ある日、家での生活に退屈していた俺は突然思い立った。
「外へ出てはいけませんよ。」
そんなこと、知るもんか。何で外に出ちゃいけないんだよ。
「お外へ出ると……妖怪に食べられてしまいますよ。」
俺だって妖怪だろ。だから大丈夫。少しだけ、ほんの少しだけでいい。
俺は……『あの子』を探す為にここへ来たんだから。
足音がしないように、こっそり家を抜け出した。うん、たぶん気付かれてない。
目指す場所は決まっていない。でも、大体の場所は分かるような気がする。風を切って走り、翔び、風の声に耳を傾ける。
『つまんない。一人で遊ぶのは、もうやだよ。』
この声は、きっと『あの子』の声だから。
ずっと、ずっと探して、見つけ出したかったけどできなかった、『あの子』が近くにいる、そう思うだけで疲れ切った体が力を取り戻す。
「やっぱりこれは、運命なのかな。」
こんな事言うと、運命を操る吸血鬼に笑われそうだけど。
でも、いいんだ。
俺は『あの子』に……まだ会ったこともない『あの子』に……
どうしようもなく『恋』をしているのだから。
「きのうは、たのしかったな……」
初めてできた、私のお友達。
あんなに楽しかったのはいつぶりだろう。思い出せないくらい昔な気がする。
まあ、まだ生まれて5年くらいしか過ぎてないんだけどね。
「きょうも、くるかな…………桐」
来てくれるといいな。
『また来る』って言ってたけど、いつ来てくれるんだろう。
できるだけ、早く来てくれるといいな。
『あの子』の声が、すぐそこから聞こえる。
あとちょっと、あとちょっとで『あの子』に会えるんだ!
辿り着いたのは大きな山にぽつんと一軒だけ建っている大きなお屋敷。
きっと、ここが『あの子』の家なんだろうな。
そう考えると、自然と口角が上がってしまう。
でも、困ったな…………どうやって入ろう。
不法侵入するしかないな。しょうがない。
俺は塀に飛び乗り、屋敷の中へと入った。やっぱ天狗の体はいいな。
そう言えば、桐の家ってどこなんだろう。
聞いても、分かんないよね。私は、この山から出たことがないから。
「文様、朝食の用意が終わりましたよ。」
「……はい。すぐ行きます。おばさま。」
「……そうでした、文様。昨日はどなたか来ていらしたのですか?」
「え…………はい、そうです。」
……私は言った覚えないのに。何で知ってるんだろう。
「珍しいですね。こんな山奥に意思疎通ができる者が来るなんて。文様ではないお声が聞こえたので、びっくりしましたよ。その方のお名前をお聞きしたいのですが、良いですか?」
「紅葉山 桐、だそうですよ。」
私の大切なお友達。
何で名前なんか気にするんだろう。私はそんなの気にしないのに。
「!?……紅葉山家の方、なのですか!?」
「そうですが、どうかしました?」
「い、いえ、何でもありません。」
「そうですか。」
屋敷に忍び込むと、そこの庭には毬をつく少女がいた。
美しい黒髪に輝く紅い瞳。
白い肌に幼いが端整な顔立ち。
すぐに『あの子』だと気付いた。
『ガサ」
しまった、音を立ててしまった。
「だれ?だれか、いるの……?」
ああ、可愛い声だな。
気付くと俺は、この子を抱きしめていた。
みなさんこんにちは、咲稀です!
前、コメントをいただけて、とても嬉しかったです。
突然ですが、明日から4日間、学校行事の自然教室があって投稿することができません。
もちろん、帰って来たらまた投稿するのでよろしくお願いします!
また次のお話も読んでいただけると嬉しいです!