魔法少女物語   作:すぴてぁ

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33話 ソウルジェム

夏休み半ば、暑い日が続く中いろはは涼しい病室でやちよとアリナと話していた。

アリナは2週間前に無事に検査入院を終え退院した。

いろはは夏休みが終わる頃には退院できると伝えられた。

 

「あれ以来‎‎‎マギウスはなんの動きも見せていない。アリナの言っていた魔女やウワサらしきものも見つかっていない…妙ね」

 

「アリナが最後にマギウスの拠点にいた時、灯花が何かをクリエイトしてるのは見たけど、それがなんなのかまではさっぱりなワケ」

 

「向こうが何かをするまではこっちからは手を出せませんね」

 

三人はマギウスと対立するために情報を整理しているが、これと言って有力な情報は少なかった。

他の魔法少女達が町を歩いて情報を探っているが、マギウスが動いているなどの情報は未だ掴めていない。

 

「ウワサや魔女を育てたのはアリナだけど…町に撒いたのはねむだから、見つけるのは難しいワケ」

 

すると廊下の方からこちらに向かってくるような音が聞こえた。

 

「うるさいのが来たわね…」

 

「いろはちゃーん!遊びに来たよっ!」

 

やちよがあきれていると、ドアを思いっきり開けいろはの名前を叫ぶ鶴乃がらいた。

あとから遅れて、ももこ、伊吹、華乃もやってきた。

 

「みんないらっしゃい。どうしたの?」

 

「今日はね、いろはちゃんに渡すものがあるの!」

 

すると鶴乃は持っていた紙袋から中身を取り出す。

中から出てきたのは、制服だった。

 

「じゃじゃーん!いろはちゃんの制服だよ!」

 

「さっきやちよさんに頼まれて取りに行ったんだよ」

 

鶴乃は持っていた制服をいろはに手渡した。

制服を受け取ったいろはは嬉しそうに見つめていた。

 

「夏休み明けからは学校に行けるから、そろそろ準備はしておかなくちゃね」

 

「一緒の学校だよー楽しみだよね?」

 

「うん!楽しみ」

 

夏休み明けからの話で盛り上がっている中、いろはに話しかけづらい伊吹と華乃。

 

「まだなれないわね…」

 

「………でも、元に戻すためにはこのままマギウスってやつらを追う、私はあんなふうに仲良く話すつもりはないけど…」

 

華乃の発言を聞いた伊吹は不安そうに見つめていた。

 

「私は仲良くした方がいいと思うけど?」

 

「好きにすれば…」

 

その言葉を聞いて、素直じゃないなと思い呆れながらも向こうの会話に混ざるため、華乃から離れる。

ヴァレンティナがいなくなってから華乃の近くにいたのは伊吹だったため、本人が素直じゃないのはもちろん、一番心配になっていたのも華乃だったことも知っていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、いろはの病室前では、制服姿の十七夜と店を臨時休業して訪れた私服姿のみたまだった。

 

「随分と賑やかね、いろはちゃんも楽しそうでよかったわ」

 

「彼女はマギウスを倒すための鍵でもある。一人でいるよりはあれだけ楽しそうにいた方が本人も幸せだろう」

 

「それじゃあお話ついでに花束を私に行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらみたま、十七夜いらっしゃい」

 

「あぁ、邪魔をするぞ七海」

 

ドアを開けて病室に入る二人に最初に気づいたのはやちよだった。十七夜がやちよにあいさつをしている中、みたまは持っていた花束をいろはに渡す。

 

「ちょっと早いけど、学校に行けるようなったお祝いね」

 

「ありがとうございます、みたまさん」

 

「じゃあ私、受付から花瓶貰ってくるよ」

 

貰った花束を飾るために使う花瓶が病室にないことに気付いたももこは、受付から貰うために病室を後にした。

 

「それと環、聞きたいことがある」

 

「はい…私に答えられることなら」

 

「君はどうやって新たなアカウントを作った」

 

十七夜の問いかけにしばらく考えるいろは。

 

「上手くは説明出来ませんが……あの、イストワールっていう管理者権限をもつ人から…でも姿は見えなくて声だけだったんです」

 

「リアリィ?いろは、それは本当…だとするとおかしな点がいくつかあるんですケド」

 

十七夜からの問いかけに答えたいろはの言葉を聞いて、驚くアリナ。

 

「イストワールの管理者権限はマギウスが全て奪ったはず…存在自体も消したと思ったのに……まだどこかにデータが残ってたワケ?」

 

「その可能性が高いと思うわ。イストワールと話が出来なくても、魔法の国の武器やアイテムの性質を使って新しいアイテムが出来たんだから」

 

「ということは、みたま…できたのね?」

 

「えぇ、前にやちよさんに頼まれた魔力を検知するアイテムが完成したの」

 

するとみたまは鞄から箱を取り出し、蓋を開ける。

そこにはいくつかの卵形の宝石のようなものが入っていた。

 

「これはソウルジェム、さっき言ったように魔力を検知することができるアイテムよ。魔女やウワサという新たな敵は魔法少女とは違う…それにアリナさんが言うには町の至るところに潜んでいるらしいし、ここは魔法の国のアイテムに頼ることにしたわ」

 

みたまはソウルジェムの説明をした後、全員にそれを配る。一人一人色が違うのも特徴のひとつらしい。

本人曰く、それぞれの魔法少女時の服装に合わせたらしい。

 

「持ち歩くときは指輪になるから、学生組の子達は便利だと思うわ」

 

「ありがとうみたま、こんなに早く完成するなんて…でも、問題の魔女やウワサについての情報はまったく…」

 

新しいアイテムが出来たとしても、情報がないことに変わりはなかった。

 

「ん?ししょー、ウワサならあるよ」

 

「鶴乃ちゃん、それ本当?」

 

「うん!私たちの学校で最近ウワサになってる事があるの、ねっももこ?」

 

鶴乃はついさっき帰ってきて、花瓶に花を入れているももこに問いかける。

 

「あぁ…そんな話は聞いたな、なんだっけかな…話してるのはよく聞くんだけど…」

 

「あの、やちよさん…ウワサファイル見せてもらえませんか?」

 

「えぇ、いいわよ」

 

いろははやちよからウワサファイルを受け取り、学校などでウワサになりそうなウワサを探す。

どんな内容だったかを思い出すために一緒に探す鶴乃。

 

「あっ!これだよいろはちゃん!」

 

「これ……《絶交ルールのウワサ》?」

 

いろはは、名前を見て読み上げ、内容を読み上げる。

 

 

 

 

アラもう聞いた?誰から聞いた?

絶交ルールのそのウワサ

 

 

知らないと後悔するよ?

知らないと怖いんだよ?

 

 

絶交って言っちゃうと

それは絶交ルールが始まる合図!

 

 

後悔して謝ると、嘘つき呼ばわりでたーいへん!

 

 

怖いバケモノに捕まって

無限に階段掃除をさせられちゃう!

 

 

ケンカをすれば、ひとりは消えちゃうって

子ども達の間ではもっぱらのウワサ

 

 

オッソロシー!

 

 

 

「確かにこんな内容だったよ…」

 

「これは当たりかもしれないわね。鶴乃達はできるだけ注意しておいて、このウワサがらどこから流れ着いたものかは分からないけれど、あなた達の学校でウワサが広まっている以上危険よ」

 

「分かりました」

 

「しかしこれで情報が絞られた。町にいる学生たちなら知っているだろう。八雲、行くぞ」

 

さっそく絶交ルールのウワサの情報を聞き入れるため、十七夜は情報をきくために病室を後にした。

十七夜を追いかけるように後に続くみたま。

そんなみたまを引き止めるように声をかけるやちよ。

 

「みふゆとの連絡は繋がった?」

 

「いいえ、まだ繋がってないわ。それに関しての情報も探ってみるわね」

 

みたまはそう言って病室を後にした。

 

「みふゆさん…どこに言ったんでしょう…」

 

「大丈夫よ、みふゆならきっと…心配しなくてもね。」

 

みふゆが見つからないことに心配するいろは。

そんないろはを見て、安心させるようにいろはの肩をよせる。

いろははそれに返事をすることはなく、下を向き、自分の両手で握りしめるソウルジェムを見つめていた。

 

 

 

 

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