魔法少女物語   作:すぴてぁ

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34話 砂場の魔女

みんなが毎日いろはの病室に遊びに行き、楽しく話をして、鶴乃とももこからは学校の話を聞いたり、やちよからは幼い頃の自分がどんな子だったのかを聞いたり、思い出してきた部分もあればまだどこか抜けてる記憶もある。

しかし、いろはの記憶は少しずつではあるが戻ってきていた。

 

 

夏休みが終わり、再び学校が始まる今日。

いろはにとっては同じ学校への二度目の転校日でもあった。

退院してからはやちよの家で暮らすことになり、初めて家に来た時には生活用品が揃っていた。

 

 

「この制服を着てると…なんだか懐かしい気がします」

 

「そう…もしかしたら記憶のどこかにその制服が関わることでもあるのかもしれないわね」

 

(まだ、ヴァレンティナとしての記憶は戻ってない…無理に思い出させるのも良くないから…十七夜とはこのまま様子見ということにしているけど…)

 

制服を着て楽しそうにしているいろはを見て、心配そうに見つめるやちよ。

最近からちょっとずつ戻ってきている記憶。

アリナ曰く、全く思い出せない記憶があるならそれはマギウスがもっている可能性があると言っていた。

 

「いろは…もし何かあったら鶴乃やももこに言ってね」

 

「分かってます…私も不安ですもの…アリナさんから渡され機械心臓」

 

機械心臓…それは学校に通うと心臓がないことにより騒ぎになると大変なため、アリナがマギウスの拠点から持ち出した物の一部である。しかしこの心臓を作ったのは灯花であるため最初は全員が不安になった。

だがこのまま心臓無しなのも肉体的にも火垂としての体としてもいつか危険な状態になってしまう、なので今は異常が起こるまではこの心臓を使うことにした。

 

「いろはちゃーん!おはよー!」

 

「おはよう鶴乃ちゃん、朝から元気だね」

 

「いろはちゃんと一緒に学校行けるんだもん!制服似合ってるよ!」

 

先程までの空気を壊すように現れた鶴乃。

大声で話す鶴乃を見て呆れているやちよだが、いろはは普通に会話をしていた。

 

「そろそろ時間ね、駅前でももこと待ち合わせしてるんでしょ?」

 

「はっ!そうだったーいこっいろはちゃん!」

 

「うん!やちよさん行ってきます」

 

慌てて玄関から飛び出す鶴乃に手をがっちり捕まれ、ひっぱられながら出ていった。

しかし、やちよの不安は収まらなかった。

 

(魔女やウワサに出くわさなければいいけど…気をつけて、花音)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前にて、ももこは待ち合わせをしているいろはと鶴乃を待っていた。しかしそこにはもう1人…いろはと待ち合わせをするのなら一緒にと言い、ももこと共に2人を待つものがいた。

 

「おっはよーももこ!月咲!」

 

「えっ!?月咲ちゃん?」

 

「おっす、いろはちゃん、鶴乃」

 

「おはよ、いろは!」

 

それは天音姉妹の妹、天音月咲だった。

鶴乃とももこは知っていたらしく、同じ制服を着ている月咲を見て驚くいろは。

 

「月咲ちゃん…同じ学校だったんだね」

 

「うん!同じ学校の1年、いろはの後輩なんだよ?いろは先輩って呼んだ方がいいのかな?」

 

「いいよそんなの…今まで通りいろはで」

 

いろはにちょっとしたイタズラをした月咲は嬉しそうにいろはに笑いかける。

 

「ほら、そろそろ行こうぜ」

 

ももこの言葉を聞いた三人は後を追いかけ、駅の中へと入っていく。ここから学校へは電車でいくらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、1年である月咲と別れ鶴乃とももこの案内の元職員室に向かった。

聞けば鶴乃とももことはクラスは違うらしい。

不安になっているいろはを見て鶴乃は、華乃と伊吹がいるから心配は要らないと笑顔で言ったが、いろはにとってはそれが1番の心配だった。二人といた記憶も思い出も無い。しかし絶対に思い出さなくちゃいけない気がしてままならない。

 

「どうしよう……二人と会話できるかも不安だよ」

 

『では、環さん。入ってきてください』

 

「はっはい!」

 

そんなことをかんがえていると、担任の先生に名前を呼ばれ慌てて返事をするいろは。

緊張しながらも教室のドアを開ける。

 

「今日からこの学校に転校してきた環いろはさんよ」

 

「よろしくお願いします…」

 

いろはは下を向きながらあいさつをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしましょうどうしましょうどうしましょう……」

 

「落ち着きなっていろはちゃん、まだそうだと決まったわけじゃないんだからさ」

 

「ですけど…ですけど…」

 

お昼休み、いろははももこと鶴乃そして月咲と屋上にて昼食を取っていた。

華乃と伊吹は後から行くと言っていたため今はいない。

二人がいないうちにいろはは悩んでいることをももこに打ち明ける。

 

「私まだ、二人のこと思い出せていませんし…二人だけじゃないです。他にもいっぱい…」

 

「考えすぎは良くないよ?ちょっとずつでいいんだからさ」

 

「うちらも協力するし、町を歩いていけば何か思い出したりするかもよ?放課後にさっそくやろうよ!」

 

焦りわみせるいろはを見て、落ち着かせるように言う鶴乃と月咲。二人の言葉を聞いて落ち着いたのか、笑顔で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、帰る支度を進めていると鶴乃とももこがやってきた。

 

「いろはちゃん!そろそろいこっ」

 

「町を見て周りに行くけど、伊吹達も来るか?」

 

ももこにそう問いかけられた二人は互いに目を見合わせどうするかを考える。

すると伊吹はその場に残り、華乃は教室を後にした。

 

「私は一緒に行こうかしら、華乃は今日はやめておくって」

 

「あっ…はい。その…ごめんなさい」

 

「どうしていろはが謝るの?こっちこそ悪かったわね…華乃は今のあなたにはどうも慣れないみたいなの」

 

申し訳なさそうに謝罪をするいろはを見て、笑いながらそれを否定する伊吹。

すると伊吹はいろはの肩をポンっと叩いた。

 

「でも、私はあなたの記憶が戻るのなら私は仲良くして行くつもりよ。何か困ったことがあったら頼ってね」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでここが最後!公園だよ!」

 

「そりゃみりゃ分かるだろ」

 

放課後から町を歩き回り、駅前にあるお店や‎‎‎名所などを見て回った。

そして最後に訪れたのは、何の変哲もないただの公園だった。

敷地内には滑り台にブランコ、そして砂場。

楽しそうに会話をしている鶴乃とももこから離れ、いろはは先程から気になっていた砂場へ近づく。

 

「どうしたのいろは?」

 

「なんかこの砂場…何か…」

 

伊吹の問いかけに応えようとするいろはだが、話をしている途中に砂場がひかり出した。

 

 

 

 

 

 

「いろはっ!」

 

全員が驚く中、最初に足を動かしたのは伊吹だった。

伊吹は光を発する砂場に一番近いいろはが危険だと思い、魔法少女リュドミラに変身して、いろはを後ろに下がらせるようにして武器を構える。

 

「何これ……魔法陣?」

 

「これもしかして魔女かウワサじゃない?」

 

光の中から現れた魔法陣のような模様をみて不思議に思うリュドミラ。すると鶴乃はその魔法陣を指さして魔女かウワサじゃないかと予想する。

 

「でもそんな根拠がどこに……」

 

「でも、ソウルジェムが光ってますよ。これって魔女かウワサを検知したってことですよね?」

 

いろはの言葉を聞き、三人は自分のソウルジェムを確認する。

確かにソウルジェムは全て光を放っている。

 

「確かにそうっぽいな」

 

「倒そ!魔女やウワサって魔法少女しか倒せないんでしょ?だったら私は正義のために戦うよ!最強の魔法少女、由衣鶴乃だからね!」

 

鶴乃は魔法少女に変身して、戦う意気込みを見せた。

 

「確かに、倒さないと危険かもな」

 

「そうね、行きましょう」

 

「私も……戦います!」

 

全員が戦うことを決め、互いに見合い魔法陣の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

魔法陣のなかに入ればそこは別世界。

変な生き物が徘徊するとても不気味な世界だった。

 

「あいつらを倒さないと先へは進めそうにないよ!」

 

「あたしと鶴乃が叩いて行くから、リュドミラはいろはちゃんを頼む!」

 

「分かったわ!」

 

そう言って、鶴乃とももこは走り出し前にいる邪魔な芋虫のような生物を倒していく。

二人の攻撃が早いせいか、全く反撃をしてこない。

しかし油断していると、芋虫みたいな生物は体の一部を発射する。それは一直線に後ろにいるいろはとリュドミラに襲いかかる。

 

「凍てつけっ!」

 

リュドミラは持っていた槍を振るい、襲いかかる体の一部を凍らす。

 

「ナイスプレー!この調子で進んで行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから何体の生物を倒したのか分からないが、ひらけた場所が見えた。出口かもしれないと思い、走る四人。

しかしあったのは出口ではなかった。

 

「なんだよあいつ…今までのやつらの比じゃねえぞ」

 

そこにいたのは、今まで倒してきたやつらよりも遥かに大きかった。砂を纏った謎のバケモノ、いろははそれを見て何なのかに気付いた。

 

「魔女かもしれません…私、こいつに似たような姿をした生物をねむちゃんの本で見ました!」

 

「その情報なら、こいつは倒していい相手なんだな」

 

「いわゆるボスってやつね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人は意気込んで魔女を倒そうとするが、思っていたよりも強く、硬かった。

 

「どうすんだよ、全然ダメージ入って無さそうだぞ」

 

「四人だと、慣れてない相手はキツいわね…」

 

「でもっこいつをこのまま放っておくことはできないよ!」

 

そんなことを言っていると、魔女は狙いをいろはに定めて攻撃を始めた。

 

「いろはちゃんっ!」

 

しかし反応が遅れて避けることも逃げることも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あれっ?痛くない…)

 

頭を抑えて目を瞑っていたが、攻撃が当たることはなかった。

いろはの目の前にいるのは、リュドミラでも鶴乃でもももこでもなかった。

 

「リップル!あんたいつの間に!」

 

「なんか変な反応があったから来てみただけ……」

 

いろはを守ったのは、刀を構えているリップルだった。

リュドミラはリップルがいることに驚いているが、本人は早く終わらせたいのか魔女に攻撃をしかける。

 

「いろはちゃん!思いっきり溜め込んだ力を使って思いっきり矢を撃てない?そろそろ倒せる気がするの!」

 

「やってみます!」

 

鶴乃にそう言われたいろはは、矢に力をため、今までのよりも高い威力の矢を放とうとする。

 

「いろはちゃん、今だよ!」

 

「はあぁぁぁぁぁっーーーー!!!」

 

いろはは鶴乃からの合図を聞いて、矢を思いっきり放つ。

放った矢はそのまま一直線に飛び、魔女へと当たった。すると魔女のなかに入った矢が魔女のなかにある核のようなものに当たった音がした。それから直ぐに魔女は爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発が起こり全員が目を瞑っている間に、周りはもとの世界に戻っていた。

 

「勝ったの?」

 

「やったーー!勝ったーー!」

 

「とりあえずやちよさんや情報屋に連絡入れておくよ!」

 

三人が喜んでいる中、いろははリップルに声をかける。

 

「あの…ありがとうございました」

 

「別に……」

 

そう呟いてその場から飛び去るリップルをただ見ることしか出来ないでいたいろはであった。

 

 

 

 

 

 

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