両者の二重奏は何を奏でる―――?
お待たせしました。ようやくオリ主の実力披露です。
視点が何度か変わりますがご容赦を……
それと今回の投稿でタグを追加しました。
――――Side リーヤ――――
アリーナの閉じられた空へ上がる。そこでは既に補給を終えたオルコットさんが待ち構えていた。
「……お待ちしておりましたわ」
……? なんだろう、この反応。もう少し高飛車に何か言われると思っていたが。
「意外ですね。三日前のように色々と言ってくるのかと思いましたが」
「……いくらわたくしでも先の試合であそこまで踏み込まれれば慢心はしませんわ」
(個人的にはしてくれてよかったんだけどな)
内心でそんな事を考えながらも頭の中は既にどう仕掛けていくかの案が浮かんでは消えていく。
「ですので、たとえ相手が第二世代の機体であっても全力でいかせていただきますわ」
「言ってくれますね。……こちらとしても未完成の第三世代機に後れを取るつもりはありませんが」
そうしてオレとオルコットさんは示し合わせたように武装を展開する。
オルコットさんはエネルギー型のライフル『スターライトmk-Ⅲ』を、オレは本社仕様のエネルギーカノン『ルシフェリオン』を構える。
「さあ、踊っていただきますわ。わたくしとブルー・ティアーズの奏でる
「どうかな、踊らされるのは案外そっちかも知れませんよ?」
そうして試合開始を告げるブザーが鳴り、その瞬間オレとオルコットさんはお互いを狙い撃つと同時に回避機動に移る。——————互いに一射目はほぼノーダメージ。オレの砲撃は外れ、オルコットさんの射撃も掠った程度で大したダメージにはなっていない。だが、今の攻防でも判った事もある。再確認に近い事だがやはり射撃の精度そのものはオルコットさんの方が上。だが、装備の火力ではこちらが上か。
「いきなさい、ブルー・ティアーズ!」
織斑さんの時と違ってもうビットを使ってくるか。ならこっちも動くとしようか。
先の回避機動でオレはオルコットさんより少しだけ高度を下げている。なので必然的にビットは上から向かってくるカタチになる。それらの攻撃をギリギリで躱しながら、かつ高度差を利用する事を気付かれないよう避ける。
――――――そして、ビットを展開しているオルコットさんの攻撃には波がある。ビットの攻撃はあくまで陽動。本命は――――――
「その翼、いただきますわ」
やはり、オルコットさん自身による狙撃――――――っ!
「ッ!!」
狙撃態勢に入ったオルコットさんを捉え、
「なっ⁉」
ルシフェリオンから放たれた
「……どういう事ですの? わたくしもそれがビームタイプの装備というのは知っています。しかし
「……わざわざ教えてあげる必要がありますか? それに言ったでしょう? 『踊らされるのはそっちかも知れませんよ』と―――っ!」
再びカートリッジをロードして砲撃を放つも流石は代表候補生。こちらが連射出来る理由は判らなくても連射を前提にした機動を採って回避する。だが、それで終わる彼女ではない。回避しながらビットを操作していたのか再びビットによるレーザー攻撃を仕掛けてくる。それを機体の機動性にモノをいわせて躱しきる。
――――――試合は、一戦目と異なり両者による撃ち合いと動きの読み合いになろうとしていた。
――――Side 神楽――――
「……すげぇ。オルコットは俺の時より動きがいいのに互角に渡り合ってる」
「何者なのだ、あいつは……」
リーヤさんの動きに驚く織斑さんと篠ノ之さんですが私はそこまでではありませんでした。彼は代表次席のお姉さんから鍛えられた、と言っていましたから私達よりISの技量が上でも不思議ではありません。
「……ふん、あいつめ。口だけではなかったようだな」」
「千冬姉、それどういうことなんだ?」
「織斑先生だ、馬鹿者。まぁそれは今はいい。カテドラールは先の試合でオルコットの弱点を見破った」
「それなら俺だって……」
「お前が気付いたのはオルコットとビットは同時に動けないということだけだろう。カテドラールはそれに加えてあのISを攻略する方法にも気付いた。篠ノ之、オルコットのISの最大の長所はなんだ?」
「は、はいっ。あのビットによる多方向からの攻撃ですか?」
「正解だ。カテドラールはそれをさせないようビットを視界に捉え、オルコットに気付かれないよう垂直・水平両方向を上手く使って距離を取っている」
けれど、だからこそ気になります。ISの技術よりも単純なことですが、なぜ彼はあんなにも
……怖く、ないんでしょうか。
「加えてあのISには不可解な点がある。……あの機体、シールドエネルギーの消費が少ないどころではない。
「そう言われるとそうですね。最初は効率がいい機体なのかと思っていましたけど、それにしてもおかしいです。」
織斑先生と山田先生が彼のISについて意見を交わしておられますがその内容が全然頭に入ってきません。私が気になっているのは彼の事と、そして――――
「はぁ…………」
……隣でさっきから何度も溜息をついている静寐ですわね。
「静寐、どうしたんですか? さっきから何度も溜息をついて」
「ねぇ神楽。私達、リーヤくんに追いつけると思う?」
「それは……」
静寐から問いかけられたその質問は、私には答えられないものでした。……いえ、違いますね。答えは判っていても、口にしてしまうと本当になってしまいそうだから言えない、というのが正しいのでしょうね。
「私は不安なんだ。リーヤくんはどんどん先に行って追いつけないところまで行っちゃいそうで、さ」
「静寐……」
静寐の不安は、同時に私の不安でもありました。今でさえリーヤさんは私達よりだいぶ前にいます。そしてなおも進み続けるのでしょう。……きっと、今の試合のように傷付くことを恐れることなく。
「そうですわね。正直、私も静寐と同じようにそれは不安ですわ」
「そうなんだ……」
「……だから、一緒に考えていきませんか?」
「え……?」
静寐が驚いたように私を見返してきますが、私自身今の言葉が出てきたことに驚いています。……もしかしたら、どこかでそう願っていた本心だから出てきた言葉なのかもしれませんね。
「一人では届かない手も二人なら届くかもしれませんし、追いつけないからといって最初から諦めないといけない理由にはならないでしょう? ……そもそも私達はまだ、スタートラインにすら立っていないんですから」
これは紛れもない今の私の本心。私の言葉は静寐に届いたのでしょうか……?
「……そうだね。やる前から諦めてたら何もできないよね。――――――ありがと、神楽」
「……お礼を言うのは私の方ですわ」
「えっ、なにか言った?」
「いえ? それより試合の方に集中しましょう?」
改めてモニターに目を移すと、試合はいよいよ決着へと向かおうとしていました――――――。
――――Side Out――――
リーヤとセシリア二人の試合の天秤は、徐々にだが確実にリーヤへと傾いていた。
(なぜですのっ⁉ なぜわたくしの狙撃を避けきれるんですのっ⁉)
そう、セシリアだけでなく上級生を始めとした一部の生徒は気付き始めていた。―――リーヤの被弾はビットによるものだけで、ビットよりもダメージのあるセシリアの直接狙撃は全て躱しているという事に。
実はリーヤはエルトリア社からセシリアの戦闘データを入手出来ていた。そしてそのデータからセシリアの戦法に共通点がある事を見つけていた。
それは――――――
(やっぱり彼女は決め手となる攻撃は
考えてみれば当然の事だ。ビットは攻撃の他に独立稼働を行う為のユニットも必要となる為、レーザーの出力はライフルに比べてどうしても落ちる。ならば、避けた先がビットの射線であってもライフルによる直接狙撃を受けるよりは結果的にダメージは少ない。加えてリーヤはビットが視界から見失わないようにしている。
ジャキン、ジャキンッ!――
カートリッジが二発ロードされ、チャージしたエネルギーがルシフェリオンと
「くっ―――‼」
「チィッ―――!」
しかし、セシリアも代表候補生。放たれた砲撃をすんでのところで躱す。が、試合開始時に残っていた余裕は残されていなかった。
(わたくしの狙撃を躱すならそれを逆手に取れば―――っ!)
セシリアはビットのうち二機をすぐ操作出来るよう頭の中にビットへの
(……くっ、やはり今のわたくしではここまでの連続操作は二機が精一杯ですわっ……!)
事実、セシリアは頭痛から額に汗を浮かべている。それでもなおビットへの命令を留め続ける。
(負けられませんわ。イギリス代表候補生としてではなく、セシリア・オルコットとして‼)
そうして残りのビットとライフルの狙撃を躱すリーヤの軌道をセシリアは読み――――――
「もらいましたわっ!!」
留めていた命令を解き、躱した先へとビットを攻撃させる。
狙うは
「マズっ……!」
火力が劣るビットとはいえ流石に重ねられると無視出来ない。絶対防御が発動する頭部なら尚更だ。
「……このっ……!」
スラスターの出力を一気に上げ上へと離脱する。無理矢理加速させた為身体にかなりのGがかかるが、それを気にしている場合ではない。
(オルコットさんは決めにきた。長引かせるとマズいかっ!)
カートリッジをロードし、腰部の固定スラスターで『
「……くっ、墜ちなさいっ‼」
セシリアもビットを散開させず攻撃箇所とタイミングをライフルと同期し、降下するリーヤへ攻撃を集中させる。
――――――が、
リーヤは
「『
『
……なぜなら、使用には条件と代償がある為だ。一つはISにスラスターが複数有り、かつそれぞれが独立稼働可能という機体条件。二つ目は『
だからこそ、『
「っ……!」
距離を詰められた事でセシリアは反射的に距離を取ろうと後退する。
――――――だが、それは失策だった。
「なっ……⁉」
「もらったっ‼」
あろうことかリーヤはセシリアが退がろうとした瞬間、機体に
(至近距離だとオルコットさんが急機動を取れば避けられる可能性がある。なら、避けようとしてもこっちで狙えきれる距離で撃てば―――っ!)
そう、リーヤが距離を詰めたのは至近距離から撃つ為ではない。距離を詰める事で射撃型であるセシリアなら距離を離すと踏み、一気に距離を詰めた。
リーヤは高等技術である『
だが、それはリーヤの仕掛けた
「……くっ……!」
この時点でセシリアもリーヤの狙いに気付くがもう遅い。退がる為に姿勢と思考を崩した為にビットによる攻撃をするにも狙いを定めなければならない。
――――――既に態勢を整えたリーヤと、狙いを定めなければならないセシリア。どちらが早いのかは火を見るより明らかだった。
それでもセシリアは試合を投げず、最後まで抗う。
――――――そして、
ガキンッ―――
「「っ!!?」」
ルシフェリオンからこれまでとは明らかに異なる音が響く。そして、同時にルシフェリオンの
(嘘っ⁉ よりにもよってこのタイミングでカートリッジが
――――――そしてこの
「やぁぁぁぁぁぁ…………‼」
リーヤが装備を換えるよりも早く、セシリアの放ったレーザーの全てがリーヤの頭部に
≪試合終了。勝者———セシリア・オルコット≫
決着を示すアナウンスが流れ、割れんばかりの歓声が響き渡った。
魔女と蒼雫の戦いは決着した。
――――――そして、この試合に影響を受けた人達がいる事を当事者達はまだ知らない。
この試合でどちらを勝たせるか悩みましたがセシリアにしました。
初の戦闘描写だったので読みづらいところもあったと思いますが読了、感謝します。