バカと千恋万花   作:京勇樹

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駒川

「吉井明久と言います。変わった時期に転校してきましたが、よろしくお願いします」

 

「ということです。皆さん、仲良くしてくださいね」

 

明久が挨拶すると、担任の比奈実がそう言った

すると比奈実は、廉太郎の方を指差して

 

「席は、鞍馬君の隣が空いてますよ」

 

と言った

それを聞いた明久は

 

「わかりました」

 

と言って、廉太郎の隣の席に座った

それを見た比奈実は

 

「では、数学の授業を始めます。教科書を開いてください」

 

と言った

そして、何とか授業をこなして、昼休み

 

「さぁて、飯だ」

 

と廉太郎が、背伸びしながら言った

すると明久は、廉太郎に

 

「お昼はどうなってるの?」

 

と問い掛けた

すると廉太郎は

 

「ここには、学食は無いから購買でパンを買う。家から弁当を持ってくる。一回家に帰って、家で食うのどれかになるな」

 

と言った

生徒の人数が少ないから、学食が無いようだ

更に、田舎らしい自宅での食事の許可

 

「言っておくと、弁当を持ってきたほうがいいな。購買は、競争率が高い」

 

廉太郎はそう言いながら、鞄に手を入れた

すると、何やら焦った様子で

 

「あ、しまった……」

 

て額に手を当てた

 

「どうしたの?」

 

「弁当、忘れた……」

 

明久が問い掛けると、廉太郎はそう答えた

どうやら、弁当を家に忘れたようだ

 

「どうすっかな……購買、もうマトモなの残ってないだろうし……」

 

と廉太郎が唸り始めた

すると

 

「廉兄!」

 

と小春が入ってきた

 

「小春? どうしたんだ?」

 

と廉太郎が問い掛けると

 

「はい、これ」

 

と小春が、廉太郎の机の上に包まれた弁当箱を置いた

 

「俺の弁当!」

 

「ほぼ毎日渡されるのに、なんで忘れるかなぁ?」

 

廉太郎が喜びの声を上げると、小春は呆れた様子でそう言った

どうやら、持ってきてくれたようだ

しっかりした妹である

 

「ありがとう、小春! おかげて、ひもじい思いをしなくて済んだぜ!」

 

「だったら、忘れないようにしてよ……」

 

廉太郎の言葉を聞いて、小春は溜め息混じりにそう言った

確かに、その通りである

 

「困った兄だね」

 

「まったくです」

 

「ひでぇよ、明久」

 

明久の言葉に小春は同意し、廉太郎は非難がましい目で明久を見た

その後、小春、芳乃、茉子の三人を含めた五人で一緒にお昼を食べた

そして、一日の授業も終わり、HR

そこで比奈実が

 

「あ、吉井君。少し残ってもらっていいですか?」

 

と言ってきた

それを聞いた明久、芳乃、茉子の三人は教室に残っていた

 

「何の用だろ?」

 

「まだ、転校に関する手続きが残ってるとかですかね?」

 

「まあ、中條先生が来れば、分かるかと」

 

明久の言葉に、茉子と芳乃はそう言った

すると、教室にドアが開いて

 

「あ、ちゃんと残ってくれましたね」

 

と比奈実が入ってきた

しかも、その後ろには眼鏡を掛けて、白衣を着た女性が居た

比奈実はその女性に

 

「では、駒川先生。私はこれで」

 

と言って、去った

どうやら、その駒川と呼ばれた女性が、明久に用があるらしい

すると、芳乃と茉子が

 

「なるほど。駒川先生だったんですね」

 

「明久さん。駒川先生は、この町唯一の医師でもあり、学校の養護教諭もしてるんです」

 

と言った

すると、駒川みづはが

 

「こんにちは、芳乃様。常陸さん。そして初めまして、吉井明久君。私は、駒川みづはだ」

 

と名乗った

その言い方から明久は、彼女も関係者だと気付いた

すると、みづはは

 

「この間明久君、怪我しただろ? 確認しようと思ってね」

 

と言ってきた

それを聞いた明久は、怪我から起きた時にムラサメが駒川と言っていたのを思い出した

 

「そうでしたか」

 

「これから保健室に行って、診察しよう」

 

みづはの言葉に従い、明久はみづはと一緒に保健室に行って、診察を受けた

すると、みづはは

 

「……うん。大丈夫そうだね」

 

と言った

どうやら、経過は良好のようだ

診察が終わったみづはは、カルテに何やら書き込んでから

 

「タタリの影響も無さそうで、安心したよ」

 

と言った

みづはがカルテに書き込んでいる間に、明久は脱いでいた上を着た

そして

 

「ありがとうございます」

 

と軽く頭を下げた

すると、みづはが

 

「では改めて。私は駒川みづは。朝武家お抱えの医師だ」

 

と言った

それに明久は

 

「吉井明久です。お世話になりました」

 

と頭を下げた

すると、みづはは

 

「多分、これから何回か顔を合わせる筈だ。普段は町の診療所に居るから、もし用があれば、ここに電話してくれ」

 

と言って、明久に名刺を手渡した

明久は、その名刺を受け取り

 

「はい、わかりました」

 

と言って、ポケットにしまった

それを見たみづはが

 

「私は、学校に出す書類があるから。君は帰って大丈夫だよ」

 

と言ってきた

なので明久は、椅子から立ち上がり

 

「ありがとうございました」

 

と感謝の言葉を言ってから、保健室から出た

すると、待っていたらしい芳乃と茉子が近寄り

 

「吉井さん」

 

「どうでしたか?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、明久は

 

「大丈夫だって」

 

と答えた

そして、茉子から鞄を受け取り、帰路に着いたのだった

 

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