【完結】ファイアーエムブレム 烈火の剣~軍師と剣士~   作:からんBit

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第24章~四牙襲来 ③~

エリウッドは大通りで噂を聞くという名目のもとでニニアンと一緒に移動していた。

彼女の髪にはいつの日かエリウッドが選んだ髪留めが刺さっていた。ニニアンはこの街のお祭り騒ぎのような空気にあてられたのか、少し興奮気味であった。

 

そんな彼女は先程から街の片隅で踊っていた演者に夢中だった。

 

舞台も音楽も無く、大通りから続く細い路地で野良猫相手に踊っていた女性だ。

同じ動きを繰り返し練習し、気に入らない個所があるのか少し踊っては修正を繰り返していた。

彼女はエリウッドとニニアンが見ていることにも気づかないぐらい夢中で練習していた。

 

そんな彼女にニニアンに声をかけたのが始まりだった。

 

「腕の振りが少し弱いんだと思います」

 

彼女はこの町に来ていた旅芸人の一座で踊り子を務めている女性だった。

それからニニアンと彼女は意気投合。ニニアンが旅芸人だと知ると彼女達はお互いが渡り歩いた町について話に花を咲かせていた。一通り話が終われば、次は自分達の踊りの動きの話題だ。彼女達の話題は尽きることがない。エリウッドはニニアンがここまで長く語り続けるのを初めて見た。

 

エリウッドは完全に蚊帳の外だったが、ニニアンが楽しそうにしてるので満足だった。

 

エリウッドは念のために大通りに注意を向けておく。

ここは【黒い牙】の本拠地。ニニアンを狙う輩が現れてもおかしくない。

 

「それで、アタイは言ってやったのさ。『そんな男は【黒い牙】の制裁を受けるべきだ』ってね」

「・・・まぁ」

「ま、あんたは立派な旦那がついてるみたいだから心配なさそうだけど」

「だ、旦那!?ち、ちがいます」

「あり?違うの?」

「は、はい・・・私はそんな・・・あの人のお傍にいることさえ・・・」

「ふーん、わけありか・・・・いいかい、ニニアン。一つだけ忠告しとく」

「なんでしょう?」

「これはアタイが旅人から聞いた言葉なんだけどな『恋と誇りは砕けた方が人を強くする』」

「・・・・・・・・」

「『恋と誇りは・・・」

「聞こえてました」

 

つい最近も似たような話を聞いたことのあるニニアンだった。

その時、不意に路地の扉の一つが開いて髪の短い男が顔を出した。

 

「おい、ナナンダ。座長知らないか?」

「座長?さぁ、知らないね・・・居なくなってくれたんならそれに越したことはないんだけど」

 

彼女の笑顔の中にわずかに険が宿る。

エリウッドはその台詞の中に微かな憎悪が宿っているのを感じた。

その直感を裏付けるかのように、2人の会話の内容はあまり口に出したくないものへと変わっていく。

 

「そう言うな・・・今夜の公演の後の話は聞いたか?」

「ふん、私の役目はわかってるよ・・・それで、ガキどもの方はどうなった?」

「大丈夫だ。なんとか今回は見逃してもらった。まぁ、次はわからんがな」

 

それから2人は二言三言冗談を交わし、男性は家の中に顔を引っ込めた。ナナンダと呼ばれて居た女性は疲れたようなため息を吐き、ニニアンに笑いかけた。

 

「悪いね。嫌なこと聞かせた」

「・・・いいえ・・・」

 

エリウッドとニニアンは今の会話の裏に潜む内容を察していた。

厳しい旅を続けてきたニニアンは言うまでもなく、貴族であるエリウッドもそういう世界があることを知らない程に無知ではなかった。旅芸人の団員の仕事としては特別珍しい話でもない。

 

それが労働と対価の釣り合った仕事として扱われているならば、エリウッドとしても口を挟むつもりはなかった。実際、リキア国内であってもそういった職種の人間は少なからずいる。

 

だが、ベルンでは往々にして事情が異なるのだという話をエリウッドは聞いていた。

利益を得るのはたった1人。それ以外は身が擦り切れるまで働き、ボロ雑巾のように捨てられる。

 

そんな現実を目の当たりにしていても、エリウッドには何もできない。

 

彼女達を雇い主から1人ずつ買い取っていたら、金がいくらあっても足りない。

逃げ出すよう取り計らえばそれは立派な窃盗だ。

国外逃亡を手助けなどすれば、ベルンとの関係を悪化させる口火になりかねない。

 

フェレ侯子という立場ですら出来ることは限られている。身分を隠している今なら尚更であった。

 

「ごめんね。アタイ、もう行かなくちゃ。じゃあね、ニニアン。アタイの舞台見に来ておくれよ」

「は、はい!必ず行きます」

「そこの旦那と一緒にな」

「だ、だから・・・旦那では・・・ないんです」

「アハハハ、そうかい、そうかい。んじゃ、またどこかで会おう」

 

ニニアンは彼女が去って行った戸を少し見つめた後、自分の髪留めにそっと触れてみた。

 

「・・・エリウッド様・・・」

 

この小さな路地裏には日の光は届かない。

エリウッドはニニアンの肩に手を置き、いつもと変わらない柔らかな笑顔を浮かべた。

 

「随分と楽しそうだったね。僕にはよくわからなかったけど。有意義だったかい?」

「は、はい!」

 

はっきりと返事をしたニニアン。

あまり良い話の終え方は出来なかったが、演舞などに関しては随分といろいろなことを教えてもらえた。

彼女との出会いは決して不幸なことではなかった。

 

「ここの舞台を見に行く約束をしました」

「うん、そうだね」

 

エリウッドはここで見聞きしたことの一部を忘れたかのような態度を取る。笑顔の下に身の内にある「憤り」や「遣る瀬の無さ」を覆い隠す。

この旅を始めてからというもの、こういったことばかりが上手くなっているようだった。

 

「情報収集が一区切りついたら見に行こうか」

「いいのですか?」

「大丈夫さ。ヘクトル達が騒ぎを起こさなければね」

 

そう言うと、ニニアンは困ったように眉をハの字にしながら笑った。

 

「はい・・・よろしければ、お供します」

「うん、約束だ」

「やく・・・そく」

 

その言葉を聞き、ニニアンは自分の小指をさすった。

それが、なんだかおねだりをする子供のように見えてエリウッドは小さく笑う。

エリウッドは自分の小指を差し出した。

 

「それじゃあ、はい」

「はい!」

 

ニニアンはこの約束の仕方が随分と気にったらしい。

エリウッドはそんな彼女が決して嫌いではなかった。

 

「それじゃあもう少し話を聞いてまわろうか」

「はい」

 

エリウッドとニニアンは再び大通りへと戻っていく。

 

その一連を路地の奥から見ていた者がいた。

 

「・・・マジで奴らだ。ナバタに向かったって話だったがな?」

「いいじゃねーか、そんなこと。せっかく見つけたんだ、やろうぜ兄貴」

「そうだな・・・」

 

ロイドとライナス。そして【黒い牙】の暗殺者達。

だが、殺気立つライナスとは対照的にロイドは冷静だった。

 

「だが、今はまずいな。街中でことを起こすのは俺の流儀に反する」

 

ロイドは今しがたエリウッドが歩いていった大通りに視線を向けた。

そこをちょうど子供達の一団が走っていったところだった。

 

旅芸人の昼の公演がもうじき始まる。子供達はそこに向かうのだろう。

だが、残念ながらそこの一座はこの公演を最後にしばらく苦労することになるだろう。

 

孤児を集めて犬畜生のように扱う座長とその幹部には【牙】が制裁を下した。

この旅芸人の一座が今後も巡業を続けるか、それとも各々が独立して分解するかは残った人々次第である。

 

とにかく、今ここでもめごとを起こすのは街の人々に被害が及ぶ可能性がある。

 

「・・・親父に報告して指示を待つか」

 

ロイドはそう決断を下した。

 

「ライナス、報告には俺が行く。お前は奴らを見張ってろ」

「今やっちまうのはだめなのか?」

「ダメだ。今は我慢しろ」

 

ライナスは退屈そうに肩をすくめた。

 

「お前は奴らの行方を確かめるだけでいい。わかったな?」

「ああ」

 

ベルンで一、二を争う暗殺者であるライナスも兄貴には弱い。

 

だが、兄貴の目が届かないところで、いろいろと悪戯を企てるのも弟というものだ。

ロイドが姿を消したその後、ライナスは独り言のように呟いた。

 

「とは言うものの、獲物を前に、指くわえてんのもなさけねえよなぁ」

 

そして、ライナスは自分の部下を呼んだ。

 

「おい!イーゴリ!!」

「なんだい?ライナスさん」

「仕掛けるぞ!奴らを挑発して街の中心部に引っ張り込め」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!まさか、ロイドさんの言いつけを破る気ですかい?」

 

慌てふためくイーゴリにライナスは不敵に笑ってみせた。

 

「・・・ようは、街の奴らにケガさせないよう注意しろってことだろ?そこだけは徹底するさ。そのために道の広い中心部に引っ張ってほしいんだ」

「だけどですねぇ・・・」

「頼むよ、イーゴリ!兄貴にいいとこ見せてーんだよ!な?頼んだぜ!!」

「・・・ったく、言いだしたら聞かねぇ人なんだから」

 

それでも、イーゴリの表情もまんざらでも無かった。

ライナスがこういう人だからこそイーゴリ達は付き従っているのだ。

 

イーゴリは準備を始めるために動き出した。

 

 

 

――――――― ※ ――――――― ※ ―――――――

 

 

 

食事処でお茶を楽しんでいたハングとリンディスは店の扉が開いた音を聞き、そちらに顔を向けた。

 

「今日もたいしたことのない敵だったな!」

「山賊なんて俺達には目じゃねぇぜ!!」

 

そこから一番に入ってきたのは筋骨隆々の大男だった。鼻筋に走る傷跡が特徴的な傭兵。彼がハングと交流のある傭兵、デウツであった。

ハングは声をかけようと片手をあげようとした。

 

「フハハハ!お主達も随分と様になってきたな!次はキアラン直伝の筋力増加訓練を・・・」

 

ハングの腕が硬直する。

デウツの後ろから続いて入ってきた人物を見て、驚愕に身体が硬直したのだ。

ハングとリンディスはほぼ同時に出入り口から目を背けて、額を寄せ合った。

 

「・・・おい、なんであの人がここにいる」

「私に聞いたってわからないわよ」

 

顔を突き合わせる二人をよそに、店長は傭兵団に声をかけた。

 

「おい、デウツ。お客さんだぞ」

「客?」

 

店長がハングを指差し、ハングも視線が自分に集まるのを感じた。

 

「・・・誰だ、お前?」

 

警戒心を纏った声を聞き、ハングは観念することにした。

 

「ここ数年で礼儀を学んだわけじゃなさそうだな、デウツ」

 

ハングはそう言って、気さくな態度で片手をあげた。

それを見て、デウツの強面な面構えが一気に綻んだ。

 

「ハングじゃねぇか!なんだよなんだよ!!生きてたのかこんちくしょう!!」

「変わらないな、お前は」

 

ハングは苦笑しながら、デウツの抱擁を受け止める。

 

そして、問題のもう1人に顔を向けた。

 

銀色の重装備で体を固めた将軍兵。髪の無くなった頭と歴戦の強者を示す筋肉。

その人はハング達を見て、岩山のような顔を綻ばせていた。

その表情はまるで子供のように愛嬌のあるものだったが、それを見れたからといってあまり得した気分にはなれない。

 

「ぉお!おぉぉ!!これはハング殿とリンディス様ではありませんか!!お久しぶりですな!」

「ええ、お久しぶりですね・・・ワレスさん」

 

デウツを跳ね飛ばしハングとリンディスの前に跪いた人物は一年前のキアラン内乱で戦線に復帰した重装騎士である、ワレスその人であった。

 

「フハハハハ!ハング殿、随分と良い眼をするようになりましたな!!リンディス様もより一層美しくなられた!」

 

相変わらず豪胆に笑う人である。

ハングは腕を振り回すようにして肩を叩いてくるワレスを全力でいなす。

まともにワレスの張り手を受ければ、「痛い」ではすまない可能性があった。

 

「あ、ありがとうございます。ワレスさんはどうしてベルンに?というか、なんでデウツの傭兵団に?

「なぁに、ちょっとした野暮用でベルンに来ましてな。その後、キアランへの帰り道がわからんくなってしまっていたところで、この者達が山賊と戦っている現場に遭遇そてしまった次第でありまして。しかも、この者達ときたら碌な訓練も受けてない荒くれ者の集まりと聞く。そんなものを前にして、騎士の血と指導者の血が滾ってしまいましてな、ガハハハハハ!」

「そんなことだと思ってましたよ・・・」

 

ハングはわずかに遠い目をする。

 

キアラン内乱が終わった直後、ワレスさんがいない事で軍部の仕事がどれだけ忙しくなったのかを思い出していたのだ。

頼むからこの人には自分のキアランにおける価値というものを自覚して欲しかった。

 

「ん?おいデウツ!何をそんなところで伸びておる!おぬしの前にいるリンディス様をどなたと・・・」

 

まずい!

 

ハングは慌てて今の現実に意識を引き戻した。こんな食事処でリンディスの素性をばらすわけにわいかない

 

「ワレスさん!俺達、最近面倒に巻き込まれてて、一人でも戦力が欲しいとこなんですが!!」

「なぬ、そうなのか?」

「はい!できればお力をお借りしたいと!」

「そうですか!それは是非もありませんな!このワレスも戦いましょう!デウツ、すまんな。ワシの契約はここまでじゃ!」

 

ハングは話題を逸らせたことに胸を撫で下ろす。

だが、床で胡座を組んでいたデウツは恨めしげな視線をハング向けた。

 

「てめぇ、引き抜きに来たのかよ」

「そういうつもりは無かったんだが。すまんな」

「まぁ、いいや。ワレスさんには部下も随分鍛えて貰った。あの人無しでもなんとかなるだろ」

「そう言ってくれると助かるよ」

 

ハングはデウツに手を差し出して、引き起こした。

上背のあるデウツの前に立つとそれだけで自分が小さくなったような気になるが、ハングはおくびにも出すことはない。

 

「で、本当は何しに来た?さっき面倒に巻き込まれてるとか言ってたな?俺たちを雇いに来たのか?」

「いや、少し聞き込みだ。情報が欲しいんだ」

「なんだ、そんなことか」

 

デウツは大剣を背中から外して、店長に手で合図する。

店長がそれだけで奥に酒を取り入った。

 

「飲んでる場合じゃないんだが?」

「酔えねぇんだろ?付き合えよ」

 

これも情報料の一部だろう。

ハングは高い酒を奢らされることを覚悟してデウツの隣に腰かけた。

 

その時だった。

 

「大変だ!戦だ!戦だ!!【黒い牙】が街中で騒ぎ出したぞ!」

 

ハングとリンディスの顔つきが変わる。

二人は視線だけで一瞬のうちに会話を終える。次の瞬間にはリンディスが店から飛び出していった。

ハングは金貨を一枚デウツに放り投げる。

 

「デウツ!そいつは前金だ!あとで話聞きに来るからな!」

「お、おう・・・」

 

素早く出て行こうとするハングにワレスは機敏に反応した。槍を担ぎ、鎧を締め直し、すぐさま走り出せる体制を整える。

その行動の早さは流石熟年の老兵である。

 

「ハング殿!戦ですか!?」

「ええ、ワレスさん。力を借ります」

「いいでしょう!リンディス様の御為ならこのワレス、いくらでも戦いますぞ!!」

 

ハングは思いがけない戦力の補強に唇の端を持ち上げる。

 

「デウツ!また来るからな!」

「って、おい!【黒い牙】って、一体どういう・・・」

 

ハングはデウツの話を最後まで聞かず、ワレスを連れて店の外に飛び出した。

 

店の外は大通りの方から逃げて来る人々に溢れていた。

ハング達はその流れに逆らうように走り出す。

 

「ワレスさん・・・」

「なんですか、ハング殿?」

 

ハングは走りながらワレスの顔を見上げる。

 

能天気そうに見えて、物事の本質を見抜く洞察力を備えた老兵。

彼がベルンでしていたという『野暮用』。

 

ハングはそのことについて尋ねるべきか悩んだ。

 

ワレスの人となり知るハングにはワレスがこのベルンで何をしていたのかをなんとなく察していた。

それでもなお、答えを求めたいのはただ自分が確信を得る為だけのものだ。

 

口にすべきでは無いと思う。だが、ハングは聞かずにはいられなかった。

 

「ワレスさん・・・ベルンでの野暮用って・・・まさかとは思うんですが」

「おそらく、お主の思ってる通りだ」

「・・・・・・・」

 

その言葉にハングは押し黙る。

それを見て、ワレスは大口を開けて笑った。

 

 

「フハハハハ、前にも言ったろうハング殿。お主は鋭すぎる。鋭い短剣は剣の幅しか布を割けん。もう少しだけ鈍く、大雑把であれば布に大穴を開けられるものを」

「・・・言いましたっけ、そんなこと?」

「む、言っとらんかったか?」

 

とはいえ、ワレスの言いたいことはわかる。

それでもそう簡単にいかないのが人間なのだ。

 

「まぁ、リンディス様に伝えるかどうかはお主に任すとしよう。ワシからは何も言わんからそのつもりでな」

「いいんですか?」

「好き合っておるのだろ?それなら、これを伝えるのはお主の役目だ」

 

ハングは走りながら後頭部を爪で引っ掻いた。

 

「かなわないな」

「フハハハハ!ワシから見ればお主もリンディス様もまだまだひよっこよ!」

 

ハングは人の流れから外れて小道へと走り込む。ワレスもそれに続く。

 

「ハング殿!それで、これはどこに向かってるんだ?」

「敵の裏を取りますよ!次の小道はワレスさんが前に出てください!」

「ふむ、任されよう」

 

ハングは小道を抜け、少し広い通りを横切って別の路地へとワレスを導く。

ワレスを先に行かせ、ハングは戦場になるであろう地点から距離を取りつつ走り続ける。

 

ハング達が躍り出たのは湖に面する中央広場の北側。

そこからは広場でエリウッド達が【黒い牙】に応戦してい様子がみて取れた。

 

「あれを蹴散らせばよいのか!?」

「いえ、ワレスさんの役割はこっちです」

 

ハングは中央広場の連中に気づかれないように移動。ハングが向かったのは広場に続く別の路地だった。

この道は【黒い牙】が増援を送り込んで来る格好の地点。

【黒い牙】が暗殺集団である以上、広場という見通しの良い場所で真正面から当たってくるとは考えにくい。

必ず、騒ぎに乗じてエリウッド達を狙う連中がやってくる。

 

この道はそれを食い止める最終防衛地点だ。

 

「ここで、敵を食い止めます!背後は気にせず、守りきります!」

「任されよう!専守防衛こそ我が真髄よ!!」

 

斧を構えたワレスの隣でハングは手持ちの赤い布を自分の剣の鞘に結びつけた。

ハングは左手で鞘を抜き、鞘を空中へと高々と放り投げた。

ハングの鞘に仕込まれた笛が甲高い音を響かせて天へと登って行く。

 

「誰か気づいてくれよ・・・」

 

ハングは頭上から落ちて来た鞘を掴み取り、ワレスの戦線へと参加していった。

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