バカと千恋万花   作:京勇樹

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真実

それから明久は、祖父と神主

朝武安晴(ともたけやすはる)の話を聞いた

それは、穂織の本当の歴史

街の殆どの人が知っているような、伝承ではない

その実態は、血みどろのものだった

それは、戦国時代にまで遡る

当時の穂織は、当主の交代が考えられた

その時居たのは、兄弟二人

横暴でガサツな兄とこまめで人々の優しい弟

そして選ばれたのは、弟だった

それに怒った兄は、自分の部下と隣国の大名の軍を率いて弟が率いる穂織の軍と交戦した

その結果、兄が敗れた

そこまでは良かった

しかし、山に追い込まれた兄が

 

『弟が兄を殺しにくるとは……許さんぞ。穂織を呪ってやる! 末代まで、呪われるがいい!』

 

と言って、弟に斬られたのだ

その後、穂織に災いが続いた

不作による飢餓

疫病の蔓延

更には、隣国の侵攻

そして、朝武にも災いが続いた

その事態の解決のために、その弟は神社に伺った

そして手渡されたのが、御神刀として奉納されていた叢雨丸だったのだ

そして、その叢雨丸の力を完全に使いこなすためには管理者

つまりは、人柱が必要だったのだ

そして、その人柱に選ばれたのが当時、不治の病で余命幾ばくもなかった少女

叢雨だった

叢雨が管理者となったことで、叢雨丸の力は完全なものとなった

そして、その叢雨丸により弟は穂織に侵攻してきた隣国の軍を撃退

なんとか、飢餓と疫病も収まった

しかし、その呪いはまだ続いているのだということだった

それを聞いた明久は、安晴が持っている叢雨丸を見て

 

「つまり、あのイベントはその叢雨丸を使える人を探すためのものだった……ということですか」

 

と呟いた

それを聞いた安晴は、コクリと頷き

 

「そうなるね……ただ、簡単には見つからないね」

 

と言った

すると、フヨフヨと浮いていた叢雨が同意するように頷いて

 

「そうじゃな。先代の使い手も、もう何十年も前だ」

 

と言った

それを聞いて、巫女

朝武芳野(ともたけよしの)

 

「そんな昔なんですか……」

 

と呟いた

すると、安晴が

 

「芳野、叢雨様はなんて?」

 

と問い掛けた

すると、芳野が

 

「先代の使い手は、もう何十年も前と」

 

と教えた

玄十郎と安晴には、叢雨は見えていなし、声も聞こえないのだ

だから、見聞き出来る芳野か明久が教えるしかない

そして明久は、安晴が持っている叢雨を見ながら

 

「つまり、僕はその使い手に選ばれた……ってことですか」

 

と呟いた

それを聞いて、玄十郎は頷き

 

「そうなるな……」

 

と同意した

そして明久は少しすると

 

「それで、僕に何をしろと?」

 

と安晴に問い掛けた

すると、安晴は

 

「流石に、いきなり戦ってほしい。だなんて、言えない……」

 

と言って、少し黙った

そして、芳野と明久を見ながら

 

「だから、芳野と結婚してくれないかな?」

 

と予想外にも程があることを告げた

 

「ふぁっ!?」

 

「お父さん! いきなり何を言ってるの!?」

 

明久は奇声を上げ、芳野は驚いた表情で安晴を見た

すると、安晴は芳野を見ながら

 

「芳野。芳野だっていい年なのに、浮いた話一つ聞かないじゃないか。これは、いい機会だ」

 

と言った

 

「だからって、いきなり!」

 

と芳野が抗議するが、安晴は視線を明久に向けて

 

「まあ、流石にいきなり結婚と言われても混乱するだろう。だから、提案なんだが……うちに住んでみないかい?」

 

と言った

それを聞いて、明久は

 

「い、いきなりそんなことを言われても……」

 

と躊躇った

すると、玄十郎が

 

「明久」

 

と明久を呼んだ

呼ばれた明久は、視線を玄十郎に向けた

すると、玄十郎は改まった様子で

 

「明久が選ばれたことに、何か理由があるはずだ……だから、頼む」

 

と言って、深々と頭を下げた

玄十郎が誰かに頭を下げるというのは、滅多にないことだ

もしかしたら、明久も初めて見たかもしれない

そして明久は、少し悩むと

 

「わかりました……その提案、受けます」

 

と安晴の提案を受け入れた

それを聞いた安晴は

 

「ありがとう、吉井くん」

 

と頭を下げた

そして、玄十郎は

 

「学校はどうする?」

 

と明久に問い掛けた

その問い掛けに、明久は

 

「転校するよ。そうしたほうが良さそうだし」

 

と言った

それを聞いて、玄十郎は

 

「わかった。それに関しては、儂と明恵がなんとかしよう」

 

と言った

そして、安晴と玄十郎が去ると明久は

 

「これから、よろしくね。朝武さん」

 

と芳野に挨拶した

すると、芳野は

 

「名字では私とお父さんで混乱しますから、私は芳野で構いません」

 

と言った

そして、立て続けに

 

「ただし、私は受け入れたつもりはありません。そこは間違えないでください」

 

と言って、本殿から去った

こうして、奇妙な同棲が始まったのだった

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