ついに引越しの日が来た。私はまだ、南委員長の言葉が胸に引っかかっていた。考えれば考えるほど分からなくなってくる。
「お姉ちゃーん。そろそろ行くよー…って、またみれいさんの言った事考えてるの?」
「…うん」
のんが二階にいた私を呼びに来た。
「そんなに考え込まなくてもすぐに分かることなのに…ほらほら、さっさと降りるよー」
「ちょ、ちょっとのん!押さないで!降りるから押さないでってば!」
一階に降りると、ちょうどパパとママが最後の荷物を車に乗せようとしてるところだった。
「らぁら、のん。もう少しで車発するから、先に乗って待っててくれる?」
「うん。分かった」
私とのんは言われた通り、車の中でパパとママを待つ。
「ねぇ、お姉ちゃん」
「ん?なに?」
車に乗って少しした後、のんが何かを決意したような表情で話しかけてきた。
「お姉ちゃんは本当にもう二度とプリパラに行くつもりは無いの?」
私はすぐに答えることが出来なかった。少なくとも三日前までは二度と行くつもりは無かった。だけど、南委員長の言葉を聞いてから何もかもが分からなくなった。
「…分からない」
私はこれしか答える事が出来なかった。
「私はお姉ちゃんにもっと続けてほしいと思ってる。お姉ちゃんは今、分からないって言ってたけど、それって心のどこかにまた行きたいって気持ちが残ってるからでしょ?スプドリでは負けちゃってここのプリパラはセレパラになっちゃたけど、別の町にあるプリパラでまた一から――」
「うるさい!」
私はのんの言葉を遮るように叫んだ。のんが体をビクつかせたのが見えた。
「あのプリパラは私にとってたくさんの思い出がつまったとても大切な場所だったんだよ?そんな場所を簡単に奪われて、天才にはいくら努力しても敵わないってまで言われたんだよ?」
大切な場所を一瞬で奪われ、今までの努力を否定された。私は涙が溢れそうになるのを堪えながら話す。
「で、でもねお姉ちゃ――」
「私がどれだけここのプリパラが好きだったか分からないくせに勝手なこと言わないでよ!…あ」
私はハッとした。今のは言い過ぎた。すぐに謝ろうとしたけど何故か言葉が出てこない。
「……ごめん」
のんはそう言うと黙り込んでしまった。のんは全く悪くない。励まそうとしてくれたのに、私は逆に傷つけてしまった。罪悪感で胸がいっぱいになり、息が出来ないほど苦しくなった。謝ることも出来ずに時間だけが過ぎていく。これから更に10分くらい後にパパとママがようやく来て、パパラ宿へと出発した。新しい家に着くまで、のんが口を開く事は1度もなかった。