君の名は。〜after story〜   作:ぽてとDA

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瀧のお父さんの名前ってなんなんやろうね?


第12話「父と息子」

目を覚ますと、三葉の顔があった

 

 

美人で、どことなく儚い美しさを残すその顔は、本当に自分の彼女でいいいのか不安になるほど、可愛いかった

 

 

頭を撫でると、サラサラとした黒髪が俺の手によく馴染む

 

「うーん…たきくぅん、もう…だめ…」

 

まったく、こいつはどんな夢見てるんだ

 

 

そう思いながら笑みをこぼす

 

 

ふと、目線の端にちらつくものに気を取られる

 

 

三葉の着ていたカーディガンがはだけて、ピンク色のブラジャーが覗いている

 

 

三葉の胸は、25歳にして十分すぎるほど発達していて、男の俺にしては少々刺激が強すぎた…

 

 

三葉は寝ている、それに、俺たちは付き合ってるんだ

 

 

こんなことで気後れしてたら、一向に先なんて進めないぞ、瀧

 

 

ありがとうございます

 

 

なんの神かは知らないけど、とりあえず神に感謝してから、その柔らかな膨らみに手を伸ばす

 

 

「あっ…」

 

 

寝ている三葉の寝息が少し荒くなる

 

 

すげぇ…初めて触ったのに、なんだか懐かしいな…

 

 

初めて手に伝わる感触に思わず感動する

 

 

「た…たき…くん」

 

 

三葉の顔が赤くなるのがわかる、でも大丈夫。まだ寝てる

 

 

俺はそこでようやく、花柄のワンピースの胸元にあるボタンを外す

 

 

そして、その中にある女性の神秘に手を伸ばそ…

 

「なにしとるん、瀧君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デ、デジャヴ…なあ三葉、朝一でビンタはキツいって」

 

「うるさい!グーじゃないだけマシやと思いんさい!私の半径5メートル以内に近寄らんといて!」

 

「なっ!そこまで言うかよ!なんか伸びてる?あれ?いや、俺たち付き合ってるんだし…ちょっとくらいは…」

 

「それとこれとは話が別や!触りたいなら…ちゃんと言ってくれれば…」

 

そこで三葉は顔を真っ赤にして俯く、言葉も尻すぼみだ

 

「え?なに?」

 

聞こえてたけど、あえて聞く

 

「うるさい!この変態!エッチ!スケベ!おっぱい星人!」

 

 

なんだろう!いわれもない罵倒なのに、なんだか懐かしい、そんな気がする

 

忘れてた夢を、思い出すような、記憶の中にある何かが掘り起こされるような、そんな感覚に襲われる

 

「み、三葉!今のもう一回言ってくれ!変態ってやつ!」

 

「な、なんでや」

 

三葉がゴミを見るような目で俺を見てくる

 

違うんだ、三葉さん

 

「ち、違う!なんか今ので!なんか思い出しそうな気がして!頼む!もうちょっとなんだ!」

 

「う…本当?わ、わかったよ。へ、変態!」

 

「もっとだ!」

 

「変態!エッチ!スケベ!」

 

「もう少し!」

 

「このど変態!おっぱい星人!!」

 

「あと一回!」

 

「変態!!!瀧くんの変態!!」

 

 

ふと、何か気配を感じて部屋の入り口を見ると

 

父さんが立っていた

 

…何を言っているかわからないだろう?俺もわからないんだ、ただ、父さんが立ってるんだ

 

 

「……」

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

沈黙

 

 

 

 

 

 

 

ただ、沈黙。もしかしたら、この世界の全てから音が消えてしまったのかもしれない

 

その沈黙を破るように、父さんが言葉を発する

 

 

「………その、すまなかった。瀧」

 

それだけ言うと、父さんはリビングに戻っていった

 

眼鏡が反射して、目はよく見えなかったけど、もしかしたら泣いてたかもしれない

 

「ち、違うんだ!」

 

俺は震えながら父さん追う

 

「違うんだよぉぉぉおおお!!!父さぁぁぁん!!!!!」

 

俺は、藤原竜也ばりの迫力で父さんを追いかけた

 

そういえば父さん、朝には帰るって言ってたっけな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして…瀧君とお付き合いさせていただいてます、宮水三葉と申します」

 

「なに、緊張しなくて大丈夫だよ、そんな堅苦しい言葉はやめよう。初めまして、瀧の父の、立花龍一です」

 

私と瀧君のお父さんは、リビングに対面で座りながらお茶を飲んでいる

 

「あ、はい…その、先程は変なところをお見せしてすいませんでした…」

 

「いや、いいんだ…瀧からさんざん言い訳を聞かされたからね」

 

私は、恥ずかしくて顔を真っ赤にして目を伏せる

 

あぁ、最悪や…よりによってあんな場面を見られるなんて

 

「ほんとうに…すいません…」

 

「大丈夫だよ。それに、君をの目を見れば、あいつを、瀧のことをどれだけ大事にしてくれているか、すぐにわかるよ」

 

お義父さんは…お父さんは、とっても優しい顔でそう言ってくれてた

 

当の瀧君は、あのあと私が往復ビンタをしたのと、あの場面を見られたことのショックで部屋でのびている

 

「瀧君は、ほんとうに、ほんとうに大事な人です。私は歳上ですから、瀧君のことをしっかりリードしていきたいと思っています!」

 

思わず、言葉に熱が入ってしまう

 

お父さんは、それがおかしいのか、少しだけ笑う

 

笑った顔が、瀧君にそっくり…

 

「そうか、宮水さんになら、あいつを任せられるかな。私は…父親らしいことはあいつには何もしてあげれなかったからね」

 

どこか寂しげな顔で、お父さんは言葉を続ける

 

「いえ…そんなことないと思いますよ。瀧君前に言ってました。父さんには実は感謝してるんだって」

 

「あいつが?そうか…」

 

寂しげな顔だったお父さんが、少しだけ、笑った気がした。そして、そのまま話しだす

 

「まぁ、話は聞いているかもしれないが、あいつには母親がいない。瀧が小さい頃に、私が離婚してね。男手一つで育ててきたが、あいつには母親の、女性からの愛情ってのに慣れてないんだ。だから、昔から女の子を相手にするとなんだかドギマギしていたものだよ。もちろん、中学、高校くらいからはそんな様子も無くなったが、正直、あいつに彼女ができないのは俺の離婚が原因なんじゃないかって、そんなことも思ったりしたね」

 

「いえ…お父さんのせいなんかじゃ、ないと思いますよ…」

 

私はただ、そう言うことしかできなかった。

 

「そうかな?でも、どうやらもう心配はいらないね。だって、こんなに美人な彼女を連れてきて、しかも、あんなに仲良さそうに会話をしていたしね」

 

お父さんはそう言ってクスクスと笑った

 

きっと、さっきの事を言っているのだろう

 

「あっ、もしかして…からかってます?」

 

「いいや?なんのことかな?」

 

ほんとに、瀧君にそっくりだな

 

そんな事を思いながら、2人で笑いだす

 

 

ガチャリ、と音がして、リビングに瀧君が入ってくる。どことなく頰が腫れている気がする。

 

「おい、父さん、三葉に変なこと言ってねーだろうな」

 

「ん?変な事言わせていたのはお前だろ?」

 

「なっ…」

 

きっと、瀧君もお父さんには敵わないんだろうな

 

そんなことを思い、私はクスクスと笑ってしまった

 

「も、もうそのことは忘れろよ!」

 

「いや、あの光景は俺の目に焼き付いて離れんな」

 

「あの、お父さん、それは忘れてくれた方が私的にも…」

 

なんて言っても、お父さんは眼鏡を光らせているだけで聞いてくれなかった、やっぱり瀧君ににてる…

 

「くくく、それじゃ瀧、父さんは少し寝る、出てくときは声をかけなくていいからな」

 

お父さんは、どこか疲れた顔でそう言う。そういえば、お父さんが帰ってきたのは今朝だから、昨日は徹夜だったのかもしれない

 

「あっ!すいません…お疲れだったのに私の話に付き合わせてしまって…」

 

「いやいや、宮水さんは気にしないでいいよ、私も、綺麗な女性と話せて楽しかったからね」

 

お父さんの眼鏡が、キラリと光る

 

「おい!三葉に変なこと言うなよ!」

 

「ははは、それじゃ宮水さん、またいつでもきてくださいね。瀧、宮水さんのこと、大事にしろよ」

 

それだけ言うと、お父さんは自分の部屋に戻っていってしまった

 

 

「…お父さん、いい人やね」

 

「そうか?でも、笑ってる親父、久々に見たかも」

 

「きっと、息子が美人な彼女を連れてきてくれて嬉しいんやよ」

 

「そうだな」

 

「ちょっと!そこはつっこむとこやよ!!」

 

私は瀧君の肩をガシガシと揺すって怒るけど、瀧君は口笛を吹いている

 

私の方が歳上なのに、最近からかわれてばっかりな気がする。

 

でも

 

実はちょっと嬉しかったりする…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瀧君の家でシャワーを借りて、持ってきた着替えを身につけると、瀧君が不思議そうな顔をしている

 

「三葉、なんで着替え持ってきてるんだ?」

 

「えー、あー…一応?」

 

そこで、昨日、出かける前にあった一騒動を思い出す

 

 

 

 

 

「うーん、こっちもいいし、こっちでも…でもちょっと大人っぽすぎ?もうちょっと可愛いほうが…どっちがいいかな四葉?」

 

「もう!いつも通りでええんやって!どいてお姉ちゃん!」

 

朝、お弁当を作り終えた私は、デートに着ていく服で迷いに迷っていた

 

そんな中、学校を遅刻しそうな四葉がドタドタと部屋の中を駆け回る

 

「うーん、青か、白か、どっちにしようかな…四葉?どっちがいい?」

 

「もう!ほんと!遅刻しちゃうって!お姉ちゃん!いやぁぁぁ!!」

 

 

 

 

散々悩んだ挙句、白の花柄のワンピースに決めた

 

「あっ、お姉ちゃん!一応着替えとか!持ってきないよ!」

 

玄関で靴を履きながら、四葉が言う

 

「なんで?」

 

「そりゃ、お泊りになるかもしれんやろ?だったら次の日も一緒やに、着替え持ってったほうがええって!」

 

そこまで言うと、四葉は玄関から飛び出していった

 

 

 

 

 

 

 

 

私はまた、服を並べて悩みだした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事を思い出して、私はひとり苦笑する

 

「もしかしたら泊まるかも、みたいなことを四葉と話してたんよ」

 

「あっ、そういえば、四葉ちゃんに連絡入れてないけど、大丈夫なのか?」

 

「うん、今日はたぶん大丈夫やよ」

 

昨日あんな話をしてたんだ、夜帰ってこないならそれだけでわかるはずだ

 

そっと携帯を開くと、一件だけ、四葉からLINEが届いていた

 

 

 

《お姉ちゃん、避妊はちゃんとしないよ》

 

 

 

私は速攻で携帯をカバンの中に放り込んだ

 

「ど、どうした三葉」

 

「ううん、なんでもないよ」

 

「顔、赤いぞ三葉」

 

あたりまえだ、四葉のせいで想像してしまった

 

瀧君と…

 

あっ、だめだ、顔が赤くなっちゃう

 

顔をあげると、瀧君が目の前にいた

 

顎に手を当てられ、頭の後ろに手を添えられて、逃げられない

 

そして、そっと口づけされる

 

「あっ…」

 

思わず出た声も、すぐに塞がれる

 

ついばむように、2人で唇を合わせる

 

そして、瀧君の一部が私の口の中に侵入してきて、交わった

 

キスって、なんでこんなに心地いいんだろう

 

そういえば私、瀧君がファーストキスやね

 

瀧君は、どうなんだろうな…

 

 

やがて、満足したかのように瀧君が離れていく

 

「もう…瀧君急すぎやよ」

 

「三葉が可愛いのが悪い」

 

「あっ、もしかして照れとるん?可愛いわぁ」

 

「お、おい!男に可愛いとか言うなよ!」

 

瀧君は頭の後ろをかきながら顔を赤くする

 

ほんとにかわいいな、瀧君

 

「それじゃあ、そろそろ行こ、お昼ご飯、奢ってくれるんやろ?」

 

朝、勝手に私の胸を揉んだことのお詫びとして、瀧君が何か高級なお昼を奢るということで結着がついていた

 

「あー、はいはい。んじゃ行くか」

 

2人で立ち上がって、家を出る準備をする。そのとき、瀧君の携帯が震える

 

「あ、わりぃ、ちょっと電話」

 

「うん」

 

誰からだろう?

 

「司か?なに?いまから?あー、ちょっとな…あっ、そうだ」

 

瀧君は、電話をしながら少し悩んだ後、何か思いついたかのように私に話しかけてきた

 

 

 

 

 

 

「なぁ三葉、昼なんだけどさ…」

 

 

 

 

 

 

 

瀧君の提案を聞いた私は、快く頷いた

 

 

 

 


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