【完結】ファイアーエムブレム 烈火の剣~軍師と剣士~ 作:からんBit
別れた3つの部隊の中で最も進軍が早かったのはリンディスの部隊であった。
早急に【ロングアーチ】を確保する必要があった彼女らは半ば強引な手段で敵陣を突破していた。
ここは盆地と森が隣接する道。飛行部隊が周囲から湧くこの戦場で盆地に長居するのはどう考えても不利であり、正面からの力押しも難しい。
だからこそ彼女らは森を制圧することにしたのだった。
風が吹き、木の葉が舞う。
生い茂る枝葉が太陽の光を覆い隠し、真昼だというのに薄暗く揺らめく樹海の内。
そのいたるところに、待ち伏せの構えをとる【モルフ】が身をひそめていた。
息を潜め、獲物を狙う獣のような【モルフ】
【モルフ】は与えられた【エーギル】により動く。彼らは呼吸も鼓動も必要ない。止まろうと思えば全てを停止させてただの肉塊へと変わることができる。彼らは伏兵としては最高の兵であろう。
だが、最強ではない。
この森には心無き獣を狩る狩人が既に入り込んでいた。
草葉に隠れる【モルフ】の頭上に一人の影が落ちてくる。
落下と同時に首に全ての体重を押し付けてへし折る。武器も使わずに音もなく仕留めるのは暗殺者の必須技能だ。
「これで三人目っと」
ラガルトはそう言って着地し、肩にかかった葉っぱを払いのけた。
その直後、ラガルトの背後で肉塊が突如動き出した。
ラガルトは慌てず騒がず、振り下ろされる斧をかわす。
「あらら、首を折ったはずなんだが」
動いたのは先程殺したはずの【モルフ】であった。
その【モルフ】は他の連中と違って何らかの強化がされているのか、首を90度に折り曲げたままラガルトに襲い掛かってきた。
「やばいかな」
まるで危機感のない言い方でそう言ったラガルト。そのラガルトに迫る斧。
その時、横合いから斧がはじき出された。暗闇から現れたのはフェレ騎士のハーケンだった。
ハーケンは斧を素早く振り切り【モルフ】の首を落とした。
ハーケンの素晴らしい手際にラガルトは口笛を吹いた。
「お見事」
「ラガルト・・・北部はもうあらかた片付いた」
「へぇ、本当に手際がいいな。随分と暗闇に精通しているみたいだな」
「・・・・・・」
「そう怖い目で睨みなさんな。俺達は今は味方で、俺はあんたの過去に興味なんかない」
「・・・・ならいいが・・・」
「まったく、あんたといいイサドラといい。フェレ騎士にはつくづく信用がねぇな」
その瞬間、ハーケンの眼の色が変わった。
それを見逃すラガルトではない。
彼は飄々とした態度で続ける。
「しかし、イサドラってのはいい女だね。俺がもっと早くあいつと出会ってたならほっときはしなかったんだが」
「・・・貴様、イサドラと・・・」
「生憎、略奪愛は趣味じゃ無くてな。俺は泥棒じゃなくて暗殺が専門だ」
「・・・なら、いいが・・・」
「だけど・・・」
ラガルトはハーケンに向けて意地の悪い顔を向けた。
「あんたが、いらないって言うなら。もらっちまうぞ?」
ハーケンの手元から手斧が飛んだ。
ラガルトの手からも短剣が飛ぶ。
それらは、二人の脇を通過し木陰に潜んでいた【モルフ】へと突き刺さった。
「・・・話は後にしよう」
「それがよさそうだ。ただ一つ言っておく」
「ん?」
「オレたちも、あんたたち騎士も、根っこは人間だ。たまには恋人のことも考えてやんな。戦うためだけに生きるなんて、悲しいだろ?」
「・・・・」
「言いたいのはそんだけ。あんま悲しい顔させんなよ」
「・・・・お前は・・・良い奴・・・なのか?」
「くくく、さてな」
北西側の森で、ラガルトとハーケンが素早く敵を制圧していく。
そして、その反対側の森にはリンディスとニノ、ジャファルが動き回っていた。
例え心音や体臭を消していても、存在が消えたわけではない。
体重があれば足跡は残る、茂みを抜ければ枝が折れる。
リンディスはそれらを素早く発見し、伏兵のいそうな個所を特定して移動する。
ジャファルが音もなく敵を排除し、リンディスの剣が声を上げる暇さえ与えずに敵を切り裂く。
ニノも元【黒い牙】だ。隠密行動の基本は身体に叩き込まれていた。
リンディス達はそうやって森を制圧し、伏兵を頼っていた敵の陣形を根底から瓦解させてしまったのだ。
敵を引き込むはずの陣形はただの軟弱なものと化し、わざと見せつけていた弱点はそのまま突破口へとなり果てた。道の中央ではカレル、カアラ、ギィというサカの三剣士を筆頭とした戦力が暴れるだけ暴れていた。
ウィルとレベッカも【ロングアーチ】を素早く確保し、上空のペガサスナイトや砦内部の敵を確実に攻撃して敵の数を減らしている。
「ウィル、向こうの山に敵兵が見える!!」
「よっしゃ!そっちは任せ・・・って、あれ!?動かない!?なんで!?」
突如、動きを止めてしまったウィルの【ロングアーチ】
狼狽えるウィルを横目に護衛を務めていたレイヴァンが仕掛けの隙間に引っかかっていた小石を剣先で弾き飛ばした。
「・・・世話のやける・・・」
「あっ!動く!ありがとう!ヴぁっくん!」
「ヴぁっくんはやめろ!!」
ウィルとレベッカの御守を任されているレイヴァンとルセア。
レイヴァンは周囲の様子を見渡し、カレル達が敵の砦を制圧したのを確認した。
こうなれば、戦線は更に前に出ることになる。ならば、戦いはより深い森の中。ここまでくれば、【ロングアーチ】はお役御免であった。
「【ロングアーチ】はもう捨てろ。既に砦は抑えたようだ。そこまで走るぞ、遅れれば置いていく」
レイヴァンはそう言いつつ、武器を持って移動の準備を始める。
「は、はい!わかりましたヴぁっくん」とレベッカが返事をした。
「足には自信があるぜ、ヴぁっくん」とウィルが親指を立てた。
「私もなんとかついていきます、ヴぁっくん」とルセアが笑いをこらえながらそう言った。
「・・・お前らな・・・」
力が抜けそうになるレイヴァンだったが、なんとか持ちこたえてレイヴァンは砦へと走り出した。
砦を確保したらそこからウィルとレベッカに援護をしてもらうつもりであった。
だが、実のところその必要性はほとんどなかった。
リンディス達は既にここら一帯の森の制圧をほとんど終えてしまっていたのだった。
「ジャファル・・・他にいそう?」
ニノが魔導書を閉じてそう尋ねる。
ジャファルは周囲に敵の気配がないことを確かめ、ナイフを懐にしまった。
「・・・・・いない」
「うん、わかった。リンディス様、こっちは大丈夫だそうです」
「そう、とりあえず、今のところはこれで全部ね」
森の中の敵の気配をたどっていたリンディスもそう言って立ち上がり、膝についた土を払った。
森の中は静まり返り、遠くにエリウッドやヘクトルの部隊が戦う喧騒が聞こえてくるだけだった。
【ロングアーチ】を確保した後はハング達が制空権を確保してくれたおかげで頭上からの攻撃もない。
リンディスは肩の力を抜き、張り詰めていた気を緩めた。
「・・・・・じーー」
「どうしたの、ニノ?」
「あ、えと・・・リ、リンディス様?」
「なに?」
ニノはジャファルをちらりと見る。
彼は周囲を警戒しているのか、こちら側には注意を向けていなかった。
「えと・・・・」
そして、ニノは少し頬を染めながら小声でリンディスに尋ねた。
「ど、どうしたら、リンディス様みたいに綺麗になれますか?」
「へ?」
唐突で、戦場に似合わない質問にリンディスの思考は止まってしまった。
「え、ニノ?」
「リンディス様、すごい綺麗です。剣だって舞いみたいですっごく。それに魅力的な人だし。私、リンディス様みたいに・・・」
「ちょ、ちょっと待ってニノ」
「あ・・・・ごめんなさい」
ニノが落ち着いたのはいいが、リンディス本人はまだ混乱したままだ。
「えと、私・・・そんなに特別なことしてないわよ」
「じゃ、じゃあ、もしかして恋が人を綺麗にするってことですか?」
「えぇっと・・・」
確かに自分は恋をしているが、それで女を磨いた記憶はない。
自分がハングに認めてもらうためにやったことと言えばせいぜい、剣の腕を磨き、弓の練習をして、少し軍略の知識を身に着けたことだけだ。
「・・・ニノ」
「はい」
「・・・私は何もしてないわ。ありのままでいいのよ、ニノは十分可愛らしいわよ」
「・・・ありのまま、ですか?」
「ええ、私はずっとそうしてきた。だから、ニノも今の自分にできることを精一杯やりなさい。それが一番」
「はいっ!わかりました!」
「・・・話は終わったか?」
「わっ、ジャファル!」
「・・・後続が来る。もう少し先にいこう」
「ええ」
その時、ふとリンディスは視界の中に飛行部隊が入ったことに気が付いた。
森の中から空を見上げれば、竜騎士とペガサスナイトが頭上を越えて飛んで行くところだった。
「・・・・・・」
「リンディス様、どうかしたの?」
「ううん、なんでもないわ」
リンディスは剣の柄に手を置く。
今、ヴァイダの後ろにハングの姿が見えた。
とはいえ、そのことに嫉妬したわけではない。
「・・・本当に・・・行くのね・・・」
ハングがこれからやろうとしていることを思い、リンディスは自分の気持ちの置きどころを探していた。
――――――― ※ ――――――― ※ ―――――――
それは、彼等が行動を開始する直前のことだった。
駆け出そうとするエリウッド、リンディス、ヘクトルにハングが声をかけた。
「あっ、ちょっと待ってくれ・・・」
振り返る3人に向け、ハングは少し困ったように笑っていた。
「一応、あらかじめ言っておく」
そう前置きしてハングは語りだした。
次に勝手な行動をしたら『なます切り』だと言い渡されていたので、ハングは先に彼等に話を通すことにしたのだった。
「俺はこの戦いの終盤で・・・・―――――――」
そして、その場で語られたハングの言葉に3人は目を丸くした。
「お前、正気か!?」
ヘクトルの言葉にハングは肩をすくめた。
「もちろん。とりあえず、これで『勝手な行動』じゃないからな。間違っても後で俺の足を刻んでくれるなよ」
ハングのその言葉にリンディスが険しい顔をした。
「・・・勝算はあるの?」
「さぁな・・・まぁ、死ぬようなことにはならないさ」
そう言ったハングをエリウッドが感情を読ませない目で見つめていた。
「・・・ハング」
「ん?」
「・・・無駄にならないことを祈ってる」
「ありがとよ」
そう言ったハングはどこか痛みを覚えているかのように笑っていたのだ。
――――――― ※ ――――――― ※ ―――――――
ヴァイダのドラゴンの背から飛び降りたハング。
「よっと。ここまでありがとうございます、ヴァイダさん」
「ああ・・・ハング、気を抜くんじゃないよ」
「わかってますって」
ハング達は改めて目の前の敵へと視線を向けた。
「・・・もう・・・きたのか」
「おう、来てやったぜ」
そこにはリムステラがいた。
「それじゃ、ヴァイダさん。周囲の雑兵はお願いします」
「本気なんだな」
ハングは何も言わず、ベルン式の敬礼を行った。
それを見てヴァイダは眉間に皺を寄せ、ドラゴンの手綱を握りなおした。
「まったく・・・お前の考えることはあたしの手にもおえないよ。なんかあったら叫び声をあげな」
「そうならないことを祈ってますけどね」
ヴァイダは槍を振り上げた。それを合図に飛行部隊が飛び上がり、周囲の敵を制圧するために動き出す。
ハングはそれを見送り、リムステラに顔を向けた。
「・・・・」
「おいおい、そんな殺気だつなよ」
ハングはリムステラの攻撃範囲と攻撃速度を明確に覚えていた。
ハングはその距離の限界の場所にそっと胡坐をかいて座る。
「俺は戦いにきたわけじゃない。どうせ俺一人じゃお前を殺せない。俺にそんな実力がないのはお前もよく知ってるだろ」
「なら・・・何をしに来た・・・」
ハングは唇の端で笑う。
「あのな。俺達は同じ人間・・・ネルガルから生まれてんだ。そして、俺が先に産まれた・・・いわば俺らは兄妹なんだ。兄を敬うことを覚えたらどうだ?」
「・・・貴様にそれを言われるいわれはないはずだ」
「反抗期を迎えた兄に対しての態度としては正しいかもな」
ハングは懐に手をいれた。一瞬、リムステラが警戒心を見せる。
だが、ハングが出したのはただのキセルだった。
リムステラが拍子抜けしたような顔をした。
「お前、そんな顔もできるんだな」
「・・・・・・」
リムステラは完全な無表情ではない。
それは彼女にわずかでも人間に近いところがある証拠でもあった。
ハングは煙草に火をつけて煙を吸い込んだ。
「・・・何しに来た」
「兄が妹に会いに来るのに・・・冗談だから怖い顔をするな」
ハングはまた一息吸い、本題を切り出した。
「お前は【モルフ】俺も【モルフ】・・・なのに、俺達はこうも違う。不思議には思わないのか?」
「・・・思わない。私はネルガル様の為だけに動く。それだけだ。余計な思考も感情も無用だ」
「はっ、笑わせるな」
ハングは鼻で笑い、キセルの先をリムステラへと突き付けた。
「なら、お前はそのネルガルの為に働けなくなる瞬間を想像したことがあるか?」
「・・・・ない」
「嘘だな。完璧な思考回路を持つお前が、自分が負けた時のリスクを考えてないはずがない」
「・・・・・・・・」
リムステラからの返事はない。
その沈黙を肯定と受け取ったハングはそのまま話を続ける。
「お前を含めた何人かの【モルフ】に会った。彼らには物事を判断する力があった。自分の意志で行動を選択することができた」
「・・・・何が言いたい」
「意志を持つなら、そこには多かれ少なかれ感情は必ず入る」
「人間の都合だ」
「思考の基本が【俺達】と【人間】で何かが違うとは思わない。お前だって『ネルガルに忠誠を誓う』という意志によりここに立ち、『ネルガルの役に立ちたい』と思って行動している。違うか?」
「それは私が産まれた意味そのもだ。感情の有無とは関係ない」
「ははは、それだって妙な話だ。それじゃあ、一つ聞くが・・・」
ハングがキセルの口側を差し出す。
「煙草・・・吸うか?」
それに対するリムステラの返事に一瞬の間があいた。
「いらん」
「理由は?」
「もらう理由がない」
「毒なんか塗ってないぞ」
「そういう問題ではない」
しばしにらみ合うような間があり、ハングは諦めてキセルを再び口にくわえた。
「今・・・何を考えた?」
「・・・・・・」
「俺を信頼できるかどうか天秤にかける前に、動揺しただろ。意味がわからないと混乱しなかったか?」
「・・・・・・」
「なんで、わかったって顔だな?そりゃわかるさ。兄ちゃんなんだから」
「・・・・・・」
「だから睨むな。もう言わねぇよ・・・というか、苛ついてるか?それも立派な感情だぞ」
ハングは不敵な笑みを浮かべ、また煙草を吸い込む。
「・・・何しに来た」
何度目かの質問。
ハングはようやくその答えを言った。
「話をしにきた」
ハングはリムステラと話がしたくてここまで来た。
「だってよ・・・もういないんだろ?」
「・・・・?」
「エフィデル・・・ソーニャ・・・ある程度の自我を持って動く・・・対話の成り立つような【モルフ】はもういなんだろ」
「・・・・・」
「だから、話をしたくなった。最後の同種に会いたくなったんだ・・・この戦いがどう転んでも、もう話す機会なんて無いだろうからな」
「それに何の意味がある?」
「別にどうって意味はないさ」
ハングは溜息を吐いた。
「神は人を作り、人は神に近づこうとして【モルフ】を作った。なのに、俺達は何も産みだせない。できることは破壊と殺戮だけだ。俺達は所詮行き止まりなんだよ」
例え誰かと結ばれたことになってもな。
ハングはその言葉だけは胸の内だけに留めておいた。
それは口にしてはならない類の言葉だった。
ハングは小さく首を横に振り、話を続けた。
「それで、同じ存在がそれをどういうふうに考えてるのか聞いてみたかったんだが・・・答えてはくれねぇか?」
「私はネルガル様の命じられるままに動いているだけだ」
「それはもう聞き飽きた」
「他に答えなどない・・・」
「そうかい・・・じゃあ、最後に一つだけ」
ハングはキセルの中身を捨てる。草の表面についた露が煙草の残り火を消して白い煙を放った。
「お前は・・・暇な時なにしてる?」
「・・・・は?」
「時間が余った時は必ずあるだろ。眠らなくてもいいんだからさ」
「・・・・・・」
「そんだけ時間があれば、暇な時もあるはずだ。そん時に何をしてるんだ?星でも数えてるのか?」
「・・・・言う必要はない」
「だろうな。ただ、『言う必要はない』ってことは・・・なんかやってるんだな」
「・・・・・」
「そうか・・・お前にも、何か自分の意志でやってることがあるんだな」
「・・・・・」
ハングは立ち上がり、キセルを懐に仕舞い込む。
「・・・私は人間ではない」
「ああ、俺もだよ」
「この心も、この身も、全て偽りだ」
「俺もさ・・・」
ハングは周囲の様子を伺う。
ヴァイダ達は問題なく雑兵を片付けた。
エリウッド達ももうすぐこの場に殺到してくる。
もう、残された時間は多くなかった。
「残念だよ。少し期待してたんだがな」
「・・・期待?」
ハングは最後になるであろう言葉をリムステラに向けて放つ。
「お前、俺達と来ないか?」
一瞬、間があった。
「・・・断る」
「・・・そうか・・・そっか・・・」
即答ではなかった。
それだけでハングにとっては十分だった。
「・・・さてと、そろそろこっちの部隊が到着する。同情はしないぞ、それがお前の歩いてきた道なんだからな」
リムステラの耳が複数の物音を捕えた。三方向から迫る部隊の物音に加え、複数の翼の音も聞こえる
「ハング!まだ生きてたかい!上出来だ!」
ヴァイダがそう言いながら戻ってきて、ハングは自分達の対話の時間が終わったことを悟った。
「それじゃあな。リムステラ・・・墓にはなんて刻めばいい?」
「・・・勝手にしろ」
ハング達の後方から大量の足音が近づいてくる。
「・・・ハング・・・」
「ん?」
「・・・・・・編み物だ・・・」
「そうか・・・そっか・・・そっか・・・」
ハングは一呼吸を空ける。
そして、手を振りあげた。
ハングの後方から矢や魔法が飛び込んでくる。
その援護を受けて、ペガサスナイトの3人が一気にリムステラに肉薄した。
無数の刃がリムステラの体へと吸い込まれていく。
ハングは最期のその時までリムステラから目を離すことはしなかった。