ある転生者と勇者たちの記録   作:大公ボウ

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今回の話は、バレンタインの話の後日談的な話です。

ただ、見てなくてもほぼ問題無いと思います。

そして……やはりというべきか、糖分過多です。

ブラックコーヒーをお供に読んだらいいかも(適当)

ではでは、始まり始まり~。


いつまでも、どこまでも

三月に入ったばかりの、とある日。

 

「うーん……どうしようか」

 

○○は自室で腕を組みながら、考え事をしていた。

 

今月の十四日にあるホワイトデーのお返しについて、そろそろ決めた方が良いのではないかと。

 

何しろ、今年は勇者部の六人からそれぞれチョコを貰うという、前世今生含めてあり得なかった様な事が起きている。

 

おまけに先日、六人全員からまとめて告白されるという前代未聞の衝撃的な事を経験したばかりだった。

 

それを考えると、あの時に貰ったチョコは自惚れでも何でもなく本命だと考えるしかないという事になる。

 

まあ、先月のバレンタインに体験した所業を考えると、それも納得だと○○は考えていたが。

 

ともあれ、そういう心の籠もった物を貰ったのだから、こちらとしても適当なものを返すのは駄目だろうと○○は思っていた。

 

なので、今まで一緒に過ごしてきた時間を思い起こしたり、日記を遡って見てみたりして、何を贈るべきかという事について頭を悩ませていた。

 

PCでホワイトデーの特集をやっている記事を読んでみたり、女性に向けての贈り物の特集をやっているようなページを総ざらいしたりと、兎に角何か糸口は無いかと探していく○○。

 

「ふーむ……色々あるもんだなぁ」

 

色々なページを見ながら、少しずつ贈るものの絞り込みを行なっていく○○。

 

結局、その日は一日がかりで何とか絞り込みを終え、その次の日から贈り物の現物を手に入れるべく、あちこちを駆けずり回る事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、来たる三月十四日。

 

風は既に卒業しているのだが、本人が言っていた通り勇者部に入り浸っており、○○は部室に行く途中で彼女に出会って一緒に行くことになった。

 

「うーん、やっぱり校舎がどこかガラーンとしちゃってるわね。妙に静かっていうか」

 

「それはまあ、仕様がないですね。先月までいた三年生が、今はもうほぼ居ませんから。風さんみたいな例外を除いて」

 

「ま、三分の一が一時的に居なくなってるんだものね。ちょっと寂しい感じだけど……○○も、あたしが居なくなって寂しい?」

 

風がからかう様な態度でそう言ったが、この手の言葉にはもはや耐性が出来てきた○○は、平然として言葉を返した。

 

「それは寂しいですよ……もう風さんは樹ちゃんと一緒に登校していない訳ですけど、樹ちゃんを朝に見かけた時とか、思わずあれ、風さんは? とか思ってしまって、ああ、もう卒業したんだよなぁって気付いて、ちょっと寂しくなりますから」

 

「え……あぁ、そ、そうなんだ……ふ、ふーん……」

 

からかうつもりで言った事に真面目に返されて、しかも自分が居なくて寂しいと言われて思わず口ごもって顔を赤くする風。

 

思わず表情がにやけそうになるが、必死に自制した風は誤魔化す様に部室へ急ごうと言い立てて○○を促した。

 

そうして部室に着いた○○と風は全員に挨拶を済ませ、ひと段落着いた後に今日がホワイトデーだという事を告げてそれぞれに渡すものがある事を言うと、何故か酷く恐縮した様な態度をとられた。

 

「何でそんな申し訳なさそうな感じに? バレンタインに貰ったんだから、お返しするのは当然なんじゃ?」

 

そう○○は言ったのだが、全員が恐縮した態度のままだ。

 

「だって……ねえ、東郷さん?」

 

「ええ……公平感が無いというか……」

 

「公平感って……どういう事?」

 

首を傾げた○○が疑問を呈すると、彼女たちが説明を始めた。

 

「○○先輩……私達はあのチョコレートを、みんなで集まって一緒に作りました」

 

「まあ、手を変え品を変えで見た目とかそういうのが被らないようにしたけど、元になるチョコは殆んど同じ奴だったのよね……」

 

「それもあるし、私達は六人で○○君一人に渡したから、費用もそんなにかからずに済んだけど~……」

 

樹と夏凛、そして園子が説明したのに続き、風がそれを締めくくった。

 

「○○は一人で私達に贈る事になるから、私達の大体六倍はかかるわけじゃない? だからさ……何か、申し訳ないなって。お返しは気にしなくていいよって、もっと早くにいっておくべきだったなぁって……そう思っちゃってさ」

 

「あー、成程。そういう事でしたか」

 

彼女たちの言い分に納得がいった○○だったが、そこまで恐縮されるようなものでもないので、むしろ自分の方が困ると思ってしまった。

 

「そんな大したものじゃないから、遠慮せずに受け取って? その方が俺も嬉しいし」

 

笑顔で軽い感じで○○が言うと、彼女たちも気を取り直したのか、何がもらえるのかとワクワクしてきたらしい。

 

期待に目を輝かせて○○の事を見つめている。

 

「ということで……先ずは友奈と夏凛の二人へ。はい、これをどうぞ」

 

「ありがとう、○○君! 何だろうなー?」

 

「ありがとう、○○。……開けてみてもいい?」

 

「うん、もちろん。友奈も夏凛も、開けて確かめてみてよ」

 

○○にそう言われて包みを開けた友奈と夏凛は、あまり見かけないものが出てきたことに驚いた様子を示した。

 

「これは……和風の紐? 飾り紐ってヤツかしら。 ……あ、これは」

 

「凄いよ、夏凛ちゃん! このアクリルの飾りの部分! 私のには桜の花びらの押し花が入ってる!」

 

「私のには、サツキの花びらの押し花が入ってるわね。……綺麗」

 

「二人に似合うんじゃないかって思ってさ。髪留めに使えるやつを見つけられて良かったよ」

 

その言葉を聞きながら、友奈と夏凛は自分の手にある押し花細工の飾り紐をうっとりと見つめていた。

 

ひとしきり眺め終えた二人は顔を見合わせると、○○にこんな事を言いだした。

 

「すっごく嬉しいよ、○○君! それで……できれば、○○君にこの紐で髪を結んで欲しいなって……」

 

「俺が、今ここで? 二人の髪を結ぶって事?」

 

「そういう事。別に問題ないでしょ?」

 

「いやいや、女の子がやたら男に自分の髪を触らせるっていうのは……」

 

「私は、自分の好きな人に触って貰えたら幸せだよ? ……○○君は、触りたくない?」

 

友奈がそんな事を言い出し、それに抗弁しようとした○○だったが、彼女の不安げな表情を見て抵抗を諦めたのか、分かったと返事をするとまず友奈の方の髪から結び始めた。

 

スマホで結び方を確認しながら結んでいくのだが、そこで○○の精神やら理性を削る出来事が起きた。

 

「……ん。……んぅ」

 

友奈の口からくすぐったそうな、しかしどこか熱っぽいような声が漏れ出る。

 

「……あ。……あぅ」

 

○○の、友奈の髪を結ぶ手が狂いそうになり、止む無く手を止めた彼は鼓動が速くなっている心臓を落ち着けると、友奈に注意をした。

 

「あの、友奈? ……あんまりそういう声出すのは……ちょっと勘弁してほしいというか。 手元が狂いそうになるからさ」

 

「ご、ごめん! 何かくすぐったくて、思わず出ちゃったというか……わ、わざとじゃないからね!?」

 

友奈の言葉を聞いた○○は髪を結ぶのを再開したが、今度は声は出さないものの、何かに耐えるようにブルブル震える事がある様になってしまい、これはダメだと諦めつつ無心で結ぶことにした。

 

「はい、出来たよ」

 

「うん、ありがとう。わあ……!」

 

鏡で色んな方向から飾り紐で結ばれた自分の髪を確認した友奈は、満面の笑みで○○に礼を言った。

 

「ずっとずっと……ずぅっと大切にするね、○○君!」

 

その言葉に笑顔で頷いた○○は、今度は夏凛の髪を結ぼうと準備に入った。

 

そして、いざ結ぼうと夏凛の髪に触れた時、うなじの部分にほんのわずかに触ってしまったのだが、それが夏凛の思わぬ反応を引き出した。

 

「ひゃうっ!? ……ちょ、変なとこ触らないでよ!」

 

「いや、服の袖がうなじを掠っただけなんだけど……」

 

「え……そ、そうなの? ふ、ふーん……それじゃあ、まあ、つ、続けてくれる?」

 

やけに緊張した様子で○○に告げる夏凛。

 

○○も夏凛は友奈以上にくすぐったがりなのだと判断し、余計な所を触らないように気を付けて髪を結んでいたのだが、それでも完全にそうするのは難しかったのだろう。

 

少しでも触れるたびに、背筋に水滴が当たったかのようにびくりと震える夏凛に、○○も緊張を強いられることになったのだった。

 

「ひうっ!? ……くっ」

 

そんな、聞いていて何とも変な気分になりかねないような声を不意に出す夏凛に、○○は心を無にして髪を結ぶ事だけに集中していた。

 

ようやく夏凛の髪を結び終えた○○は、削れた精神力を回復させるようにホッと息を吐くと、もういいよと夏凛に告げた。

 

「はい、もういいよ」

 

「分かった。……うん、いい感じね。大事にするわ」

 

自分の髪を結ぶ飾り紐を指で触りながら、どこか照れたような、でも嬉しそうな表情で夏凛は○○に礼を言った。

 

「さてと……それじゃあ、次は風さんと樹ちゃんへ。はい、どうぞ。開けて確かめてもいいですよ」

 

「ありがとうございます、○○先輩!じゃあ、遠慮なく……これは、飾り紐ですか?」

 

「そうみたいね、樹。……でも、友奈と夏凛の二人の物と比べると、少し紐の感じが違うような……?」

 

包みを開けて中身を確かめた風と樹は、友奈と夏凛の二人の物と少し感じが違う飾り紐に首を傾げる。

 

「やっぱり気付きましたか。それ、俺が店で指導を受けながら自分で編んでみた飾り紐なんです」

 

「ええっ!? ほ、本当なんですか? うわぁ……すっごく嬉しいです」

 

「これをわざわざ、あんたがあたし達の為に……ああもう……ヤバいくらい嬉しい……ありがとう」

 

他の四人も手作りの飾り紐をしげしげと眺めて感心していたが、そんな中でやはりと言うべきか、風が○○にねだり始めた。

 

「それじゃあさ、あたしと樹もこれで○○に髪を結んでもらいたいんだけど……どう?」

 

「えへへ……先輩、どうでしょう?」

 

「……それってさ、選択の余地ないよね?」

 

友奈と夏凛に対して髪を結んであげた以上、ここで断る事など出来るはずも無い。

 

ニコニコしながら待っている二人に○○が承諾の返事をすると、まずは風の方から結ぶ事となった。

 

「どう、○○? この長さだからお手入れ大変だけど、結構なもんでしょ?」

 

「まあ大変だろうなという予想はついてましたけど……でも、本当にサラサラですね。素直にすごいと思いますよ」

 

○○が風の髪について褒めると、風も得意げな表情になって満足そうにしていた。

 

「はい、終わりましたよ」

 

結び終えた○○が作業の終了を告げると、笑顔で振り返った風が○○の耳元に素早く寄っていき、そっと囁いた。

 

「ありがと。――――また今度、結んでね♪」

 

「――――っ。き、機会があれば」

 

不意打ち気味に耳元で囁かれた為に、また強く鼓動が鳴り始め、それを誤魔化す様に樹の髪を結ぼうと彼女の傍によった○○だったが、そこで思わぬ提案をされた。

 

「○○先輩。私の髪は前からの方が結びやすいと思うので、正面からやってくれませんか?」

 

「えっ? いや、確かにそうかもしれないけど……でも、それは……」

 

「ダメ、ですか……?」

 

「ぐっ……分かった、分かったよ。樹ちゃんの言う通りにするから、そんな泣きそうな顔は止めて」

 

泣きそうだった表情が一瞬で満面の笑みに変わった樹を見て、○○は女は天性の役者っていうのは本当だなと、そんな事を思いながら樹の髪を束ね、結び始めた。

 

正面からやっている都合上、お互いに表情が見えている訳で、じっと樹に見つめられながら作業をしている○○は彼女の髪に集中することで何とか平静を保っていた。

 

「○○先輩って、綺麗な目をしてますね」

 

「…………っ」

 

思わぬことを言われた○○は急に恥ずかしくなり、顔ごとそっぽを向いて視線を逸らそうとしたが、樹の小さな手で、そんなに力が強くないにも関わらず、再び彼女の方を向かされた。

 

「ダメですよ、先輩。ちゃーんと私の事をしっかり見ながらやって下さい♪」

 

最高に機嫌が良さそうに言う樹とは対照的に、○○は今までに無く積極的な樹に困惑しつつも顔を赤くしながら、何とか髪を結び終えたのだった。

 

姉妹の髪を結び終えた○○は、うるさくリズムを刻んでいた心臓を何とか落ち着けると、次の相手へのお返しを取り出した。

 

「それじゃあ次は……はい、園子。これをどうぞ」

 

「ありがと~○○君。それじゃあ見てみるね~……わー綺麗、これはマジェステだね~」

 

目を輝かせて喜ぶ園子を微笑ましそうに見ていた少女達だったが、今聞いた単語に馴染みが無かった美森が園子に質問をした。

 

「マジェステ……って、何なのかしら、そのっち? 髪に着ける装身具というのは分かるけど……」

 

「うん、そうだよわっしー。マジェステっていうのはねー、現代風にアレンジされた簪みたいな感じかな~。これは蓮の花をあしらってあるみたいで綺麗だよね~。……という訳で、私もいいかな~?」

 

「だと思ったよ。了解いたしました、園子」

 

冗談めかして園子の頼みを受け入れた○○は、スマホでマジェステの留め方を紹介したページを開き、解かれた園子の髪を再び留め直そうと作業を始めた。

 

「……あ、あれ? くっ、難しいな、これ……」

 

「ゆっくりでいいよ~? 焦らず正確に、のんびりのんびり~」

 

まるで子どもをあやす様な園子の台詞に気恥ずかしさを覚えつつ、悪戦苦闘しながら何とかマジェステで髪を留め終えた○○は作業の終わりを告げたが、振り返って自分の方を見ながら言った園子の台詞に不意打ちを喰らう事になった。

 

「ふふっ、ありがとう○○君……もっと触ってても良かったんだよ~?」

 

「…………っ。そう言ってもらえるのは光栄だけど……また、いつかね」

 

イタズラっぽい表情で言う園子と視線が合わせられずに逸らしたが、その視線の先に先回りされて微笑まれ、ますます顔が赤くなってしまった○○だった。

 

気のせいではなく、お返しを渡すたびに心臓が暴れていると自覚した○○は、今度こそ平穏に終わればいいなと、毛筋ほどしかない望みを抱きながら美森へのお返しの品を取り出した。

 

「それじゃあ最後に美森だけど……はい、どうぞ」

 

「ありがとう、○○君。……これは、櫛?」

 

「うん、ツゲっていう木で作られた解き櫛。静電気が起きにくくて、髪も艶が出やすくなるんだってさ」

 

「なるほど。……ところで○○君、未婚の女性に櫛を贈るという事の意味を知っているかしら?」

 

「え? いや、知らないけど……」

 

未婚の女性という言葉が出た時点で嫌な予感はしたが、実際に知らないのだからそう答えるしかない○○。

 

「結婚してください、という意味を持っているの。○○君が知らなかったのは残念だけど……でも、その意味でも私は良かったのよ?」

 

結婚という言葉が美森の口から出た途端、他の五人の視線が○○に集中する。

 

これまでに無い程の、物理的な力さえ含んでいそうなその強さに○○は冷や汗を流しつつ、これからどうするか考えるための時間を稼ぐために美森に尋ねる。

 

「な、なるほど、結婚かぁ……。でも、どうして櫛でそんな意味に?」

 

そう○○が尋ねると、美森は部室の黒板に、『櫛→苦死』と書き込んだ。

 

いきなり不穏な漢字を当てた美森に驚いた表情をした部員たちだったが、その後に続いた彼女の説明に、むしろ納得した様な表情をした。

 

「江戸時代の事みたいだけど、男性が女性に櫛を贈って求婚する事で、結婚は幸せも多いけど苦しい事も沢山あるだろう、それでも死ぬまで自分と一緒に居て欲しいという意味を込めていたらしいわ」

 

「はあー、なるほどねぇ……。今とは違う感じのプロポーズだけど……でも、これはこれで素敵な感じね」

 

「私もそう思うよ、お姉ちゃん。……いつか、私も言われてみたいなぁ」

 

「うんうん、その気持ち分かるよー、樹ちゃん! 女の子の夢だよね、好きな人にそういう風に言ってもらうのって」

 

「まあ、気持ちは分かるわ。……いつか、言ってもらいたいものよねぇ」

 

「だよね~。キミの事が好きだ、結婚してくれ! なんて言われたいよね~」

 

女子全員で盛り上がりつつも、チラチラと視線を○○に向けて話しているので、そのプレッシャーが尋常ではない。

 

話を切り上げようとした○○だったが、それを察したらしい美森の次の言葉で退路を完全に塞がれた。

 

「ねえ、○○君。改めて訊くけど……私のこと、好き?」

 

「はっ!? え、ええと……こ、この前、それについての返事はしたよね?」

 

「ええ、覚えてるわ。でも、もう一回聞きたいの。……ダメかしら?」

 

本当に悲しそうな声で言う美森に○○は怯み、ここで断るのは男として最低だと自覚した。

 

気持ちを落ち着けるように深呼吸をした○○は意を決し、美森の目をまっすぐ見つめながら、真剣に告げた。

 

「東郷美森さん。――――俺は、人を深く思いやれる君の事が好きです」

 

「――――はい。私も○○君の事が好きです」

 

互いに見つめ合いながら、好きだと言い合う二人。

 

美森は、どんな表現さえも陳腐になるような、そんな笑顔を浮かべながら○○の事を一心に見つめる。

 

時間が止まった様な錯覚に○○が陥っていると、背後からトントンと肩を叩かれて我に返った○○が振り返った。

 

そこには美森以外の全員が居て、私にもやってと言わんばかりに瞳をキラキラさせながら○○を見つめていた。

 

「結城友奈さん。――――俺は、いつも元気をくれる君の事が好きです」

 

「――――うん! 私も、○○君の事、大好きだよ!」

 

結局、それぞれに再度告白をすることになった○○。

 

「犬吠埼風さん。――――俺は、優しくて思いやりのあるあなたの事が好きです」

 

「――――うん。あたしも優しい○○の事、好きだよ」

 

以前も○○は思ったが、もう後には引けないだろう。

 

「犬吠埼樹さん。――――俺は、みんなの和を何より大切にする君の事が好きです」

 

「――――は、はい! 私も○○先輩の事が、す、す、好きです!」

 

勇者としての彼女たちと出会い、そして守りたいと、放って置けないと○○は思った。

 

「三好夏凛さん。――――俺は、友だちを大切に想っている君の事が好きです」

 

「――――え、ええ。私も、○○の事……ホントに、好き……だから」

 

……こういう風になるとは、当時は予想も出来なかったわけだが。

 

「乃木園子さん。――――二年前、俺の支えになってくれてありがとう。大好きだよ」

 

「――――ふふ、それはお互い様だね~。私も○○君の事、大好きだよ」

 

運命というものがあるとするなら、あの日勇者部と出会った事や、園子が手紙を拾った事を言うのだろうかと○○は思う。

 

少女達の照れくさそうな、しかしそれ以上に幸せそうな表情を見やりつつそんな事を考えていた○○だったが、今それを考えるのは無粋だと思い直した。

 

あらかじめ決まっている事なんて、存在しない。

 

それを証明してきた六人の少女達と一緒なら、どこまでも歩いていけそうだと○○は心から思い、薄く笑った。

 

「どうしたの、○○君? 何か楽しそうだけど」

 

「ん? いや、まあその……死ぬまでみんなと一緒に居られたらいいなぁって思って。……あっ!」

 

友奈が尋ねてきたので思わずポロリと言ってしまい、その途端また騒がしくなる部室。

 

自分が原因の騒ぎを何とか鎮めようと悪戦苦闘しつつも、その騒がしさにも幸福を感じている○○であった。

 




……糖死しそうです(誤字にあらず)

何だこれ……過去最高に甘くなった気がします

ハチミツに水飴とガムシロップを加えてじっくり煮込み、練乳と生クリームをトッピングした様な……

ホワイトデーだからってやり過ぎだよ!(自分で書いておきながらry

ふう……あ、そうだ(唐突)

新年度へ向けての仕事が忙しくなりそうで、更新速度が落ちそうです……

新年度に入っても忙しいままかもしれないので、申し訳ないですがご了承ください。

済みません!
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