明久が名前を確認すると、美少女
レナ・リヒテナウアーは、一旦首を傾げながら答えた
しかし、少しすると
「っは! なぜ私の名前を知ってるでありますか!? 誘拐されるですか!?」
と声を上げた
確かに、見知らぬ人物が自分の名前を言い当てたら怖いだろう
だが明久は、片手を上げて
「ああ、待って待って。落ち着いて」
と言って、レナに落ち着くように求めた
そして、立ち上がると
「僕は、吉井明久。志那都荘からのお迎え……って言えば、分かるかな?」
と言った
それを聞いたレナは
「オー! そうでしたか! そうとは知らず、失礼したであります」
と言いながら、軽く頭を下げた
すると明久は、首を傾げながら
「それにしても、聞いてた時間より早いし場所も違うけど……」
と言った
明久が玄十郎から聞いてたのは、午後3時頃に到着し、街入り口の観光案内所にて待っている。だった
しかし、今現在午後2時
場所は、山に繋がる坂道だ
大分違う場所だ
すると、レナは
「あー……実は、この街に来るという方のトラックに乗せてもらい、早く到着したんですよ。それで観光しようとしてましたら、迷子になってしまって……慌てて戻ろうとしたら、坂道でキャリーバッグが止まらなくなってしまったのですよ」
と言った
すると、それを聞いた茉子が
「気を付けてくださいね? 穂織は、坂道が多いですから。今回は、たまたま明久さんがクッションになりましたが」
と言いながら、生け垣に突っ込んでいたキャリーバッグを、レナに渡した
キャリーバッグを受け取ると、レナは
「本当でありますね……気を付けますよ」
と言った
そして、明久は
「まあ、無事なら良かったよ」
と満足そうに、頷いた
すると茉子が、小声で
「役得、でしたよね」
と言い、明久は吹き出した
レナは不思議そうにするが、明久は
「ひ、常陸さん!?」
と茉子に視線を向けた
すると茉子は
「いやぁ、あのサイズは私でも凄いと思いますよ」
と飄々と告げた
確かに、レナの胸はかなり大きい
先ほども、頭を下げた時に揺れた程だ
「っと、私はそろそろ買い物に行きますね。時間ですし」
茉子はそう言って、明久達と別れた
それを見送り、明久は
「えっと、じゃあ案内するね。ようこそ、穂織に」
とレナに言ったのだった
そして、色々と案内していた時
「そういえば、日本語上手だね? 勉強したの?」
とレナに問い掛けた
するとレナは
「あ、私のお爺ちゃんが日本人なのであります。しかも、この穂織の人だったんです。だから実家では、半分日本語、もう半分は母国語で会話が行われてるであります」
と答えた
それを聞いた明久は
「なるほどね……あ、だから穂織に来たかったんだ」
と納得していた
すると、レナが
「はい。お爺ちゃんから、何時も穂織の話を聞いてたのであります。だから、穂織に留学が決まった時は嬉しかったですよ!」
と嬉しそうに語った
しかし、学費と飛行機代は用意出来たものの、生活費はどうしても用意出来なかった
それに困っていた時、人伝に志那都荘で中居の募集をしていることを知り、渡りに船と飛び付いたらしい
「なるほどね……」
「まあ、最初は苦労するだろうけど、頑張りますですよ!」
レナはそう言うと、拳を握り締めた
そうしている間に、案内は終了
夕方になる前に、志那都荘に到着した
そして明久は、入り口を掃除していた女性
女将たる素子に近付き
「素子さん」
と呼んだ
すると素子は、掃除に手を止めて
「おや、明久さん。今日はどうしましたか?」
と問い掛けてきた
すると明久は
「お爺ちゃんに頼まれて、彼女を連れてきました」
とレナを指し示した
すると素子は
「まあ、そうでしたか。少々お待ちください」
と言って、志那都荘に入っていった
それから、数分後
「すまんな、明久。手間を掛けた」
素子と共に、玄十郎が現れた
「ん、大丈夫だよ。お爺ちゃん」
明久がそう言うと、玄十郎は
「初めまして、レナ・リヒテナウアーさん。儂が責任者の鞍馬玄十郎。それでこっちが、女将の」
「猪又素子と言います」
と自己紹介した
すると、レナは
「あわわ! 女将さんと旦那さんでありましたか! 私はレナ・リヒテナウアーであります! 今日から、お世話になるであります!」
と少し慌てながらも、自己紹介した
それを聞いた玄十郎は
「うむ。元気なのは何よりだ。素子さん、彼女を部屋に案内してくれ」
と素子に頼んだ
「承りました、大旦那様。レナ・リヒテナウアーさん、こちらへ」
「はい! あ、明久! 案内ありがとうございましたですよ!」
レナはそう言うと、素子の後に続いて中に入っていった
それを見送った明久は、玄十郎と短く会話してから朝武の家に帰宅したのだった