閃の軌跡の果てに   作:キクイチ

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ここのシロウくんはどんな末路...道を歩くのか。


特別オリエンテーリング

 

 いきなり傾いた床を滑り落ちていくと――――軽く広い空間が見えてくる。

 

「おっと」

 

 こけないよう軽く跳んで着地する。

 円状の床に沿った広い空間。薄暗さはそのままに、石造りの空間は冷ややかさを伝えてくる。

 アルトリアも無事のようで、壁をぺたぺた触っている。

 

「ふう、危なかった。しかしここは……?」

 

 どうやら地下のようだが、これがオリエンテーリングとどんな関係があるのか。自分と同じく落ちてきた生徒達は全員ここに落ちてきたようだ。

 人数を確認すべく周りの人間を見ていくと―――。

 

 黒髪の青年に金髪の女子が覆い被さっていた。なんでさ。

 女子の胸が青年の顔面に押しつけられている。

 

 何というダイナミックセクハラ!

 まあ、彼は彼女を守ろうとした結果そうなったのだろう。というか、見ていたし。しかし、どうしてそんな体勢になったのか。

 

「ううん……何なのよ、まったく……」

 

 おおう、彼女は気を取り戻したらしく、目を開く。まあ、当然自分が押し倒している青年と目が合ってしまうのだが。

 

「その……なんといったらいいか」

 

 こうなっては仕方ない。動機がいくら善性に起因するものだったとしても結果が伴わなければ――唯のセクハラと化す。割に合わないかもしれないが平手打ち一つ受けた方がいいかもしれない。

 

 ゆっくりと金髪の女子は立ち上がり、黙して距離をとる。頬は恥ずかしさで紅潮しておりわき起こる何かを堪えているようだった。

 しかし、青年はそうした仕草に気づくこと無く近づき。

 

「えっと……取り敢えず申し訳ない。でも、良かった。無事で何よりだった―――」

 

 無事じゃないと思います、メンタルが。

 

 恥ずかしさやら怒りやらで、いっぱいになった平手が黒髪男子にとんでいき―――べしん、とかなりいい音が鳴るのだった。

 

 

 

「あはは……その災難だったね」

 

 橙髪の男子は、頬に赤い紅葉ができた青年に同情していた。

 

「ああ……厄日だ」

 

 ――――ピピピピッ、無機質な音が鳴り響いた。

 自分のところだけではなく、周りの学生達からも同時に響いてくる。

 

 懐を探り、なっている原因を取り出すと――それは、入学案内書と一緒に送られてきた導力器だった。

 

『――それは特注の《戦術オーブメント》よ』

 

 導力器から聞こえてくる女性の声。サラ教官の声だ。

 この導力器は通信機能を内蔵しているらしい。

 

「……ケイタイのようなものでしょうか」

 

 そうアルトリアが呟いたが上手く聞き取れなかったからかよくわからなかった。

 

「ま、まさかこれって……!」

『ええ、エプスタイン財団とラインフォルト社が共同で開発した次世代の戦術オーブメントの一つ――第五世代戦術オーブメント《ARCUS》よ』

 

 魔法(アーツ)が使えると言うと特別な導力器――それが戦術オーブメントと呼ばれるものだ。

 

『そう、結晶回路(クォーツ)をセットすることで魔法が使えるようになるわ。と言う訳で――各自受け取りなさい』

 

 サラ教官がそう言うと、部屋の中が少し明るくなった。

 

 部屋の各場所に、小さな箱と何かしらのものが入った大きめの鞄がある。

 そのいくつかには見覚えがあり―――近くの机には、自分の武器が入った鞄――門で預けたものが置いてあった。

 

『君たちから預かっていた武器と特別なクォーツを用意したわ。それぞれ確認した上で、クォーツをARCUSにセットしなさい』

 

 いろいろ、分からないことはあるが、まあ、従うとしよう。

 事情が飲み込めないまま、他の学生達も移動し始めた。

 

 自分の得物とクォーツが入っていると思われる小箱の置かれている机の前に立つ。

 

 まずは、クォーツを見てみるか。

 

 そう思って箱を開くと、赤い大きめのクォーツがそこにあった。

 

『それはマスタークォーツよ。ARCUSの中心にはめればアーツが仕えるようになるわ』

 

 なるほど。取り敢えずカバーを開けて、マスタークォーツを中心にはめ込んだ。マスタークォーツの名前は―――ヴァーミリオンと紙に表記いてあった。

 はめ込むと、胸の辺りが暖かくなり、同時にマスタークォーツが発光した。

 

『君たち自身とARCUSが共鳴・同調した証拠よ。これでめでたくアーツが使用可能になったわ。他にも面白い機能が隠されているんだけど……ま、それはおいおいってことで―――じゃ始めましょうか』

 

 

 ガコンと奥にあった扉らしきものが開き、奥へ進めるようになった。

 サラ教官が言うに曰くダンジョン――迷宮らしく、割と広めで入り組んでいるらしい。

 

 どうやら、そこを通って終点までたどり着け、ということのようだ。

 

『ま、ちょっとした魔獣なんかも徘徊してるんだけどね。――――それではこれより、士官学院・特科クラス《Ⅶ組》の特別オリエンテーリングを開始する』

 

 ダンジョン区画を抜けて一階へたどり着く―――それがオリエンテーリングの内容。

 

 入り口前に面々が集まる。未だ状況を飲み込めぬもの、これからを思案するもの。理不尽な状況に苛立ちを隠せぬものもいる。

 

「え、えっと……」

「……どうやら冗談というワケでもなさそうね」

「フン……」

 

 金髪の男子――ユーシスはつるむ気はないとばかりに、迷宮に向おうとする。それをマキアスが見とがめた。

 

「ま、待ちたまえ!いきなりどこへ……一人で勝手に行くつもりか?」

「なれ合うつもりはない。それとも“貴族風情”と連れたって歩きたいのか?」

「ぐっ………」

「まあ――――魔獣が怖いのであれば同行を認めたくもないのだがな。武を尊ぶ帝国貴族としてそれなりに剣は使えるつもりだ。貴族の義務(ノブリス=オブリージュ)として力なき民草を保護してやろう」

「だ、誰が貴族如きの助けを借りるものか!」

「もういい!だったら先に行くまでだ!」

 

 そういって二人――ユーシスとマキアスは迷宮の中に歩いて行った。

 残された学生は困惑していたものの、各々で動くようだ。

 

「――シロウ。私達も行きませんか?」

「あ、ああ。じゃあ、俺達は先に行くよ」

 

 まとまって言った方がいいのではないか、とも思ったのだが。まあ、士官学校に合格したメンバーがそろっている時点で心配することもないだろう。

 

 アルトリアと共に迷宮の中に入った。

 

 

 

 

 よっと、弓を構えて――獲物を狙う。

 

「―――フ」

 

 息を呑み照準をあわせ、ぎり、と引かれた弦を放す。

 

 ぎゅん、と番えられていた矢が空を裂くように小さく螺旋をえがきながら魔獣を貫く。

 

「――見事です、シロウ。貴方の弓の精確さには感嘆するばかりです」

「やっぱ、剣の方がいいかもな。これが練習という名のオリエンテーリングなら、弓より剣を使ったほうが良さそうだ。弓じゃ練習にならない」

「しかし、シロウの剣の腕はポンコツですよ?」

「ぐっ……だ、だから練習するんだろっ」

 

 かちゃり、と剣を構える。刃渡りは四十程度の軽めの剣を二つ出す。アルトリアがコレが似合うだとかいって誕生日にくれた双剣である。

 なお特注らしい。

 

「それより……、アルトリア。君は、あの剣は持ってこなかったんだな」

 

 アルトリアが持っているのは白銀の長剣である。()()()()()黄金の剣ではない。それでも十分強く、魔獣を一手で倒していた。

 

「ええ。あれは、少し強力過ぎるので―――それに…」

 

 私に握る資格は無い。彼女はそういって、あの日以来あの剣を握ることはなかった。

 

「ま、今はこの迷宮を出ることを考えよう。―――ん?」

 

 背後の通路から会話と足音が響いてくる。誰か来たらしい。

 

 黒髪の男子に橙髪の男子、ブラウンの髪の背の高い男子に、金髪の―――ユーシスがいた。

 

「……黒髪の――ダイナミックセクハラの人ですね」

「うっ……できればその覚え方はやめて貰えると助かる。俺の名はリィン・シュバルツァー」

「あはは……えっと僕は、エリオット・グレイグ。よろしく」

「ガイウス・ウォーゼルだ。よろしく頼む」

「――私はアルトリア・ペンドラゴン。そしてこの人が」

「シロウ・ニームソン。よろしくな。そして、そっちはユーシス・アルバレア……であってたか?」

「合っている。ユーシス・アルバレアだ。改めて名乗っておこう」

 

 そろそろ出口が近そうだ、と言うことで一緒に進む事になった。

 

 少し歩くと少し広い場所に出た。

 どうやら終点らしい。

 

 軽く歓談していると―――突然、ミチミチと鳴り響く音がなった。まるで、岩が静かに圧壊するような。

 

「――――っ、気をつけて!」

 

 途端。

 アルトリアが叫ぶ。

 瞬時に構え、何がくるかと周りを観察する。

 

 右手の柱。あるいは台座。

 その上に、異様な石像があった。それが突如、色を放ち動き出したのだ。それこそまるで、命を与えられたかのように。

 

「あれは……!」

「な、なにあれっ!?」

 

 それは、ぶおっと台座から一息に跳んで、ずんと重量感ある音をだしながら俺達の目の前に着陸した。四つ足。厳つい角。大きく広げられた羽。――まるで悪魔のよう。

 

「……帝国というのはこの化け物が普通にいるのか?」

「いるわけないだろっ!」

「―――アレは、もうこっちを獲物として見ています」

「撤退は、不可能そうだし」

「―――いずれにせよ、コイツを何とかしない限り地上には戻れない……! みんな、何とか撃破しよう!」

「了解だ……!」

「め、女神様……!」

 

 ……俺の剣の腕でどうにかできる相手じゃない。弓に持ち替えようにも―――あれは今にも襲いかかってきそうだ。

 

「シロウ、やるしかありません!大丈夫です。私がカバーします」

「……わるい!」

 

 グオオオオオオ――、と化け物は吠え立て襲いかかってきた。

 

「はぁ―――!」

 

 がきん、と金属質の音が鳴った

 アルトリアは一息に踏み込み、斬りつける。しかし、化け物に応えた様子は無い。アルトリアの一撃はかなり威力をもっているというのに……これは苦戦しそうだ。

 

「行くぞ―――たぁ!」

 

 アルトリアに化け物の注意が向いた隙に――リィンが踏み込んで斬りつけた。―――リィンの武器は太刀らしく、中々の業物のようだ。担い手であるリィンもその年齢以上に使いこなしている印象を受ける。

 

 エリオットは、バトルスコープというアイテム―――敵の情報が分かるアイテムを使った。

 

「――分かった。外皮は凄まじく硬いみたい――気をつけて!」

「なるほど――ならARCUS起動――!」

 

 ユーシスはARCUSを起動し、アーツを使おうとする。

 アーツを使用するには、それなりの時間がかかりその間無防備になる。もし、集中を乱されれば――使え無い。

 

 ガァァァ、と化け物は吠え立てながら無防備なユーシス目がけて走しり、その鋭い爪で切り刻もうと振るってくる。

 

「させるか―――!」

 

 ユーシスをかばい、打ち下ろされようとした腕ごと止める。

 

「ふ……よくやったぞ、平民!『エアストライク』」

 

 風の魔力が込められた一撃が――魔獣に直撃し、のけぞらせる。

 

「ここ―――!」

 

 素速く、化け物の足下にアルトリアは横合いから滑り込み、剣を撃ち込む。

 四つ足で立っていた体は大きく揺れ、体勢が崩れた。―――これを逃すわけにはいかない。

 

「今――そいや!」

「そこ――!」

 

 化け物の目の前に立っていた俺が思いっきり剣戟を浴びせる。防りの薄い腹にたたき込む。同時にガイウスも走り込んで槍を

 これはそれなりに聞いたらく、苦悶の声をあげた。

 

「『アクアブリード』!」

 

 そんな連撃を俺たちが喰らわしている間にエリオットがアーツを放った。

 より大きく、のけぞった化け物に―――リィンが戦技(クラフト)紅葉切りでもって攻撃。――続いて、アルトリアも風を編み込んだ一撃で――大きく吹き飛ばした。

 化け物はきりもみしながら跳んでいき――壁にぶつかり土煙があがる。

 

「はぁ……や、やったか!?」

 

 手応えを感じたのかそう言うリィンだったが―――。

 

 土煙の中から―――翼をはためかせ、色まで変わって怪物は復活した。

 しぶとさのあまり舌打ちしてしまう。

 

「ち、まだ倒れないか…!」

「でも、ダメージは通っているはずです。油断せず攻撃していきましょう!」

 

 

 

「これで―――!ゲイルスティング!」

 

 ガイウスのクラフトが怪物に直撃し――怪物は、ずずんと体を座り込むように倒した。

 

「くっ、やったか……!」

「いや、まだだ……!」

「くそっ、何回復活する気だ!」

 

 もうおわってほしい、そう思うように呟いたが…。

 ぐぐぐ、と怪物は体を起こした。

 

「力を取り戻したのか……!?」

「これ以上は…まずい!」

 

 明らかに全員の体力は現界だ。このままでは―――。

 全滅する未来が頭によぎる。

 

「――下がりなさい……!」

 

 そんな声が後ろから聞こえてきて――俺達の間を縫うように魔道矢が飛んでいき、化け物に当たる。

 

 かなりの腕だ。

 

 そして、俺の隣をよぎり一瞬で怪物まで踏み込み一撃を当てる女子が出てきた。

 

 魔道杖をもった女子もでてきて、攻撃する。

 

 ―――どうやら追いついたらしい。

 

「ふう、どうやら無事みたいね」

「す、すみません!遅くなりました……!」

「いや、助かった……!」

 

 青髪の女子は大きな両手剣を構え、怪物と向き合う。

 

石の守護者(ガーゴイル)……暗黒時代の魔道の産物か」

「堅い上に再生持ち、厄介なことこのうえない……!」

「でも、この人数がいれば…!」

「仕方ないか」

 

 不意に後ろから聞き覚えの無い少女の声が聞こえてきた。

 ふりむけば、ちっこい白い髪の少女と緑髪の――マキアスがいた。

 

「大丈夫か……!」

 

 マキアスの銃弾が放たれ、怪物の顔面にヒットさせる。そうして、ひるんだ隙に小さい少女は素速く、跳んで空中からくるりと背後に立ち斬りつけた。

 

 怪物は大きくうめき―――どうやら再生能力は限界のようだ。

 

 ―――勝機!

 

 一気に攻撃を全員でたたみかける!体がすこし軽くなったのか、いつもより剣ののりが良いように感じた。

 

「――任せるが良い!はああああっ!!」

 

 青髪の女子は、大きく跳躍し大きな剣にを振りかぶって――――ずぱん、と怪物の首を取って見せた。

 

 首をとられた怪物は、流石に復活するちからは無いらしく―――体を紫に発光させて消えていった。

 

「あ……」

「やったっ!」

「――――終わったか」

 

 やっと息が着ける。攻防時間は全部で二十分以上だ。きわどい戦いだった。

 もし、彼らが駆けつけてくれなかったらまずかったかもしれない。

 

「それにしても……最後のあれ何だったんだろう?」

「そういえば……何かに包まれたような」

「ああ、俺も含めた全員が淡い光に包まれていたぞ」

 

 そういえば――体が、自然と軽かったような。

 

「ふむ、気のせいか……皆の動きが手に取るように“視えた”気がしたが……」

「……たぶん、気のせいじゃないと思う」

「ああ、もしかしたらさっきのような力が―――」

 

「―――そう。ARCUSの真価ってワケね」

 

 ぱちぱちと拍手が部屋奥側の階段の上から聞こえてきた。

 振り返って視てみるとサラ教官が立っていた。―――高見の見物というわけか。

 階段から降りてきて、俺達の前に立った。

 

「これにて入学式の特別オリエンテーリングは全て終了なんだけど……」

 

 俺達の様子をみて。

 

「なによ君たち。もっと喜んでもいいんじゃない?」

「よ、喜べるわけないでしょう!」

「正直、疑問と不信感しか沸いてこないんですが……」

 

 まったくである。少しは説明責任を果たして欲しい。

 

「―――短刀直入に問おう。特科クラス《Ⅶ組》……一体何を目的としているんだ?」

「身分や出身に関係ないというのは確かに分かりましたけど……」

「なぜ我らが選ばれたのか結局のところ疑問ではあるな」

 

 ――それだ。それが一番の疑問。

 

「君たちが《Ⅶ組》に選ばれたのは色々な理由があるんだけど……一番判りやすい理由はその《ARCUS》にあるわ」

「この、戦術オーブメントに……」

 

 最新の戦術オーブメントであり、通信機能まであり―――そして何より、戦術リンクが使用できる。さっきのお互いの状況がわかり、かつ能力のアップ。効率的に運用すれば理想的な精鋭となるだろう。

 俺達は――ARCUSに高い敵性を示したため、身分関係なく選ばれた――ということらしい。―――本当かどうかは怪しいが。

 

「――――トールズ士官学院はこのARCUSの適合者として君たち11名を見出した。でも、やる気のない者や気の進まない者に参加させるほど予算的な余裕があるわけじゃないわ。それと、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。

 《Ⅶ組》に参加するかどうか―――改めて聞かせて貰いましょうか?」

 

 ―――自分はどうだろうか。

 ほんの少し迷っている。俺は、どうしてここに来たのか。何をしに来たのか。

 改めて振り返る。

 

 ―――あの地獄を生き残った俺は、一体何をするべきなのか。

 

 

「リィン・シュバルツァー。参加させて貰います」

 

 最初に前に出て参加を表明したのは黒髪の男――リィンだった。

 

「………我儘を言って行かせてもらった学院です。自分を高められるならばどんなクラスでも構いません」

「ふむ、なるほど」

 

 彼に続くように参加表明が続いていった。どうやらアルトリアも参加することに決めたらしい。

 

 

 

 あの災害から生き残った俺は、何をするべきなのか。

 生きているからこそ。何か成さねばならない。

 

 

 ―――路傍の花より早く、何のかいも無く。無造作に散っていく命を視た。

 

 

 俺は―――。

 

 

「シロウ・ニームソン。《Ⅶ組》に参加させて貰います」

 

 

 ――――Ⅶ組に参加することを選んだ。

 

 

 

 

 

 

 ――――たった一つの解答を。

 

 

 

 いつか話した子供の喧噪。露店の賑やかな声。顔を優しくほころばせる大人達。

 

 ―――多くの尊い命が生きていた。

 

 

 

 小さな死骸。炭化したナニか。大きな焦げたものが溶けかけた眼鏡をかけている。

 

 ――――多すぎる命が死んだ。

 

 

 

 この地獄に、何の意味があったのか。

 

 

 

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