ハイスクールS×S(セブン×シンズ)   作:いるふぃ

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第1話

とある遺跡から超古代文明が制作されたと考えられている半仮面が発掘された。

 

 

これがこの物語の始まりである。

 

発掘した科学者である天野 仁は研究室で仮面の研究を行っていた。

 

仁は研究途中にあることに気がついた。それは……

 

 

 

"仮面が意思を持っていること"

 

 

 

そして仮面はやがて人の形となり、ディアボロスと呼ばれる異形の存在へと変化した。

 

 

ディアボロスはその場にいた研究員を喰い荒らした。

 

 

 

奇跡的にその場を抜け出すことに成功した仁は研究所をディアボロスごと爆破させようとした。

 

しかし、ディアボロスは死ぬことはなかった……

 

 

 

仁は今になって思うのであった。

 

 

あれは、開けてはならないパンドラの箱であったということに。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー現在ーーーー

 

 

部屋で読書を楽しむ一人の少女がいた。

彼女の名前は天野 悠。

穏やかな性格な彼女だが、父親から病弱であることを理由に家から出ることを許されず、義理の姉の天野 澪と共に静かに暮らしていた。

 

「悠。今帰ったよ」

 

悠の部屋に入ってくる一人の少女。彼女が悠の義理の姉、天野 澪である。

 

「おかえりなさい。学校はどうだった?」

 

「いつも通りだったよ。悠は?」

 

「私もいつも通りだよ。今日、父さんが新しい本を買ってきてくれてね。それを読んでたの」

 

「父さん家に帰って来てたの?」

 

普段は帰ってこない二人の父親。科学者であり、一年のほとんどを研究室で過ごすような男である。

何の研究をしているかは極秘ということで、二人は知らない。

 

「うん。毎日薬を欠かさず飲んでるご褒美だって」

 

悠は毎日父親にある薬を欠かさず飲むように言われていた。

何の病気かも知らない悠。父親からは「お前の体を安定させるための薬」と言われているだけ。

 

そんな悠が澪にある愚痴をこぼす。

 

「あの薬ちょっと苦くて嫌な味がする……。上手く表現できないけど、とにかく苦い……」

 

「でも、悠のことを心配して薬を作ってくれているんだからちゃんと飲まないと……。今日のぶんはちゃんと飲んだ?」

 

悠は首を縦にふる。

 

「よかった……。じゃあ、私自分の部屋に行くね。何かあったら言ってね?」

 

そう言い残して澪は自分の部屋へ戻った。

 

悠は机の引き出しを開ける。そこには悠が飲む薬が入れてある。

普通であればもう既に薬は悠が飲んだためないのだが、引き出しの中に薬はあった。そう、悠は今日のぶんの薬を飲んでいないのである。

 

そんな中、彼女達の父親である天野 仁は……

 

 

秘密裏に増殖していったディアボロスの駆除をしていた。

 

普段は人間に擬態しているが、人間の肉を好む食人本能を有している危険な存在。

彼は自分がディアボロス復活に関与してしまった責任感からディアボロスを狩り尽くすことを自らの使命としている。

 

しかし、普通の人間がディアボロスに立ち向かうなど蟻が恐竜に歯向かうくらい無謀なことだった。

 

彼はディアボロスの唯一の弱点が仮面であることを知っており、特殊な兵器を使用して仮面を破壊してディアボロスを駆除していた。

 

また一匹、彼はディアボロスを殺した。

 

「コイツもあのディアボロスとは違う……。早くあのディアボロスを駆除しないと、この駒王町はディアボロスに支配される。そんなことになったら……この地球はおしましだ」

 

 

彼は今日もディアボロス探査に向かうのだった。

 

 

 

ある日、悠は自分の体に異変を感じていた。

 

湧き上がる本能、まるで何かが自分の中にいるかのような感覚だった。

 

『喰え……喰え……ここから出なさい……お前は魔王の仮面を持つ者……ここから出なさい……』

 

「あなたは誰なの……!?どこにいるの……!?」

 

そして突き動かされるまま彼女は家を飛び出す。

どこに行くのかもわからないまま、彼女は歩き続ける。

そしてたどり着いた場所は、どこかわからない森の中。

 

そこで彼女が見たものは……

 

「あれは……父さん……?」

 

悠の目に写っていたのはディアボロスと戦う父の姿であった。

 

ディアボロスを見た瞬間、湧き上がる本能が先程より高まる。彼女の体は段々熱くなっていき、体の周囲から紫色の炎が燃え上がる。

 

そして、彼女は獣の如く雄叫びを上げる!

 

 

「ううう……うおおおおお!!!」

 

雄叫びを上げたあと、天高くジャンプし、ディアボロスの前に立ちはだかる!

頭からは角、腰部からは大きな翼、先端がハート型の尻尾も生え、両腕の前腕と両脚の太股部分からは鋭いカッター状のものが表れる。爪は獣のように鋭く伸び、歯は八重歯に変化した。

悠の姿は人間に酷似した異形のディアボロスへ変貌していた。

 

「ディアボロス……!?いや、お前は…………悠か……?」

 

突如目の前に現れたディアボロスに驚く仁。しかし、彼はそのディアボロスが悠だといち早く気がついた。

 

 

「ううう…………」

 

ディアボロスをじっと見る悠。

ディアボロスは悠の姿を見て言う。

 

「その姿はまさか……!?しかし、何故だ!何故お前が色欲の仮面を付けている!?人間の匂いがするお前からどうして!?」

 

それを聞いた仁がその疑問に答えるように言う。

 

「彼女はお前らと同じディアボロスだ。でも少し違う。どこが違うかは……戦ってみればわかる」

 

「面白い。人間風情が我らディアボロスに敵うと思うなよ!」

 

悠に襲いかかるディアボロス。悠はうなり声をあげながら迎え撃つ。

 

悠はディアボロスを地面に押さえつけ、首ものを噛む。

一定時間噛んだあと、首の肉を引きちぎる。

引きちぎったあと、ディアボロスの腰部に生えていた翼をむしり取り、がむしゃらに攻撃を続ける。

 

「ううう……うおおおお!!!」

雄叫びを上げたあと伸びた爪でディアボロスの体全体を引っ掻き、そのあとに倒れ込むディアボロスを足で蹴り飛ばす。

 

「うっ……こいつ…………一体なに……もの」

 

ディアボロスは今にも息絶える寸前であった。

 

「うおおおお!!!うああああ!!!」

 

まだ敵は生きていることを認識した悠は雄叫びを上げたあとに高くジャンプしたあとにディアボロスの顔を踏みつけた!

 

ぐしゃと肉が潰れる音がしたと同時にディアボロスの顔はぐしゃぐしゃに潰れた。

 

それと同時に仮面も粉々に壊れた。

 

 

「はぁ…はぁ…うっ……」

 

 

戦いが終わったあと、悠は疲れたのか異形の姿から元の人間の姿に戻り、その場に倒れ込んだ。

 

それを見た仁はすぐさま悠に寄り添い、背中におんぶをする。

 

「悠……お前はやっぱり他のディアボロスとは違う。色欲の魔王であり、俺たち人間の救世主だ」

 

 

 


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