恋と選挙とマックスコーヒー   作:火成岩

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3:思いの外比企谷八幡は一人が似合わない

今日もまた、俺が楽しみにしている放課後の時間が始まった。

部員が来るまでの少しの静寂。これに勝る物はない。

 

うん、やっぱり俺にはぼっちの血が流れてる

 

そう思いにふけっていたその時、激しくドアが開けられた。

 

「あ、先生。またそのジュース飲んでる!」

「たくさん持ってきてるんだから私たちにも寄越しなさいよー!」

 

お前ら、観光地で客から食べ物奪う猿かよ。

 

「ジュースじゃねえ、マックスコーヒーだ。そんじょそこらの飲み物と一緒にされたくねえよ。」

「なんでもいいから一缶ちょうだいー!」

「そうだそうだー!」

 

マジでこいつら退かねえ。

そう思っていると、部長達も続々と部室に集まってきた。

 

「あんたらねえ、顧問に飲み物せびるって何様よ猿コンビ。」

「「猿って言うなーーー!」

 

お前ら、やっぱり猿だったんだな。

 

「比企谷先生、これ食べませんか?」

「なんだこれ、ロールケーキ?」

「それは大島ロールなのですよ!のんちゃんの分もあるんですよね!!?」

「ええ、ありますから。ちょっと離れてくださいって!落としますよ!」

「早く寄越すのです!大島ロールを寄越すのです!」

 

皿の上に置かれた、普通のロールケーキ。ほんとに何だこれ。

 

「ふっふっふ、ヒッキー先生。大島ロールは初めてですか?」

「ヒッキーはやめろ、ヒッキーは。」

 

なんでここでもヒッキー扱いされないといけないんだよ。

 

「これは、のんちゃん三ツ星のちょうおすすめスイーツなのですよ!」

「うるさいうるさい。何?そんなにおいしいの、これ?」

「もちろん、なにはともあれ早く食べるのです!」

「はいはい。」

 

大島ロール、名前からして大島が作ったロールケーキなのか。

伊達に小さい頃からマックスコーヒーを飲んでる俺じゃない。甘いものには少しうるさいぞ。

フォークで一口大に切り口に運ぶ。

うん、一口で分かった。練乳だ。生クリームに練乳が入ってる。そしてこれはハチミツか?

うん、これはかなり計算し尽くされていて、

 

「うめえ、何だこれ。」

 

学生が作ったとは思えない程のロールケーキ。

 

「どうですか?比企谷先生。」

「やばいなこれ、超うめえ。マックスコーヒー進むわ。」

「甘いもので甘いもの飲むって・・・。」

 

なんで苦笑いされないといけないのか。

 

「ヒッキー先生、さすがにそれはないですよ~。」

「何が無いんだよ。あとヒッキーはやめろ。」

「ハチマン」

「森下、名前呼びもやめろ。」

「ハチマン。やおい棒、食べる?」

「何味?」

「ハチマンが好きなコーヒー。」

「それ罰ゲーム用のやつだろ・・・。」

 

はぁ、騒がしくなった。

カバンからVitaを取り出し、落ち物パズルを起動する。

 

「せんせ~。それ何してるの?」

「見たらわかんだろ、ゲームだよ。」

「いや、それは分かるけどさ。」

「何のゲームか聞いてるの~。」

 

さすがに猿でもそれは分かるか。

 

「落ちものだよ、ぷよぷよ。」

「それなら私達も持ってきてる!」

「あ、私もー!」

「お前ら、持ち物検査とか無いのかよ。」

「ほら、私達が相手になってやるから。」

「先生かかってきなさいよー!」

「はぁ、めんどくせえ。」

 

 

 

「なんで先生そんなに強いのよーー!」

「インチキだインチキーー!」

「ばっか、お前。ボッチはこういう一人で黙々とするゲームには強いんだよ。」

「せんせえ、友達いなかったんだ。」

「嫌なこと聞いてごめんね。」

「そんな悲しい顔すんな、思い出して俺が泣くだろ。」

 

そんな話をしていると、クイクイと服の裾を引っ張られる。

 

「ハチマン、それ何?」

「なんだ、森下。やりたいのか?」

「やってみたい。」

「ならそれ貸してやるから、遊んでみたらどうだ。」

「うん、やってみる。」

 

森下にVitaを渡してやると初めてゲームを触ったような、たどたどしい仕草でボタンやスティックをいじり始めた。

 

「ん。んん。」

「どうだ、楽しいか?」

「普通」

「そ、そうか。普通か。」

 

それからしばらく一人で黙々としていたが、急にこちらを向き話しかけてきた。

 

「ハチマン、一緒にする?」

「一緒に?俺とか?」

「うん。」

「まあ、いいが・・。」

「ダメだよ森下さん、この悪徳教師無茶苦茶インチキだよ!」

「そうだよ!やめておいた方がいいって!」

「お前ら、ひどい言いようだな。」

「やろ、ハチマン。」

 

 

「んぐっ、あがっ。くそっ。」

「んっ、ん。んんん。」

「ねえ、祐樹。あの二人長いことやってるけど、どうなってるの?」

「さあ、ものすごい集中してるけど。」

「なっ、負けた。」

「・・・・、勝った。」

「森下さん勝ったのーーー!?」

「やった!正義は勝つ!!」

「俺が悪かよ。」

 

なんだよこの猿コンビ。

 

「ハチマン。」

「なんだ?」

「また遊ぼ。」

「・・・、ああ。また今度な。」

「うん、また今度。」




少しグダグダとした流れになってしまいましたが、まあこういう日常回を書きたいってのが自分の中であったので書かせていただきました。

感想批評お待ちしてます。
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