バカと千恋万花   作:京勇樹

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ひとまずの解決

「よし……今日は、早く戻れた」

 

明久はそう言いながら、静かに朝武家に帰宅した

そして一度大回りして、明久の部屋のルートから居間に向かう廊下を歩き

 

「おはようございます」

 

と言いながら、襖を開けた

その直後

 

「申し訳ありませんでした!」

 

芳乃が、見事な土下座で出迎えた

それを見た明久は、まず思考停止

だが、直ぐ様再起動

茉子に視線を向けて

 

「常陸さん、何が?」

 

と問い掛けた

すると茉子は

 

「以前明久さんに、気が抜けてると怒ったことを謝罪しているんです」

 

と説明した

それを聞いた明久は

 

「いやぁ……あれは、昼休みからとはいえ、授業中に寝ちゃったことが理由だし……」

 

と言った

それを聞いた茉子は、意地の悪い笑みを浮かべながら

 

「その理由が、早朝と放課後に、激しい訓練をしているから……と知ったからです」

 

と言った

その直後、明久は吹き出して

 

「ムラサメちゃん!? 居なかったんじゃなかったの!?」

 

とムラサメに顔を向けた

するとムラサメは

 

「家の時点ではな。その後は聞かれなかったからなぁ」

 

と言った

確かに、聞いたのは玄関に立った時点

その後は、一回も聞いていなかった

だから、ムラサメも答えなかった

それだけである

 

「それに、鍛練中に教えるわけにもいかなかったからな」

 

ムラサメのその言葉は、正解だ

なにせ、訓練中に教えた場合、意識が逸れて怪我をする怖れがあった

だからムラサメは、何も言わなかったのだ

そんな間も、芳野は土下座を続けている

明久は、そんな芳野に

 

「とりあえず、頭を上げてよ」

 

と言った

だが、芳乃は

 

「そういう訳にはいきません!」

 

と頑なに固辞した

それを見た安晴は

 

「本当に、誰に似たのやら……」

 

と溜め息混じりに言った

そんな芳乃に、明久は頭を掻いて

 

「じゃあ、どうしたら頭を上げてくれるかな?」

 

と問い掛けた

すると、芳乃は

 

「吉井さんが、私を罰するまでです!」

 

と言った

それを聞いた明久は、また頭を掻いて

 

「じゃあ、一つ言うから。頭を上げてくれるかな?」

 

と言った

すると芳乃は、頭を上げて

 

「何なりと言ってください!」

 

と告げた

それを聞いた明久は、人指し指を立てて

 

「僕と、友達になってほしいんだ」

 

と言った

それを聞いた芳野は

 

「それは、罰にならないのでは……」

 

と呟いた

しかし、明久は

 

「まあ、名目上は婚約者になってるからね」

 

と同意した

だが、直ぐに

 

「だけど、一足跳びし過ぎだし……なにより、芳野さんと大きな溝を感じるし」

 

と言った

見に覚えがあるのか、芳乃が呻くと

 

「そうだねぇ……見てるこっちが気の毒になる位だし」

 

と安晴が同意した

更に続いて

 

「ですねぇ……明久様は必死に歩み寄ろうとしてたのに、芳乃様は取りつく島無しでしたし……」

 

と言った

それを聞いた芳乃は、もはや反論出来なかった

思い当たる節が、あったからだ

そして、しばらくすると

 

「……わかりました……受け入れます」

 

と言った

それを聞いた明久は

 

「それじゃあ、よろしくね。芳乃さん」

 

と言って、右手を差し出した

すると芳乃は、明久の握手に応じながら

 

「よろしくお願いします……明久さん」

 

と言ったのだった

この後、朝食を食べてから登校したのだが、芳乃や茉子は

 

(PTSDのことを聞きたいけれど……)

 

(迂闊に触れるべきでは、ないでしょうね……)

 

と思案していた

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