあった。

 

「・・・普段はな、だがお前の場合は特別だ。」

 

部屋に入り(しっかりと施錠はされた)中央まで進むと、

そこには水色の髪で扇子を持った女が居た。

 

「生徒会長の更識楯無よ、よろしくね。」

 

扇子を開きながら目の前の女はそう自己紹介をしてきた。

・・・扇子にはしっかりと警戒って書かれているが。

 

「ストレイド・グリント、世界で2番目の男のIS適正者らしい。」

 

相手が名乗ったんだ、こちらもしっかりと名乗らないとな。

 

「ところで早速聞きたい事があるのだけど。」

 

・・・へえ、いきなりか。

まあここに居る面子だったら別にバレても問題無いだろう。

 

「・・・貴方のその首輪、それって趣味?」

 

「違う。」

 

・・・余りにも長い間つけていてすっかり忘れていた。

この首輪は見る奴が見たらそういう趣味の奴って勘違いするな。

かといって外せない以上どうする事も出来ないが。

 

「そう、それならその首輪が待機状態って事かしら?」

 

「そうだ。」

 

まあ、自然そんな考えに至るだろう。

俺の言葉に満足したのか、楯無は扇子を閉じてから。

 

「じゃあ次の質問・・・、貴方はCOLLARED?」

 

…やっぱりその質問をしてくるか。

さてどうするか。

ここで嘘を言っても良いが、後がめんどくさそうだ。

 

「どうしたの?、

答えられない事情でもあるのかしら?」

 

相手はいつでも行動出来る様に全身に力を入れている。

・・・中々やるな、いつか手合わせしてみたいもんだ。

 

「そういえば日本にはこんな言葉があるそうじゃないか。」

 

「?」

 

「百聞は一見にしかず・・・だ。」

 

装着。

心の中でそう念じ、俺の体が光に包まれる。

その光が収まったとき。

俺の体をストレイドが覆っていた。

 

「・・・やっぱり。」

 

「そう言うことだ、暴れる気は無いから直ぐに除装する。」

 

言うが早いか、俺は直ぐにISを除装した。

 

「・・・それで?

そのCOLLAREDがこの学園に何の用だ?」

 

千冬先生も警戒しているのだろう、

殺気を出しながら俺にそう質問してきた。

中々の殺気だ、これほどの物はリンクスと言えど出せる奴はそうは居まい。

 

「COLLAREDはどんな企業だ?」

 

「・・・正規なルートであれば何でもやる傭兵集団・・・そう認識している。」

 

「なんでもではないがな、まあ概ね正しい。

そうなると、必然俺がどうして此処に居るかも分かりそうなものだが。」

 

「・・・依頼の為、という認識で良いかしら?」

 

「正解だ。」

 

軽く手を叩きながら楯無が言った言葉を肯定する。

 

「・・・解せんな、依頼の為というのは理解できたが・・・、

何故NEXT持ちがこの学園に入学する必要がある。」

 

「簡単な事だ。

それだけ今回の依頼は失敗出来ないって事さ。

依頼主も依頼主だしな。」

 

「依頼主・・・束の奴か?」

 

「教えられないな。」

 

向こうとしても情報を欲しがっているのは分かってる。

だが必要以上に教える気はもとより俺にはない。

 

「…それじゃあ依頼の内容を教えてもらっても良いのかしら?」

 

「駄目だな、傭兵は信用が第一だ。

受けた依頼内容をおいそれと話してしまったら信用がガタ落ちしてしまう。」

 

俺がそう答えた瞬間、楯無の視線が険しくなる。

・・・ここでやりあうつもりか?

初日からいきなり派手にドンパチはしたくないが。

 

「では、最後に私から質問させろ。」

 

「どうぞ。」

 

「お前はこの学園を害する者か?

それとも守る者か?」

 

これは返答に困る質問が来た。

受けた依頼内容は箒といっくんとかいう奴の護衛と鍛錬だ。

2人の安全が何よりも最優先。

その為ならば他の生徒がどうろうと知ったこっちゃ無い。

 

「ふむ…その質問に対しての返答は持ち合わせないが…、

これだけは言っておく。」

 

しっかりと千冬先生の目を見ながら、

 

「余計な事をされなければ、俺から手出しをする気は無い。」

 

「その言葉は真実か?」

 

「言っただろ?

傭兵は信用が第一、この学園の破壊は依頼内容ではない。

まあ尤もだが、

この学園の破壊が依頼として舞い込んできたら俺はただ実行するだけだ。」

 

味方と思われちゃ適わない。

だから釘を刺す意味でもそう続けた。

そのままにらみ合うこと数分。

千冬先生が目を閉じながら。

 

「…少なくとも、今すぐどうこうする気は無い様だな。

その言葉、信じさせてもらう。」

 

「そうしてくれ、俺も無駄な血を流したくは無い。」

 

そこまで言った後に、

 

「さて、そろそろSHRだったか?

それの時間帯だと推測するが。」

 

「・・・そうだな、ついて来い。

今度はクラスに案内してやる。」

 

「ああ、そうそう。

最後にこれだけは言っておく。」

 

生徒会室を出る直前に楯無へと振り返り、

 

「俺を監視したければ好きにしろ、だが相応の覚悟はしておけ。

対暗部用暗部「更識家」17代目当主、更識楯無。」

 

「・・・そこまでお見通しって訳ね。」

 

「当然だ。」

 

それだけお互いに言い合い、今度こそ生徒会室を後にした。

 

「・・・ふう。」

 

2人が出た後の生徒会室にて、楯無は1人息を吐いていた。

 

「あれがCOLLAREDのNEXT・・・。」

 

先ほど数十秒だけ見たストレイドの姿を思い出す。

黒中心のカラーリングで赤色のバイザーアイ。

楯無がそれに対して抱いた印象は・・・。

 

「まるで、死を運ぶ黒い鳥ね。」

 

その物だった。

 

「取り敢えずは学園に対して危害を加えるつもりは無いって事だったけど、

正直怪しいものね、彼が牙を剥いた時私に止められるかしら・・・。」

 

楯無は確かにIS学園の生徒において最強の腕前を持つ。

生徒会長という役職についてるからもそれは明白だ。

しかし当の楯無は珍しく弱気になっている。

実は楯無は数少ないストレイドの戦闘記録を持っている。

更識家当主としての力をフルに活用し、何とか見つけ出す事が出来た。

その記録を見た時、楯無の顔は驚愕に染まった。

 

「…取り合えず監視は着けても良いって言われたから監視はしないとね。

だけど誰に任せようかしら。」

 

今度はその事で頭を悩ませる楯無であった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下にて無言で俺と千冬先生は目的の教室へと向かっている。

正直空気が重いったらありゃしないが別に馴れ合いが目的じゃない。

別にこのままでも構わないか。

 

「…グリント、聞きたい事がある。」

 

そう思っていたが、意外にも千冬先生から声を掛けてきた。

 

「内容によっては答えないかもしれないが…なんだ?」

 

俺の素性についてだったら黙秘させてもらうとしよう。

この世界で生きる奴等にはまったく関係が無いからな。

 

「…束の奴は息災か?」

 

「貴女と束博士の関係が分からないから黙秘といきたいが・・・」

 

まあ嘘だけどな。

千冬先生の事は束さんから良く聞かされているし、

束さんが千冬先生の事をどう思っているかも先刻承知だ。

 

「・・・親友だよ、アイツの常識の無さには振り回されっぱなしだがな。」

 

たっぷり数秒悩んでから、そう答えてきた。

・・・後半の部分は本気で疲れているのが見て取れたが。

 

「成程な、そう言うことであればお答えしよう…無駄に息災だよ。

COLLAREDを立ち上げてから身の安全が確保されたと大はしゃぎで毎日研究している。」

 

「そうか…ならばついでに言伝を頼みたい。」

 

「内容によるな。」

 

「簡単な事だ、たまには顔を見せに来い。

茶ぐらいは出してやると伝えて欲しい。」

 

「まあ、それぐらいなら別に構わない。」

 

千冬先生に答えると同時に、

 

「(束さん、今の聞いてたんだろ?)」

 

そう口の中で喋った。

流石に映像までは送る事は出来ないが、

この首輪の中に通信デバイスを埋め込んである。

これにより好きなタイミングでこちらから通信を送る事が出来る。

 

「(ちーちゃん・・・。)」

 

案の定聞いていたのか、束さんのそんな呟きが聞こえた。

 

「(どうするかは貴女に任せるが、

  雲隠れしてから会っていないのであれば会うことをオススメするよ。)」

 

最後にそう伝えた後、通信を切断した。

そして・・・。

 

「ここだ。」

 

千冬先生がある教室で立ち止まった。

 

「ここが?」

 

「そうだ、お前が入るクラスだ。

ここは私が担任だからな。」

 

「そう言うことか。」

 

学校に居る間であれば、

確かにそのほうが監視がしやすいし、俺も担任であればそうする。

 

「少しここで待っていろ。」

 

「了解した。」

 

千冬先生に頷いた後に、俺は少しの間廊下で待つことにした。

 

「(・・・しかし、まさか依頼とはいえ学校に来る事になるとはな。)」

 

以前居た世界ではとてもじゃないが考えられない。

あそこで学校に行ける奴と言えば、企業の老害共の関係者だけだったからな。

そう考えるとどんな所か楽しみではある。

 

「(…っと、いかんな。あくまで依頼の為だ。)」

 

緩みそうになる気を引き締めなおす。

そう、あくまで依頼の為だ。

線引きだけはしっかりしておかないと、いざという時に邪魔になる。

 

「・・・入れ!」

 

すると、丁度良いタイミングで千冬先生から声を掛けられた。

 

「さて・・・行くとするか。」

 

ドアに手を掛け、俺は教室へと入った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え・・・。」

 

俺が教室に入るなり、周りの生徒からそう声が上がる。

 

「自己紹介をしろ。」

 

「ストレイド・グリントだ。

騒がれるのは好きじゃなかったから内々で処理をしたが、

世界で2番目のISの適正者って事になる。

どれくらいの期間かは分からんがよろしく頼む。」

 

俺がそう自己紹介を終えると同時に、

 

「キャアアアアアアアアアア!!」

 

「男よ!!しかもかなりカッコいいわ!!」

 

「あの首輪ってまさかそう言う趣味なの!?」

 

「お前等うるさいぞ!!」

 

黄色い声が上がると同時に、千冬先生の雷が落ちた。

 

「ハァ・・・やれやれ、騒がしいクラスだな。」

 

俺は溜息を吐きながら、クラスの顔を1人1人確認する。

依頼対象の箒といっくん(?)を確認する為だ。

 

「(いっくんとかいう奴は男だと言っていたな、ならば最前のアイツがそうか。)」

 

極力目を合わせないように、いっくんの事を確認する。

なるほど、未熟そうではあるが良い面構えをしている。

 

「(次に箒だが・・・。)」

 

再びクラスの面子の確認をしていると、

こちらを見ながら信じられないとばかりに目を大きく見開いている者が居た。

 

「(・・・いや待て、アイツの顔は見覚えがあるぞ!!)」

 

「どうした?、

知り合いでも居たのか?」

 

俺の動揺が伝わったらしい、千冬先生からそう声を掛けられた。

 

「・・・いや、恐らく見間違いだ。」

 

何とかそれだけ返答をした。

 

「席は・・・そうだな。

リリウム・ウォルコット、お前の隣は空いてるな?」

 

リリウム・ウォルコットだと!?

ならば、やはり間違いない・・・!!

何故奴がここに居る!!

 

「どうしたリリウム?」

 

「あ、いえ・・・申し訳ございません。

二度と会いたくない知り合いに似ていたものですから少々・・・。」

 

「そうか、ならば別の席にするか?」

 

「い、いえ。大丈夫です。」

 

「…分かった、ならばグリント。

お前の席はリリウムの隣だ。」

 

「り、了解した・・・。」

 

あの口ぶりから間違いない。

奴は俺の知るリリウム・ウォルコット本人だ。

千冬先生に促され、俺はリリウムの隣へと向かった。

 

「・・・よろしく、ウォルコット嬢。」

 

「よろしくお願い致します…後でお話があります。

まさか断りませんよね・・・首輪付き様?」

 

一応軽く挨拶をすると、小声でそう言ってきた。

・・・これは波乱が起きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リリウム・ウォルコットは出したかった、後悔はしていない。
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