バカと千恋万花   作:京勇樹

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始まり

祖父に言われて、明久は一人でそこに待っていた

しかし、静かにではなく悶えていた

 

(うあぁぁぁぁぁ! どう考えても、大事な刀折っちゃったぁぁぁぁ! どうしようっ!?)

 

頭を抱えながら、ゴロゴロと転がっていた

 

(お爺ちゃんは問題ないって言ってたけど、弁償とかになったらどうしよう!? ある意味、祭の目玉を壊したんだし! うあぁぁぁぁぁ!!)

 

とゴロゴロと転がっていた

その時だった

 

「なにやってるんじゃ、御主は」

 

と声が聞こえた

 

「はへ?」

 

声がした方に視線を向けると、そこには一人の少女が居た

しかも、浮いていたのである

その少女は腰辺りまで伸ばした薄緑色の髪に、少し古風な服を着ていた

 

「君は……」

 

「我の名前は叢雨。叢雨丸の使いだ」

 

明久の問い掛けに、少女はそう言った

すると、明久は

 

「えっと……幽霊?」

 

と首を傾げた

すると、叢雨は

 

「幽霊ではない!」

 

と怒った

すると、明久が

 

「だって、浮いてるじゃん」

 

と叢雨の足下を指差した

すると、叢雨が

 

「確かに浮いてるが、幽霊と一緒にするな!」

 

と怒った

それを聞いて明久は

 

「でもね、触れないんだろうし」

 

と言いながら、叢雨の胸元に手を伸ばした

すると、触れた

 

「……へ?」

 

「……は?」

 

予想外だったために、二人して固まった

その直後

 

「な……何をするか!!」

 

と叢雨が、不思議な力で明久を吹き飛ばした

吹き飛ばされた明久は、一回空中で回転してから着地した

そして、叢雨が不思議そうな表情で自分の体を見下ろしていた

すると、ドアが開いて

 

「明久、何をしている?」

 

と祖父たる玄十郎が不思議そうに、明久を見た

その問い掛けに、明久は

 

「いや、あそこに叢雨丸の使いって子が居て」

 

と言った

すると、玄十郎が驚いた表情で

 

「叢雨樣が居るのか」

 

と言った

すると、玄十郎の背後に居た神主らしい男性が

 

「芳野、居るのかい?」

 

と一緒に入ってきた少女に問い掛けた

その少女は、あの舞を舞っていた少女だった

すると、その少女は

 

「居ます……叢雨樣」

 

と叢雨の名を呼んだ

すると、叢雨はその少女を見て

 

「おお、芳野か」

 

と返答した

どうやら、明久と同じように見聞き出来るようだ

その一連を見てから、明久は

 

「やっぱり、僕……怒られる?」

 

と玄十郎に問い掛けた

すると、玄十郎は

 

「だから、怒りゃあせん」

 

と言った

だが、明久は

 

「だけど僕、刀折っちゃったし……」

 

て呟いた

すると、叢雨が

 

「これのことか?」

 

と何処からともなく、鞘に入った状態の一振りの刀を取り出した

それを受け取った神主が鞘から抜くと、折れた筈の刀がくっ付いていたのである

しかも、まるで最初から折れていなかったようにだ

それを見て、明久は

 

「なにが、どうなって……」

 

と呆然とした様子で呟いた

すると、叢雨がふんすと胸を張りながら

 

「言ったであろう? 我は、叢雨丸の使いだとな。我が力を通せば、簡単に直る」

 

と言った

どうやら、嘘は言ってないようだ

話に着いていけず、明久は

 

「なにが、どうなってるんだ?」

 

と頭を抱えた

すると、玄十郎が

 

「明久……今から、大事な話がある」

 

と言った

そして明久は、この町

穂織に伝わる話の真相を知ることになる

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