Fallout4 Gunslinger of the Commonwealth   作:Ciels

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第三話 ポッドから、ハゲ頭と除染スーツ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見ていた。

 

 

その夢も何とも突拍子もないもので、俺がVaultスーツを着て、荒廃した世界を、何かを求めて彷徨っているものだ。

緑色の巨人と戦ったり、そいつらを束ねている気味の悪い元人間と戦ったり、挙げ句の果てに目的を達成したら故郷であるVaultを追い出されたり。

なんだってこんな夢見心地の悪いもんを見ているんだろう。

そもそも俺はVaultが故郷じゃない。

でもやたらとリアルだった。

 

また夢を巡る。

今度はVault生まれではなく、どこかの村の生まれで、何か緑豊かにする機械を探している。

そこでも俺は戦っていて、軍人の俺でさえ見たこともないパワーアーマーを相手に苦戦していた。そりゃ相手がパワーアーマーなら苦戦もするさ。

 

それで終わりではない。

今度は最初のようにVaultの出身らしく、割と大人になるまで薄暗いシェルターで、それなりに仕事をこなしながら生活していた。

でも急に、父親がいなくなったらしく、その父親のせいで大混乱しているVaultから逃げ出している。いや待て、俺の父親はあんなナリをしていない。

核でボロボロになったワシントンを巡り、父親を探す。

見つけたはいいが、父親は浄水施設のようなところで倒れてしまう。

 

大きな巨人がいた。

やたらと共産主義に対する罵声を吐いて、パワーアーマーを殲滅していくロボットだった。あれは知っている。ペンタゴンで計画していたリバティ・プライムだ。

だが相手にしているのは中国軍に見えない。

俺はパワーアーマーを着た女性と一緒に戦っていた。数え切れないくらい、敵のパワーアーマーを破壊しまくった。

 

 

いったいこの夢は何なんだろう。

一つ共通しているのは、街が崩壊しているということだ。それだけでなく、漫画から出てきたようなモンスターもいる。

まるで核戦争が起きた後の世界を夢見ているようだった。

 

 

ふと、また何か聞こえる。

最初はまた夢かとも思った。思ったが、どうにもリアルだった。

今まで感じなかった、明確な寒さと痛さが襲ってきたのだ。

冷え切った指先を、凍傷寸前にも似た痛みが襲い、体の筋肉が温めようと震えだす。息を吸おうにも冷たすぎて肺が痛い。

 

『低温睡眠解除』

 

いつか聞いたアナウンスが、耳に響く。

同時に、暗かった視界が鮮明になったいく。

 

「はぁー……!はぁー!」

 

ようやく温度が上がってきて、大きく息を吸う。ここはどこだ?俺は今まで……そんなありきたりな問答を行い、自分に起きたことを理解した。

Vaultだ。ポッドに入った瞬間、急に寒くなって意識が途切れたのだ。

 

「……、アルマっ、ショーンっ」

 

ハッとしたように、俺は曇った窓ガラスを手で拭い、向かい側のポッドを確認する。

アルマも今目覚めたようで、息を切らしながらこちらを見つめて何か言っていた。どうやら周りの住民も目覚めたようだったが、今はどうでもいい。

俺は軍で使っているハンドサインで、2人の容体を確認する。

するとアルマは片方の手の親指を上に向けた。

どうやら無事なようだった。

 

安心して後ろの座席にもたれかかる。

そして、どうにか出られないものかとポッド内を見渡すが、これといってボタンがない。

クソ、なんか怪しいとは思ったが、まさか除染じゃなくて氷漬けにされるとは。

とにかく出ようと窓を、そしてハッチを叩く。しかし鉄製の扉はビクともしない。

 

「クソったれ……」

 

悪態をつく。

動きがあったのはまさにその直後だった。

通路に誰かが歩いているではないか。

1人は真っ白の除染スーツのようなものを着た……体格からして女。全身スーツだから分からないが、多分女だ。

もう1人は正反対に、あり合わせの服やアーマーと、腰にリボルバーをぶら下げたハゲ頭の中年。

 

一見すると除染スーツの方が奇妙に見えるが、長年の勘が警告する。

このハゲ頭はヤバイ、と。

 

殺しのにおいというのは体に染み付いているものだ。

俺もそうだし、昔のアルマもそうだった。(結婚して普通の生活に慣れるごとに消えていった)

 

このハゲ頭からは、殺しのにおいがプンプンする。一体何人殺してきたのだろう。頼むからそのまま通り過ぎてくれと願う。

 

だが、二人はアルマの前のポッドで止まる。ヤバイと思って隠していた拳銃(グロック)を取り出し、初弾を装填するためにスライドを引こうとした。だが冷凍されていたためか、凍ってしまっていて全く引けない。

銃をハッチに打ち付けてスライドに付いた氷を落とそうとしても、なかなか落ちない。

焦り、銃のグリップ底部で窓ガラスを叩く。

せめて奴らの気を引かなければ。

 

だが、二人は無視してアルマのポッドへと向いた。

 

「こいつね」

 

除染スーツが声を発する。やはり女だ。ポッドから出られれば簡単に殺せる。

 

「開けてくれ」

 

続けざまにハゲ頭がそう言うと、ポッドの横にあるコントロールスイッチと思わしき者を、除染スーツの女がいじる。

するとポッドのハッチが開き、アルマとショーンの全身がはっきりと映った。

 

「ゲホッ、ゲホッ、あぁ、何なのよ……除染なんて大嘘じゃない」

 

アルマが二人を睨みつける。

彼女は二人をVaultの者だと思っているようだった。

 

「あと少しだ。これでうまくいくだろう」

 

ハゲ頭がそんなことを言う。

すると除染スーツの女がショーンに向かって手を伸ばす。

 

「大丈夫、こっちに渡して」

 

まるでものを扱うようなその仕草に、アルマは否定の意を示した。除染スーツの女の手を振りほどこうとする。

 

「やめなさいよ!離せ!私の子供だよッ!離せこの野郎!」

 

語気を強め、女の腹を蹴り上げるアルマ。除染スーツの女はくの字に折れ曲り、後ろへ倒れた。

その間にも俺は窓ガラスを叩いてどうにか出ようとする。

 

その時だった。

 

「一度しか言わないぞ。赤ん坊をこっちによこせ」

 

腰に下げていたリボルバーをアルマに向ける。

 

「よせッ!やめろハゲ野郎ッ!!!!!!」

 

俺は叫ぶも彼らは無視する。

除染スーツの女が復帰し、より一層ショーンを強く奪おうとする。

冷凍から醒めたばかりのアルマは、必死に抵抗するも十分な力が出ないようだった。

 

「渡しなさい!」

 

「渡すかクソアマ!ぶっ殺すぞ!このハゲ野郎銃を向けるな!」

 

「うるさい女だ」

 

激怒するアルマに銃を突きつける。

目的はショーンのようだった。暴れるアルマを撃つには、直接押し付けるように撃たなければ息子に当たってしまう可能性があるのだろう。

そんな考えをしてる中でも俺とアルマは罵声を浴びせる。

 

「ハゲ野郎!くたばれ!」

 

「ツルピカ!かっこいいとでも思ってんの!?」

 

「……」

 

男は黙り、彼の腕がピクッと動いた。

撃つ瞬間の、筋肉の動きだった。

 

「アルマッ!」

 

「ッ!!!!!!」

 

刹那、アルマはショーンを抱えている左腕ではなく、フリーの右手でリボルバーの銃身を掴んで捻った。

ぐいっと彼女の頭から銃口が逸れる。

次の瞬間、

 

バンッ!

 

.44口径だと思われる銃声が鳴り響いて、アルマの左肩から血飛沫が飛んだ。

 

「アルマァッ!!!!!!」

 

俺の絶叫がポッドに響く。

何度も何度もガラスを殴る。拳から血が出ようとも、ポリマー製のフレームが変形しようとも殴り続けることをやめなかった。

 

後ろの座席へ倒れこむアルマ。

ぐったりとして動かなくなった彼女から、除染スーツの女はショーンを取り上げた。

 

「クソ、なんて女だ。赤ん坊をここから連れ出せ」

 

ハゲ頭がそう言うと、除染スーツの女はショーンを連れて姿を消す。

俺は怒りが止まらなかった。

考えうる限りの罵詈雑言を吐いて、窓を殴りハゲ頭を睨む。

 

ハゲ頭がこちらに近寄り、顔を近づける。

俺も同じように額を窓ガラスにぶつけて男を睨みつけた。

 

「Goddammit son of a bitch!!!!!! I’ll fucking kill you asshole......!!!!!!(このクソ畜生がッ!!!!!!ぜってぇぶっ殺してやるッ!!!!!!)」

 

そう言うとハゲ頭は鼻で笑い、

 

「少なくともバックアップはまだある」

 

とだけ言って立ち去る。

俺はそんな奴に、ただ罵声を浴びせることしかできなかった。

そして忌々しいアナウンスが無情にも流れる。

 

『低温システム、再起動』

 

流れる警告音。

 

「ふざけるな!アルマ、アルマ!ショーン!あぁクソ、寒い、がぁああ、あああああああああああッ!!!!!!」

 

絶叫が響く。

 

来たるべき日は、まだ遠かった。

 

俺は、また時を旅した。

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