志村新八が己の変化に気づいた一方で首領パッチもまた周囲の異変に気づく。
「あっれ~、おっかしーな。昨日、ボーボボに外に追い出されたハズなのに室内にいやがる」
ボーボボ一行と共にマルハーゲ帝国打倒のため日夜、毛狩り隊を倒しながら旅をしている首領パッチ。当然、旅の傍ら就寝のために宿屋を利用することもあるのだが…
『旅費節約のために首領パッチと天の助は外で 野宿 な?』
『『 ええぇぇ~~~~っ!!!? 』』
──とボーボボに外に追い出されたのである。だが、どういうわけか今現在、屋内におり、一緒にいたハズの天の助が何処にもおらず、その場にいるのは首領パッチ一人のみ。
「ま、いっか」
もっとも件の彼は深く考えず布団にくるまって再び眠りの世界へと旅立ち、ものの数秒で豪快なイビキが部屋に木霊する。
身一つで野宿させられた首領パッチ。周囲の変化に気づいても己の変化に気づくことはなかった。
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「新ちゃ~~~ん、いつまで寝てるのー? いい加減、起きなさーい」
女性の声とともに開かれる襖。その奥には未だ眠りこけている新八の姿。ただし中身は首領パッチ。
「銀さんとこに行く時間でしょ?」
中身が入れ替わってることに気づくハズもなく普段通りに接するのは新八の姉である志村妙。布団を揺すって起こそうとするも…
「うるせぇ──っ! このメスブタぁ~~~っ!
こっちは長旅と毛狩り隊退治で疲れてんだよ!
ゆっくり休ませろ!!」
なぜか自分の弟から暴言を吐かれる。常人ならばこのような悪態をつかれば文句の一つでも言うのだろうが、万事屋の面々と関わって耐性がついたのだろうニコニコ笑顔で受け流す彼女。
だがそんな彼女も次の一言で対応がガラリと変わった。
「あ、悪い。メスブタじゃなくて、オス…」
皆まで言わせず顔面にグーパンチがめり込ませる妙。憐れ首領パッチはそのまま後ろに倒れた。
「これは銀さんと関わったせいかしら? でも妙ね…」
薄れゆく意識の中、首領パッチはこの女を怒らせてはいけないことを悟ったという。
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「──ということがあったのよ銀さん」
場所は打って変わって万事屋にある居間。妙と向かい合うように座っているのは坂田銀時と神楽。この場所に新八がいないのは妙が自宅に置いてきたせいである。
「…ということがあったのよ、って言われても家には死体安置所はねぇーんで引き取り願いたいんですけど?」
「おお、新八よ。死んでしまうとは情けないアル。
ささやき、いのり、えいしょう、ねんじろ!」
「おい神楽、ドラクエじゃないのが混ざってるぞ。灰になったらどうすんだ?」
「大丈夫だよ銀ちゃん。灰にはならない代わりに『最高に「ハイ」ってやつだ!』になるアルよ」
「誰がうまいこと言えつった。それにそれを言ったヤツ、最後は灰になったからな? ハイになって灰になったからな?」
人差し指をこめかみに当てて「wryyy…」と奇声染みた高笑いを上げる神楽をやる気のなさそうな目を向ける銀時。
「銀さんも神楽ちゃんも真面目に聞いてちょうだい。奇声を発しておかしな言動を起こす程度なら銀さんに相談しません。とりあえず道場に来てちょうだい。行けば銀さん向けの仕事ってわかるから」
「銀さん向けって…」
「ああ、対ダメ人間用の依頼ってことアルね」
「ちょっ! 神楽それを認めちゃだめでしょ! 俺たち只でさえ『対ダメ人間用の何でも屋』って陰で言われてんだから!」
その後、彼らはもぬけの殻と化した新八の部屋を見て絶叫したという。
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万事屋でそんなやり取りがあるところ、真選組、鬼の副長こと土方十四郎と沖田総悟。彼ら二人がパトカーで町内をパトロール中、とんでもない場面に遭遇していた。
「おい総悟、俺は幻覚でも見てるのか? 見知った顔が空を飛んで目の前に降りてきてんだが?」
「非行少年ってヤツですかねぇ? 年頃の少年によくあることですよ土方さん」
「あってたまるかそんな非行少年! とりあえず取っ捕まえて銀時のヤローんとこに連れてくぞ。ったく面倒くせぇな、おい」
「へーい、任せやしたー」
「お前もやるんだよ!」
しぶしぶパトカーから降りて新八の下へと近寄る二人。その二人に、いや、土方に対して新八は感涙極まった表情を浮かべて待ち構えていた。
「間違いない息子だわ!」
「はいぃぃぃっ!?」
「現世のこの姿じゃ分からないでしょうけど、前々々世、貴方の母であった首領パッチよ!」
「いや、どう見ても新八にしか見えねぇんだが!? それに前々々世って何だよ!?」
問う土方に総悟は思うところがあったのか横から口をはさむ。
「映画『君の名は。』の影響じゃねぇすか?」
「なんだよこの残念な『君の名は。』いったい何処の誰が喜ぶんだよ!?」
「特殊なマニアじゃねぇっすか?」
「どこのどんなマニアだよ!? とりあえず保護すっぞ」
そう言いつつ首領パッチの名を語る新八へ近づく土方。しかし、先ほどまで友好的な態度だった新八が豹変。突如、土方に飛びかかって手にした長物を彼に向かって振り下ろす!
──もっとも荒事に馴れた土方がそれを許すはずもなく、瞬時に刀を抜いて水平に受け止める。
「ネ、ネギ!? なんでネギなんだよ!? あと何なんだその姿は!?」
土方が刀で受け止めた物は武器の類いではなくネギであり、黒髪だったはずの新八はどういうわけ金髪に変化し逆立っていた。
「なかなかやるな、さすが前々々世、ミサイルで俺を葬ったことだけはある…」
「前々々世にミサイルってあんのかよ!? つーかホント何者なんだよ、お前は!?」
「いやー、これはマジもんかもしれませんねぇ。土方さん、ちょっと試しに斬られてみてくだせぇ、もしかしたら新八君が元に戻るかもしれませんし…」
「ふざけんな総悟! テメェが斬られろ! ってか、コイツ地味につえぇぇ──っ! ぬぉぉおおっっ!!」
到底ネギから出るような音とは思えない金属音を幾度か鳴らし、総悟はそれを他人事のように傍観していると…
「いたぞ、あんなとこに……って何だありゃ!? スーパーサイヤ人化してねぇか、おい!?」
騒ぎを聞きつけた銀時が神楽を連れて現場に現れた。
「おいっ銀時、どうなってんだコイツは!? 空を飛んできたと思ったらスーパーサイヤ人化して襲ってきたぞ!?」
攻撃の手を緩めない首領パッチに防戦を強いられる土方。
「すまん俺たちにもよくわからん。たぶん俺と土方が入れ替わったように新八が首領パッチと入れ替わったと思うんだが…」
「ちぃっ、だったらさっさとその首領パッチとやらを探せ! いや待て、首領パッチと新八が入れ替わったなら、新八がお前たちんとこに来ないのはおかしい! もしかしてトラブルに遭ったのかも知れねぇ!」
「あ、旦那ぁ、ゆっくり時間かけて構いませんので」
「テメェは黙ってろ総悟ぉぉ~~っ!」
土方をその場に置き去りにして件の首領パッチを探し出そうと駆け出す銀時と神楽。その二人の前に何者かが立ちはだかる。
「「 お待ちなさい。首領パッチを探す必要はありません 」」
それはコンペイトウに手足が生えたような奇妙な生き物。それが複数。銀時たちは知らないが首領パッチその人物であるが、彼らがそれを知る由もなく困惑する。そんな彼らをよそに自己紹介を始めてしまう。
「私は首領パッチの守護霊です」
「背後霊です」
「エクトプラズムです」
「スタンドです」
「持ち霊です」
「魂です」
「肉体です」
「おい、さりげなく魂と肉体が入ってねぇか!? つーか全部ここにいるじゃねぇか!?」
銀時がそう叫ぶの無視して脇を通り過ぎ新八の下へと飛んでいく首領パッチの姿をした何か…
「いつまでもこの世界にとどまってはなりません。さあ、私たちとともに元の世界に戻りましょう」
「ぬぅぅぉぉおお、俺はまだこの世界にぃぃ…」
必死の抵抗をする首領パッチだったが、多勢に無勢、あっという間に身柄を拘束され、新八の体から半透明の物体が出てきて顕現。首領パッチたちがその名を口にする。
「バルムンク=フェザリオン」
漆黒の鎧に身を包んだ黒髪長髪の男がそこにいた。
なぜか忌々しそうに銀時を睨み、額の第三の瞳が開きかけていた。
「首領パッチじゃねぇ! なんで新八の中にバルムンク=フェザリオンがいんだよ!? しかも第三の瞳が開きかかってるぞ!?」
「銀ちゃん、あれを見るアル! 次元の穴が開いてるアルよ! アイザック=シュナイダーがいるアルよ!」
「次元の穴って何だよ!? 次元の穴って!?」
空間を切り抜いてできたような黒い円の奥。そこには白い鎧を装備した金髪の男がいた。
アイザック=シュナイダーがバルムンク=フェザリオンに何か語りかけると、バルムンク=フェザリオンは観念したかのようの無言で一つ頷いてアイザック=シュナイダーとともに穴の奥へと消えていった。
あとには取り残された新八の肉体が糸の切れた人形のようにその場に倒れた。
「「 …………………… 」」
「とりあえず新八連れて帰るか神楽」
「そうだね銀ちゃん。どうでもいいけど私たち特に何もしてない気がするアルね」
「いいんだよ。目的を達成したんだから、後は依頼料を貰ってメシにすっぞ」
「いや待てお前ら、何いい話風にまとめて去ろうとしてんだ? こちとら危うくネギで斬られそうになったんだぞ?」
「往生際悪いっすよ土方さん。新八君の体からバルムンク=フェザリオンが出ていったんだからいいじゃないですか? ね? 旦那?」
「新八の体からバルムンク=フェザリオン出ていったけど、肝心の新八の魂が戻ってきてねぇだろうが! つーかバルムンク=フェザリオンって何なんだよ!?」
銀時に背負われている新八を指差しつつ先ほどの人物のことを尋ねる土方。
「バルムンク=フェザリオンはバルムンク=フェザリオンだろ? 新八に関しては『君の名は。』みたく一晩で戻るんじゃねーの? 俺たちはやれることはやったんだ。あとのことは明日の俺たちの任せるしかねーだろ?」
「それじゃあな」と片手を上げて去っていく銀時と神楽。土方もそれ以上追及するようなことはせずパトカーに乗り込んでもと来た道へと走っていく。
後日、新八は元に戻ったが彼らは知らない。入れ替わりが一日では終わらないことを…
(´・ω・)にゃもし。
これが私の限界。
ギャグ難しい。