ホグワーツ特急
それからの日々は何度か新入生の入学許可証の再配達を任されたり、在校生へ送る教科書リストが入った手紙の宛名をリストと照らし合わせて不備がないか確認したり、新年度の授業の道具を揃えにダイアゴン横丁に繰り出したりとあっという間に過ぎた。
目まぐるしい日々を過ごしていると、いつのまにか入学式当日となっていた。
森番であるハグリッドと共にプラットホームでホグワーツ特急に乗ってやってくる新入生を引率する任を受けた。ダンブルドア校長に名指しで頼まれた事でハグリッドは先程まで一人で小躍りしていたがようやく落ち着いたらしい。
「俺は先頭に立ってイッチ年生を集合させちょるから、アリシアは名簿にチェックしていってくれんか?」
「わかった、任せて。全員いるかチェックし終わったら降り忘れがいないか列車の中を確認してくるね」
「おう、助かる」
イギリスの9月、それも日がすっかり落ちた時間は薄っすらと肌寒い。向かい風から少しでも逃げようとハグリッドの陰に隠れるとなんとも言えない安心感があった。風向きが変わる度に移動する私を面白そうに眺めるハグリッドを心の中で拝んでおいた。
次からはコート着てこよう、薄着で来るんじゃなかったとちょっと後悔。
唸りを上げてピッタリ時間通りに到着したホグワーツ特急からわらわらと在校生が足早に降りていく。チラチラと在校生からの視線を感じたがスルーさせてもらった、どうせ後で大広間で名乗るのだから今は仕事が優先だ。
そのうち挙動不審で一際目立つ集団が右往左往しているのが目についた、一年生だ。先輩についていけばいいのかどうすればいいのかわからないと言ったところだろうか。
「イッチ年生はこっちだ!ついて来い!イッチ年生───」
ハグリッドの声に集まって来た一年生に名前を聞いては名簿と照らし合わせチェックをつけていく。その作業は順調に進み、直ぐに残すところ数人となった。
「よし、あと1人。えーっと?コリン・クリービーか」
最後の1人は何処だと辺りに目を走らせると車掌と揉めている様子の小さい少年を見つけた。大切な物だというカメラだけは持っていきたいと主張する少年に荷物は寮の部屋に贈られる旨を説明して新入生の列に誘導する。
「ハグリッド、新入生全員いたよ。列車の中も車掌以外誰もいない」
「そうか。ありがとさん。よし、んじゃ、早いとこ行こうや」
「ハグリッド!ハリーとロンを見なかった?ジニーに聞いたらキングスクロス駅に来るまでは一緒に居たらしいのに列車の何処にもいないの!」
全てのコンパーメントの隅から隅まで探したはずなんだけど、と零すふわふわとした茶色の髪の少女。ハグリッドはそんな彼女を宥め先にホグワーツへ向かうよう説得していた。
列車にいないとなると列車に乗り遅れたか、何か事件に巻き込まれたか?
「ハグリッド、このまま新入生の引率をお願い。あと、校長に報告して欲しい。私は姿現ししてキングスクロス駅を探してみる」
「お、おう。任せとけ、お前さんも気ぃつけろよ」
グリフィンドール所属の2年生ハリー・ポッターとロナルド・ウィズリーか。変なことに巻き込まれていないといいんだけど。