魔法少女物語   作:すぴてぁ

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36話 記憶ミュージアム

絶交ルールのウワサを倒した2日後の夜。

高層ビルの屋上にて、リップルは高速道路を走る車を眺めていた。しかし表情は悲しげだった。

小乃花は帰ってきたが、記憶がない。そんな状況になってからリップルは笑えたことがない。

 

いつもならトップスピードが励ましたりしてくれるが、今はいない。今日この場に呼ばれたのはリップルだけ。

 

「お待たせ。やちよさんに話通すのに時間がかかったわ」

 

「遅い……!……」

 

後ろからリュドミラの声がした。待たせたことに不満を言おうと振り向くが、直ぐに視線を逸らした。

理由は、リュドミラの後ろにいるいろは。リップルは今のヴァレンティナの仮の姿が嫌いだった。そのせいか、今日まで距離をおいていた

よく見ると、いろはの隣には武器を持ったスイムスイムもいた。

 

「なんでスイムスイムもいるの?」

 

「本人が一緒に行くって言うから……ね?」

 

リュドミラはスイムスイムがいる理由を答えると、確認のために本人にも問いかける。

 

「うん…ヴァレンティナが元に戻るなら……なんだってする…ヴァレンティナは、ルーラと同じくらい大切な人…だから」

 

「てことだから、この4人で記憶ミュージアムに行くわよ」

 

リュドミラ達が進んでいく足音を聞いて、リップルは立ち上がりあとを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが…記憶ミュージアム」

 

「らしいわよ。本当に記憶が戻るかは分からないけどね」

 

ビルを飛び移り、できる限り人に見られないように記憶ミュージアムへとたどり着いた。夜中だからか人影はなく、魔法少女姿でも問題はない。

 

「とっとと終わらせるぞ。夜があける前にトップスピードに連絡しないと面倒になる…」

 

「ちょっ待ちなさいよ!」

 

早く終わらせるために先に博物館の中に入っていくリップル。リュドミラもそれを追うように入って行った。

入口前にいるのは、いろはとスイムスイムだけになった。

 

「ねぇ、スイムスイム…一つだけ聞いてもいい?」

 

「なに?」

 

「今の私は…嫌い?」

 

そう聞かれたスイムスイムはしばらく考えてから答えをだした。

 

「私は…どっちの姿でも、ヴァレンティナはヴァレンティナだと思う……リップルはあんな感じだけど…私とラ・ピュセル、トップスピードはそう思ってる……」

 

「…ありがとう」

 

「でもこれだけは約束してほしい……もし姿が戻っても覚えてるならだけど…現実の姿で会いたい…」

 

「うん。約束ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なにもないぞ」

 

「ガセだったとか?でも随分前に閉館して、廃墟になった博物館をそのままにするのは怪しいわね…」

 

二人を追いかけるように博物館の廃墟に入って行ったいろはとスイムスイム。しかし中には何も無く、瓦礫が積まれボロボロの内装だった。

 

「………あれ」

 

スイムスイムが指さした先には、不自然に積まれた瓦礫。

そちらに向かうように歩きだし、積まれた瓦礫をどかしていった。

 

「…扉!?」

 

「隠してあったのは不思議ですね…」

 

不自然な瓦礫に隠されていた扉を警戒しながらも扉を開ける。

中には敵もおらず、長い廊下が一直線に続いていた。しかしその壁には何かの映像が映っていた。

いろは以外の3人にはこの映像に見覚えがあった。

 

「ヴァレンティナ…!」

 

「カラミティメアリに…クラムベリーと戦ってるときの……」

 

「エリザベータのときのまで……これ全部ヴァレンティナの…」

 

映ってる映像の全てにヴァレンティナが写っておら、今まで戦ってきたときのはもちろん、それ以外にも魔法少女として活動していたときのまでが映し出されていた。

しかし、まったく記憶がない映像を見ているいろはは、見覚えのない光景を見て頭を抑える。

 

「大丈夫?いろは」

 

「平気です…早く奥へ行きましょう」

 

心配そうに声をかけるリュドミラに大丈夫だと答え、奥へ向かおうと言う。

真っ直ぐ歩き、長い廊下を進んでいく。

長い道のりを進み見えたのは大きな扉。急ぎ先へ進むため扉を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くふふ…待ってたよーお姉様」

 

扉を開けた先には、日傘をさした小さな魔法少女。里見灯花だった

いろはたちが来るのを分かっていたかのように待ち伏せていた。しかしそこには黒羽根や白羽根はおらず、敵意はまったく見えなかった。

 

「何の用だ……」

 

「お姉様の記憶を戻しにきたんでしょ?教えてあげよっか?」

 

「なんでそこまでするの?」

 

「こちら側としては、お姉様の記憶が戻ってくれた方が有難いんだよねー」

 

微笑みながらそう言う灯花に、警戒心を抱く四人。しかし灯花は話を進めていった。

 

「ちなみに記憶はそっちの予想通りウワサがもってるよー。まぁいやって言われても結界に閉じ込めるんだけどね〜ばいばーい」

 

すると灯花は指を鳴らした。

次の瞬間、4人の意識はふっとなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あれ?ここは……」

 

「気がついた…?」

 

いろはが目を覚ました場所は、先程とは違い鉄パイプなどで作られた道が続いていた

その場所にいたのはいろはとすでに目を覚ましていたリップルだけだった。

 

「ミラとスイムスイムと離れた……さっさと出口を探すぞ」

 

「あ…はい」

 

現在ギクシャクした関係である二人しかいない今、現状の空気は最悪だった。

互いに一言も喋らずただ歩いていくだけ。

 

「あの………!!」

 

「あれ…ウワサってやつで合ってる?」

 

「はい…その可能性が高いと思います…」

 

しばらく進んだ先にいたのは大きな印刷機みたいな化け物。先日戦った絶交ルールのようにただそこに佇んでいるだけで向こうからは攻めてこない。

いろはがウワサの可能性が高いと言うと、リップルはウワサへの攻撃を始めた。

リップルの魔法により外すことはないが、非常に固くそう簡単には倒れそうになかった。

 

「私も援護射撃を………」

 

「しなくていいっ!そこで大人しくしてろっ」

 

いろはは援護射撃をしようと矢を装填するが、撃つことをリップルが許さなかった。いろはは反論することも出来ずただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうやめてくださいっ死んじゃいます!」

 

「くそっ……ここでやめるわけには…」

 

あれからしばらく、ウワサに攻撃を続けるリップル。

ヒビが少しはいるくらいでそこからさらにダメージ入っている様子はなかった。

それどころかリップルの方がダメージが酷かった。

血も流れ、息も荒い、これ以上戦うのは危険だった

限界が来たのか、もうすでに立つことすらつらそうだった。

そんなリップルの姿を見て何かを思い出しかけるいろは。

 

「だめ…もう、戦わせちゃ……また…また……!サーシャ……」

 

思い出したのはあの日、エリザベータとの戦い。

あのとき、殺されそうだったヴァレンティナを庇い死んだアレクサンドラ。あの時の光景を繰り返してしまう…そう思うと足が動いていた。

 

「もう…だれも、私のせいで死なせたくない……エザンデス!!」

 

いろはが叫ぶと、目の前に大鎌が降ってきた。

その大鎌はリップルにも見覚えがあった。それは、かつてヴァレンティナが使用していた武器。

いろはがそれを掴むと、いろはの姿が変わりヴァレンティナの姿へと戻っていた。

ヴァレンティナは大鎌を構え記憶ミュージアムのウワサに突撃する。

素早く移動してウワサへと攻撃をするヴァレンティナ。

そして留めをさすように上へと飛び上がり、

 

「私の記憶……返してもらいます!」

 

大鎌を回し、回転斬りをした。案の定ウワサは砕かれ爆発を起こした。

すると、爆発後からひとつの光がヴァレンティナに向かって飛んでくる。それは頭の中へと入っていき、それが入った瞬間からヴァレンティナは動かなかった。

 

「ヴァレンティナ…」

 

「覚えてる……全部…思い出したよ…」

 

ヴァレンティナの満面の笑みをみて安心したのか、リップルはヴァレンティナを抱きしめた。

 

「おかえり……小乃花」

 

「うん…ただいま…華乃」

 

行方不明になった日数と、環いろはという偽名を使って合わせて約4ヶ月。

結城小乃花自身の記憶がある戻り再開をしばらく喜びあった2人だった。

 

 

 

 

 

その頃別れていたリュドミラとスイムスイムは、そんな2人を微笑ましく見ていた。

 

「でっかい音がすると思ったら…どうやら全部終わった見たいね…」

 

「うん…みんなに連絡……いれなくちゃ」

 

 

 

 

 

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