始まりは地獄から
地獄を見た
それはこの世の地獄。
誰の声かもわからない悲鳴。崩れる音と焦げ臭い匂いが周囲を覆う。
地獄を見た
そこらじゅうが建物などの人口建築物が燃え、それらは崩壊していく。
地獄を見た
老若男女問わず聞こえる悲鳴。助けを求め、あるいは家族であろう者に呼びかける声が辺り一帯に騒音の如く聞こえてくる。
地獄を見た
誰もが立ち止まり、膝をつき、天を仰ぎ、泣き叫ぶ中・・・・・ただ一つの影だけがゆらりゆらりと動いている。
ーーおい、その先は地獄だぞーー
誰かが言った。
形もなく、誰が言ったのかも分からないが影はゆらりゆらりと進んで行く。
ーーおい、その先は地獄だぞーー
「・・・る・・・さい・・・」
その影はとても小さく。恐らく少年位の大きさである。
白銀のような髪を靡かせ、その二つの瞳・・・左右それぞれ違った瞳は小さく所々途切れた掠れた声で呟きながら前を歩く。
ーーおい、その先は地獄だぞーー
「・・・うる・・・さい・・・」
そう少年はつぶやいた。
左も、右も、前も後ろも地獄の中で『少年以外存在しない空間』の中でその声がまた聞こえる。
ーーおい、その先h「うるさい!」・・・・・・・--
「じ、ごく・・・なら・・・・・」
【ジゴクナラモウミテキタ!!】
少年は吠えた。息も途切れて、どこに行けばいいかもわからない状況の中、少年は何処からか聞こえる声に対して叫ぶように言い、やがて声は聞こえなくなる。
そしてまた少年は歩き始めた。
ただただ・・・歩き続け・・・
そして少年が止まるのは、身体が悲鳴を上げ地面に倒れ伏してからだ。
暗い夜の中、黒いコートを着た男性が瓦礫の中を走る。
走っては止まり、周りを見回す。また走り始め、そしてまた止まる。
「クソッ!誰かいないのか!?」
彼がいる所は先程まで地獄となっていた場所。
建物が燃え、自然が燃え、動物が燃え・・・そして人が燃え、悲鳴で溢れかえった場所であった。
大きな災害。それがこの事態を引き起こした正体。それは今でも残り、少し離れた場所では少しながら燃え、黒い煙は夜空に消えるかのように上り、瓦礫と真っ黒焦げのナニカといった痕跡がそこら中にある。
その中で男性はいるのかわからない生存者を探している。
「誰か・・・生きている人は返事をしてくれ!」
男性は叫ぶ。
その声は雨の音だけのこの場所では十分に聞こえるだろう。
しかし、返事がしない。寧ろこのような場所にいるとは思えない。
それでも散々走り続け、もう他に場所がない為、男性は叫びながら生存者を探すしかなかった。
そして・・・・・
「・・・・・ぁ・・・・・」
「ッ!」
小さい
とても小さな声。
細く小さな少年らしき声は、それでも男性の耳に入るには十分だった。
「そこにいるのか!」
男性は走り、声のした方に向かう。注意深く探し、瓦礫を退かしながら声をの下に向かう。
そして向かった先には、倒れ伏している小学生位の白髪の少年を見つけ、男性はようやく見つけた生存者に目に涙を浮かびながら喜びの顔をし、少年に向かい優しく抱きかかえる。
「よかった・・・本当に、よかった!」
そのまま男性は少年を抱きしめる。
「生きててくれて・・・ありがとう」
???side
「・・・ぅあっ・・・あっ・・・え?」
知らない白い天井を見ながら俺は覚醒した。
少し起き上がると白いベットにいる俺は顔を動かして周りを見た。
どうやら病院の一室の用で、自分以外にも何人か同じベットで寝てたり、看護師の人と話してたりしている。
あれ?そもそも何で俺はこんな所にいるんだ?
確か神様とか言ってたおじさんに転生するだとかふみ・・・何だっけ?まあよくわからない事を言っていたな、そんなことがあって転生したのはわかる。
そこから・・・あれ?そっからの記憶が全然ないぞ?
名前は・・・憶えている。でも苗字がわからない。
後は・・・・・あっ災害!そう災害があって火のない所がないか探しながら歩いていたんだ!
それで何か頭に直接響くかのような声が聞こえて思わずキレて、それからずっと歩いて・・・・・倒れて意識を失ってたんだよな?
「・・・あれ?じゃあ何でここにいるんだ?」
救助された?誰か助けてくれたのか?その後自力で此処に来た?
え~と確か・・・・・
「あっ!目が覚めたんだね僕。よかっ・・・」
そう言って一人の看護師がこちらを向いて言う。
ん?何か固まり始めたし、それに顔が引き攣っている?
「え、え~と・・・僕、ちょっと待っててね?今先生を呼んでくるから」
そう言って挙動不審な反応でこちらにそう言う。
な、なんだ?ていうかよく見たら全員こちらを見てくるし・・・顔に何かついているのか?
そう言っていたらまたドアが開いた。もう先生が来たのかな?できれば鏡か何か見して欲しい
「どうやら目が覚めたようだね?」
そう言ってこちらに近づいてくる男性が俺に声をかける。
「え?は、はい・・・」
「・・・突然だけど、君は以前からそのような顔だったのかい?」
「え?」
男性は少し疑問と悲観するかのような顔でそう訊ねた?
俺が男性の言葉に理解できていない事を悟ったのか、男性が携帯用の手鏡を自分に渡してくれた。
ちょうどいいどうなっているのかこれで・・・
「・・・・・・・・へ?」
・・・・・ナニコレ?
そこには白い髪に左右色の違う目のした『少年』の顔だった。
白い髪は白銀の様で、もしかしたら銀に見れるかもしれない。目に関しては明るい茶色と言うより琥珀色・・・・・いや、金にも見えるな、そんな左目と右は色素が無くなったかのような灰色、こちらも銀にも見えるグレーの右目。俗に言うオッドアイになっている。
いや、それは別にいい・・・いやよくない。髪も目もおかしくなっているけどそれよりもまず・・・・・
・・・・・なんで見た目が小学生になってるんですかね?
何?見た目は子供、頭脳は大人的なやつですか?バーロー言って毎回事件の現場にいてそれを解決でもするんですか?
「その反応だと違うみたいだね?」
「え?・・・なぁっ・・ぅあっ・・・ぃっ・・・」
「落ち着いて・・・ゆっくり深呼吸するんだ」
「はぁっ・・・はぁっ・・・・・すー・・・はー・・・」
あっぶねえ・・・少し動揺で過呼吸仕掛けた。
いやさ?だって小学生だぞ!19の男が9歳くらいの少年に大変身!更に髪と目が痛々しいのハッピーセットだ!こんなにいらないハッピーセットは初めてだっつーの!
何だし!これってあれだろ?厨二病だろ?いくらアニメやゲームに疎くてもこれぐらいは知ってるんだよ!マジで何故、こうなった!
心当たりは・・・・・・絶対あの神様名乗るアイツだろ!
てかそいつしかいないんだけど!こんな事になる原因を作ったやつが!
「少し落ち着いたかな?そうだ、君の名前は?」
おっと・・・とりあえず自称神様は一旦後回しだ。
てか、いない奴にあーだこーだ言ってもしょうがないしな。
それにしても名前か・・・名前・・・・・・・・
「・・・しどう・・・・・・ただの士道」
「苗字は?」
「・・・・・・・・・・」
転生前の名前だけどいいか。でも苗字はどうしよう・・・
流石に転生前の苗字は知っているけどこっちの俺は分からないからな・・・・・あっそうだ。
「わからない・・・」
「・・・・・そうか」
男性は少し悲しそうな顔で俺を見る。
いや、嘘はついてないよ?こっちだとほら、苗字変わっているかもしれないし。小学生になるまでの記憶がどうしても思い出せないからこれは立派な記憶喪失何だよ?
・・・記憶喪失、この手に限る!(コマンドォ・・・
「それじゃあ士道君」
そんなくだらない事を考えていたら男性が話し始めた。
「いきなりだけど、孤児院に引き取られるのと知らないおじさんと一緒に来るの、どっちがいい?」
・・・・・本当にいきなりなんですね?
てか、俺はこの人の事を知らないんだが・・・実は親戚?
でもそれなら名前聞かないし、どう見ても初対面だよな?自分のことを『知らないおじさん』って言ってる見たいだし。
もしかしてだけどこの人じゃね?助けてくれた人。試しに聞いてみるか・・・・・
「・・・ねえ」
「ん?なんだい?」
「おじさんは・・・・・おれを助けてくれた人?」
「・・・・・そうだね」
・・・・・やっぱりこの人なんだ。
黒コートに中のスーツからワイシャツ、ネクタイまでも黒一式だな。黒髪は寝癖が所々ついてて目は・・・青いな、所謂碧眼か?
まあいいや、それよりもおじさんと孤児院か・・・・・あれ?迷うまでもなくないか?
「おじさんに・・・ついてく」
孤児院だともっと知らない連中がいっぱいいるし、色々と制限されそうじゃん?
いや、一番はこの姿・・・主に顔がヤバい・・・・・。何せ少し見方を変えれば銀髪に金銀のオッドアイだぞ。いじめられる想像しか浮かばない。
「そうか・・・そうか!なら早速準備しようか」
そう言って男性は何やら立ち上がり、部屋を出ようとするが部屋を出る直前に「あっそうだ」と言ってこちらに戻って来る。
「そう言えば、僕の名前はまだ言ってなかったね」
確かに、あんまり気にしてなかったから聞かなかったけどこの人は本当に何やってる人なんだろう・・・・・・
「僕の名前は『遠衛 凛(とおえ りん)』。それで僕はね・・・・・」
その後、告げたおじさん・・・凛の言葉はかなり耳に残っている。
インパクトがあると言うか・・・信じられないというか・・・でもそれは、その日は俺の・・・
「魔法使いなんだ」
・・・・・『遠衛 士道(とおえ しどう)』としての俺の始まりだった。
次回まで待て、しかして希望せよ