東方文桐録   作:あぽろ

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 お久しぶりです!
 無事に受験合格できたので、更新を再開します。
 これからもよろしくお願いします。


第14話 ありがとうを伝えたくて

 

 一歩ずつ足を踏み出す。

 

 言葉で言うのは簡単だが、ただでさえ一時間歩き続けるのはそれなりに疲れる。それなのに、今俺達は山を降りている。

 

 標高が低いとはいえ、山は山だ。当然地面は歩きにくいし、切り立っている場所もある。……まあ、それは飛べるからあまり関係ないけれど。

 本当は飛んでいけたらいいのだが、そうしたら目立つ。あまり見つかりたくないから、必然的に歩いていくしかない。

 木に隠れながら飛ぶことも考えたが、残念ながら木を避けて飛べるほど飛ぶのが上手くない。絶対にどこかで顔面から突っ込むだろう。

 

「桐、あと少しで山をおりられますね」

 

 文が小声で話しかけてきた。声が響きすぎると獣が寄ってくるからだろう。

 

「うん。あと十分くらいだと思う。文、大丈夫?」

 

「はい。私はだいじょうぶです。桐はだいじょうぶですか?」

 

「うん、全然平気だよ」

 

「そうですか。良かったです。…………ねえ、桐。私は物心ついてからこの山を出たことがありません……きっと私はたくさんあなたにめいわくをかけるとおもいます。先にあやまっておきます。……ごめんなさい。それと、あなたについていきたいとわがままを言った私をつれてきてくれて、ありがとう」

 

「……文、」

 

 ついていきたいと言ってくれて、俺は嬉しかった。わがままなんかじゃない。それをわがままだと言うことは、俺にはできない。…………そう言いたかった。でも、そんなことはできなかった。

 

 その、感情を映し、伝えようとする、真っ直ぐこちらを見据える瞳を見てしまったから。

 

 これからのことを考えて、自分のかける迷惑に対して謝る姿。

 これまでのことを振り返り、感謝の言葉を述べる姿。

 

 両方が相反している。でも、どちらも今の文が心から思っていること。

 文の思っていることが、痛いほど伝わってくる。あまりにも美しく、鮮烈に、真っ直ぐと。

 

 なら、俺も心から思っていることを伝えるべきだ。

 文よりも、俺の方が感じているものは大きいと思う。でも、それでも、伝えたくなった。伝わらなくても、伝えたい。言葉だけでも伝えたい。

 伝えようとすることで得られるものは、俺の自己満足だ。そんなこと分かっている。

 

 でも、伝えたいことは伝えたいのだから、どうしようもない。

 

 文のように、真っ直ぐに伝えることは、俺にはできない。でも、だから、せめて、真っ直ぐ前を向いて伝えよう。

 

「文。俺も先に謝っておくよ。文に迷惑をかけたらごめん。きっとこれから俺のせいで大変になる。本当にごめん。ごめん、文…………どうしても伝えたいんだ。伝わるといいな。……俺と出会ってくれてありがとう。知り合ってくれてありがとう。友達になってくれてありがとう。一緒にいてくれてありがとう。一緒に来てくれてありがとう。…………ごめん。伝わりにくいよな。とにかく……ここにいてくれてありがとう」

 

 伝えたいことがあふれてくる。文と出会ってから今までのことが全て感謝の気持ちで埋めつくされている。気持ち悪いかもしれないけれど、できないことは知っているけれど、この全てを伝えたい。

 

 全てが伝わらなくても…………ほんの一割でも伝わったらいいな。




 …………なんか主人公君が気持ち悪くなっていっている気がしますが、これが彼の思っていることです……
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