バカと千恋万花   作:京勇樹

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緊急事態

明久が茉子と戻ると、レナによりかなりの数が釣られていた

 

「うわぁ……大漁だね」

 

「レナさんが、凄い勢いで釣られてたんですよ」

 

明久が軽く驚いていると、芳乃が楽しそうにそう言った

どうやら、レナが釣りまくったようだ

その後明久は、乾いた上着を着てから廉太郎と一緒に釣り上げた魚を運ぶことにした

 

「いやぁ……レナさん、釣りの才能あるわ……まさに入れ食いだったぜ……」

 

とは、廉太郎の言である

少し落ち込み気味なのは、廉太郎はあまり釣れなかったからだろう

そして一同は、近くの焼き鮎屋に寄り、釣った魚を調理してもらうことにした

その手際を、明久は見学していたが

 

「なるほど、そういう処理の仕方があったか……」

 

と感心していた

その後、焼かれた魚を全員で食べた

すると、廉太郎は

 

「悪い。俺はこの後、少し用事があるんだ」

 

と言って、別れた

それを見送り、更に買い物を続けていた

その時だった

 

「んっ……くあぁぁぁ」

 

と芳乃が声を洩らし、頭にあの犬耳が生えた

 

「あ……耳が……」

 

「芳乃様!」

 

明久は芳乃の頭に犬耳が出来たことに気付き、茉子は心配そうに近付いた

すると芳乃は

 

「どうやら、今日のようですね……」

 

と呟いた

すると

 

「おや? 芳乃は何時の間に、犬耳を着けたでありますか?」

 

とレナが問い掛けてきた

その言葉に、三人は驚きの視線をレナに向けた

するとレナは

 

「ど、どうしました? そんな表情で」

 

と驚いていた

代表してか、明久が

 

「レナさん……これ、見えるの?」

 

とレナに問い掛けた

するとレナは

 

「はい、見えますよ?」

 

なにを当たり前のことを

と言いたげに、答えた

それを聞いた茉子は、素早くレナの片腕を掴み

 

「レナさん。すいませんが、もうしばらく私達と一緒に居てもらいますよ」

 

と言った

するとレナは、少し慌てた様子で

 

「それは困るですよ!? 私この後、お仕事なんですから!?」

 

と抗議した

しかし、芳乃が

 

「大丈夫ですよ。玄十郎さんには、私から連絡しますから」

 

と告げた

その後、明久も一緒にレナを引っ張ることになり、二人でレナをある場所に連れていった

それは

 

「診療所? 私、病気はしてないでありますよ?」

 

みづはが営む診療所だった

すると芳乃が

 

「まあ、元々用事があったんです。レナさんは、そのついでで確認してもらおうかと」

 

と言って、ノックした

時刻は、既に夕方の五時過ぎ

診療所も、既に閉まっている時間だ

しかし、みづはからの返事は無い

 

「おかしいですね……駒川先生から呼ばれたんですが……」

 

芳乃はそう首を傾げるが、明久と茉子は

 

「常陸さん……」

 

「はい……なにやら、嫌な予感がします……」

 

と言って、互いに頷いた

そして、芳乃とレナに

 

「僕と常陸さんが、先に入る……」

 

「お二人は後から入ってください」

 

と言って、明久がゆっくりとドアを開けた

まず見えたのは、誰も居ない待合室

既に電気は消されていて、物静かだった

そこをゆっくりと通り過ぎ、明久が診察室のドアの取っ手を掴んだ

そして、後ろを見て

 

「いい……? 行くよ?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、芳乃と茉子が頷いた

その直後、明久は一気にドアを開けて中に入った

そして、目を見開いた

 

「な!?」

 

「なんで、タタリが!?」

 

なんとそこには、実体化したタタリが居た

 

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