プロローグ 新たな魔法少女
あの戦いから一ヶ月が経った頃、ある魔法少女達はとある作戦を立てていた。
「火垂〜いるかしら?」
殺風景な部屋の扉を開けたのは、黄緑色のロングヘアに、軍艦服のような格好をした女性。
「何か御用でしょうか。アリナ様…」
「いい子ね。流石はアリナの自信作…フフッ」
アリナと呼ばれた女性は、黒のワンピースに、黒い布を顔に掛けている藍色の髪の少女の頭を撫でた。
火垂と呼ばれた少女の顔はうっすらとしか見えていない。
「あなたにお願いがあるの。実はね〜アリナの芸術に邪魔な街があるの〜」
「それは困りましたね。」
「んも〜冷たいわよ!それで頼みはここから。その街にはね…私達と同じ魔法少女がいるの。
そいつらの処分をあなたに頼みたいの〜」
「それは構いませんが、何人いるのですか?」
「あの街自体には13人よ。けれどね、あの街に定期的にやってくる魔法少女が二人いるのよ。」
「ということは、15名ですか」
「そっ!じゃあこれ名前と魔法が書いてあるから後はよろしくね〜殺し方は、自由にしていいわよ。
死体の処分も好きになさい」
そう言うとアリナは魔法少女の名前と魔法が書いてある手帳を火垂に渡した。
「イエスマスター…」
火垂はそう言うと、手元から炎を思わせるような双剣を出し、部屋を後にした。
「失礼いたします。火垂様」
火垂の部屋の扉が開いた。
すると部屋に入ってくる似たような顔をした少女二人
「なんの御用でしょうか?」
「もーう冷たいよ〜火垂様〜」
もう一人の少女が不貞腐れて言った。
「月咲ちゃん、もうすこし火垂様には礼儀正しくお声かけなさいと教えたでしょう?」
「でも月夜ちゃん、それじゃあうちらの区別がつかないかもしれないじゃん」
二人の少女、月夜と月咲が揉めていると火垂は二人のいる反対側のドアへ向かった。
「ちょっ!?火垂様、お待ちください!」
「……要件があるなら手短に、アリナ様からの命令を実行しなければなりません」
火垂は少し不機嫌そうに言った。
「うちら、その命令を受けた火垂様の護衛を務めることになったの」
「ね〜」
「…護衛、私にですか?」
「そうでございます!火垂様はわたくし達にとって要のような存在…そのような方を一人任務へ行かせるわけには行きません」
月夜は熱心に語り始めた。
「そうよ、火垂。彼女たちを連れて行きなさい」
火垂の背後から幼げな声がした。
「……灯花様」
赤髪に黒と赤のフリルやリボンをあしらったワンピを身に纏った灯花という少女が言った。
「貴方はこのマギウスの要よ。アリナに頼めば軽い修理はできるわ、けどね貴方の存在が無くなってしまってはダメなの。
このマギウスが新たな世界を作るには貴方が必要なの。分かるわよね?」
「………理解しています。記憶は有りませんが灯花様が私を救ってくださったこと、アリナ様に頂いた新しい自分。
すべて、このマギウスのため。」
「分かっているならいいわ。月夜と月咲を連れて行きなさい。貴方たちも任務を怠らないようにね」
灯花は二人に釘をさすように言った。
「し、承知しております!」
「精一杯努力します!」
「ふふっそれでいいのよ。それじゃあ頑張ってね〜」
そう言って灯花は扉の奥へ消えていった。
「火垂様、お荷物お持ちいたします」
「仮拠点までの道はうちが案内します!変装もしないとですね?」
「なぜですか?」
火垂は月咲の言葉を不思議に思った。
「あ、あーえっとですね、ほかの魔法少女に怪しまれないためでございます、今回の任務はほかの魔法少女に顔を見せる可能性がございます。なのであまり目立たないような姿で街を移動しましょう。」
「そう…分かった」
火垂は納得したように歩いて行った。
(ありがとう月夜ちゃん)
(月咲ちゃん、気をつけて下さい。これから行く街は…過去の彼女を探している魔法少女が沢山いるんですから。その事実を火垂様に伝えるわけには行きません)
(でもなんで記憶の改変なんてしたんだろうねアリナ様…)
(そこはわたくしも不思議に思います。後から辛くなるのは、火垂様です…)
(でもうちらは決めたんだ。何があっても…)
((火垂様を守り抜くと!))
「何しているんですか?急ぎますよ」
遅れている二人に火垂は言った。
「は、はい!只今」
「火垂様〜待ってよ〜」
マギウス 本拠地
「アリナ、あの子はちゃんとやってくれるかしら?」
「当たり前じゃない〜アリナの最高傑作であるあの子の記憶が戻るなんてありえないんですケド〜」
「見た目はあまり変わらなかったけど、バレないわよね?」
「その辺も大丈夫。あの双子に頼んだから〜」
「なら安心ね、それにしても運が良かったわね。七戦姫の生き残りの一人を要として迎えれるなんて。」
「アリナも改造しがいがあったってワケ〜ほんとあの子をいじるのとってもエキサイティングなのよネ〜」
「改造しすぎもほどほどにね。せめて火垂の…いいえあヴァレンティナの本来の体がなくならないようにね?」