バカと千恋万花   作:京勇樹

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台風、ヤバイ……


山へ

「んー! ここのデザートは、美味しいです!」

 

「あは、嬉しいことを言ってくれるねぇ」

 

レナの言葉を聞いて、炉花が笑みを浮かべた

レナが食べているのは、抹茶をふんだんに使ったパフェである

実はその開発と発売には、炉花の大変な苦労があり、炉花はそれも褒められたようで嬉しかったのだ

その苦労というのは、職人気質な父が抹茶は和菓子に使うものだ、と言い張ったり、採算度外視で作ろうとしたりしたからだ

今や経営を担っている炉花からしたら、非常に難しい事案だった

しかしその苦労の甲斐あり、外国人観光客からの評判はうなぎ登りだった

 

「ふわぁ……このプリンも美味しいです……」

 

「本当に……」

 

と言ったのは、茉子と芳乃だ

二人は和菓子には慣れているが、洋菓子には慣れていない

だから、新鮮味から美味しく感じていた

 

「んー……叔父さん、また腕上げました?」

 

お饅頭を食べた明久が問い掛けると、炉花が

 

「お父さん、今の腕にも満足していないからね……毎日研究を続けてるよ」

 

と教えた

それを聞いた明久は

 

「流石は叔父さん……まさに職人気質ですね」

 

と言った

しかし、炉花は溜め息混じりに

 

「昔かたぎ過ぎるのよ……おかげで、こっちが苦労するわよ……」

 

と言った

そんな間に、彼女達はデザートを食べていく

そんな傍ら、廉太郎は伝票を見て机にうつ伏せになっていたりする

その後、支払いを終えると、山に向かった

なお、廉太郎は慈悲で腰のみを縄で縛られている

そんな中、後ろでは

 

「夜じゃなければ、大丈夫なんだよね?」

 

「はい、夜にしかタタリが出たことはありませんから」

 

「なるべく早く、帰るようにしましょう」

 

と明久、芳乃、茉子の三人が話していた

三人が心配しているのは、タタリが出現しないかだ

一応、念のために近くにムラサメが待機はしているが、刀と無ければ満足には戦えない

そして、なぜ山に来たのか

それは、山で釣りをするためだ

穂織の山の川には、ヤマメやニジマスが生息しているのだ

それを釣るというのも、いい思い出になるかもしれないと、廉太郎が発案したのである

しかし、問題が

 

「廉太郎……釣り道具は?」

 

見る限り、誰も釣り道具を持っていないのだ

すると、廉太郎は

 

「ん? 釣り糸と針なら、持ってきたぞ?」

 

と言って、懐から筆箱サイズの箱を取り出した

それを見た明久は

 

「肝心な釣竿は? ……まさか、俺の胯間……とか、言わないよね?」

 

と問い掛けた

その言葉に、廉太郎は視線を反らして口笛を吹いた

 

「おいこら」

 

それを見た明久は、思わず拳を握り締めた

すると廉太郎は

 

「冗談、冗談。現地調達だよ」

 

と言って、腰から鉈を取り出した

どうやら、竹を切って釣竿代わりにするようだ

すると明久は、芳乃に

 

「大丈夫なの?」

 

と問い掛けた

すると芳乃は

 

「はい、大丈夫ですよ。ここら辺の山は、朝武家の所有です。私から、お父様に話をしておきます」

 

と言った

それを聞いた明久は、呆然と

 

「え、ここら辺の山、全部?」

 

と問い掛けた

すると芳乃は

 

「はい。ここら一帯は、朝武家の所有です」

 

と肯定した

それを聞いて、明久は

 

「朝武家、凄ぇ……」

 

と呟いたのだった

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