タタリが消えると、明久は
「もしかして……終わった?」
と首を傾げた
すると、ムラサメが姿を見せて
「うむ! 問題なく、終わったぞ!」
と言った
それを聞いた明久は、刀を鞘に戻した
すると、芳乃と茉子が近寄り
「吉井さん!」
「ご無事ですか!?」
と明久に問い掛けてきた
そんな二人に明久は
「大丈夫だよ」
と笑いながら答えた
その答えを聞いて、芳乃と茉子は安堵の表情を浮かべた
その時だった
明久は、ある感覚に襲われた
それはまるで、誰かに呼ばれているかのような感覚
その感覚を、明久は知っていた
「ちょっとごめん!」
明久はそう言って、茉子に刀を預けた
そして、タタリが居た辺りの葉っぱを退けた
すると、その下から小さい水晶の欠片が見つかった
「やっぱり、あった……」
明久がそう呟くと、芳乃と茉子が肩越しに覗きながら
「それは……」
「確か、以前にも……」
と言葉を漏らした
それを見て、明久は
「……これ、鍵だ」
と呟いた
「鍵?」
「どういうことですか?」
明久の呟きに、二人は首を傾げた
すると明久は、二人に見えやすいように人差し指と親指でつまんで掲げて
「今まで、これと似たの回収したこと、ある?」
と問い掛けた
すると二人は、首を振って
「いえ」
「私達は回収したことありませんし、記録にもありませんが……」
と答えた
それを聞いた明久は、ムラサメに視線を向けた
するとムラサメは
「我も見た覚えは無いのう」
と答えた
確かに、その欠片は小さいし、夜だということもあり、見逃してきていたのかもしれない
だが、明久は連続して見つけている
確かに、鍵なのかもしれない
「タタリが出た場所に、連続してこれが有った……もしかしたら、呪いに関係してるのかもしれない」
明久はそう言って、欠片を握り締めた
そして、二人を見て
「僕は、朝武家の呪いを終わらせたいんだ」
と宣言した
それを聞いて、芳乃は固まった
確かに、今の明久は芳乃の友達で婚約者だ
更には、ムラサメに選ばれた担い手である
しかし、それを抜けば他人に過ぎない
だというのに、なぜそこまで一生懸命になれるのかが、芳乃には分からなかった
「なぜ……そこまで……」
芳乃が呆然と呟くと、明久が
「だって……辛いじゃないか……」
と呟くように言った
そして、芳乃と茉子を見て
「長い間、朝武家や常陸家は呪いに振り回された……もう、遥か昔の呪いなんて、終わらせようよ……でないと、芳乃さんや常陸さんが普通に過ごせないじゃないか」
と言った
その言葉に、芳乃や茉子は嘘を吐いてないと分かった
何故ならば、明久の目が澄んでいたからだ
しかも、二人を見詰めていた
真剣な表情で
「明久さん……」
「吉井さん……」
「ごめんね、生意気言ってるよね……」
明久は謝罪しながら、再び欠片を見た
そして、もう一度二人を見て
「だって、二人にだってやりたいことや、夢が有るはずなんだ……それが、過去の呪いで出来ないなんて……絶対に認めたくないんだ……」
と言って、夜空を見上げたのだった