「…………おそいなぁ。」
朝からずっと待ってたのに。もう太陽が落ちかけてる。
私はこの時間帯が好きだ。
夕日によって複雑な色彩を見せる空と雲。もっと近くに行って見てみたい。
こんなにも空が魅力的に見えるのは、私が天狗だからかもしれない。
目一杯翼を伸ばして、思いっきり風に乗って、空を翔んでみたい。
…………そんなことばっか考えてるせいかな。私にこの能力が宿ったのは。
この能力が嫌いな訳じゃない。むしろ宿ったときはとても嬉しかった。
でも、能力が宿ってから、私は一段と部屋の外へ出させて貰えなくなった。
それからだ。私が一日の大半を空を見て過ごすようになったのは。
昨日は本当に久し振りに外へ出た。外とはいっても中庭だけれど。
そして彼に会った。本当に楽しかった。ともだちって言ってくれて、嬉しかった。
この気持ちを何というのか分からないけど、それでもこれだけは言える。
「たのしみ、だな。」
早く、来てほしいな。
今、絶賛俺は逃走中。
朝起きて着替えていると、父様の風の声が聞こえてきた。
『桐、昨日は何処へ行っていた。』
しまった、父様にはバレていたのか。上手く気配を消せたと思ったのに……父様には敵わないのか。
「父様には内緒ですよ。」
『…………分かった、実力行使に出るとしよう。』
「……は!?」
言うが早いか、父様直属の部隊が障子を壊して突っ込んできた。
やりすぎだろ、父様。
こうなったら、俺も本気で逃げてやろう。
俺は家をぶっ壊して外へ出た。
少なくとも今日は自宅に帰れなさそうだな。
そんなことを思っていると、猪のような妖怪が目の前にいた。
食べられないように何とか回避すると、後ろからドシドシと追いかけてきた。……他の妖怪も引き連れて。
この世は弱肉強食だ。とは言っても俺は……自分で言うのも何だが強い方だと思う。
種族は上位の妖怪である天狗の中でも上の鴉天狗。
能力はありとあらゆる自然災害を操る程度の能力。
能力は自己申告制だが、恐らくこんなところだろう。
……うん、チートだね。何故こうなった。
『弱』になることはほぼ無に等しいとさえ思えるプロフィール。
しかしそれでも鍛練を積んだ同種族とは力量も技量も比べ物にはならないだろう。ということで。
今の最善策は……
「よし、逃げよう」
そして何とか今日中に追手を撒いて。あの子に……文に会うんだ。
文と昨日約束したんだ。
『また行く』
って。
文に会う為なら、何でもする。というか、その為なら、何でもできる気がする。だから……
「絶対待っててくれ、文!絶対、行くから!」
みなさんこんにちは、咲稀です!
体中が筋肉痛で痛くて困ってますが、何とか帰って来ました!
さて、文桐録ですが……文字数が、少ないですよね。
少しずつしか展開も、更新もできませんが、これからもよろしくお願いします!