魔法少女物語   作:すぴてぁ

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5話 お姫様になるためには

私は1人、ビルを飛び移って移動していた。

 

(何だか今日はやる気になれない…)

 

ビルを移動していると、

 

「ヴァレンティナ?」

 

「ラ・ピュセル…」

 

「今日はトップスピード達と一緒じゃないのか?」

 

「活動は夜からなの…」

 

「そっか……ねむりんのこと、気にしてるのか?」

 

「うん…私、これからどうしたら良いんだろう…」

 

「スノーホワイトもそんな風に悩んでたよ…」

 

「そっか…」

 

「そういえば、こうやって話す機会あまりなかったよね」

 

「そういえば…そうだね。」

 

「私さ、まだヴァレンティナのことしらいいことの方が多いからさ、気分転換に色々教えてよ」

 

「うーん…話すって言ってもな……何か聞きたいことある?」

 

「そうだなぁ…家族は?兄弟とかいる?」

 

「ううん。家族は随分前に死んじゃった。兄弟とかもいなったよ」

 

「あっごめん。嫌なこと聞いちゃって…」

 

「気にしないで…」

 

「じゃあこんな風に悩みを聞いてくれる人もいないの?」

 

 

「うん。あまり、他の人に迷惑はかけられないし…」

 

「…私はさ、まだよく知らないけど…何かあれば話してよ」

 

「ラ・ピュセル…」

 

「こんな時だからこそ、こう言う悩みは誰かに話した方がいいよ…」

 

「……ありがとう。少し、元気になれたかも…それに、最下位にならないように頑張らなきゃだよね…」

 

「そうだね。……それじゃあ私はそろそろ行くよ」

 

「うん。ありがとう、ラ・ピュセル」

 

「大したことはできてないけど…お互い頑張ろうね」

 

「そうだね。私も、キャンディ集めに行くよ」

 

「その域だよ。それじゃあ」

 

 

 

私は、ラ・ピュセルと別れ、キャンディ集めに向かった

 

(そうだよね…頑張らないと…)

 

 

 

 

夜 ビル 屋上

 

「リップル、トップスピードさん、こんばんは」

 

「おぉ来たか。」

 

「お待たせしてすみません。今日も見回り…いきましょう」

 

「ちょいリップル」ボソッ

 

「何だよ」

 

「随分と機嫌いいけど、なんかあったんかね?」ボソッ

 

「知るか……でも、昨日よりは元気かも」

 

「まぁ元気が一番ってことで」

 

 

 

「どうかしましたか?」

 

「いや。何でもない。それじゃあ行こうか」

 

「はい。」

 

 

私達はいつもの高速道路の方へ向かっていた

 

「なぁあれって、スノーホワイトとラ・ピュセルじゃねぇか?」

 

「あぁ…」

 

「どうしたんでしょう……?」

 

私は反対側の方を見た。

そこには、スイムスイムとたまがいた。

 

(何か関係してるのかな?)

 

「私、向こうの方を見て来ます」

 

「おぉあたしら、あいつらのとこ行ってるから」

 

「はい」

 

 

 

 

私は2人よりも少し奥の建物の影で話を聞いていた。

 

『マジカルフォンを貸して…』

 

『えっいいけど…何するの?』

 

『キャンディはたまに預けたから』

 

『2万も!?スノーホワイト、1人でこんなに集めてたんだ』

 

『5万あった。半分もあれば十分』

 

『これをどうするの?』

 

『それを、スノーホワイトとラ・ピュセルとルーラ以外の魔法少女に送って』

 

『えっ何で?』

 

『そうすれば、ルーラが最下位になるはず』

 

『えぇ!?どうしてそんなこと…』

 

 

(ルーラを最下位にするためにわざと半分しか取らなかった…でもどうしてルーラを……)

 

「早くして」

 

「あっうん。」

 

「待って…」

 

「えっ!」

 

「ルーラを最下位にして、どうするの?」

 

「私がルーラになるため…」

 

「ルーラに……」

 

「そう…ルーラに、お姫様になるため」

 

「お姫様に……でもどうしてルーラを」

 

「ルーラがいたら、私はルーラになれない。ルーラがいなくなれば、私がルーラになれる」

 

「ルーラがいたらそんなにダメなの?……そんなことないと思うよ」

 

「どういうこと?」

 

「ルーラにさ、お姫様として認められるように頑張ればいいじゃん」

 

「認めて…もらう。」

 

「うん。ルーラに認められたら、それはもうお姫様と一緒じゃん」

 

「ルーラに認めてもらえば…」

 

「ルーラがいなかったら、お姫様として認められないよ」

 

「そっか……わかった。もうやめる。」

 

「それじゃあ、たま、その配るキャンディ…ルーラにも」

 

「あっうん!!」

 

「スイムスイムも…ルーラとスノーホワイトに謝りに行こう」

 

「うん……でも」

 

「私も…一緒に行くから」

 

「うん。」

 

 

寺院

 

「スイムスイム…それはどういうこと?」

 

「私は…ルーラになりたかった…私は、ルーラいたらなれないと思ってた。でも」

 

「でも?」

 

「私をルーラとして、お姫様として…ルーラに認めてもらいたい……だからやめた。」

 

「そう…」

 

「ごめんなさい…ルーラ」

 

「今回の件は、多めに見ておくわ、しばらく反省していなさい」

 

「はい…」

 

「あっルーラちょっと…」

 

「何?ヴァレンティナ」

 

「スイムスイムは、もう1人に謝らないといけないの…」

 

「そう…スイムスイム、行って来なさい」

 

「うん。」

 

 

 

 

ビル 屋上

 

「…………………だから、キャンディを奪ってごめんなさい…」

 

「ううん。気にしてないよ。謝ってくれただけで嬉しいよ。」

 

「ラ・ピュセルも…それでいい?」

 

「あぁ…」

 

「よかったね。スイムスイム」

 

「うん。……ありがとうヴァレンティナ…」

 

「でもよ…」

 

「?」

 

「最下位は、誰になるんだ?」

 

「あっそういえば…」

 

『今週の脱落者の発表だぽん』

 

『今週の脱落者は……』

 

『いないぽん。』

 

『これは驚きだぽん!というわけで来週も頑張って欲しいぽん。あと、来週から新しい魔法少女が来るぽん』

 

「……脱落者がいないって……どういう…」

 

「まぁでも、誰も死なずに済んでよかったじゃねぇか」

 

「そうです……ね…!?」

 

「どうした!!……大丈夫か!」

 

私は、大丈夫というまもなく意識を失った。

 

聞こえるのは、みんなの声だけ…周りの音は、何も聞こえない……

 

 

 

 

 

 

 

『本当に良かったぽん?脱落者を出さなくて』

 

「構いません。……私は彼女に興味があります。……ヴァレンティナに…」

 

 

 

 

 

 

 

 


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