IS 〜地中海の愚者〜   作:liris

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物的損害と人的損害
どちらを優先するかは秤にかける者によって変わるだろう


Pagina XXII 黒鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダー)

 アリーナ全体を揺るがすような轟音の後、ステージ中央からは煙が上がりその中にうっすらと人型――――――ISのシルエットが見える。

 侵入者なのは疑いようもないけど問題はその火力。アリーナの遮断シールドを貫通出来るほどの武装は明らかに競技用の範囲を超えている。

 

(一体どこの誰だ? IS学園を襲うなんて真っ当なところならしない筈)

 

 ステージにいる二人に正体不明の相手(アンノウン)が空間を薙ぎ払うように熱線を放つも、幸いにも二人は避ける。その直後にアンノウンが未だ立ち昇る煙の中から姿を現す。

 

「……なに。あのIS……」

 

 隣りにいる静寐さんが思わず、というように言葉を零す。それだけそのISは“異形”といえるものだった。

 濃い灰色をしたそのISは腕が異常に長く、明らかに何らかの武装が仕込まれている武装一体型。加えてストレガ以外ではほとんど見ない『全身装甲型(フル・スキンタイプ)』。そしてなにより目を引くのがその構造だ。大きさは腕を含めると二メートルを超え、あちこちにスラスターの噴射孔が見える。頭部のセンサーレンズは不規則に配置されていて合成獣(キメラ)のような歪さを感じさせる。

 

(けど今は観客席にいる人達を避難させないと……ってなんで誰も避難しないんだ)

 

 侵入者という事態にも関わらず観客席にいる人達は一向に減らない。

いや、異常に気付いた人はもう動いている。しかし出入り口の周りで騒ぎになっているようだった。

 

(まさか避難しないんじゃなく出来ないのかっ!?)

 

 急いでピットで見ているであろう織斑先生に連絡する。

 

「織斑先生、カテドラールです。今すぐ観客席の出入り口を開けてください。このままではパニックが起こります」

 

 しかし帰って来た答えは最悪と言えるものだった。

 

「アリーナの遮断シールドがレベル4で稼働して扉も全てロックされている。今三年の精鋭がシステムクラックをしているがまだ時間がかかる」

 

 予想を上回る事態に思わず舌打ちする。

 こうなると状況を変えるにはこちらから動くしかない。

 

「……織斑先生。一つ提案が」

 

 今必要なのは観客席に閉じ込められた人達を逃す事。アリーナのシールドを破って侵入する相手に観客席を仕切るシールドが破れない、なんて考えない方がいい。

 時間が経てば経つほど状況が悪化するのは明白だし、いつパニックが起きてもおかしくない。

 

「観客席の一部の破壊許可を。扉がロックされ遮断シールドが作動しているといってもそれは元々ある出入口のみですよね。通路の壁にあたる部分に穴を開ければそこから避難が可能になります」

 

 出入り口がロックされているなら作ればいいだけの事。多少壊す事になるが死傷者が出るよりはいいだろう。

 

「……いいだろう。許可する」

「ありがとうございます」

 

 ストレガを腕部だけ部分展開し、ヒラリオンを取り出し床に向けて一発だけ撃つ。

 突如響いた銃声にパニックになりかけていた生徒の動きが止まり、視線が自分に集まるのを感じる。

 

「(今なら聞いてもらえる筈……!)皆さん落ち着いてください。今から壁を撃ち抜いて出口を作ります。危ないので少し離れてください」

 

 言いながらヒラリオンを収め、代わりにルシフェリオンを取り出す。それでオレが何をするつもりなのか判ったのか、出入り口の近くにいた人達が一斉に距離を取る。

 

(貫通させるとマズい。上手く威力を絞らないと)

 

通路を貫通させると反対側にいる人達を巻き込みかねない。それだけは避けないといけなかった。

 

(……四割程度でいけるか?)

 

 ルシフェリオンから通常時よりも抑えられた赤黒の奔流が放たれ、爆発音とともに砂煙が立ち昇る。

 スラスターを稼働させ、煙を消しさるとそこには人が通れる程の大穴が開いていた。

 

「皆さん、今出口を作りました。前の人を押したりせず落ち着いて避難してください!」

 

 オレがそう言うと近くにいた人達から順にアリーナをから脱出していく。

 

「皆もここから外に。ここは危険ですから」

 

 観客席にいる生徒を避難させる為の出口は一つじゃ足りない。せめてもう一つぐらいは作っておきたいところだ。

 

「リーヤさん、お気をつけて」

「それは相手次第ですね。……努力はしますけど」

 

 心配そうにオレを見る三人を背に、ストレガを完全展開して他の出入り口に向かう。

 上から見ると、落ち着くよう指示している人もいるけど突然の事態にパニックを起こす手前だ。指示してる人がいなかったら間違いなくそうなっていただろう。

 ……というかあの指示してる人、布仏先輩じゃないだろうか。

 

「布仏先輩っ!」

「カテドラール君、なぜここに?」

「出口を作る為に来ました。これから通路側面の壁を吹き飛ばして出口を作るので周囲の人を下がらせてください」

「わかりました。――――――みんな、下がって!」

 

 布仏先輩の指示で集まっていた人達が一斉に下がる。完全に出入り口から離れてくれたおかげで気兼ねなく撃てるようになる。

 

(流石は布仏先輩。見事な統率)

 

 さっきと同じように壁を撃ち抜いて出口を作る。そこから近くの人達が脱出していくが、上級生が中心という事もあってスムーズだ。

 

 ――――――警告。不明機にロックされました。

 

(――――――っ!?)

 

 ISからの警告にアリーナ内を見てみるとアンノウンの首……というべき部分がオレの方を向いている。

 ストレガのIS反応をキャッチされたか、それともルシフェリオンのエネルギーに反応したのか――――――いずれにせよ補足されたことに違いはなかった。

 

「マズ……っ!」

 

 あんな大火力が向けられればISを纏っているオレはともかく、布仏先輩達、生身の人間は一瞬で蒸発する。

 防ぐには――――――

 

(――――――ルシフェリオンで相殺するしかない。)

 

 現状ではそれしか防ぐ手がないけど問題は撃つタイミング。

 相手より早く撃つとアリーナと客席を隔てるシールドに威力を殺される。故に、相殺するにはアレが撃ってから撃つしかない。シールドによる威力減衰はアレの攻撃にさせ、こちらの攻撃は極力減衰させずに撃たなければならない。

 ――――――おそらく、猶予はアレが撃って一秒に満たないだろう。

 

(シビアだけどやるしかない。一射目を相殺してアレが二射目を撃つ前に倒す。アレが避難している人達に手を出さないか判らない以上、長引かすわけにはいかない!)

 

 出口から距離を置いたところで足を止め、カートリッジを二発ロード。呼吸を整え、アンノウンに目を凝らし、引き金(トリガー)に指をかけ砲撃姿勢に入る。

 

(――――――くるか)

 

 アンノウンから高密度のエネルギー反応。オレとアンノウンは互いを撃滅すべく機体のエネルギーを収束させる。

 数秒後に両者の武装(エモノ)から互いに向けて放たれるハズだった破壊の奔流はしかし、

 

「一夏ぁぁぁっ!」

 

 ――――――予想外の闖入者によって止められた。

 

「男なら……そのぐらいの敵に勝てなくてなんとする!」

 

 キーン、という耳障りなハウリング音とともに篠ノ之さんの声がアリーナ全体に響く。

 声の出所を見てみると、本来審判とナレーターがいるハズの中継室で篠ノ之さんが叫んでいた。

 

(いや、なに考えてんだ彼女っ!? あんな目立つ真似をしたら――――――)

 

 その声に反応するようにアンノウンはその腕を篠ノ之さんのいる方へ向け、オレに放つハズだったモノを彼女へ放たんとする。

 

(ああ、クソっ! 手をかけさせてくれる――――――!)

 

 アレの狙いがオレから外れた以上、カートリッジ二発分のチャージじゃアリーナのシールドを貫通させる(抜く)には心許ない。

 残ったカートリッジを全弾装填(フルロード)し、ルシフェリオンの最大火力を撃ち込む――――――っ!

 

「撃ち抜けぇぇぇ――――――!」

 

ルシフェリオンから放たれた赤黒の奔流はアリーナの遮断シールドに阻れるもそれは一瞬。シールドを貫いたルシフェリオンの砲撃はアンノウンの右半身を吹き飛ばし、残った左半身も――――――

 

「――――――オオオォォッ!」

 

 織斑さんの零落白夜によって上下に両断され、ようやくアンノウンはその活動を停止した。

 

 

 

 ――――――かのように見えた。

 

 

 

 完全に沈黙した筈のアンノウンから再び反応が戻り、エネルギーの収束された左腕が織斑さんに向けられる。

 が、ソレをみすみすやらせる気はない。すでに遮断シールドを貫通させた今、カートリッジを使うまでもない。

 

詰みだ(Scacco matto)

 

 そうして今度こそ、アンノウンは沈黙した。

 

 

 

 

 

 直接対峙していた二人の様子を見るため(個人的には織斑さんよりも凰さんの方が大事だが)に近くまで行くとアンノウンの破片があちこちに散らばっていたが、その大破したISの正体に多少のことでは驚かないオレも驚いた。

 ――――――本来人がいるハズのスペースには配線や回路類が見え、血や肉片の類が全くなかったからだ。

 

(まさかこの機体……無人機だったのか? IS部門(アリアロド)統括から『ISの無人機は技術的に困難』だって聞いた事があるけど)

 

 どのみち今回の一件は本社に報告すべき事案。アンノウンの正体に関しては現場の人間にすぎないオレよりも専門家であるアリアロド統括に見てもらうべきだろう。

 そう判断したオレはストレガのアイセンサーのREC(録画)モードを起動させ、出来る限りアンノウンの断面やそれなりの大きさの破片を記録する。おそらく中枢があったであろう頭部と胸部は特に念を入れて記録しておく。

 が、それはガシャリ、とそれなりに質量のある金属の塊が倒れるような音で止められた。見ると織斑さんがISを纏ったまま、前のめりに倒れこんでいた。

 

「い、一夏!?」

「緊張の糸が切れたんでしょう。自分が医務室まで運びますよ。凰さんも一応診てもらった方がいいでしょうし」

 

 倒れ込んだ織斑さんに肩を貸し(本人は気絶しているが)保健室まで運ぼうとすると、凰さんが不思議そうにオレを見ていた。

 

「どうしました?」

「いや、アンタ一夏のこと嫌ってなかった?」

「……流石に目の前で倒れられてそのまま放置しておくつもりはありませんよ」

「そ。ならそうさせてもらうわ。……正直ヘトヘトだし」

 

 そう言って凰さんはISを解除し、ひらひらと手を振ってピットの方へ歩いていく。その足取りはしっかりしていて心配はなさそうだった。

 

(オレも行くか。“荷物”があることだし)

 

 ここまで走ってきた山田先生からISの展開許可をもらい、織斑さんを医務室まで運ぶ。ストレッチャーの用意もしてあったからそのままお願いしてもよかったが、個人的な“仕事”もしておきたかったから丁重に断りそのまま保健室まで彼を運ぶ。

 保健室に着いて彼をベッドに寝かせるとストレガの拡張領域(バス・スロット)から小箱を取り出す。その小箱は文字通り小さな箱で、どう見てもIS用のものではない。

 

(意外と早く機会が出来たな。いや、好都合だったけど)

 

 織斑さんをここまで運んだのはこれが理由。手早く行うとはいえ採血というあまり……というより絶対に見られたくない行為。男性操縦者の血液というサンプルはどの国も喉から手が出るほど欲しがっているし、日本としては絶対に外に出したくないシロモノだ。

 だからこそわざわざ彼を運んだ。採血が出来る時間があり、軽傷で血が出ていても不審に思われない上に彼の意識と人目の両方がないというこれ以上ない好条件が揃うと踏んだからだ。

 結果は大当たりでオレは彼の血液サンプルの入手に成功する。血液サンプルは拡張領域で保管し、引き渡しの方法は指示を仰げばいい。

 

「――――――と、今夜の報告にアリアロド統括も一緒に聞いてほしい事を伝えていかないと」

 

 今のうちにその旨を伝えておけば夜報告する時に同席してくれるかもしれない。時間的にはあまり余裕がないけどしないよりはマシだろう。

 

 

 

† † †

 

 

 

 夕食を終えたオレは報告を行う為に借りた整備室に来ていた。名目上はストレガの武装のメンテナンスで借りたので他に人はいない。ISが悪縁の整備室はどの部屋も防音仕様になっているから部屋に誰もおらず、盗聴器の有無をチェックすれば第三者に話の内容を知られずに済む。

 今回のように生徒はおろか、学園側の人間にも聞かれたくない話をするには絶好の場所だ。

 

「そろそろ時間か」

 

 部屋から持ってきた端末とディスプレイを繋げ、オンラインでの報告を行う用意を整える。

 

「――――――時間通りだな」

「久しぶりね、リーヤ」

「お久しぶりです、アリアロド統括」

 

 指定された時間になると情報部門統括(義父さん)IS部門(アリアロド)統括の二人がディスプレイに表示される。普段から報告をしている義父さんはともかく、アリアロド統括の方は出てくれるか微妙なところだったけどおかげでこの場での詳細な説明も聞けるかもしれない。

 オレは今回の一件をに報告し、それに対する二人の反応は思っていた通りのものだった。

 

「アリアロド統括。貴女はどう思う」

「……無人機には遠隔操作(リモート・コントロール)独立稼働(スタンド・アローン)、この二つの技術のどちらかが不可欠。しかし両者とも未だ完成していない技術です。それが実戦で使えるレベルまで完成されているとなると心当たりは一人しかいませんね」

「篠ノ之博士、ですか」

 

 現在国際的に指名手配されているISの生みの親。無人機に必要な未完成の技術であっても篠ノ之博士なら完成させている可能性は充分ある。

 その場合何が目的だったのか、という問題が出てくるけど篠ノ之博士は色々“外れている”と聞いているという聞いているから考えても答えは出ないかもしれない。

 

「リーヤ、その無人機だけど回収できる?」

「無理ですね。アレは駆け付けた教員の人達に抑えられてどこかに運ばれました。おそらく生徒では入れない区画に置いていると思います」

 

 あんな代物を生徒が使う整備室に置いてはおかないだろうし、他の教室も同様だ。となるとアレが保管してあるのは一般生徒では入れない場所だろう。

 

「一応その無人機を撃破した後の断面等はストレガのメモリに記録しました」

「撃破後ね……。稼働している時のものはないの?」

「……申し訳ありません。この無人機は遮断シールドを破って侵入してきました。なので自分は当初観客席にいた一般生徒を非難させる為に動いていたのでそこまで気が回りませんでした」

 

 今思うと惜しい事をしたかもしれない。専門家であるアリアロド統括ならなにか判る事があったのかもしれないからだ。

 

「それなら仕方ないわね。ここはIS学園側に信用を作れた事を喜ぶとしましょう」

「情報部門としてはお前の採った行動の方が利になるな。今はIS学園側に貸しを作っておいた方が後に融通が利くだろうからな」

「……ありがとうございます」

 

 本来なら咎められてもおかしくないのだが二人は今後に利になる可能性があるから、と許してくれた。

 ……後でアイセンサーの設定を変えてISを展開している間は録画が自動的に行われるようにしておこう。不要なデータを消すのは大した手間じゃないし、今回のような一件を撮り逃がす方がマズい。 

 

「それともう一つ報告が。今回の騒ぎに乗じてもう一人の男性操縦者である織斑一夏の血液の採取に成功しました」

「ほう」

「それはうれしい知らせね」

 

 オレとしても織斑さんの血液をこんなに早く手に入れられるとは思っていなかった。何かの拍子で彼が怪我をした時に採取するつもりでいたから今回の一件は願ってもないチャンスだった。

 

「こっちには貴方の血液をはじめとした遺伝子サンプルがあるからIS適正に関する研究が進められそうね」

「それに関してですがどうやって引き渡しましょうか? 今はストレガの拡張領域で保管しているので露見や劣化する心配はありません。が、モノがモノなので手紙や荷物のように送るわけにはいかないでしょう」

 

 中身が血液で発送元がIS学園となれば輸送中に狙われる(中身が判るようにする気はないが)可能性は高い。出来れば本社の人間に直接渡すに越した事はないのだが……。

 

「そうねぇ……私が直接そっちに行くのはどうかしら? ちょうどIS学園から招待状が来てることだしね」

「……アリアロド統括が直接?」

 

 確かにアリアロド統括が直接来てくれるなら奪われる心配はない。けどアリアロド統括がわざわざIS学園に来るような用事なんて……あったな、そういえば。

 

「来月にある学年別の個人トーナメントですか?」

「ええ。その前後ならIS関連企業の人間がいても問題はないでしょ。ボディーガードにベルゼーも連れて行くし」

「……待てアリアロド。そんな話は聞いていないぞ」

 

 ……珍しい。義父さんがこんな焦った表情(かお)を見せるのは滅多にない。

 

「社長からは許可をもらってますよ。それにたまには息子の顔が見たいんじゃない? ――――――親としては」

「…………」

 

 実際アリアロド統括は社の重要人物なので護衛の人選は慎重に行う必要がある。加えて統括という立場だけあって義父さんはISに関してもそれなりの知識もある。護衛としては少し……いやかなり立場が上過ぎるというのが問題だけど。

 

「……社長からの許可が下りているなら断るわけにはいくまい。たとえこの場で断ったとしても理由を付けて私を同行させる気だろう」

 

 違うか? と問いかける義父さんにアリアロド統括はその通り、と肯定する。……という事はアリアロド統括はどうあっても護衛に同行してもらう気だったらしい。

 

「そういえばリーヤ。報告書にISを一人で組み立ててる娘がいる、って書いてたけどその娘はまだ続けてるの?」

「ええ。そうですが……」

「その娘に会ってみたいから話をしておいてくれない? 出来れば貴方の眼鏡にかなった娘が他にいるならその娘達にも会ってみたいんだけど」

 

 アリアロド統括の言葉を聞いて脳裏に浮かぶのは簪さん以外には二人の友人。実技に関しては今の段階ではなんとも言えないけど二人の熱意……向上心は目を見張るものがある。

 おそらく、実際に会ったらアリアロド統括は三人を気に入るだろう。

 

「判りました。では話をしておきます」

「楽しみにしてるわ」

 

 話す事がもうなくなったのか、その言葉を最後にアリアロド統括はログアウトする。

 

「さてリーヤ。聞いての通りだ。来月のトーナメントに私も行く。楽しみにしているぞ」

「それは、トーナメントの結果ですか?」

 

 より正確には他の代表候補生との対戦結果だろうけど。

 

「それもあるが、お前と会う事自体もだ。お前にIS適性ある事が判明してから訓練と仕事以外で会う事があまりなかったからな」

 

 加えて言うならそういう時に会う時に公私混同はしない。はっきり言ってお互い上司と部下として接するので家族としての会話は雑談すらしないのだ、自分達は。

 

「それじゃ、その時話のタネの為にも勝ち上がらないといけませんね」

「……あまり無茶はするな。ただでさえお前はその手の自覚が薄いからな」

「判っています。それでは」

 

 ああ、という短い返事。その言葉を聞いてから回線を切断し、手早く片付けて整備室を後にする。

 寮まで戻るとなにやら織斑さんの部屋の方で騒ぎがあるみたいだけど……ほっとこう。多分織斑さんが何かやってトラブってるだけなんだろうし。

 ……これがいつもの事、と思えるあたりオレもだいぶ染まってきたのかもしれないが

 

 




ようやく一巻相当分が終了
二巻分からはいよいよデュノア社との抗争が本格化……するのかもしれない
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