翌日、早朝5時
「ご主人! 朝だぞ、起きろー!」
「ぐえっ」
ムラサメは乗りながら、まだ寝ていた明久に声を掛けた
それで目覚めたらしく、明久は
「おはよう、ムラサメちゃん……」
と言いながら、体を起こした
そして、ムラサメの頭を撫でて
「外に出てくれる? 着替えるから」
と言った
それを聞き入れて、ムラサメは外に出た
それを見た明久は、動きやすい服に着替えた
そして、芳乃や安晴に見つからないように明久は朝武家から出た
すると、ムラサメは
「ご主人、なぜこのようなことを?」
と明久に問い掛けた
その問い掛けに、明久が視線を向けると
「ご主人は歴代の使い手の中でも、かなりの剣の腕前だ……しかも、使うのはこの地に伝わる古流剣術……なのに、なぜ特訓を?」
と明久に問い掛けた
その問い掛けに、明久は
「ムラサメちゃんはもう気付いてるかもだけど、今の僕は刀を使うのに制限時間がある……」
と話し始めた
「それを少しでも解消して、鈍った感覚を取り戻す……そのために、訓練するんだ」
「なるほどな……」
そう話してる間にも、明久は学院前に到着
そこには既に、玄十郎が居た
すると玄十郎は、明久に
「では、始めるか」
と言って、竹刀袋を明久に投げ渡し、自身も別の竹刀袋から木刀を取り出した
明久も竹刀袋を受け取り、中から木刀を取り出して
「そうだね……時間無いしね」
と言った
その直後、二人は同時に踏み込んだ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
時は経ち、朝武家での朝食の時間
「明久君、遅いねぇ」
と言ったのは、安晴である
すると、芳乃が
「確かに、何時もより遅いですね」
と同意していた
そんな二人を他所に、茉子は
「まあまあ。慣れない環境ですし、多少は仕方ないですよ」
と言った
そして、内心で
(一度部屋に行ったら、居なかったんですよねぇ……多分……)
と考えていた
その時、廊下をトタトタと走る音がして
「ごめんなさい、少し寝坊しました」
と明久が入ってきた
すると、安晴が安堵した表情で
「ああ、大丈夫かい?」
と明久に問い掛けた
すると、明久は
「まだ慣れてないんですかね? どうも、疲れが抜けきらなかったみたいで……」
と頭を下げた
その後、朝食を食べて朝武家を出た
学院に登校する途中で、ある場所に向かった
そこは、穂織唯一の診療所
その名を、駒川診療所
内科と外科の双方を請け負う診療所である
「ここ?」
「はい。ここが、駒川先生の診療所です」
「学院には、既に遅れることは報せてありますから。入りましょう」
明久の問い掛けに、芳乃と茉子はそう言った
そして茉子がドアを開けて、芳乃と明久は中に入った
すると、奥から白衣を着たみづはが出てきた
「待ってました。芳乃様」
みづははそう言って、三人を奥に案内した
そこが診察スペースらしく、色々な薬物が置かれた棚に、一つの大きなベッド
そして、カルテが納められてる棚と机があった
「それで、渡したいものとは、なんでしょうか?」
みづはが問い掛けると、芳乃は鞄の中からハンカチで包んだあの欠片を取り出し
「これです」
とみづはに見せた
それを見たみづはは
「これは……水晶の欠片?」
と不思議そうにした
すると茉子が
「はい……数日前にタタリを浄化したんですが、そこで明久さんが見つけたんです」
と説明した
それを聞いたみづはは
「これを、預かっても?」
と三人に問い掛けた
すると、三人は
「そのために、持ってきたんです」
と言った
それを聞いて、みづははそれを受け取り
「わかりました。こちらで、色々と調べてみます」
と言った
すると芳乃と茉子は、鞄を持って外に出ようとした
だが、明久は
「ごめん、ちょっと先生と話したいことがあるから、先に行ってて」
と二人に謝った
そして二人が外に行くと、明久は
「先生。呪いに関する資料を、貸してほしいんですが……」
とみづはに言った
その問い掛けに、みづはは不思議そうにした
それを見た明久は
「まあ、確かに僕はムラサメに選ばれただけの余所者ですが、やるからには全力でやりたいんです」
と言った
それを聞いたみづはは
「なるほどな……玄十郎さんから聞いた通りだな、君は」
と言いながら、机の引き出しから一冊のノートを取り出した
そして、明久に差し出し
「これは、過去に一族が纏めていた資料を、私が独自に編纂したものだ。一応、わかりやすくしてあるが、何か聞きたいことがあったら、連絡してくれ」
と言った
それを受け取った明久は、鞄に仕舞ってから外に出た
すると、外で待ってた二人と一緒に登校
午前中の授業はマジメに受けて、お弁当も食べた
しかし、昼休み中に熟睡
しかもそのまま、授業に入ってしまった
寝ていた明久は、授業しに来た中條先生に優しく起こされたのだ
そして、放課後はまた
『少し帰りが遅いけど、気にしないでね』
と言って、学院に残った
すると芳乃が
「吉井さん……少し気が緩んでるのでは?」
と不機嫌そうに言った
「芳乃様?」
「今朝の寝坊に、昼休みはともかく、予鈴に気付かずに寝続けるなど……気が緩んでる証拠です」
茉子が問い掛けると、芳乃は憤った様子でそう言った
すると茉子は
「気は緩んでないと思いますよ? 私の予想通りなら……」
と呟いた
それを聞いた芳乃は
「どういうこと、茉子?」
と茉子に問い掛けた
すると茉子は
「そうですね。百聞は一見に如かずと言いますし……」
と少し考える素振りを見せた
そして、指を立てて
「それでは明日、何時もより早起きしましょうか」
と芳乃に提案したのだった