バカと千恋万花   作:京勇樹

19 / 45
二戦目

明久と芳乃が、晴れて友達になった日の昼休み

明久がトイレから戻ると、廊下に芳乃と茉子の姿があった

二人も明久に気付いたらしく、歩み寄り

 

「吉井さん。今日私と茉子は、来客のために放課後は早目に帰宅します」

 

と言った

それを聞いた明久は、頷いてから

 

「わかった。僕もお爺ちゃんと訓練があるから……」

 

と返答していた

その時、芳乃が急に

 

「ん、んんっ!」

 

と身悶え始めた

それを見た明久は、芳乃の体を支えて

 

「芳乃さん!?」

 

と芳乃に声を掛けた

なお茉子は、目を細めて見ているだけである

その様子から、慣れていることが伺える

しかし、明久はどうしていいか分からず

 

「常陸さん、これは何が?」

 

と茉子に問い掛けた

すると、茉子は

 

「落ち着いてください、明久さん。これは」

 

と説明しようとした

その時

 

「ん、んあぁぁっ!」

 

と芳乃が声を上げた

それと同時に、芳乃の頭に犬耳が現れた

それを見た明久は

 

「これは……」

 

と声を漏らした

すると、茉子が

 

「朝武家の巫女は、タタリが放つ気を感じると、こうやって耳が出るんです」

 

と説明した

それを聞いた明久は

 

「つまり今日、討伐があるってこと?」

 

と首を傾げた

すると、呼吸を整えた芳乃が

 

「そうなりますね」

 

と答えた

それを聞いた明久は

 

「わかった。お爺ちゃんに言って、訓練を早目に終わらせるようにするよ」

 

と言った

そして時は経ち、夜

三人は、準備を終えて玄関に立っていた

 

「では、いってきます」

 

「いってまいります」

 

「えっと……いってきます」

 

芳乃と茉子は、至って普通に

最後の明久は、少し恥ずかしげに言ってから、外に出た

そして三人は、山に入った

すると、二人がそれぞれ仕舞っていた武器を構えた

それを見た明久は、浮いていたムラサメに視線を向けて

 

「ムラサメちゃん」

 

と言った

するとムラサメは、頷き

 

「行くぞ!」

 

と言って、明久の腕に抱きついた

そして、一瞬光ったと思うと、ムラサメの姿が無くなり、刀身が光り輝いていた

ムラサメの力が、発動した証拠である

それを見た明久は、ムラサメを鞘に収めた

そして三人は、周囲を警戒しながら山を歩いた

そして、どれ程歩いたのか

明久が

 

「芳乃さん、常陸さん……」

 

と明久が、腰を落としながら左手を柄に持っていった

その直後、前方の木々の間から、それが姿を現した

まるで、子供が粘土で作ったかのような見た目の敵

タタリが、居た

タタリを視認し、三人は構えた

その直後、先に動いたのはタタリだった

タタリは、尻尾をまるでムチのようにしならせながら、芳乃目掛けて振り下ろした

だが、その芳乃を明久が突き飛ばした

そして明久は、一気にタタリの方に駆け出した

その行動は完全に予想外だったのか、タタリの動きが明らかに鈍っていた

その隙を明久は逃さず、鯉口を鳴らして

 

「旋」

 

と呟きながら、すれ違い様に抜刀

ある程度進むと、土煙を上げながら振り向いた

 

(手応えはあった……せめて、尻尾が斬れていたら……)

 

明久はそう思いながら、タタリをジッと見た

すると、タタリの体がナナメにズレて、消えた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。