IS 〜地中海の愚者〜   作:liris

6 / 28
火種は燃え上がり、大火となる。

オリ主、吠えます。


Pagina IV クラス代表は誰の手に?

「それでは、この時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する」

 

 オルコットさん達との一幕の後に授業が始まったが、よほど大事な授業なのだろう。山田先生ではなく織斑先生が教壇に立っている。山田先生はノートを手に持ち、後ろに控えていた。

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表を決めないといけないな。クラス代表とは、対抗戦への出場だけでなく、生徒会の開く会議や各種委員会への出席などを行う、クラス長のようなものだ」

 

 思い出したように言う織斑先生だが、会議や委員会への出席等も行うなら割と大事ではないのだろうか?

 

「ああ、それと自薦他薦は問わん。が、就任したら一年間変更はないからそのつもりでいろ」

 

 織斑先生の言葉に色めき立つ教室。やはり自薦他薦問わず、というところに反応したようだ。

 

「はいっ。織斑くんを推薦します!」

「私もそれがいいと思いますー」

「私も織斑君に一票!」

 

 まぁ、こうなるか。オレよりも織斑さんの方が色々と目立つし。

 

「では候補者は織斑一夏…… 他にいないか? 」

「お、俺!?」

 

 人から推薦されていて何故織斑先生が言ってから反応するのか……まさかとは思うが今まで聞いていなかったのだろうか?

 

「織斑。席につけ、邪魔だ。 さて他にいないか? いないなら無投票当選決定だが」

「ちょっ、ちょっと待った! 俺はそんなのやらな−−−」

「自薦他薦は問わないと言った。他薦された者に拒否権はない。選ばれた以上は覚悟しろ」

「だ、だったら俺はリーヤを推薦します!」

 

 ……何を考えているんだ、彼は? 自分がやりたくないから人を推薦して押し付けようとするなんて。人の事をなんだと思っているのだろうか。

 

「私はさっきの授業でしっかりした考えを見せてくれたカテドラールくんを推薦します」

「私も同じ理由でカテドラールさんを推薦しますわ」

 

 うん、こうしたきちんとした理由で推薦されるなら素直に嬉しく思う。

 しかしこの流れはよくない。非常によくない。クラス代表になる事はそんなに大きな問題じゃない。(任務があるからやらずに済むならそれに越した事はないが)()()()()()()()()()()事が問題なのだ。

 

「では、織斑とカテドラールで決戦投票をすることになるが――――――」

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

 そうして机を叩いて立ち上がったのは、オルコットさんだった。

 ……ああ、やっぱりこうなったか。こうなる気がしたから推薦されたくなかったんだ……。

 

「そのような選出、認められません! 男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

 オルコットさんは頭に血が昇っているのかまだ止まりそうにない。恐らく、さっきの件が後を引いているんだろう。

 

「実力でならわたくしがクラス代表になるのは必然であり、物珍しさを理由に極東と南欧の野蛮人に任せるべきではありませんっ! わたくしがこのような島国まで来たのはIS技術の修練の為であり、サーカスをするためではございませんわっ!」

 

 ……オルコットさん、先の休憩時間もでしたがそれ以上の言葉は代表候補生の言動として問題になります。抑えて下さい。

 

「そもそも、文化として後進的なこの国で暮らすこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――――――

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

「なっ……!?」

 

……織斑さん、貴方もですか。いい加減にしてほしいんですが。

 

「あ、あっ、あなたねえ! わたくしの祖国を侮辱しますの!? 決闘ですわ!」

「おう。いいぜ。四の五のいうより分かりやすい」

 

 ………………

 

「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い―――いえ、奴隷にしますわよ」

「侮るなよ。真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」

「そう? なんにせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すいい機会ですわね!」

 

 …………………………………………

 

「ハンデはどのくらいつける?」

「あら、早速お願いかしら?」

「いや、俺がどのくらいハンデつければいいのかなーと」

 

 織斑さんの言葉にクラスからは大きな笑いが響く。が、オレは頭を冷やすために必死でその笑い声に反応する余裕などなかった。

 

「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって、大昔の話しだよ?」

「確かに織斑くんとカテドラールくんはISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」

 

 あー、不味い。頭を冷やすのが間に合わない事が自覚出来てきた。

 

「……じゃあ、ハンデはいい」

「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデをつけなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね」

 

 もうオレにはオルコットさんや織斑さんはおろか、隣のクラスメイトが浮かべている表情すら窺う余裕もない。

 

「あなたも頭を下げればそこのお猿さんと同じように、特別にわたくしが相手をして上げても構いませんわよ?」

 

 …………その言葉に、今まで抑えていたモノが限界を超えてしまった。

 

「……いい加減にしてください。二人とも」

 

 自分の声は決して大きくなかった筈だが、自分でも判る程怒気が籠っていたせいか、騒がしかったクラスの雰囲気は一気に静まった。

 

「いつまでそんなくだらない事に時間を使う気です? オレから見れば貴方達二人がやっているには子供の言い争いです」

「「なっ……!」」

 

 自分の言葉に絶句する二人。さっきまでいがみ合っていたというのに二人は矛先をオレに向けてきた。

 

「わたくしがこのような男と同レベルですってっ!? 」

「俺がこんなやつと同レベルってどういうことだよっ!?」

 

 あぁ、それすらも判っていないのか。……だから同レベルなんですよ、貴方達は。

 

「当然でしょう。貴方達の言っているのは相手を理解しようとせず、ただ侮るだけの言葉です。人はそれぞれ価値観や思想が違います。それが判っているならあの程度の言葉は我慢出来るでしょう。それが判っていないから子供の言い争いだって言ったんですよ、オレは」

「「……っ」」

 

 オレの言葉に思うところがあったのか、二人は反論せずに押し黙る。が、生憎オレはまだ止める気はない。

 

「加えて二人は他にも問題発言だらけです。オルコットさんは一国の代表候補生だという自覚が悪い意味で足りません。代表候補生の立場で他国を罵倒したらどれほどの問題になるか知らないとは言わせません」

「そ、それは……」

「織斑さんもです。代表候補生相手にハンデをつける? 莫迦言わないで下さい。代表候補生の座に就く事がどれほど大変だと思っているんですか。その苦労を知らない人が、軽々しくハンデをつけるなんてよく言えたものです」

「う……」

 

 ここまで言って、ようやくオレも頭が冷えてきた。が、今更冷えたところでもう遅い。取り繕うには遅過ぎる。

 

「お前……、どっちの味方なんだよ……」

 

 織斑さんがそんな事を言ってくるがそんなのは決まっている。

 

「そんなの貴方達両方の敵に決まっているでしょう。オレは男は女に傅くものと考えてる女尊男卑の人も、女は男より下だなんて考える男尊女卑の人も好きになれませんから」

 

 両方の敵だと言い切ったオレに、織斑さんとオルコットさんだけでなくクラス中が息を呑む。……当然か。どちらか一方ではなく、両方の敵だと断言したんだから。

 

「……カテドラール、お前もそのあたりにしておけ。これ以上時間を使うわけにはいかん。選考の方法だが三日後の放課後、候補者3人によるIS試合を行い勝者に選択権を与えるものとする。それでこの話は終わりだ。授業を再開する」

 

 ぱん、と織斑先生が手を打って自分達の言い争いを半ば強制的に切る。

 ……しかし、ISによる試合で決定か。流石にこれは報告をしておかないと不味いか。色々と言われそうだけど今は授業に集中してこの事は後で考えよう。

 

 

 ――――――しかし、自分が出来ていない事を人にあれこれ言うなんて人の事を言えないなぁ……。

 

 

 




三者はぶつかる。それぞれの怒りを以って。


……内心やり過ぎたと作者も書いてて思った。
ここから下はちょっとした報告です。


まずはお気に入り登録してくださった方々ありがとうございますっ!!
作者としても嬉しい限りです!
そして申し訳ないのですが、ストックはここまでなので次回以降から不定期更新のタグが仕事を始めます。
出来れば今月中には次話を投稿しようと思いますのでこれからも地中海の愚者をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。