俺がフェルトになっていた 作:YAYOI@小説書き始めました
俺の仕事は役所勤務。勤務時間は朝の10時から夜の6時と、大体は決まっている。
8時に起床し、顔を洗い、朝食を作り、スマートフォンでニュースを見て、時間になれば役所へ向かう。
ピピピピ......
「んあぁ...うるせぇなぁ...」
カチャッ
寝ぼけ眼で目覚ましを止める。
だが、その目覚ましにある手は、明らかに自分の物ではなかった。
細くキメの細やかな小さな手。
俺の手はもっとゴツゴツしていて毛も生えていたはずだ。
これはおかしい。
いや、でもこれは寝ぼけているからか?
布団を退け、眠気を払いむくりと立ち上がる。このタイミングで、さらなる違和感を覚えた。
明らかに目線がおかしい。
机の高さはだいたい自分の腰くらいの高さだった。
だが今は肩の高さ程ある。
テレビも同様。
何よりも布団のスケールがでかすぎる。俺の体よりも少し大きめの布団を購入したはずだが、今では人一人分のスペースが余っている。
寝間着の裾も余りに余っている。
自分の体に合わせて購入したはずだ。
それに、俺は仕事柄、ビジネスヘアだったはずだ。
だが、髪型は違った。
言葉では言い表せないようなヘアスタイル。女性はこのヘアスタイルの名前はわかるのだろうが、彼女がいなかった俺は全くわからない。
何かしらの黒いリボンのようなもので髪を括っている。
髪の毛は黒髪だったはずが、なぜか鮮やかな金色へと変色している。
これはいよいよ持っておかしい。
俺は、洗面所へと移動し、寝ぼけてるのだ、と自分を錯覚させ、顔を洗うことにした。
だが、まずそこに行くまでに通る廊下や扉の取っ手の位置、天井の高さなど、全てがスケールアップしていた。
最早、自分が小さくなったか、家が大きくなったかと言わんばかり。
ドアなんて取っ手の位置が高いせいで、開けづらい、なんてことに。
だが、これも自分が寝ぼけているせいだ、そうだと自分に言い聞かせる。
洗面所に着いた俺は、電気をつけ、鏡の曇りを手で擦る。
「な、なんだこれ...」
鏡に映ったのは、金髪で赤い眼をしている黒いリボンを頭に括り付けた、小さな少女。
声色もしっかりと元の俺ではない、少女の物へと変貌を遂げていた。
自分が手を挙げると、鏡に映る少女も手を挙げる。
口を開けると、鏡の中の少女も口を開ける。
ここまで来てしまっては、もう疑いようのない事実だった。
俺は、目が覚めたら金髪の少女になっていた。そう言わざるを得なかったのだ。
だが、俺はこの見た目を、どこかで見た事がある。
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「よぉにいちゃん、わたしになんかようか?」
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俺は、思い出して絶句していた。
その見た目は、「Re:ゼロから始める異世界生活」で登場する貧民街の女の子、「フェルト」の見た目そのままだったのだ。
「嘘だろ...?」
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不思議な事に、俺は不可思議な出来事と驚きが入り混じり、逆に落ち着いていた。
人は不思議な出来事に遭遇すると、一周回って落ち着いてくると言うのを聞いたことはあるが、まさか本当にそうだとは思わなかった。
とりあえず職場の同僚にLINEを使い、『ちょっと声が全く出ない上に体も動かしずらいんだわ、ちょっと今日は休む』との連絡を入れた。
その休みを利用し、家に引きこもって何度も自分を再確認した。
まず1つは、俺の寝ぼけと脳内妄想が掛け合わさり、俺の脳は俺自身を「リゼロのフェルト」と錯覚をしているのではないか、と。
これは、近くのよく行く店で試したのだが、商品の場所を聞くふりをしていたが、
「なんて可愛い女の子!金髪でも髪を染めた不自然な色じゃないし、眼の色も赤色だし、どこの国から来たのかしら?分からないことがあったら、わたしもそうだけど他のスタッフにも聞いてね!!」
と、パートしているスタッフに言われたので少なからずは俺は今、女の子であることは間違いないらしい。金髪で赤い眼で、と言うのは俺の妄想ではなかったようだった。なお、服装に至ってはそれらしい格好にしている。
そして次に確認したのは、ちょっとアレな話だが下半身の話だ。
これは当たり前といえば当たり前だが、ついていない。
長年付き添って来たものがないのは少し違和感を覚えた。
トイレ関連に関しても全て女性のものになっていた。
女性特有の生理や子宮などの女性機能についてはまだ分からない。
て言うか、わかりたくもない。
特に生理は辛いと聞いたことはあるので、経験することはいつかはあるだろうが、経験したくないものだ。
最後は、俺の本体はまた別のどこかにあるのではないか、と。
これに関してだが、LINEを見るとしっかりと今日は休みになっているようだった。仕事の休憩時間に『大丈夫ですか?しばらく休みにしておきますから、安静にしてくださいね』と、送られているからだった。
これらから導き出された結論は一つ。『俺は、なぜか金髪赤眼の少女になってしまった』。しかもなってしまったその人物は空想上のキャラである「フェルト」なのだ。もう訳わかんねぇな、これ...
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さてと、この現実を受け止めて生活するのはまだまだ厳しそうだ。だが、時間は有限だ。待ってはくれない。そんなこんなで呆然としていると、時刻は昼の1時を回っていた。
空腹も強くなってくるし、これからの対策をする...と言ってもどういった対策をすればいいのか分からないし、時間だけがどんどんと過ぎて行く。
さっきから考えていることは、『昨日特別なことやったっけ?』と言うものだ。こう言うことが起きるのは、小説や漫画では決まって何か特別なことをしていたと言うことが多いだろう。毎日の習慣というとリゼロのラノベを読んでいた、ニュースを読んでいた、ぐらいだろうか...だが、いくらなんでもラノベを読んでいたからと言って自分の姿がフェルトになるとは正直あり得ないことだ。
だが、考えられるのはそのくらいのことだろうか。
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俺は今日の一連の出来事で、すごーーーく疲れていたのだろう。と俺は思う。
Re:ゼロから始める異世界生活のフェルトなってしまった。だが本当はいい歳した男が引きこもっているだけなんだが。
そう思いたいが相変わらず鏡に自分の姿を映すと相も変わらず金髪赤眼美少女だ。
ええと、とりあえずこの体はいまはフェルトの体でいいんだよな...?
とりあえず今日は寝ることにしよう。明日になったら戻ってるかもしれないし。
というか、戻っていてほしい。
戻っていなかったら仕方ないが、この体で存分に楽しませてもらおう。
アニメ世界に転生、というのはよくある展開でしたが、アニメ世界のキャラが現世の主人公に憑依、というのはなかなかないと思うので書き始めました。
憑依と言っても、フェルトの体だけが主人公の体に憑依しているので、フェルトの意識はありません。投稿は不定期ですがよろしくお願いします。