なんとか理解を得ることに成功した私は澄まし顔でスネイプ教授の前を通り家の中に侵にゅ…お邪魔させてもらうことになった。
寂れた玄関ホールを抜けて生活感のない客間へと通された。色褪せたその場所で唯一色のあるのは季節外れの暖炉で揺らめく炎だけ。時折パチパチと火の粉をあげる音以外は静寂に包まれたそこは見れば見るほど住人がいることが信じられない。
途中、話を聞くとどうやら応対してくれた女性は私達が探している子供の親戚らしくこの家の管理を任されているらしい。子供とその家族は闇の魔法使い達に見つからないようにこの家の暖炉からしか辿り着けない別の家に居るのだとか。
「手紙でしたら私がお預かりします」
「いえ、奥様のお時間を頂く訳にはいきません。それに、ホグワーツについて説明がありますので」
届け先が分からず戻ってくる梟は毎年おり別の梟による再配達を試みるものの玉砕することも少なくないそうで、そういった手紙は教授自らが出向いて本人に直接届けるそうだ。最終手段のその場合は本人に手渡しを徹底している。
そういったケースで多いのが親が入学に難色を示していたり、逆に子供自らが躊躇していたり。それぞれの事情から入学に踏み切れない者の対応まで梟に任せることなどできないことから教授が出向くのだ。
「いやー、流石ですねスネイプ教授。私、お昼ご飯抜きを覚悟してました」
この家の女性と同じような押し問答を繰り返していたところ、スネイプ教授の機転のおかげで子供の父親に連絡してくれることになり暖炉に消える女性の姿を見送った。
「鈍間に付き合っているほど暇ではありませので」
素直に褒めたのにこれである。口では悪態をついているものの満更でもなさそうな表情の教授を目撃したが黙っておいた。口が滑った時のことを想像しただけで視線に殺されそうである。
「無事お昼ご飯にありつけそうで良かったです」
「この他にあと一軒、校長から用を任されている。それが終わるまでは帰れませんな」
「それってお昼お預けってことですか!?食事は大事ですよ。極東の諺に腹が減っては戦はできぬ、なんてものがあるくらいですから」
あと半刻でランチタイムは終了する頃合いにも関わらず私の胃の中は朝食の残りのみ。道理で頭が回らないわけだ。
軽く絶望感を覚えていると暖炉の炎が一際大きく燃え上がり炎の色が変わると同時に人影が現れた。古びた床が微かに軋んで小さな音を立てるとそこにはスリーピースを違和感なく着こなす男性と幼さを残す顔立ちの少年が立っていた。
「先生方、大変お待たせ致しました。態々ご足労頂いたにも関わらずロクなもてなしも出来ずに申し訳ありません。私はこの子の父親である───」
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「スネイプ教授、何処かで一緒に遅めのお昼でも如何です?」
1軒目の手紙を届けた少年は無事ホグワーツに入学することに決まり、校長先生からの頼まれ事も無事終了した時には腹の虫がか弱く鳴いていた。
「遠慮しておこう。私は準備で忙しいのでこれで失礼する」
「あっ、待ってください。私、1人じゃ帰れないんです」
スネイプ教授に似合わない可愛らしいカフェに連れて行こうと思ったのに少し残念だ。そう易々と了承してくれるとも思っていないけど。
本日2度目のジト目を見事頂戴し、無言で歩き出す。そんな教授を急いで追いかけの横に並んでも一瞥もくれなかったが、文句も出てこなかった。
姿現しで大体の移動をしているとはいえ、場所を知らない1軒目は目印となる場所から歩き回らなければならなかったし空腹だったこともあってクタクタな私の前を黒い何かが横切った。
「あぁ、やっと見つけました!私のこのチャーミングで光り輝いている笑顔を直視できないからといってそう隠れなくてもいいのですよ、スネイプ教授!」
キングスクロス駅に差し掛かったところで勇敢にもスネイプ教授のローブをむんずと掴み口を開く隙も与えず意味不明な言葉を捲したてる男と遭遇した。
スネイプ教授、なんだこの珍生物はみたいな目でこちらを見ないでください。貴方へのお客さんのようですから。
ハリポタは先生達もキャラが濃いから面白い。生徒達とは本編が始まってから関わり始める予定です。