魔法少女物語   作:すぴてぁ

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32話 一時の平穏

新しく『いろは』という名前をもらった次の日、いろはは自分の入院している部屋にいた。

昨晩、やちよが帰るときに

 

『明日は大人しくしていなさい。治るものも治らないわよ』

 

と、言われたので今日は大人しく自室にいるいろは。

 

「う……難しいなぁ」

 

いろははあるものを読んでいた。

 

「火垂様…失礼致します」

 

そう言って入って来たのは、天音姉妹の月夜と月咲だった。

 

「月夜ちゃん…もう火垂様じゃ無いよ」

 

「はっ!も、申し訳ありません……ついいつものように」

 

「ううん。大丈夫だよ……ゆっくりでいいから」

 

月夜は花瓶の花の水を入れ替え、月咲は持ってきた鞄から数冊の本を出した。

 

「これね、うちの学校と月夜ちゃんの学校の教科書だよ、勉強するときとかに参考にしてよ」

 

「うん。ありがとう月咲」

 

「でもいいの?二人とも学校が……」

 

「問題ありません。この周辺の学校は昨日から夏休みが始まったのでございます」

 

季節は夏。外は太陽が照りつけて暑さが激しくなっている。

よく見ると天音姉妹の制服も、夏用の制服だった。

 

「あとね、二人にお願いがあるの」

 

「何でございましょうか?」

 

「あのね……もう『様』付けで呼ばないで。私、二人とは普通の…仲のいい友達でいたい。格差がついた呼び方は友達なんて言わないよ…」

 

「…うん。いいよ!うち、今日から『いろは』って呼ぶから!」

 

「月咲ちゃん!?」

 

月咲は、いろはとの親交を深めたい気持ちは元からあったためとても喜んでいた。

月夜は未だに悩んでいる。

 

「月夜ちゃん……」

 

「………『いろはさん』。今はこの呼び方で勘弁してくださいまし…」

 

「ううん。いいんだよ…月夜が呼びやすいように呼んでくれれば…」

 

いろはは、そう言って月夜に微笑みかけた。

月夜は少し顔を赤らめて、いろはに微笑み返した。

 

「あら、お取り込み中だったかしら?」

 

「あっやちよさん…」

 

病室の扉のところには、紙袋などを持っているやちよがいた。

 

「天音姉妹は随分と早いのね。」

 

「私達は本日、学校の方へ行かなくてはならないので…」

 

「朝早くに、先に会いに来たの」

 

天音姉妹は、やちよの疑問に答えるように言った。

 

「だとすると、もう出ないと学校に遅刻するんじゃ無いかしら?」

 

「!?急がなくては!」

 

「うん!いろはっまた来るね!」

 

そう言って天音姉妹はいろはの病室を後にした。

 

「距離が縮まって良かったじゃない」

 

「はい……やちよさん、その紙袋は?」

 

「あぁこれね…色々あるのよ、ヘアブラシとか…そうだ、これ食べてもらえる?」

 

そう言ってやちよがだしたのは、ひとつのタッパーだった。

 

「あの…これって」

 

「いろはの味の好みを聞いておこうと思って…味が濃かったり薄かったりしたら言ってくれればいいから」

 

いろはは、やちよからタッパーを受け取り、蓋を開けた。

そして、一口分の中身の具材を口に入れた。

 

「……美味しいです、美味しいです!やちよさん」

 

「そう、喜んでくれたなら良かったわ。その表情なら味に問題はなさそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いろは、少し気になることがあるの、いいかしら?」

 

「はい…私の答えられる範囲でなら」

 

あれからやちよは、いろはの髪を櫛で梳いたりなどをした。

 

「私、あの日に里見灯花と柊ねむに会ったわ」

 

「……そうですか」

 

「あの二人はマギウスにとってなんなの?」

 

「あの二人とアリナさんはマギウスの三人で、マギウスの翼たちを指揮しているんです。私もマギウスがどんなことをしているかまでは聞かされていませんでした」

 

いろはは、やちよに自分の知る限りのことを話した。

 

「そう、先日天音姉妹にも聞いたのだけれど二人も似たようなことを言ってたわ」

 

「二人はマギウスの翼だから…詳しい情報はみふゆさんじゃないと…」

 

「そう思って何度も連絡しているのだけれど…繋がらないのよ」

 

やちよは少し不安そうな顔をしていった。

 

「そうですか……アリナさんに聞いてみませんか?」

 

「……少し不安はあるけれど、一番知っていそうなのよね。そうね、行ってみましょう」

 

いろはとやちよは、アリナの入院している病室へ向かった。

アリナの病室へ行くと、入口の前に誰かがいた。

 

「えっと…アリナさんに何か?」

 

「!!…えっと私、アリナ先輩と同じ学校の御園かりんと言います!アリナ先輩が入院してるって聞いてお見舞いに来たんですけど…入っても大丈夫ですか?」

 

「えぇ構わないわよ…同じ学校の後輩なら問題ないんじゃないかしら?」

 

やちよの言葉を聞いてかりんは喜んで病室の扉を開けた。

いろはとやちよは、かりんの用事が終わるまで待っていることにした。

しばらくするとかりんが病室から出てきた。

 

「あの…ありがとうございました!」

 

「ううん。また来てあげてね」

 

「はいっ失礼します!」

 

そう言ってかりんは廊下の奥にあるエレベーターで下へ降りていった。

 

「それじゃあ私達も用件を済ませましょう」

 

「はい…」

 

そう言ってやちよは病室の扉を開けた。

 

「アリナ、聞きたいことがあるのだけれど…」

 

「入ってきて第一声がそれナノ?……まぁいいケド。それで何が聞きたいワケ?」

 

「マギウスは何を企んでいるの?今のままだと彼女達と対立するには情報が少なすぎるわ…」

 

アリナは少し考えると、

 

「…物語の完結…アリナはそのために必要な魔女とウワサを作ってたワケ」

 

「魔女?ウワサ?」

 

「まぁ説明するとネ…魔法少女が希望とかで生まれるとしたら魔女はその真逆の絶望から生まれるワケ。里見灯花と柊ねむが作っていた物語は進むごとに厄災があるノ…もしその物語を現実にするっていうなら…」

 

「この世界にも…魔女がいる」

 

アリナの説明を聞いて理解したいろはが言った。

 

「イエス。ウワサってにはネ〜この町を中心に最近よく聞くウワサ……あれをマギウスが現実に起こそうとしてる…」

 

「ウワサが、現実に…」

 

「そのウワサなら、私がファイリングしてるわ。問題は魔女の方なのよね…」

 

「そっちについてはアリナも考えてみるヨ。とりあえずウワサについてはそっちに任せるネ」

 

新しい情報を手に入れたが今後については全くの検討なし。

今日はここまでにして解散した。

 

 

 

 

 

 

時刻は夕方になっていた。

やちよは今日一日ずっといろはに付き添っていた。

 

「それじゃあ今日はこの後、私はみたまところに行くから帰るわね」

 

「はい。ありがとうございました。」

 

やちよは歩いて行きながら片手を軽く振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?やちよさんいらっしゃい」

 

「こんばんは、ちょっとお願いがあるのだけれど……」

 

やちよはそういうとカバンから何枚かの資料を出した。

 

「ここに書いてあるこの素材を使って魔力を探すアイテムを作って欲しいのだけれど…」

 

「もう…私は科学者じゃないのよ〜でも、やちよさんからのお願いは断れないわね…」

 

一度悩んだみたまだったが、やちよからの説得を受け協力をしてくれた。

 

「ありがとうみたま。それと、そっちからもみふゆへ連絡とってみてくれるかしら?」

 

「……まだ連絡取れないのね」

 

「えぇ、こっちからもまた掛けてみるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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