ニートがダンジョンにいてもいいのだろうか?   作:暁紅

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天童式の設定が本家とかなり違いますが、ご了承ください。




ニート見参!!

闇。

 

自分以外にあるのらひたすらなる闇。

 

親から譲り受けた天童式戦闘術は今では人を殺すための物。

 

手には洗っても洗っても落ちない血がこびりついている。

 

怖いなんて感情も存在しない。なにせ、親からは必要ないと言われたからだ。

 

『殺しに感情はいらない。ただ無心に無関心に作業のように、殺して殺して殺せ。

 

子供だとしても殺せ。

女でも殺せ。

年寄りでも殺せ。

命乞いをしてきても殺せ。

 

お前にある才能はそれだけなのだから』

 

最初の殺しは怖かった。だが、次第に何も感じなくなり感情も消えていった。

 

「やめろ!何故だ!なぜ私もころ」

「全員殺す...テンドウは殺す」

 

無情に心臓を貫く。

 

流れ出た血は止まることなく流れ続ける。それでも攻撃の手を止めずに首を跳ねる。

 

一体今殺したのは誰なのか?そんな事は知らない。俺はただの殺す道具。考える事なんていらない...いらない。

 

そんな闇に光が差し込んだ。

 

「僕のファミリアに入らないかい?」

 

無駄に膨らんだ胸を揺らす童顔女神が手を差し出してきた。

 

 

 

 

「久しぶりにこんな夢見たな」

 

寝起きすぐに蹴伸びをしながら愚痴る。

 

お金のないヘスティア・ファミリアでは毛布は薄く、歯寒い一夜を過ごす事になる。

 

寝相が悪かったのか半脱げの上半身の服を投げ捨て、灯りの付いている部屋へ向かう。

 

「ふぁぁ...おはようヘスティア、飯は?」

「開口一番がそれかい?ニート()君」

 

両腕を組みその上に乳を乗せ、頬を膨らませている自分のファミリアの主神ヘスティアが、怒りながら迫ってくる。

 

「ニートは酷い。ちゃんとダンジョン行ってるだろ?」

「確かに行ってるね、二週間に一回だけどね。それに、今はおはようの時間じゃなくて、こんにちはの時間だよ」

 

寝泊まりしている場所は教会の地下で、直射日光が寝起きを合図はしてくれず、自力で起きなければならない。

 

なので、別に昼頃に起きたからといって怒られる理由は一切ない。

 

ぷんすか怒っているヘスティアの横を通り、机に置いてあったコップに入っている少し生温い水を喉に流し込む。

 

飲んだ途端にヘスティアが頬を赤く染め、体当たりしてコップを奪い返し、猫のように威嚇してくる。

 

「これは僕のだ!」

「別にいいだろぉふぁ...飯は?」

「君はこれを食べるといい。昨日の残りの」

「また、じゃが丸くんか...それ以外はないよな...別にいいけどよ」

 

紙にに包まれた丸い物体を奪い取り、覚めきっているじゃが丸くんを人齧りする。

 

冷めても温かくても美味しいと豪語するだけあって不味くはないが、正直食べすぎて美味いとは思えない。

 

文句たらたらだが、あっという間に食べ終え

 

「もう一眠り行ってくるわ...ふわぁ」

「このニートめ!ベル君を見習え!」

「ニートじゃない。働くのがめんどいだけだ」

「それをニートって言うだよ!今日ばかりは意地でも働いてもらうぞ!」

「はっ!断固拒否させてもらう!」

 

その場からかけ出入口の前を占拠したヘスティアと、テンドウ・誠が手を握り合いながら激突をする。

 

互いに譲れない意地をかけた勝負は最初からヒートアップし、床が足によって擦れる音がなる。

 

「「くくくく」」

 

一歩も引かない衝突はとある人物による、横槍によって止められる。

 

「ただいま!って何やってるんですか!」

 

どこか嬉しそうにウキウキした様子で帰ってきた、白髪の少年ベル・クラネルである。

 

 

 

『ファミリア』とは神を頭に、人々が付き従う体制の事を言い表す。簡単に言うのであれば宗教に近い。

 

神を信仰し、敬い、力を振るう。

 

神から刻まれた『ステータス』は、刻まれていないものと比べると、あるだけで身体能力が跳ね上がる。

 

さらに、Lvが存在しており高ければ高いほど自身の主神の力を象徴する物となる。

 

ここ、オラリオにおいてはロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアがトップに君臨している。

 

誠のいるヘスティア・ファミリアは下の下であり、半月前に入ってきたLv.1ベルに、半年前に入ったこれまた同じLv.1の誠。この二人だけしかいない。

 

 

「てなわけがあってさ」

「うん、なるほど分かったで、何で君がここにいるのかな?」

 

深く帽子を被った優男的な印象の男が、恨むような声で口を開く。

 

それもそのはずだ。彼ヘルメスは、せっかく追っ手のアスフィを撒いて優雅に夕食を取ろうとしていたのに、誠が突然現れ昼にあった事をベラベラ話してきたのだ。

 

人っけの少ないカフェを選んだのにこれでは失敗であった。

 

第二の追っ手がくるなど予想しておらず、やられたと悪態をつきながら食後のコーヒーを啜る。

 

幸いだったのは晩食は食べ終わり、余韻に浸っていた所であった事だろうか。

 

一杯のコーヒーを飲み終え、大皿の上に食べ終え残った食器や道具を乗せる。

 

「そろそろ僕は出るけど、君はどうするんだい?」

「だったら俺ももう行くよ、ただ一つ聞きたい。天童式についてだ」

 

人っけが少ないとは言ったが全てわざとであり、ここはそう言う人や神が密会を行うために使われる場所である。

 

いつも通り書類を一枚取り出し差し出す。

 

「いないよ、君が全員殺したんだ(・・・・・・・)。いくら探しても後継者は発見ならずだね」

「なら良かった」

 

念の為に紙を受け取り一度目に通すと、すぐにヘルメスに返して帰路へとつく。

 

会計は当たり前だが何も食べていない誠が払うはずもなく、ヘルメスの自腹である。

 

天童式とはオラリオより離れた極東の地に伝わる武術で、最強と言わしめられた武術であった(・・・)

 

先程のヘルメスの話していた通り、それを使う者全てを誠は殺した。友も師匠も両親も。

 

全てを殺しすることが無くなった誠をヘルメスが見つけ、オラリオに運んだ。そして、すぐにヘスティアと出会い今に至る。

 

「ヘルメス何かあったら」

「分かっている、すぐに伝えに戻ってくるさ」

「頼むよ」

 

懐から取り出した五十万ヴァリス入った袋を投げつけ、店から出ていく。

 

何故こんな事をしているのかと問われれば、天童式を使う者を殺す。その命令が頭の中にまだあるからだ。

 

太陽の明かりは消え街灯の明かりのみになり、薄暗い路地裏を誰にも見つからないように進み家の教会跡地へ戻る。

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